債務整理は家族や会社に内緒でできる?バレる可能性は?

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

債務整理を考えている方の中には、「借金が楽になるのはいいけれど、家族や会社にバレないだろうか?」と心配になっている方も多いのではないでしょうか。

そもそも借金があること自体を周りに内緒している場合、なおさら債務整理の事実は隠し通したいと思うものです。

実際は4つある債務整理の中でも、家族や会社にバレにくいものとバレやすいものがあります。一般的に、もっともバレにくいのは任意整理で、逆にバレる可能性が高いのは個人再生自己破産などです。

ただし、弁護士に手続きを依頼することでリスクを回避できる可能性はあります。

ここでは、4つの債務整理ごとに「家族や会社にバレる可能性」や「内緒で手続きをするためのコツ」などについて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

任意整理は、もっとも家族や会社にバレにくい!

任意整理は、4つある債務整理の中でも優先的に検討されることの多い方法です。弁護士(もしくは司法書士)が代理人となって債権者と交渉し、利息や遅延損害金をカットしてもらうことで借金を減らします。

そんな任意整理は、会社はもちろん、家族にもバレにくい債務整理といわれます。その理由はおもに以下の通りです。

弁護士に依頼した時点で督促が来なくなる

借金が家族にバレるきっかけとしてもっとも多いのが、債権者からの督促です。

支払いを滞納し続けると、当然ながら郵便物や電話などで督促がきますので、それで家族が借金の事実を知るケースは少なくありません。

弁護士もしくは司法書士に任意整理を依頼すると、債権者に「受任通知」という書面を送ってくれるのですが、その時点で債権者は債務者に直接連絡をとれなくなります。これは「貸金業法」という法律で規定されており、違反すると懲役や罰金などの処罰を受けることが定められているからです。

ですから、借金を支払えなくなった時点ですみやかに任意整理の手続きをすれば、家族バレのリスクを軽減することができます。

債権者との交渉は弁護士や司法書士が行なう

任意整理では、債権者との交渉をすべて弁護士や司法書士が担当しますので、債権者から手続きに関する連絡が入ることもありません。

ただし、弁護士とのやりとりは必要になりますので、家族バレしたくない場合は連絡先を自分の携帯電話にしてもらったり、郵便物を個人名で送ってもらったりするようお願いしておくと安心です。

用意する書類が少なく、短期間で手続きが終わる

任意整理は、ほかの債務整理と比べて手続きが簡単に済む点もメリットです。

用意するものも、借金の事実がわかる書類(契約書や取引明細)のほか、債務者本人の住民票や給与明細、預貯金通帳などが主で、家族に協力してもらわなくてはいけないものは基本的にありません。

また、任意整理は裁判所を通さない手続きですので、和解までの期間も比較的短く済みます。

このように、任意整理は周りにバレにくい債務整理ですが、例外もいくつかあります。たとえば家族が借金の保証人になっているケースです。この場合は債務整理をすると保証人に請求がいきます。

ただし、任意整理は整理したい借金を自由に選べますので、保証人がいる借金は任意整理の対象から外せばいいということになります。

また、債権者に訴訟を起こされる可能性がある点にも注意が必要です。弁護士に任意整理を依頼すると督促は来なくなりますが、債権者が債権回収の訴訟を起こす権利があります。この場合は自宅に訴状が届くため、家族に知られる危険性があるのです。

さらにその後、裁判で判決が確定すれば、債権者は強制執行できるようになります。すると給与を差し押さえられることもあり、そうなると会社にも借金がバレてしまいます。

実際は、弁護士から受任通知が届いてすぐに訴訟を提起する貸金業者はそれほど多くありませんが、中にはいるのも事実です。

ですからリスクの高い業者が相手の場合、そのあたりも含めて弁護士と対策を練る必要があります。

特定調停は、自分で動くため比較的バレやすい!?

特定調停は、簡易裁判所の仲介のもとで債務者が債権者と話し合い、借金の額や返済方法などを見直す手続きのことです。

カットしてもらえる金額は任意整理とほぼ同じですが、弁護士や司法書士を立てず債務者本人が行なえますので、費用が安く済むメリットがあります。

ただしその分、すべての手続きを自分でしなければいけないため、労力が大きい点がデメリットです。それにともない、家族にバレてしまう危険性も高くなります。

特定調停が家族にバレるおもなきっかけは、以下のようなものです。

書類を家族に見られてしまう

特定調停では、簡易裁判所に提出する申立書や、債権者の一覧表、財産の状況を示す書類などを自分で用意しなくてはいけないため、それらが家族の目に触れる可能性があります。

また、裁判所からも事件受付票や調停調書などが郵便で送られてきて、それが見つかることもあります。

ただし、裁判所からの郵便物は自宅以外に送ってもらうことも可能ですので、家族に知られたくない場合は職場や知人の住所を利用するのがおすすめです。もちろん、各書類は厳重に保管するよう気を付けましょう。

ちなみに、特定調停では裁判所から電話がかかってくることは基本的にありませんが、心配な場合は自分の携帯電話にかけてもらうよう担当者に一言伝えておくと安心です。

平日の日中に出廷しなくてはいけない

特定調停では、平日の昼間に簡易裁判所に出廷する必要があります。そのため、会社勤めをしている方はその日会社を休まなくてはいけません。

しかも、通常は月1回のペースで3~4回ほど足を運ばなければいけませんので、仕事の調整が不可欠です。特に債権者の数が多ければ多いほど、期間は長引きます。

会社を休んだからといって特定調停だとバレるわけではありませんが、職場や家庭に怪しまれないようにすることが大切です。

このように、特定調停では債務者自身が行なう手続きが多いぶん、気を付けないと周りに知られてしまうリスクがあります。

これを回避する方法の一つは、弁護士や司法書士を代理人として立てることです。費用はかかりますが、法律のプロに手続きや出廷を代行してもらうことができます。

ただ、それならば任意整理のほうをすすめられることが一般的です。借金の減額率も変わりませんし、裁判所を通さずに手続きができるため、弁護士や司法書士に依頼するなら特定調停よりも任意整理を優先的に考えましょう。

個人再生は、家族の協力が必要になる場合がある!?

個人再生は、裁判所に申し立てをして「再生計画案」を提出し、認可を受けることで借金を大幅にカットしてもらう方法です。

任意整理や特定調停よりも減額効果が大きい上、「住宅ローン特則」という制度を利用すれば、持ち家を残しながら借金を返済していくこともできます。

ただし、個人再生は裁判所を通して行なう公的な手続きですので、提出する書類も多く、同居する家族にバレる危険性はやや高いといえます。

個人再生では家族に関する書類も必要になる!

個人再生を行なう際は、申立書や再生計画案のほか、財産や家計の状況を示すための書類もいくつか提出する必要があります。

中でも家族の協力がないと難しい書類としては、以下のようなものがあります。

家計収支表

家庭の収入や支出を記したもので、直近2ヵ月分が必要になります。

住居費や衣服費、食費、光熱費などのさまざまな項目を詳しく記入しますので、特に家計に関与していない方は自分で作成するのが難しいかもしれません。

家族の給与明細

家族に働いている人がいる場合は、源泉徴収票や直近3ヵ月分の給与明細の提出が求められます。自宅にあれば持ち出すことができますが、電子化などで紙の明細がない場合は家族に頼むしかありません。

家族の収入については、前述の「家計収支表」にも記載する必要があります。

財産目録

個人再生では借金を大幅にカットしてもらうため、どのような財産を所有しているかを申告する「財産目録」という書類も必要になります。

預貯金の額はもちろん、加入している生命保険があれば解約払戻金、所有する不動産や自動車などがあればその評価額も必要です。

そのために、金融機関の通帳や保険証書、有価証券、車検証などを弁護士に提出する必要がありますので、家庭によっては家族の協力が必要になる場合があります。

このように、個人再生では家計や財産に関する書類をきっちりそろえて提出しなければいけません。家計を熟知していて、家族の給与明細も一人で用意できる場合は特に問題ありませんが、そうでない場合は家族に事情を説明する必要があります。

ちなみに、個人再生ではほぼ必ず弁護士を立てるため、裁判所からの郵便物は弁護士あてに届きます。

申立書にも、裁判所からの郵便物の受け取りを希望する「送達場所」という項目がありますので、そこを弁護士の法律事務所にしておけばOKです。

ほかに家族に個人再生のことが知られるケースとしては、家族が借金の保証人になっている場合が挙げられます。個人再生をして残った債務は、すべて保証人が支払う必要があるのです。

そのため、家族が保証人になっている場合は遅かれ早かれバレることになりますので、あらかじめ相談しておくことをおすすめします。

個人再生は任意整理と違ってすべての債務が対象になるため、「保証人が付いている借金だけ外す」といったことはできません。

また、個人再生をすると5年~10年はブラックリスト状態となり、その間はローンやクレジットカードを一切利用できなくなります。

これは個人再生に限らずすべての債務整理にいえることですが、そのことで後々、家族に債務整理をしたことがバレてしまう危険性もないとは言い切れません。

個人再生が会社にバレることはある?

個人再生は、場合によっては会社に知られる可能性もあります。

その一つが、「退職金見込額証明書」をもらう時です。同じ会社に5年以上勤めている方が個人再生をする場合、将来もらう予定の退職金の8分の1(近々退職する予定の場合は4分の1)の額を資産として申告する必要があります。

そのため、「現時点でいくらぐらいの退職金を受け取れる予定なのか」を証明するための「退職金見込額証明書」という書類を会社に発行してもらわなければいけないのです。

そんな書類が必要になるケースはまれですから、多くの場合は何に使うのかを問われてしまいます。実際は、住宅ローンの審査を受けたり、誰かの借金の保証人になったりする場合にも必要になることがあるのですが、場合によっては不自然に思われることもあるでしょう。

もし会社に発行してもらうのが難しい場合は、代わりに「会社の退職金支給規程+それにあてはめて算出した退職金計算書」で代用することも可能です。

退職金の制度がある会社の場合、就業規則の中に退職金に関する記載がありますので、その部分をコピーしたものを弁護士に提出します。

それ以外で会社に個人再生がバレることは基本的にありませんが、例外として会社の関係先からお金を借り入れている場合などがあります。

たとえば、会社の労働組合を通して労働金庫から借り入れしているケースなどです。特に労働組合が返済保証をしている場合などはバレる可能性があります。

また、個人再生をすると「官報」という国の発行する新聞のようなものに氏名と住所が載りますので、万が一それを見ている人が職場にいた場合はバレてしまいます。

ただし、官報をチェックしているのは信用情報機関や役所の税務課、もしくは闇金融など一部の人に限られるため、一般の人が見ることはまずありません。

自己破産は、「管財事件」になると家族バレしやすい!

自己破産は、税金や健康保険料などを除くすべての債務を免除してもらう方法で、ほかの債務整理では返済が難しい場合に選択されます。

経済的・精神的に楽になるのが大きなメリットですが、「破産者」となってしまうため、債務整理の中でももっとも周囲に知られたくない方法かもしれませんね。

自己破産が家族や会社にバレるきっかけは、個人再生の場合と似ていますが、自己破産ならではの注意点もあります。

自己破産が家族にバレるきっかけとは?

自己破産は、個人再生と同じく地方裁判所に申し立てをして行なう手続きです。そろえる書類が多いのと、専門的な法律の知識が必要になるため、ほとんどは弁護士に手続きを依頼することになります。

裁判所とのやりとりは弁護士を通して行なわれますので、裁判所からの郵便物などで自己破産が家族バレすることは基本的にありません。しかし以下のようなきっかけで家族に知られてしまう可能性はあります。

家族の協力が必要な書類を提出しなければいけない時

自己破産でそろえる書類は、個人再生の場合とほぼ同じです。

たとえば家計収支表や、財産目録を作成するための通帳や保険証書、また働いている家族がいる場合は給与明細も必要ですので、これらの書類を自分一人でそろえられるかどうかが問題となります。

財産を処分しなければいけない時

自己破産には、「同時廃止」と「管財事件」の2つの方法があります。簡単にいうと、同時廃止は財産がほとんどない人のための簡易的な破産手続き、管財事件は一定以上の財産がある人のためのやや複雑な手続きです。

参考:自己破産の「同時廃止」と「管財事件」の違い

管財事件になるかどうかは地方裁判所によっても基準が異なりますが、たとえば東京地方裁判所では「20万円以上の価値がある財産が1つでもある場合」に管財事件として扱われます(ただし現金に関しては、99万円までの所持が認められています)。

ですから、処分して20万円以上の価値がある不動産や車、保険などは原則として手放さなくてはいけません。そうなると、家族に知られずに自己破産するのはほぼ不可能ということになります。

ただし住宅ローンが残っているマイホームの場合、評価額が住宅ローンの残債を下回っている状態(オーバーローン)では同時廃止になるケースもあります。

家族が借金の保証人になっている場合

自己破産をしても保証人の債務は消えないため、家族が保証人になっている借金がある場合は必ず知られることになります。

この場合は、家族も同時に自己破産を検討しなくてはいけません。

破産後、ローンやクレジットカードを利用できなくなる

自己破産の手続き自体は家族に知られずに行なえても、その後の生活で破産したことがバレる可能性はあります。

自己破産をすると、個人再生と同じく5年~10年はローンやクレジットカードを利用できなくなります。また、携帯電話の機種代の分割払いもローンの一つですので、ブラックリスト状態の間は利用できません。

このようなことがきっかけで、後から自己破産したことがバレてしまうリスクはあります。

自己破産が会社にバレるきっかけとは?

自己破産が会社に知られるきっかけとしては、以下のようなことが考えられます。

退職金見込額証明書をもらう時

個人再生と同じく、自己破産する際にも退職金を申告する必要があります。将来もらえる予定の退職金の8分の1(実際に近々退職する予定がある場合は4分の1)が、現在の資産としてみなされるのです。

そのために、会社から「退職金見込額証明書」を発行してもらう必要があります。

給与明細や源泉徴収票と異なり、退職金見込額証明書が必要になるケースは限られていますから、会社側に頼んだ時点で債務整理の可能性を疑われる可能性がないとはいえません。

ただし、退職金見込額証明書をもらうのが難しい場合は、「会社の退職金支給規程+それにあてはめて算出した退職金計算書」で代用できますので、まずは担当の弁護士に相談してみましょう。

ちなみに、退職金の見込み額が20万円以上ある場合は、4分の1(裁判所によっては8分の1)の額が処分の対象となります。とはいえ実際に退職しなければいけないわけではなく、その場合は「管財事件」となり、積み立てするなどして裁判所に納めることになります。

一部の資格職に就いている場合

自己破産特有のデメリットの一つに、「職業や資格の制限」があります。

これは、自己破産の申し立てをしてから、実際に免責決定が下りるまでの間(平均3~6ヵ月間)、一部の職業や資格を制限されてしまうことです。代表的な資格(職業)には以下のようなものがあります。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 公認会計士
  • 税理士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士
  • 生命保険募集員
  • 証券会社外交員
  • 警備員
  • 古物商

上記はほんの一例で、ほかにも制限される資格や職業は複数あります。

あくまで免責決定が出るまでの間に限られますが、その間は業務に制限が出たり、場合によっては休職したりしなければいけなくなるため、会社に事情を知られることになります。

また、会社役員になっている場合もいったん退任しなければいけません。これは、民法の中で自己破産が「会社と取締役の委任契約の終了事由」として規定されているためです。

ただし資格制限とは異なりますので、免責決定が下りる前であっても再任されれば、また会社役員を務めることはできます。

それ以外の職業については特に制限はありませんし、たとえ自己破産したことが何らかの理由でバレたとしても、会社がそれを理由に社員を解雇することは労働契約法違反とみなされます。

まとめ

家族や会社に内緒で債務整理できるかどうかについてご紹介しました。

4つの債務整理の中では、「任意整理」がもっともバレる可能性が低いと考えられます。

基本的には、自分でそろえなければいけない書類や、債務整理によるペナルティ(財産の処分や資格制限など)が多ければ多いほど、周りに知られるリスクが高くなるといえるでしょう。

ただし、借金が家族バレするきっかけで一番多いといわれるのは、債権者からの督促です。督促を早くストップするためにも、返済が苦しくなった時点ですみやかに弁護士や司法書士に相談し、代理人になってもらうことをおすすめします。

また、弁護士との連絡方法にも気を付けたいところですので、最初に「家族や会社にバレないように手続きをしたい」という事情を説明し、理解してもらうことも大切です。

債務整理は弁護士と司法書士どっちに任せた方がいい?徹底比較!

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

債務整理は借金を合法的に解決できる方法ですが、行なうためにはさまざまな書類をそろえなくてはいけませんし、法律の知識も必要ですので、債務者が自分で手続きするのは難しいものです。

そこで、多くの場合は代理人として法律の専門家に依頼することになります。

法律のプロといえば、多くの方が弁護士を思い浮かべると思いますが、借金の状況によっては司法書士に依頼することも可能です。

2002年に「司法書士法」という法律が改正されたことで、それまで弁護士しかできなかった債務整理の一部を司法書士もできるようになりました。

ただし、弁護士と比べると権限に制限があるため、司法書士に依頼できるケースは限られています。

ここでは、弁護士と司法書士の業務内容の違いをもとに、どちらに債務整理を依頼するべきかを徹底比較していきたいと思います。

債務整理における、弁護士と司法書士の役割とは?

債務整理には4つの種類がありますが、弁護士と司法書士はそのいずれにも関わることができます。

しかし、請け負える業務に違いがあるため、まずはわかりやすく表にしてご紹介しましょう。

債務整理の種類 弁護士 司法書士
任意整理 代理人
(金額の制限なし)
代理人
(1社の債務が140万円以下の場合に限る)
特定調停
個人再生 代理人 書類作成代理人
自己破産

弁護士はすべての法律業務を行なえるため、借金の額や債務整理の種類にかかわらず、債務者の代理人になることができます。

書類作成はもちろん、債権者との交渉や、裁判所への申し立て、出廷なども代行することが可能です。

一方、司法書士が代理人になれるのは「140万円以下の借金の任意整理(および特定調停)」のみで、140万円を超える借金がある場合は、交渉や訴訟を代行することはできません。

だし、裁判所に提出する書類などを作成することはできますので、個人再生や自己破産の書類作成代理人としてサポートすることはできます。

債務整理における弁護士と司法書士の業務の違いについて、下記でさらに詳しく解説していきます。

弁護士は、債務整理に関わるすべての手続きができる!

弁護士は司法試験に合格した上で、最高裁判所の司法研修所を卒業し、弁護士会に登録している人のことを指します。裁判官・検察官と合わせて「法曹(法律の実務家)」と呼ばれる職です。

弁護士は法律に関する高度な知識および実務技術を有しているため、その集まりである弁護士会には強い独立性が認められており、担当弁護士の裁量でさまざまな法律業務を行なうことができます。

弁護士が扱う仕事には、大きく分けて「民事事件」と「刑事事件」がありますが、債務整理は民事事件の一つです。

借金に関する法律相談をはじめ、債務整理に必要な書類の作成や、債権者との交渉、また必要に応じて裁判所への申し立てや出廷なども代行してくれます。

借金の額や債務整理の種類にかかわらず代理人になってもらうことができ、相談から実際の手続きまでを一貫して任せられる点が弁護士に依頼する大きなメリットです。

司法書士は、一部の債務整理しかできない!

一方、司法書士は司法書士試験に合格し、司法書士会に登録した人のことを指します。

司法書士のおもな業務は、不動産登記・商業登記の代行や、裁判所などに提出する書類作成の代行などです。

これらの業務は弁護士も行なうことができますが、弁護士の数が十分ではなかったことから、登記や書類作成の業務を専門に扱う資格として司法書士の制度が誕生しました。

さらに近年、多重債務問題の増加を受けて、平成14年には司法書士法が改正され、司法書士も一部の債務整理手続きを行なうことができるようになりました。

ただし司法書士なら誰でもできるわけではなく、法務省に認定された「認定司法書士」のみとなります。

また、弁護士と比べると行なえる業務が限られており、以下のような制限があります。

  • 交渉・和解・訴訟代理は、140万円以下の民事事件に限る
  • 訴訟を代理できるのは簡易裁判所のみに限る

借金の額が140万円を超える案件では、司法書士は裁判所に提出する書類の作成などは代行することが可能ですが、債権者との交渉・和解・訴訟代理などは一切できません。

この場合の140万円とは、一社ごとの借金になりますので、複数の業者から借り入れいてもそれぞれの債務が140万円以下であれば、司法書士を代理人として立てることができます。

また、任意整理では司法書士も過払い金請求ができますが、この場合も過払い金が140万円以下のケースに限られます。

つまり、一社からの借金および過払い金が140万円以下の場合は、弁護士ではなく司法書士に任意整理を頼んでも問題ないということです。

また、司法書士は簡易裁判所での訴訟代理権がありますので、簡易裁判所に申し立てを行なう特定調停の代理人になることもできます(この場合も、一社の借金が140万円以下に限られます)。

ただし、うまく和解が成立しなくて債権者に訴訟を起こされ、さらにそれが地方裁判所に移ったような場合は、弁護士に依頼する必要があります。

個人再生や自己破産では、司法書士は代理人になれない!

特に問題になるのは、個人再生や自己破産をする場合です。

個人再生や自己破産は地方裁判所に申し立てをして行なう手続きですので、司法書士が代理人を務めることはできません。弁護士であれば、代理人として裁判所への申し立てや出廷の代行、裁判官との面談(審尋)への同席などができますが、司法書士はいずれも不可能となります。

個人再生や自己破産で司法書士がサポートできるのは、主に書類の作成です。個人再生や自己破産では、申立書や財産目録などのさまざまな書類を裁判所に提出する必要があるのですが、こうした書類作成の代行はもともと司法書士の専門とするところですので、問題なく依頼できます。こうした司法書士の業務のことを、「本人訴訟支援業務(裁判書類作成業務)」といいます。

ただし、書類作成は代行してもらえても実際の申し立ては本人が行なうことになるため、弁護士に依頼した場合に比べると手続きに時間や手間がかかったり、債権者に有利な条件で決着がついたりするなどのリスクがあるのも事実です。

特に債権者の数が多かったり、借金の事実関係が不明確だったりするようなケースの本人申し立てはハードルが高くなります。

それでも、費用が弁護士に依頼した場合に比べて格段に安いのならばまだメリットがありますが、実際はそれほど差がないケースも少なくありません。そうなると、司法書士に依頼するメリットはほぼないということになります。

中には、司法書士の権限の制限について知識がないまま依頼してしまう人もいますので、どこまでの手続きをしてもらえるのかをしっかり確認した上で依頼するかどうかを判断することが大切です。

弁護士と司法書士、結局どちらに頼むべきか?

ここまでご説明したように、弁護士と司法書士は扱える業務の幅に差があります。

実際にどちらに依頼するべきなのか、基本的な基準は以下の通りです。

弁護士に依頼するべきケース

弁護士はすべての債務整理において代理人になれますので、基本的にはどのようなケースでも「依頼して間違いがない」といえます。

特に、一社あたりの借金(または過払い金)が140万円を超える場合や、個人再生・自己破産を行なう場合、司法書士は代理人になることができませんので、この場合は迷わず弁護士を選ぶことをおすすめします。

140万円超の案件でも、司法書士は書類の作成代行は可能ですが、上述したように本人申し立てにはリスクもあるため、あまりおすすめできません。

ちなみに、借金や過払い金が140万円を超えるかどうかが不明である場合も、司法書士ではなく弁護士に任せたほうが安心です。

司法書士に依頼するべきケース

司法書士に債務整理を依頼しても問題ないのは、以下のようなケースです。

  • 140万円以下の借金を任意整理する場合
  • 借金の事実関係が明確で、複雑な問題が生じていない場合

司法書士にすべての手続きを任せることができる債務整理は、債権者と直接交渉を行なう任意整理です。

特定調停も可能ではありますが、特定調停は債務者が自分で行なうことが多く、わざわざ弁護士や司法書士を立てるのであれば任意整理を選んだほうがいいということになります。

また、借用書や契約書などの書類がしっかり残っており、債権者との間にも大きなトラブルがないなど、「厄介な案件でない」こともポイントです。

事態が複雑であればあるほど、高度な法律の知識や交渉の技術が必要になりますので、その場合は弁護士に依頼することをおすすめします。

さらに、弁護士と司法書士の違いについて事前に十分な説明をしてくれる司法書士を選ぶことも大切です。

万が一、手続き中に司法書士には扱えない状態になった場合には、しっかりと事情を説明した上で、信頼できる弁護士に取り次ぐなどのフォローをしてくれる司法書士が望ましいでしょう。

ちなみに、個人再生や自己破産を司法書士に依頼した場合、本人申し立て扱いとなって裁判所に納める予納金が高額になるケースがあります。

このようなことからも、個人再生や自己破産は弁護士に依頼したほうが安心です。

司法書士と弁護士で費用に差はあるのか?

よく「司法書士は弁護士よりも費用が安く済む」といわれますが、最近は弁護士業界の競争が激しくなっていることもあり、無料相談を行なったり分割払いに対応したりするなど、ひと昔前よりも敷居が低くなっています。

また「法テラス(日本司法支援センター)」では、経済的な余裕がない人のために弁護士による無料相談や、弁護士費用の立て替えを行なっていますので、最近は「お金がないから弁護士に依頼できない」というケースは少なくなっているのです。

個人再生や自己破産の費用は、弁護士に比べると業務が制限されている分、司法書士のほうが低く抑えられていますが、任意整理や過払い金請求の報酬金などはほとんど変わりません。

何より、債務整理は結果がもっとも大切ですので、費用の安さだけで選んでは本末転倒になってしまいます。

まとめ

弁護士と司法書士は、どちらも法律の知識に基づいて債務整理の手続きができますが、業務の幅に大きな違いがあります。

弁護士がオールマイティであるのに対し、司法書士の業務は「一社あたり140万円以下の借金の交渉・和解・訴訟代理」もしくは「書類作成の代行」に限られます。140万円を超える借金になると地方裁判所の管轄になりますので、司法書士の訴訟代理権は簡易裁判所のみです。

債務整理の依頼先を探すにあたっての考え方としては、「できれば弁護士が望ましいが、近くに最適な弁護士がいないなどの理由があり、140万円以下の借金を任意整理したい場合は、信頼できる司法書士への相談も検討する」ということになります。

司法書士に債務整理を依頼する際には、司法書士の権限の制限や、それによって生じる可能性のある不利益、途中で司法書士に扱えなくなった場合の対応などについても事前にしっかり確認しておくことが大切です。

また、司法書士であれ弁護士であれ、債務整理を多く扱っているかどうかは事務所によって異なります。事務所のホームページを参考にして、債務整理に強いところを選ぶようにしましょう。

債務整理による事故情報(ブラックリスト)が残る期間は?

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

債務整理をすると、事故情報が個人信用情報機関に記録され、いわゆる「ブラックリスト入り」することになります。

キャッシングやローン、クレジットカードなどに申し込んだ際には必ず信用情報のチェックが行なわれますので、ブラックリスト状態の間は新たな契約ができません。

しかし、事故情報も永遠に記録され続けるわけではなく、各信用情報機関が定める所定の年数を過ぎれば消去されます。その後はまた、新たにローンやクレジットカードなどを利用することが可能です。

それでは実際、債務整理による事故情報はどれぐらいの間残るのでしょうか?

国内にある3つの信用情報機関(CICJICC全国銀行個人信用情報センター)の事故情報の保有期間について詳しくご紹介したいと思います。

CICの場合

※キャプチャ画像は公式サイトより引用

CIC(株式会社シー・アイ・シー)は、おもに消費者金融やクレジットカード会社、信販会社などが加盟する信用情報機関です。

「割賦販売法に基づく指定信用情報機関」および「貸金業法に基づく指定信用情報機関」であることから、特にクレジットカード業務を行なう会社や消費者金融が多く加盟しています。

CICに登録される情報

CICが保有する情報には、以下のようなものがあります。

申込情報 ローンやクレジットカードの申し込みがあった際の調査記録
クレジット情報 契約内容や支払状況などの情報
利用記録 クレジットカードやローンの更新時などに行なわれた調査記録

上記のうち、債務整理の情報が含まれるのは「クレジット情報」です。その中でも「支払い状況」の項目に、いわゆるブラック情報の有無が記録されています。

CICがブラック情報を保有する期間

CICに記録されたブラック情報の保有期間は、「契約期間中および契約終了後5年以内」です。

債務整理には、任意整理特定調停個人再生自己破産の4種類がありますが、いずれを行なった場合もCICでは原則5年間、記録が残ります。

5年のカウントは、任意整理・特定調停・個人再生の場合は債務を完済した時点から、自己破産の場合は免責決定が下りた時点から始まることが一般的です。

CICのブラック情報はどのように記載されているのか?

CICでは「どんな債務整理が行なわれたか」という情報は記録されておらず、単に「異動情報」として記録されています。

自分の信用情報を取り寄せてみるとわかるのですが、CICの開示請求書には「お支払いの状況」という欄があり、その中に「26.返済状況(異動発生日)」という項目があります。そこに「異動」の文字があれば、ブラックリスト状態だということです。

CIC「信用情報開示報告書の見方」より引用

異動と表示されるのは、「61日以上または3ヵ月以上にわたる延滞があった場合」や「裁判所が破産を宣告(破産手続き開始が決定)した場合」などです。

自己破産はもちろん、どのような債務整理をしても異動情報は記録されます。

また、CICの開示請求書の右上に「保有期限」という欄があり、債権者との契約が終了すると、ここに年月が表示されます。

CIC「信用情報開示報告書の見方」より引用

自己破産以外の債務整理を行なった場合は、完済して借金が0円になった時、自己破産を行なった場合は、「お支払い状況」にある「31.終了状況」の項目に「法定免責」の記載がある時に保有期限が表示されます。

CICの情報は、保有期限に表示されている年月の月末に削除されますので、たとえば上の例でいくと平成30年5月末日に消えることになります。

つまり、保有期限を見れば自分のブラック情報がいつ消えるのかを知ることができるのです。

CICに情報開示を求める方法

CICに記録されている自分の信用情報を確認するためには、開示請求の手続きを行ないます。

インターネット開示

パソコンやスマホから簡単に開示報告書を閲覧できる方法です。郵送の手間がかからないため、スピーディに信用情報を見ることができます。手数料は1,000円で、クレジットカードの一括払いで支払います。

郵送開示

申込書や本人確認書類に、1,000円の手数料(ゆうちょ銀行発行の定額小為替証書)を添えてCICに送ると、10日ほどで開示請求書が返送されてきます。

窓口開示

全国にあるCICの開示窓口(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・岡山・福岡)に直接出向き、その場で開示報告書を受け取る方法です。本人確認書類と500円の手数料(現金)を持参します。

JICCの場合

※キャプチャ画像は公式サイトより引用

JICC(日本信用情報機構)は、CICと同じく「貸金業法に基づく指定信用情報機関」です。

そのため、消費者金融などの貸金業者はCICとJICCのどちらかに必ず加盟しています(どちらにも加盟する会社も少なくありません)。

JICCに登録される情報

JICCが保有する情報には、以下のようなものがあります。

本人を特定するための情報 氏名、住所、勤務先などの本人に関する情報
契約内容情報 契約の種類や契約日、契約金額などに関する情報
返済状況情報 入金日や残高、延滞などに関する情報
取引事実に関する情報 債務整理や債権譲渡などに関する情報
申し込み情報 新規申し込みがあった際に登録される情報

上記のうち、債務整理に関係するのは「返済状況情報」と「取引事実に関する情報」です。

JICCがブラック情報を保有する期間

JICCに記録されたブラック情報の保有期間は、以下の通りです。

返済状況に関する情報 契約継続中及び完済日から5年を超えない期間
(ただし、延滞情報については延滞継続中、延滞解消の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間)
取引事実に関する情報 当該事実の発生日から5年を超えない期間
(ただし、債権譲渡の事実に係る情報については当該事実の発生日から1年を超えない期間)

つまり、どのような債務整理を行なったとしても、CICと同じく原則5年間が情報の保有期間となります。

JICCのブラック情報はどのように記載されているのか?

JICCでは、CICと違って「どんな債務整理が行なわれたか」がある程度わかるようになっています。

JICCの信用情報記録開示書は、「ファイルD」「ファイルM」「紹介記録開示書」の3種類に分かれていますが、このうちブラック情報に関する記録が載っているのは「ファイルD」と「ファイルM」です。

たとえばファイルDを見ると、一番右側に「異参サ内容(異参サ発生日)」という列があり、ここにどんな異動があったかが表示されます。

JICC「信用情報記録開示書(ファイルD)の見方について」より引用

債務整理をした場合、「債務整理(任意整理)」「特定調停」「民事再生(個人再生)」「破産申立」というふうに表示され、その日付も載ります。

また、ファイルMでは「支払遅延の有無情報」と「注意情報」に注目します。

JICC「信用情報記録開示書(ファイルM)の見方について」より引用

上記には何も記載されていませんが、返済期日から61日以上または3ヵ月以上の延滞があると、「支払遅延の有無情報」のところに「元本遅延」「手数料遅延」などと表示されます。

さらに、「注意情報」の欄には「破産申立」「特定調停」「民事再生」などの法的手続きに関する情報が記載されます。

ですから、JICCの信用情報記録開示書にこれらの情報が表示されている限り、まだブラックリスト状態だということになります。

JICCに情報開示を求める方法

JICCに記録されている自分の信用情報を確認するためには、開示請求の手続きを行ないます。

スマホ開示

スマホのアプリを利用して開示請求を行なう方法ですが、開示結果は後日郵送で送られてきます。本人確認書類と、1,000円の手数料(クレジット払い・コンビニ払い・銀行振り込み可)が必要です。

郵送開示

JICCに郵送で開示請求を行なう方法です。信用情報開示申込書と、本人確認書類、1,000円の手数料(定額小為替証書またはクレジット払い)を送付します。

窓口開示

JICCの窓口に直接出向いて手続きする方法です。東京都千代田区と、大阪府大阪市北区の2か所のみで受け付けています。

500円の手数料と、本人確認書類を持参します。

全国銀行個人信用情報センター(KSC)の場合

※キャプチャ画像は公式サイトより引用

全国銀行個人信用情報センターは、一般社団法人全国銀行協会(全銀協)が運営する信用情報機関です。おもに銀行や信用金庫などの金融機関が多く加盟しています。

全国銀行個人信用情報センターに登録される情報

全国銀行個人信用情報センターが保有する情報には、以下のようなものがあります。

取引情報 ローンやクレジットカードなどの契約内容および返済状況の履歴
照会記録情報 加盟会員がセンターに照会をかけた際に登録される情報
不渡情報 手形交換所の第1回目不渡、取引停止処分
官報情報 官報に公告された情報(自己破産や民事再生の手続開始決定など)

上記のうち、債務整理に関係するのは「取引情報」と「官報情報」です。

全国銀行個人信用情報センターがブラック情報を保有する期間

全国銀行個人信用情報センターに記録されたブラック情報の保有期間は、以下の通りです。

取引情報 契約期間中および契約終了日(完済されていない場合は完済日)から5年を超えない期間
官報情報 当該決定日から10年を超えない期間

全国銀行個人信用情報センターがCICやJICCと異なるのは、官報情報を保有している点です。

個人再生や自己破産をすると、国が発行する「官報」という文書に氏名や住所などの情報が掲載されます。

一般の人が官報をチェックすることはまずありませんが、信用情報機関ではデータとして収集していることがあるのです。

現在、官報情報を収集しているのは全国銀行個人信用情報センターのみで、10年間保有しています。

ですから、全国銀行個人信用情報センターだけは個人再生や自己破産をした人の情報を10年間参照することが可能です。

一方、任意整理や特定調停を行なった際は官報には掲載されませんので、取引情報として5年間記録されることになります。

全国銀行個人信用情報センターのブラック情報はどのように記載されているのか?

全国銀行個人信用情報センターの開示報告書の中で債務整理の情報がわかるのは、「取引情報」と「官報情報」の欄です。

取引情報には、以下のような項目があります。

全国銀行個人信用情報センター「登録情報開示報告書の見方について」より引用

たとえば延滞があると、返済区分(あ )のところに「延滞」と表示されます。また自己破産した場合、完了区分( え)のところに「強制回収手続」と表示されます。

ちなみに任意整理をした場合、銀行などの金融機関は保証会社を付けて融資を行なうことが多いため、保証会社が代わりに債務を支払ったことを示す「代位弁済」が完了区分(え )のところに表示されることが一般的です。

取引情報は、いずれも5年間記録が残ります。

もう1つの「官報情報」は、以下のようになっています。

全国銀行個人信用情報センター「登録情報開示報告書の見方について」より引用

官報情報には、本人の氏名や住所のほか、破産手続きなのか民事再生手続きなのかの区別や、手続き開始の決定日、また官報に掲載された事件番号も表示されます。

これらの官報情報は10年間記録されますので、取引情報が消去された後も5年間は残ることになります。

全国銀行個人信用情報センターに情報開示を求める方法

全国銀行個人信用情報センターに記録されている自分の信用情報を確認するためには、郵送で開示請求の手続きを行ないます。インターネットや窓口での開示請求は、受け付けていません。

開示請求申込書と、ゆうちょ銀行が発行する1,000円分の定額小為替証書書、本人確認書類(2点以上)を同封して送付すると、後日開示報告書が郵送(本人限定受取郵便)で届きます。

所定の年数を過ぎたのに、まだブラック情報が消えていない場合は?

自分のブラック情報が消えたかどうかを確認するためには、上記でご紹介したように、各信用情報機関に開示請求を行ないます。

もしその結果、5年ないし10年が経過しているにもかかわらず事故情報が消えていない場合は、訂正の手続きをすることが可能です。

信用情報を訂正するのは信用情報機関ではなく、整理先の債権者ですので、債務整理の事実がわかる書類(和解書や免責決定通知書など)を用意した上で各社のコールセンターなどに相談してみましょう。

登録内容の誤りが判明すれば債権者が訂正や削除の手続きを行ない、それが信用情報機関のデータに反映されます。

もしくは、信用情報機関を通して調査を依頼することも可能です。

CIC

CICでは、「開示受付日から2ヵ月以内」に限り、連絡をすれば登録元の加盟会社に登録内容の調査を依頼してくれます。

JICC

JICCでも、「開示受付日から2ヵ月以内」に限り、登録元の加盟会社に調査を依頼してくれます。

JICCの調査依頼は、郵送または窓口(東京もしくは大阪の開示窓口)でのみ受け付けています。

全国銀行個人信用情報センター

全国銀行個人信用情報センターを通して調査を依頼する場合は、所定の「異議申立書」に開示報告書のコピーと本人確認書類(2点)を添えて郵送で送付します。

いずれの機関も、調査結果がわかりしだい連絡してくれます。

まとめ

債務整理による事故情報(ブラック情報)が残る期間について、3つの信用情報機関別に詳しくご紹介しました。

まとめますと以下の通りです。

  • 任意整理と特定調停は、どの信用情報機関でも5年間
  • 個人再生と自己破産は、CICとJICCでは5年間、全国銀行個人信用情報センターでは10年間

上記の年数を過ぎればブラック情報は消え、新たにローンを組んだりクレジットカードを作ったりできるようになります。

過去に債務整理をした方で所定の年数を過ぎている場合は、まず自分の信用情報がどうなっているかを確認するためにも、整理先の債権者が加盟する信用情報機関に開示請求を行なってみましょう。

債務整理の無料相談ができる場所と特徴

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

借金がかさんで返済が難しくなった時は、思いきって債務整理を考えてみるのも一つの方法です。

「債務整理=自己破産」と思っている方も多いのですが、実際は任意整理や個人再生などの借金を減らしてもらう方法もあります。

一人ひとりの状況によって最適な方法は違いますので、まずは専門家に相談するのが一番です。

ここでは、債務整理の相談を無料でできる場所と、それぞれの特徴についてくわしく説明していきます。

弁護士(法律事務所)の無料相談

債務整理の相談先といえば、まず法律のプロである弁護士を思い浮かべる方が多いと思います。

弁護士はただ相談に乗ってくれるだけではなく、必要に応じて債務整理の手続きを依頼することもできる点が大きなメリットです。

ただし、通常は弁護士に相談をすると「法律相談料」がかかります。法律相談料は、30分につき5,000円かかることが一般的です。

しかし、最近は無料相談に応じる弁護士も増えていますので、まずは近くの法律事務所のホームページを探して、無料相談を行なっているかどうかを確認してみましょう。

また、無料相談のシステムは法律事務所によって異なります。30分だけ無料のところもあれば1時間無料のところもありますし、初回のみ無料なのか何度でも無料なのかも違いますので、事前の確認が必要です。

債務整理に強い弁護士に相談することが大切!

無料相談ができる弁護士であれば、誰でもいいわけではありません。借金の相談をする際は、債務整理に強い弁護士を選ぶのがおすすめです。

同じ弁護士でも、専門に手がけている分野はそれぞれ異なります。特にどの分野を多く扱っているかは、法律事務所のホームページに書かれていることが多いため、必ずチェックしましょう。

また、相談に行く際は借金の事実がわかる書類(契約書や取引明細など)を持参したほうが話はスムーズに進みます。

相談時間は限られていることが普通ですので、特に聞きたいことがある場合は要点をメモしたものも一緒に持っていくことをおすすめします。

ちなみに、無料で相談に乗ってもらったからといって、必ずその弁護士に債務整理を依頼しなければいけないというわけではありません。

実際に依頼すると弁護士費用がかかりますから、その金額を聞いた上でいったん時間をもらい、よく検討してみましょう。

司法書士の無料相談

債務整理の相談ができる法律のプロは、弁護士だけではありません。実は司法書士も、借金の状況によっては債務整理の手続きを行なうことができるため、無料相談を受け付けていることがあります。

弁護士と司法書士の違いとは?

司法書士のおもな業務は、不動産や会社の登記手続き、および裁判所・法務局・検察庁に提出する書類作成の代行などです。

しかし、2003年に「司法書士法」が改正されたことで、それまで弁護士しかできなかった債務整理の一部を、司法書士も行なえるようになりました。

ただし、これができるのは法務大臣の認定を受けた「認定司法書士」のみです。また、弁護士と違って以下のような制限があります。

  • 一社からの借金および過払い金が140万円以下の場合に限る
  • 訴訟代理権は簡易裁判所のみに限る

弁護士との大きな違いが、対応できる借金の額です。

この場合の140万円とは借金の総額ではなく、一社ごとの借金になりますので、複数の会社から借りていてもそれぞれの負債が140万円以下であれば、司法書士に依頼することができます。

また、司法書士が訴訟の代理人を務めることができるのは簡易裁判所のみとなっているため、たとえば訴訟がもつれて債権者側が地方裁判所に控訴した場合には、改めて弁護士に依頼する必要が出てきます。

また、個人再生や自己破産などは地方裁判所に申し立てをして行なう手続きですので、司法書士が法定代理人になることはできません。ただし、裁判所に提出する申立書や再生計画案などの書類の作成は代行することができます。

このように、司法書士の業務の範囲は弁護士に比べると狭まりますが、弁護士に依頼するよりも費用が安く済むこともあるため、たとえば140万円以下の借金を任意整理したい場合は検討してみてもいいかもしれません。

司法書士事務所に債務整理の無料相談に行く際は、弁護士の場合と同じく債務整理に強い司法書士(認定司法書士)かどうかを確認することが大切です。事務所のホームページを参考にして判断しましょう。

さらに詳しく:債務整理における弁護士と司法書士の違い

弁護士会の無料相談

弁護士に借金の相談をしたい場合は、最寄りの弁護士会が行なう無料相談を利用するという方法もあります。

各都道府県には、地元の弁護士による弁護士会という団体があり、無料相談や出張相談などを行なっています。

借金の相談の場合、「最初の30分のみ無料」となっていることが多いため、スムーズに話が進むよう借金の状況がわかる書類を持参しましょう。

弁護士会の無料相談は当番制となっていますので、相談したい弁護士を選べない点がデメリットですが、もし担当の弁護士が債務整理に強く信頼できそうな場合は、そのまま依頼することも可能です。

法テラスの無料相談

法テラスとは、「日本司法支援センター」という法務省管轄の法人です。経済的な余裕がない人でも弁護士のサービスを受けられるよう、総合的な支援を行なっています。

その一つが、法テラスと提携する弁護士や司法書士に無料で相談できるサービスです(法律相談援助)。相談する相手を選ぶことはできませんが、同じ内容につき最高3回まで無料で相談ができます。

さらに法テラスでは、債務整理にかかる費用を立て替えてくれる「民事法律扶助」という業務も行なっています。

実際に債務整理をするとなると、弁護士や司法書士に支払う費用がかかりますが、ただでさえ借金の返済で大変な状況になっている人にはねん出が難しいものです。

そんな時、法テラスの援助を受ければ一括で立て替えてもらうことができ、その後は月々5,000円~10,000円の分割払いで返済していけます。

無料相談も費用の立て替えも経済的に困っている人のためのサービスですので、利用するためには収入や財産が一定額以下であるなど、所定の条件を満たす必要があります。

まずは自分が対象になるかどうかを、法テラスのホームページで確認してみましょう。

消費者生活センターの無料相談

借金の相談は、意外なところでも受け付けています。その一つが、全国にある消費者生活センターです。

消費者生活センターというと、商品やサービスに関する苦情を訴えるところというイメージがありますが、実は多重債務の相談窓口も設置しています。

消費生活アドバイザーや消費生活コンサルタントの資格をもった職員が無料で相談に応じてくれますので、債務整理するべきかどうかの判断に迷っているような場合は意見を求めてみるのも一つの方法です。

また、地域によっては定期的に「多重債務相談会」を実施している消費者生活センターもあります。こちらは、弁護士や司法書士などの専門家に直接相談ができるため、より詳しいアドバイスを受けられます。

まずは、最寄りの消費者生活センターに問い合わせてみましょう。「188」に電話すると、最寄りの消費者生活センターを案内してもらえます。

財務局の「多重債務者向け無料相談窓口」

財務局でも、借金問題を抱えた人のための無料相談を行なっています。

各都道府県の財務局に「多重債務者無料相談窓口」が設置されており、専門の相談員が対応してくれます。事前予約が必要ですので、まずはお住まいの地域の財務局に問い合わせてみましょう。

また、相談に行く際は借金の状況がわかるよう、契約書や請求書、取引明細などの書類を持っていきます。

まとめ

上記でご紹介した債務整理の相談先をまとめてみましょう。

相談先 無料になる相談時間・回数など 債務整理手続きの依頼
弁護士
(法律事務所)
事務所による 可能
司法書士
(司法書士事務所)
事務所による 一部可能
都道府県の弁護士会 通常は初回30分 可能
法テラス
(法律相談援助)
  • 1回の相談時間は30分程度が目安
  • 同じ内容の相談は最高3回まで
可能(法テラスに登録している弁護士や司法書士に限る)
消費者生活センター 完全無料 不可
(多重債務相談会を通しての依頼は可能)
財務局 完全無料 不可

上記のほかにも、国内には債務整理の相談ができる場所はいくつかあります。

たとえば、役所内に借金の相談窓口を設けている自治体もありますし、消費者金融などが加盟する「日本貸金業協会」という団体でも、多重債務についての相談を受け付けています。

特に市役所や区役所は利用しやすいと感じる方も多いと思いますので、「まずは身近なところで相談したい」という方は、お住いの地域の役所の法律相談を受けましょう。弁護士が相談に乗ってくれます。

ただし、自治体の法律相談は時間が限られていて、直接依頼する手続も面倒なので、依頼したい弁護士を探したい場合には、法テラスや普通の法律事務所の弁護士の無料相談を受ける方が早いです。

どこに相談するかはそれぞれの状況にもよりますが、すでに借金の返済が苦しくなっているような場合は、早く手を打つためにも弁護士や司法書士などに直接相談したほうが安心です。

※ 画像は日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センターより引用

相談・苦情の受付方法・お問合せ先

電話での受付 (受付時間:9:00~17:30) 土・日・祝日・12月29日より1月4日までを除く

ナビダイヤル 0570-051-051 または 03-5739-3861

ファックスでの受付

ファックス番号: 03-5739-3024

郵便での受付

〒108-0074 東京都港区高輪3-19-15 二葉高輪ビル2階

日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター

固定電話からは、全国どこからも市内通話料金(3分8.5円税別)でかかります。

PHS、IP電話は、各支部(こちら)または貸金業相談・紛争解決センター(03-5739-3861)までお掛けください。

お電話での申出内容を正しく把握するため、会話の内容を録音させていただく場合があります。

貸金業相談・紛争解決センター・各支部への来訪による受付

「多額の借金を抱え返済に困っている」「借金の整理方法がわからない」といった相談には、債務状況や返済能力などを把握した上で、必要な助言や情報提供、他の相談機関の紹介などを行います。

また、「借金は整理できたが家計管理が苦手で今後の生活が不安」「依存症(ギャンブルや買い物等)が克服できない」といったケースには、再発防止を目的とした生活再建支援カウンセリングなども行っています。

債務整理中でも融資可能な貸金業者の4つのリスク

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

任意整理や個人再生などの債務整理を行ない、今まさに返済中という状態の人が、新たにお金を借り入れるのは基本的に困難です。

一度債務整理をすると、事故情報として個人信用情報機関のデータベースに登録されますので、その情報が消えない限り原則として借金やローンは利用できなくなってしまいます。

しかし、実際には債務整理中でも融資を行なう貸金業者が少数ながらいるのも事実です。

とはいえ、その中には法律を無視した高金利でお金を貸す「闇金融」も混じっているため、慎重に判断する必要があります。

ここでは、債務整理中でも融資可能な貸金業者を利用する4つのリスクについてご紹介します。

債務整理中は、基本的に借金は一切できなくなる!

債務整理には、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4つの方法がありますが、このうちいずれを選択しても個人信用情報機関に情報が登録され、いわゆる「ブラックリスト状態」となります。

そうなると、原則として銀行や貸金業者からお金を借りることはできません。また、住宅ローンや自動車ローンなどの各種ローンも組めなくなりますし、クレジットカードも作れなくなります。

というのも、銀行や正規の貸金業者は必ず個人信用情報機関に加盟しており、新たに申し込みがあった際に必ず申込者の信用情報をチェックするからです。

消費者金融やクレジットカード会社は「CIC(株式会社シー・アイ・シー)」「JICC(日本信用情報機構)」のいずれか(または両方)、銀行や信用金庫などの金融機関はおもに「全国銀行個人信用情報センター」加盟しています(CICやJICCにも加盟しているところがあります)。

ちなみに、これら3つの個人信用情報機関は互いに情報を共有できるシステムを構築しているため、たとえば「消費者金融からの借金を整理したけれど、銀行ならOK」ということにはなりません。

このように、一回でも債務整理をすると新たに借金をすることは難しくなります。ただし、ブラックリスト状態も永遠に続くわけではなく、一定の年数が経てば情報は消去されます。

ブラック情報の保有期間はそれぞれの機関によっても異なりますが、任意整理と特定調停なら5年、個人再生と自己破産は10年が目安です。

この時期を過ぎれば、またお金を借りたりローンを組んだりできる可能性は十分にあります。自分の信用情報がどうなっているのかを知りたい方は、各機関に開示請求を行なってみましょう。

債務整理中に利用できる貸金業者はおもに2つ!

債務整理中、つまり減額してもらった債務をまだ完済していない場合は、ブラック情報が消えませんので、まっとうな金融機関や貸金業者からお金を借りることはできなくなります。

しかし、例外的に債務整理中の人にも融資を行なう貸金業者がいます。大きく分けると、以下の2つです。

1.闇金融

闇金融とは、違法な貸金業者のことです。正規の貸金業者とは、以下の点で違います。

無登録で営業をしている

貸金業を営むためには、国または都道府県知事の認可を受けて登録番号を取得する必要がありますが、闇金融は認可を受けていません。つまり、無免許の貸金業者ということになります。

ただし、闇金融も虚偽の登録番号を掲げている場合があります。金融庁のサイトにある「登録貸金業者情報検索サービス」で検索をすると、正規の業者かどうかを確認できますので、特に名前を聞いたことのない会社の場合は必ずチェックしましょう。

利息制限法を無視した高金利でお金を貸し付ける

闇金融最大の特徴が、法律に違反した高金利でお金を貸し付けることです。

お金を貸す際の金利は、「利息制限法」という法律によって以下のように上限が決められています。

  • 貸付額が10万円未満の場合は年利20.0%
  • 貸付額が10万円以上100万円未満の場合は年利18.0%
  • 貸付額が100万円以上の場合は年利15.0%

上記の金利を超えてお金を貸し付けた場合、刑事罰を科される可能性もあるため、まっとうな業者であれば必ず上限以下の金利を設定しています。

しかし、闇金融は非正規の貸金業者ですので、利息制限法を無視した高金利でお金を貸し付けているのです。

それだけではなく、万が一返済が滞った場合には法律で禁止されている方法による悪質な取り立ても平気で行ないます。たとえば深夜に電話や訪問をしたり、第三者に返済を要求したりするような行為です。

このような闇金融は個人信用情報機関にも加盟していないため、独自の基準で融資の判断をします。

貸したお金を回収できる可能性さえあれば、債務整理中の人も貸付の対象となり、実際に「ブラックOK!」と堂々とうたっていることもあります。

2.中小の消費者金融(街金)

債務整理中の人に融資を行なう貸金業者が、すべて闇金融というわけではありません。中には、きちんと登録番号を掲げている正規の貸金業者もいます。

その多くは、「街金」と呼ばれる中小の消費者金融です。誰もが名前を聞いたことのある大手の消費者金融と違って顧客獲得が難しいため、多少問題のある人にも比較的柔軟に融資を行なうことがあります。

特に債務整理中の人は、銀行や大手消費者金融からお金を借りることができませんので、中小の消費者金融にとっては貴重なお客さんになるのです。

実は、「ブラックリスト状態の人にお金を貸してはいけない」という法律があるわけではないため、貸金業者がOKと判断すれば融資を行なうことに問題はありません。もちろん、正規の貸金業者である以上、金利も利息制限法の範囲内に設定されています。

とはいえ、誰かれかまわず融資をしてしまうと貸し倒れのリスクが上がりますから、返済能力については一定の審査を行なうのが普通です。

債務整理中でも融資可能な貸金業者の4つのリスク

上でご説明した通り、債務整理中の人にも融資を行なう貸金業者には「闇金融」と「それ以外」があります。

「闇金融は明らかに問題だけれど、正規の業者なら金利も法律の範囲内だし、特に問題ないのでは?」と思われる方も多いかもしれません。

しかし、たとえ合法的な業者であったとしても、債務整理中に利用する際にはいくつかのリスクがあります。

リスク1.金利が高いことが多い

債務整理中の人でも融資OKな貸金業者の利息は、それ以外の業者に比べると高めに設定されている場合が多いです。

たとえば貸付額が10万円未満の場合、利息制限法では年利20.0%が上限となっていますが、大手消費者金融では18.0%程度を最高金利にしているところが多くみられます。銀行ならさらに低く、14.0%~15.0%が中心です。

しかし、債務整理中の人のように信用力の低い顧客を相手にする会社の場合、貸し倒れのリスクが高いぶん金利はどうしても高くなってしまいます。そのため、利息制限法の上限ギリギリの金利が設定されていることも少なくありません。

当然ではありますが、金利が高ければ高いほど返済の総額は多くなります。その結果、せっかく債務整理をしたにもかかわらず、支払いに追われて大変な思いをすることにもなりかねないのです。

リスク2.厳しい取り立てに遭う可能性がある

債務整理中の人にも融資を行なう貸金業者は、それ以外の業者に比べると取り立ても厳しいことが一般的です。

闇金融はもちろんですが、合法的な貸金業者であっても信用力の低い顧客に貸し付ける以上、ある程度厳しく取り立てをしないと利益を確保できなくなります。そのため、大手の業者に比べるとしつこく連絡が来たり、強い口調で督促されたりする可能性があります。

リスク3.債務整理の返済に支障をきたすおそれがある

どこから借り入れるか以前に、債務整理中に借金を作ること自体にもリスクがあります。

自己破産ではすべての借金の返済が免除されますが、任意整理や特定調停、個人再生では月々決められた額を3~5年の分割払いで支払っていきます。

そんな中で新たに借金を作ってしまうと、そちらの返済もしなくてはいけないため、生活や支払いが苦しくなってしまう可能性があります。

しかも、債務整理中の人にも融資OKの貸金業者の場合、上述したように高金利かつ取り立てが厳しい傾向がみられますので、返済の負担は重くなりがちです。厳しい取り立てを受けたくないために、債務整理の返済よりも新しく作った借金の返済を優先してしまうこともあります。

その結果、せっかく行なった債務整理が無駄になってしまう事態にもなりかねません。

ちなみに、債務整理中に作った借金の返済ができなくなった場合、再び債務整理を考える必要が出てきますが、債務整理中でも融資可能な貸金業者は交渉に応じたがらないこともあります。

たとえば任意整理と特定調停は、債権者との話し合いによって借金を減額してもらう方法ですが、中にはまったく応じてくれない業者もいるのです。

また、「自己破産なら前の債務がチャラになっているから、新しく借金をしても負担は少ないのでは?」と思われるかもしれませんが、この場合も別の問題が起こり得ます。

万が一、自己破産後に新たに作った借金が返済不能になった場合、再び自己破産ができない可能性が高いのです。

自己破産には「免責不許可事由」というものがいくつかあり、いずれかに該当すると免責を受けられなくなります。

中でも代表的な免責不許可事由が、「前回免責を受けてから7年以内に再び免責の申し立てをした場合」です。つまり、7年以内に2回以上の自己破産は原則として不可能となっています。

そこで、自己破産後に借入をして、再度自己破産をしようとしても、この免責不許可事由に該当して免責を受けることができないのです。

リスク4.闇金融の被害に遭う可能性がある

債務整理中の人に融資を行なう業者の中には、闇金融も混じっているため、見極めも必要になります。

中には、闇金融と正規の貸金業者の区別がつかず、闇金融からお金を借りてしまう人も少なくありません。その結果、法外な金利をとられる上に、返済が少しでも遅れると悪質な取り立てを受け、精神的に参ってしまうこともあります。

また、闇金融は利用者の家族や知人に返済を要求することも多いため、大切な人たちに多大な迷惑がかかる可能性もあるのです。

闇金融と正規の業者を区別するためには、登録番号の確認をすることが基本ですが、闇金融の中には虚偽の登録番号を掲げているところもあります。

登録番号をチェックしたら、金融庁のサイトにある「登録貸金業者情報検索サービス」で検索をかけ、実在する業者かどうかをしっかり確認するようにしましょう。

債務整理中にお金を借りたい場合は?

ここまでご説明したように、債務整理中に新たに貸金業者からお金を借り入れることにはさまざまなリスクがあります。

とはいえ、失業や病気などの致し方ない理由で経済状況が悪化し、生活が苦しくなることもあるでしょう。

そんな時は、ブラックOKの業者から借り入れるのではなく、ほかの方法を検討してみることをおすすめします。

ローンを組みたい場合は、家族の名義で申し込む

債務整理中に何らかのローンを利用したい場合は、家族の名義で申し込むという方法があります。

債務整理をしても、ブラックリスト状態になるのは債務整理をした本人だけで、その家族の信用情報に傷がつくことはありません。

たとえば、旦那さんが債務整理をしていても奥さんの名義で申し込めば、審査に通る可能性はあります(ただしその場合、奥さんにも一定の年収があることが条件となります)。

もしくは、安定した収入のある親にローンを申し込んでもらうのも一つの方法です。その場合、ローンの支払いは親がすることになりますが、その分の金額を親に送金すればいいということになります。

ただし、送金ができなくなると家族に迷惑がかかりますので、確実に支払える金額のローンに申し込むことが大切です。

クレジットカードを作りたい場合は、家族カードを利用する

債務整理中にクレジットカードを利用したい場合は、家族名義のクレジットカードの「家族カード」を使わせてもらうのがおすすめです。

債務整理をすると、その情報が消えない限りクレジットカードを作ることはできませんが、ローンと同じく家族名義なら作れる可能性があります。多くのクレジットカードでは家族カードを作れますので、それを使わせてもらうようにしましょう。

どうしても生活が厳しい場合は生活保護の検討を

債務整理中に収入が途絶えるなどして生活が苦しくなった場合、最後のセーフティーネットである生活保護の申請を考える必要があるかもしれません。

申請が通れば、家族の人数に応じた生活費を支給してもらえますので、新たに借金を作る必要はなくなります。

ただし、自己破産以外の債務整理をした人の場合、借金返済をしている事実が判明すると生活保護を受けられない可能性がある点に注意しましょう。

借金があるということは、それを返済するだけの経済的な余裕があると判断されるため、原則として自己破産をして債務をなくしてから生活保護の申請をする必要があります。

また、生活保護で支給される生活費を借金の返済に充てることは本来適切ではありませんので、その事実が判明した場合は途中で保護を打ち切られる可能性もあります。

そのあたりの相談も含めて、できれば弁護士に相談すると安心です。

まとめ

債務整理中でも融資可能な貸金業者と、そのリスクについてご紹介しました。

債務整理をした後でも生活が苦しくなる可能性は誰にでもありますが、その際「ブラックOK」をうたう貸金業者から安易にお金を借りてしまうと、後々返済に苦しむことになるかもしれません。

その結果、せっかく行なった債務整理の返済も行き詰まってしまう可能性があるのです。

また、闇金融と正規の貸金業者を正しく区別するのも難しいですし、再び借金生活に逆もどりするリスクもありますので、債務整理中に貸金業者からお金を借り入れることはおすすめできません。

債務整理中に生活が苦しくなった場合は、家族に協力してもらうか、最終的には生活保護の申請手続きをするなどの安全な方法を検討してみましょう。

債務整理をしたのに住宅ローン審査に通った3つの理由

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

過去に債務整理をした方の中には、「今後住宅ローンを利用できなくなるのでは」と不安に思っている方もいるかもしれません。

確かに、債務整理をするとその情報が信用情報機関に記録されるため、しばらくの間は新たな借り入れができなくなりますし、ローンも組めなくなってしまいます。

しかし、その状態がいつまでも続くわけではありません。一定の年数を過ぎればブラック情報は消去されますので、その後はまた借り入れやローンの利用が可能です。

ですから、過去に債務整理を行なった方でも住宅ローンを利用できる可能性は十分にあります。

ここでは、実際に債務整理をした方が住宅ローンの審査に通った3つの理由についてご紹介していきます。

債務整理をすると、最長5年~10年は住宅ローンを組めなくなる!

債務整理には、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4つの方法がありますが、いずれを行なった場合でも事故情報(ブラック情報)が信用情報機関に記録されてしまいます。

国内には「CIC(株式会社シー・アイ・シー)」「JICC(日本信用情報機構)」「全国銀行個人信用情報センター」の3つの信用情報機関があり、個人のクレジットやローンに関する情報を管理しています。

銀行などの金融機関や、正規の貸金業者は必ずいずれかの機関に加盟しており、新たに申し込みがあった際に照会をかけて「審査に通しても問題ないかどうか」を判断するのです。

その際に延滞や債務整理などの事故情報が見つかると、審査に通ることはまずありません。キャッシングやローンの利用、クレジットカードの発行などはもちろん、携帯電話の機種代の分割払いも利用できなくなります。

もちろん住宅ローンの審査も同じですので、債務整理をした後は一定期間、住宅ローンを利用することは不可能です。

審査に通った理由1:ブラック情報が消えた

とはいえ、ブラック情報も永遠に記録され続けるわけではありません。一定の年数が過ぎれば消去され、その後は住宅ローンを利用できるようになります。

実際にいつブラック情報が消えるのかについては、行なった債務整理の種類や、情報を管理する信用情報機関によって異なります。

任意整理と特定調停の場合

任意整理および特定調停を行なった場合は、どの信用情報機関であっても「完済後5年間」が情報の保有期間の目安となっています。

ですから、整理した借金を返済し終わってから5年が経過していれば、住宅ローンの審査に通る可能性があります。

個人再生と自己破産の場合

個人再生および自己破産をした場合のブラック期間は、信用情報機関によって異なります。

CICとJICCでは、任意整理や特定調停と同じく「完済後5年間」が目安です。

CICとJICCは、おもに消費者金融やクレジットカード会社、信販会社などが加盟しているため、これらの会社からの借金を整理した場合は原則5年でブラック情報が消えることになります。

ただし個人再生の場合、決められた返済を滞らせてしまうとブラック期間が延びる可能性がありますので、約束通りに支払っていくことが大切です。

一方、全国銀行個人信用情報センターでは「破産・民事再生手続開始決定などの当該決定日から10年を超えない期間」となっています。

全国銀行個人信用情報センターは、銀行や信用金庫などの金融機関が多く加盟する信用情報機関ですので、たとえば銀行のローンを支払えなくなって個人再生や自己破産した場合、原則10年間は記録が残り続けることになります。

ローンの申し込み前に、自分で個人情報を取り寄せてみる!

このように、債務整理後いつまでブラック情報が残るかは、行なった債務整理や信用情報機関によって違います。

また、実際にブラック情報が消去されても特に連絡があるわけではないため、債務整理をした人が住宅ローンを利用したい場合は、まず自分の信用情報を取り寄せてみることをおすすめします。

各信用情報機関では、以下のように信用情報の開示請求を受け付けています。

機関名 開示方法 料金
CIC インターネット開示(PC・スマホ) 1,000円
郵送開示
窓口開示 500円
JICC スマホ開示 1,000円
郵送開示
窓口開示(東京・大阪) 500円
全国銀行個人信用情報センター 郵送開示のみ 1,000円
(ゆうちょ銀行発行の定額小為替証書)

もし、債務整理の手続きから所定の年数が経っているにもかかわらず、ブラック情報が残っている場合は、訂正の手続きを行なうことが可能です。

通常は、債務整理の事実確認ができる書類(和解書や免責決定通知書など)を用意した上で、整理先の債権者を通して手続きをします。

ブラック解消後、すぐに住宅ローンの審査に通るとは限らない!?

一定の年数が過ぎてブラック状態を脱すれば、理論的にはローンを利用できるようになりますが、実際はすぐに住宅ローンの審査に通るとは限りません。

債務整理をした人は数年間、信用情報に反映されるような金銭の契約が一切できないため、その間の信用情報が何もない、いわゆる「スーパーホワイト」と呼ばれる状態になっています。

つまり、悪い情報が消えた代わりに良い情報もないということです。

特に住宅ローンのような高額融資の場合、ローンやクレジットカードなどを利用してきた実績が参照される可能性が高いため、スーパーホワイト状態の人は不利になることがあります。

また、最近は多くの人がクレジットカードの一枚ぐらい持っていますし、携帯電話の機種代の分割払いなども利用していますので、それらの情報が見当たらない時点で「ブラック明けしたばかりなのでは?」と疑われる可能性もあるのです。

そのため、ブラック情報が消えた後はすぐ住宅ローンに申し込むのではなく、まずは審査に通りやすいと評判のクレジットカードを作るなどして、良い実績(クレジットヒストリー)を積んだほうがいいかもしれません。

審査に通った理由2:金融機関が例外的にOKと判断した

債務整理をした後は、原則5年もしくは10年経たないと新たにローンを組むことはできませんが、実際にはそれよりも短い期間で審査に通ったという人もいます。インターネットで調べても、そのような経験のある人は少数ながらいるようです。

実は、「ブラック状態の人に融資を行なってはいけない」という法律的な決まりがあるわけではないため、貸す側がOKと判断すれば、ブラック情報が消える前に審査に通る可能性はあります。

もちろんまれなケースではありますが、たとえば以下のような場合に例外的にOKが出ることがあるようです。

  • 借入比率が低い
  • 安定・継続した収入がある
  • あと少しでブラック情報が消える

借入比率とは、住宅ローンで借り入れる額が物件の価格の何パーセントになるかを示したものです。たとえば頭金なしで家を購入する場合、借入比率は100%ということになります。

住宅ローンの審査では、自己資金が多いほど有利になりますので、ブラック状態であっても頭金を貯めていたり、もしくは親類から援助してもらえたりする場合は、柔軟に判断してもらえる可能性があると考えられます。

また、申込者本人に安定・継続した収入が見込めるかどうかも大きなポイントです。たとえば上場企業に勤めていて年収が高い人の場合、そうでない人よりも審査には通りやすくなります。

さらに、債務整理の手続きからある程度の年数が経っているかどうかも重要です。たとえば、任意整理の手続きからすでに4年が経過していて、あと1年でブラック情報が消えるような状態の場合、手続きしたばかりの人よりは審査に通る可能性が上がります。

とはいえ、債務整理中に住宅ローンの審査に通るのはあくまでレアケースです。債務整理をした人がマイホームを購入したい場合は、ブラック期間が過ぎてから申し込むようにしましょう。

審査に通った理由3:そもそもブラックリストに載らなかった

債務整理を行なった後で住宅ローンの審査に通るもう1つのケースとしては、「そもそも事故情報として扱われなかった場合」が考えられます。

たとえば、任意整理を弁護士に依頼したものの、実際に計算してみたら過払い金が発生していて借金がチャラになったようなケースです。

特に、昔からある借金は現在の金利で引き直し計算することで、利息を余分に支払いすぎていたことが判明する場合があります。その結果、今ある借金が0円になるばかりか、お金が返還されるケースもあるのです。

ただし、過払い金を差し引いても借金が残る場合は事故扱いとなります。

まとめ

債務整理をしたのに住宅ローンの審査に通った3つの理由についてご紹介しました。

債務整理をした方が住宅ローンを利用するためには、基本的にブラック状態を解消する必要があります。その年数は、任意整理と特定調停の場合は原則5年、個人再生と自己破産の場合は5年もしくは10年です。

自己資金を多く用意できる場合などは、ブラック情報が消える前に例外的に審査にパスできる可能性もないとは言い切れませんが、かなりのレアケースです。

やはり基本的には、ブラック情報が消えるのを待ってから申し込んだほうが審査に通る可能性は高くなります。

債務整理の手続きから5年ないし10年が経過したら、まずは自分の信用情報を取り寄せ、ブラック情報が消えているかどうかを確認してみましょう。

相続時に借金があることを知らなかった場合、後で相続放棄はできる?

執筆者

行政書士Yurako法務事務所

行政書士 森本 由紀

相続が発生しても、相続放棄をすれば、借金を相続することはありません。

では、親が亡くなった後しばらく経ってから、借金の支払いを請求する手紙が届いたような場合、相続放棄はできるのでしょうか?

ここでは、相続時に借金があることを知らなかった場合の相続放棄の可否について説明します。

相続放棄とは?

相続では原則的に借金も引き継ぐ

相続では、亡くなった人(被相続人)の親族のうち一定範囲の人(相続人)が、被相続人の持っていた財産を引き継ぐことになります。

この場合の「財産」には、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。

被相続人が借金を残していれば、相続人がその借金を相続し、借金の支払いをしなければならないこともあり得ます。

相続方法には3つある

相続人は、必ず被相続人の財産を相続しなければならないわけではなく、以下の相続方法の中から希望する相続方法を選ぶことができます。

相続の種類 方法
単純承認 プラスの財産もマイナスの財産もすべて承継する方法
限定承認 プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を承継する方法
相続放棄 プラスの財産もマイナスの財産もすべて放棄し、一切相続しない方法

相続方法を決めるための「熟慮期間」

上記の3つの相続方法のうち、限定承認または相続放棄をするには、相続開始を知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所で手続きする必要があります。この3ヶ月の期間を「熟慮期間」と呼ぶことがあります。

熟慮期間が経過した時点で何も手続きしていない場合や、相続人が相続財産の全部または一部を処分するなどの行為をした場合には、その相続人は単純承認したものとみなされます(法定単純承認)。

借金を相続したくないなら相続放棄という選択肢がある

相続放棄すれば最初から相続人ではなかったことになり、借金を相続することもありません。被相続人に借金があり、その借金の支払義務を引き継ぎたくない場合には、相続放棄を検討すべきでしょう。

相続放棄の手続きは、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出して行います。

なお、相続放棄の申述書には、相続関係がわかる戸籍謄本等の必要書類、収入印紙800円分、各家庭裁判所で指定されている郵便切手を添付する必要があります。

相続時に借金があることがわかっている場合には?

相続財産調査をして相続放棄を検討

被相続人に借金があることがわかった場合でも、すぐに相続放棄するのではなく、まずは相続財産の全容を明らかにする必要があります。

相続放棄は一度すれば撤回できません。もし後でプラスの財産があることがわかった場合には、それも相続できなくなってしまいます。

また、自分が相続放棄をすれば、次の順位の親族が相続人となって借金を引き継いでしまうことがあります。相続放棄するなら他の人への影響も考慮しておかなければなりません。

こうした検討を行い、やはり相続放棄をするということになったなら、3ヶ月の熟慮期間内に家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出すれば、相続放棄をすることができます。

なお、相続財産の処分行為など、法定単純承認に該当する行為をしていれば、3ヶ月の熟慮期間内であっても、相続放棄が認められなくなってしまいます。

相続放棄を検討している場合には、相続財産には手をつけないように気を付けておきましょう。

3ヶ月以内なら熟慮期間の延長申請も可能

相続が発生したけれど、3ヶ月以内に相続財産の調査が終わらず、相続放棄をすべきかどうかの判断ができないこともあると思います。

このような場合には、家庭裁判所に熟慮期間の延長を申し立てることが可能です。ただし、期間延長を希望する場合にも、当初の3ヶ月という期間内に手続きする必要があります。

実際にどれくらいの期間まで延長されるかは裁判所の判断になりますが、きちんと手続きを踏んで期間延長している場合には、3ヶ月を過ぎていても相続放棄が可能です。

3ヶ月経過後に借金の存在がわかった場合、相続放棄はできる?

借金の存在を知ってから3ヶ月以内なら認められる可能性あり

3ヶ月の熟慮期間中に相続放棄または限定承認の手続きをしなかった場合には、単純承認したことになり、それ以降相続放棄はできません。

しかし、3ヶ月を過ぎてから、被相続人の債権者から借金の請求の通知が届くこともあると思います。相続時に相続財産を調査していたとしても、借金の存在が全くわからないということは珍しくありません。

最高裁では、「相続財産が全くないと信じ、かつそのように信じたことに相当な理由があるときには、相続財産の全部又は一部の存在を認識したときから3ヶ月以内に申述すれば、相続放棄ができる」旨の判決が過去に出されています。

当初の3ヶ月の期間が過ぎていても、借金の存在を知った時点から3ヶ月経っていなければ、相続放棄ができる場合があるということです。

単に借金の存在を知らなかっただけでは認められない

相続時に借金があることを知らなかった場合、知ってから3ヶ月以内なら必ず相続放棄できるわけではありません。

たとえば、借金の支払い請求が届いていたにもかかわらず、自分とは関係ないものと思い込んで放置していたような場合には、相続放棄が認められない可能性があります。

また、借金の存在を知ってから3ヶ月以内でも、既に単純承認している場合には、相続放棄ができないのは通常のケースと同様です。

なお、遺産分割協議は法定単純承認となるので、遺産分割協議後の相続放棄は原則としてできません。

しかし、相続人が多額の借金の存在を知らず、もし知っていたならば遺産分割協議をせずに相続放棄をしたであろうと思われるケースでは、遺産分割協議が無効となり、相続放棄可能とした裁判例もあります。

まとめ

既に相続開始を知ったときから3ヶ月が経過しているけれど、相続放棄の手続きをしたい場合には、家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出するだけでは認められません。

相続放棄の申述書と一緒に、事情説明書を提出し、3ヶ月以内に相続放棄の手続きができなかった事情を説明する必要があります。

裁判官の理解が得られる形の事情説明書を自分で作成するのは難しいですから、弁護士等に依頼して手続きしてもらうのが安心です。

債務整理を2回することは可能?何回もできる?

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

借金の返済に行き詰まった時、合法的に解決できる方法が債務整理です。債務整理をしたことで借金が減ったり、もしくは全額免除されたりした人はたくさんいます。

しかし、中には「前に債務整理をしたけれど、また借金がかさんでしまった」という人や、「返済中に経済状況が悪化して、約束通りの返済が難しくなった」という人もいるかもしれません。

そのような時に再び同じ債務整理ができるかどうかは、前に行なった債務整理の種類や、新たに借金を作った理由などによって異なります。

ただし一般的には、2回目以降は難易度が高くなると考えたほうがいいでしょう。

ここでは、債務整理の種類別に「2回以上の手続きができるかどうか」について詳しく解説していきます。

任意整理は2回以上できる?

任意整理は、弁護士などの代理人が債権者と直接交渉することで借金を減らしてもらう方法です。

裁判所を通さない債務整理ですので、行なえる回数に法的な制限はありません。つまり、債権者さえ交渉に応じるなら2回でも3回でも行なうことができます。

とはいえ、実際は何度も交渉に応じる債権者は多くないため、2回目以降の任意整理は難しいのが現状です。

返済を延滞してしまうと、一括返済を求められることも

任意整理でカットしてもらえるのは、原則として「利息と遅延損害金」です。

昔からある借金の場合、現在の利率で引き直し計算することで過払い金(利息制限法の上限を超えて支払いすぎていた利息)がもどってくることもありますが、基本的には債権者との話し合いによって借金を減額してもらう方法です。

本来、お金を貸す側が受け取る権利のある利息や遅延損害金をカットしてもらうのですから、何度も交渉に応じてもらえる可能性はあまり高くありません。

そもそも無理のない返済計画を立てた上で任意整理をしているはずですので、基本的には一度整理をした借金は約束通りにきちんと支払っていくことが大切です。

また、任意整理をした際には「和解契約書」という書類を取り交わします。その中には、月々の返済額や返済期間、返済方法などのほか、万が一返済が滞った場合の対応に関する記載(懈怠約款)も盛り込まれていることがあります。

ですから約束通りに支払えなかった場合、和解契約書の内容に則って、残債の一括返済を求められる可能性もあるのです。

返済が遅れそうになったら、まずは早めに弁護士に相談を!

とはいえ、失業や病気などで収入が途絶え、予定通りに返済できなくなることも人生にはあります。そんな時には、実際に滞納してしまう前に任意整理を依頼した弁護士や司法書士に早めに相談しましょう。

任意整理の場合、返済が滞ったとしても強制的に財産を差し押さえられることは基本的にありません。きちんと事情を説明すれば、少しの間猶予を与えてもらえる可能性はあります。

ただし、その後も引き続き返済が難しそうであれば、任意整理以外の債務整理を考える必要も出てきます。たとえば、より減額効果の大きい個人再生や、すべての債務を免除してもらう自己破産などの方法です。

個人再生や自己破産は、裁判所に申し立てて許可を得る方法ですので、任意整理と違って債権者側の合意がなくても行なうことができます。

ただし、もう少し債務の額を減らすことで返済を続けていけそうな場合には、債権者も交渉に応じて再び任意整理できるケースもないとは言い切れません。

いずれにしても、早めに担当の弁護士や司法書士に相談することが先決です。

一度目とは別の業者が相手の場合は?

任意整理は個人再生や自己破産と異なり、交渉したい債権者を自由に選ぶことができます。

たとえば、前回A社の借金だけを任意整理して、B社の借金はそのまま返済を続けることにしたけれども、結局B社の返済も難しくなったような場合、今度はB社と任意整理の交渉することは可能です。

まだ一度も任意整理をしたことのない業者が相手の場合は、特に問題なく応じてもらえる可能性が高いため、弁護士や司法書士に相談してみましょう。

特定調停は2回以上できる?

特定調停は、簡易裁判所が債権者と債務者の話し合いを仲裁し、借金の額や返済方法などを見直す手続きのことです。

任意整理と同じく、交渉によって利息や遅延損害金をカットしてもらいますので、同じ相手と2度以上行なうことは難しいといえます。

特定調停後に延滞すると、強制執行を受ける可能性がある!

特定調停が任意整理と異なるのは、裁判所を通した債務整理であることです。

特定調停では、話がまとまった後に裁判所が「調停調書」というものを作成します。その中には、返済額や返済期間、返済方法のほか、万が一返済が滞った場合の対応についても記載があります。

多くの場合、「2回以上延滞すると一括返済を求められる」という内容になっています。ここで気を付けたいのが、調停調書には裁判での判決と同じ効力があるという点です。

任意整理はあくまで両者の合意にもとづいた方法ですので、延滞しても強制的に財産を差し押さえられることはありませんが、特定調停では調停調書の内容が守られなかった場合、債権者は強制執行することができます。

具体的には、債務者の預貯金や不動産、給与、生命保険などの財産を差し押さえて債権回収することができるのです。

返済が難しい場合は、必ず事前に連絡を!

このように、特定調停後の延滞には十分に気を付ける必要があります。万が一、返済が滞ってしまいそうな場合は、少なくとも誠意をもって債権者に事前連絡することが大切です。

債権者は、2回延滞があった時点で強制執行できる権利を持っていますが、事情によっては返済を待ってもらえる可能性もないわけではありません。

たとえば、これまでコンスタントに返済をしてきた人が、やむを得ない理由で一時的に返済が難しくなってしまったケースなどです。必ず猶予してもらえるという保証はありませんが、相談してみる価値はあるでしょう。

ただし、少し返済を待ってもらっただけでは問題が解決しない場合は、残った債務を今後どのように支払っていくかを考えるためにも、弁護士に相談することをおすすめします。

任意整理と同じく、特定調停も2度以上行なうことは難しいのが現状ですので、どうしても返済の継続が難しい場合は、個人再生や自己破産などの手続きを検討することになります。

いずれにしても、早めに対処しないと調停調書にもとづいて強制執行が行なわれる可能性があるため、返済が苦しくなってきた時点で早めに手を打つようにしたいものです。

ちなみに、特定調停も任意整理と同様、合意したい相手を選ぶことができますので、これまで交渉したことのない業者に対しては新たに調停を申し立てることができます。

個人再生は2回以上できる?

個人再生は、裁判所に申し立てを行なうことで、債務を最大80~90%にまで減らしてもらう方法です。

「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つがありますが、特に小規模個人再生のほうが多く行なわれています。(詳しくは:「小規模個人再生」「給与所得者等再生」の違い

個人再生は、任意整理や特定調停に比べて減額効果が大きい上、自己破産と違って持ち家を手放さずに済む可能性があることから、「借金の額は大きいけれども家は維持したい」というような場合に向いている方法です。

こうして減額してもらった借金を、原則3年(最長5年)の分割払いで支払っていくことになります。

弁済期間中に返済が難しくなった場合

個人再生の弁済期間中に返済が苦しくなった場合、小規模個人再生であれば再度申し立てを行なうことは可能です。

一方、給与所得者等再生の場合は、一度認可決定が下りてから7年間は申し立てができません(ただし、2回目の申し立てが小規模個人再生であれば可能)。

給与所得者等再生は、会社員や公務員などの確実に安定した収入のある人のみが行なえる手続きで、債権者の同意を得なくても認可を受けられる一方、無制限に申し立てができないようになっています。

基本的には、個人再生といえば小規模個人再生になりますので、多くの場合は再度申し立てを行なうことができます。

ちなみに、1度目の個人再生の弁済期間中に再度個人再生の申し立てをした場合、「原状に復する」といって、債務の額はいったん振り出しにもどることになります。

これまでに返済した金額は関係なく、あくまで最初に個人再生を申し立てた時点での借金の額で2度目の申し立てを行なうよう決められているのです(民事再生法190条6項)。

また、再申し立てを行なったとしても、必ず認可を受けられるとは限りません。小規模個人再生では、すべての債権者による書面決議が行なわれますので、もし過半数の反対があれば否決されてしまいます。

実際は、自己破産されるよりは個人再生をしてもらったほうが、少しでも多く回収できる可能性があるため、ほとんどの債権者は反対することはありません。

ただし、提出した再生計画案の内容によっては却下されてしまう可能性もあるため、債務整理に強い弁護士に依頼したほうが安心です。

2回目の個人再生を行なう前にできることとは?

このように、個人再生は弁済期間中であっても再度申し立てができますが、その前にまずは「再生計画の変更」の検討をすすめられることが一般的です。

個人再生では、返済途中であっても再生計画を変更することで、返済期間を最長5年まで延ばしてもらうことができます。

また、失業や病気などで返済が難しくなった場合は、「ハードシップ免責」を利用できる可能性があります。

ハードシップ免責とは、債務者が致し方ない理由によって返済が困難になった際に、いくつかの条件を満たす場合に限り裁判所の判断で残債の支払いを免除してもらう制度です(民事再生法235条)。

ハードシップ免責を利用するためには、以下の条件をすべて満たしている必要があります。

  • 再生計画で定められた弁済額の4分の3以上をすでに返済し終わっていること
  • 再生計画の変更をすることがきわめて困難であること
  • 免責の決定が再生債権者の一般の利益に反しないこと

個人再生で返済が苦しくなった場合は、まず再生計画の変更を検討し、それで解決できない場合はハードシップ免責を利用できるかどうかを検討し、いずれも難しい場合に初めて再申し立てを行なう、という流れになります。

すでに前回の個人再生で完済している場合

過去に個人再生をして計画通りに返済し終わった人が、数年後に再び借金がかさんで返済不能になってしまうケースもあります。

一度個人再生をすると、完済から最長5~10年は新たに借り入れができなくなりますが、その期間を過ぎた後にクレジットカードやローンなどで再び負債を増やしてしまう人もいるかもしれません。

このような場合も、個人再生を再度利用することは可能です。

上述したように、前回の個人再生が給与所得者等再生だった場合は、認可決定の確定日から7年間は給与所得者等再生の申し立てはできませんが、小規模個人再生であれば問題なくできます。

個人再生は自己破産と異なり、借金の理由を問われない点がメリットです。自己破産では、ギャンブルや浪費などで作った借金の場合は免責が認められないこともありますが、個人再生の場合は理由に関係なく何度でも申し立てることができます。

とはいえ、信用情報に傷がつく行為には違いありませんので、一度債務整理をした後はお金の使い方に気を付けることが大切です。

自己破産は2回以上できる?

債務整理の最後のとりでといわれるのが、自己破産です。

税金や健康保険料などの一部を除く、すべての債務を免除してもらう方法で、ほかの債務整理では返済しきれない借金がある場合に選択します。

自己破産をすると、個人再生と同じく最長5~10年は新たに借り入れできませんが、その期間を過ぎればまたローンを組めるようになります。

そうして再び返済不能な借金をこしらえてしまった場合、2度目の自己破産を考えなくてはいけない羽目になるかもしれません。

「免責不許可事由」に該当しなければ、複数回の自己破産は可能

自己破産は、法律的には2回以上行なうことが可能です。

ただし、前回に免責許可の決定を受けた日から7年以内の申し立ては「免責不許可事由」にあたりますので、基本的には前回の免責から7年以上たってから申し立てる必要があります。

また、ほかの免責不許可事由にも該当していないことが重要です。免責不許可事由には、たとえば以下のようなものがあります。

  • 報告すべき財産を行為に隠したり、不当に安く売却したりした場合
  • 破産手続を遅らせる目的で追加の融資を受けたり、他人の借金を背負ったりした場合
  • 特定の債権者だけに返済を行なった場合
  • ギャンブルや投資、浪費などで作った借金の場合

上記のほか、破産法ではいくつかの免責不許可事由が規定されており、そのうちいずれかに該当する場合は免責を受けられない可能性があります。(詳しくは:自己破産ができない11個の「免責不許可事由」

逆にいうと、法律的には「免責不許可事由がない限り、免責許可は必ず下りる」ことになっています。ですから、前回の自己破産の免責許可が下りた日から7年以上が経過しており、ほかの免責不許可事由にも一切該当していないのであれば、2度目であろうと3度目であろうと免責は受けられるのです。

2回目以降の自己破産では、詳しい調査が行なわれることも

ただし、2回目以降となるとやはり裁判所の態度は厳しくなります。

自己破産では、免責不許可事由に該当する場合でも「裁量免責」といって、裁判官の判断で免責許可が下りるケースも少なくありません。

たとえばギャンブルで作った借金であっても、1度目であればよほど悪質なケースでない限り、裁量免責を受けられることが一般的です。

しかし、2回目も前回と同じ理由で借金を作ってしまうと「反省がない」とみなされ、裁量免責を受けられない可能性が高くなります。

また、「免責不許可事由に該当していないかどうか」のチェックも1回目より2回目のほうが厳しくなり、お金の使い道や財産などについて詳しく調査されることもあるのです。

そのために、裁判官と面談して詳しい事情をヒアリングされる「免責審尋」が行なわれることもありますし、場合によっては「管財事件」として取り扱われることもあります。

管財事件になると、裁判所が「破産管財人」(多くは弁護士)を選任し、破産者が財産を隠し持っていないかどうかや、免責不許可事由に該当していないかどうかなどを詳しく調査します。

このように、自己破産は法律的には2回以上できるものの、1回目に比べるとハードルは高くなります。自己破産はあくまで最後のとりでですので、1回行なった後は生活態度やお金の使い方を見直し、2度目がないように気を付けることが大切です。

まとめ

2回目以降の債務整理についてまとめてみましょう。

  任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
2回以上の債務整理の可否 可能だが、債権者が交渉に応じない可能性が高い 再生計画案が認められれば可能 「免責不許可事由」に該当しなければ可能
注意点 延滞すると、「和解契約書」によって一括返済を求められる可能性がある 延滞すると、「調停調書」によって一括請求および強制執行を受ける可能性がある 2度目の個人再生を申し立てる前に、再生計画の変更を優先して検討する 2回目以降になると、免責不許可事由に該当しないかどうかの調査が厳しくなり、裁量免責を受けにくくなる

債務整理は、法律上は2回以上できるものが多いのですが、実際に可能かどうかは個々のケースにもよります。

特に任意整理や特定調停の場合、債権者に拒否される可能性が高いため、その場合は個人再生や自己破産などの別の方法を検討しなくてはいけません。

2回目の申し立てが比較的しやすいのは個人再生ですが、返済期間を延ばすなどして解決できる場合は、再生計画の変更が優先的に行なわれます。

自己破産は、免責不許可事由に該当しなければ何度でも可能ではあるものの、倫理的にいっても望ましいとはいえないため、厳しく判断されることが一般的です。

基本的に、1度でも債務整理を行なった時点で債権者には多大な迷惑がかかっていますから、いったん取り決めた約束を守ってしっかり返済していく必要があります。

しかし、中にはやむを得ない理由で返済が難しくなってしまうケースもあると思いますので、延滞する前に弁護士に相談してアドバイスを求めることをおすすめします。

債務整理にかかる費用の平均・相場感

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

債務整理は、合法的な借金の解決手段です。返済が難しい場合、早めに行なうことで経済的にはもちろん、精神的にも楽になります。

しかし、債務整理にはいくらかの費用が必要です。特に弁護士を通さないと難しい手続きの場合、弁護士費用がかかってきます。

「弁護士費用って高いんでしょ?とてもムリ!」と思われる方もいるかもしれませんが、あきらめるのは早計です。

確かに弁護士費用は決して安いものではありませんが、そもそも債務整理をしなくてはいけない状態の人は経済的な余裕がないことが普通ですので、いろいろな援助が用意されています。

たとえば、法律事務所によっては無料相談や費用の分割払いに対応していますし、弁護士費用を立て替えてくれる「法テラス」のような機関も利用可能です。

ここでは、債務整理の種類ごとにかかる費用の内訳や平均などについて詳しくご紹介したいと思います。

任意整理にかかる費用の平均・相場感

4種類ある債務整理の中でも、まず優先的に検討されることが多いのが任意整理です。裁判所を通さず債権者と直接交渉することで、借金の額を減らしてもらいます。

とはいえ、債務者が自分で交渉を行なうのは難しいため、弁護士に依頼することが一般的です。

任意整理にかかる「弁護士費用」

債務整理にかかる費用は、大きく分けて「弁護士費用」と「実費」の2つがあります。

弁護士費用とは、その名の通り弁護士に支払うお金のことで、任意整理の場合は以下のような種類があります。

任意整理にかかる弁護士費用と金額の目安

法律相談料 任意整理の相談をする際にかかる費用 30分の相談につき5,000円+消費税程度
着手金 任意整理を依頼した際にかかる費用 債権者1件につき20,000円~40,000円程度
減額報酬 借金を減額できた際にかかる報酬金 減額できた額の5~10%程度
基本報酬 借金を減額できた際にかかる報酬金
※着手金が無料の法律事務所に多い
債権者1件につき20,000円程度
過払い報酬 過払い金を回収した際にかかる費用 回収した過払い金の15~20%程度

上記のうち、どこの法律事務所に依頼しても必ずかかるのは「着手金」もしくは「基本報酬」です。法律事務所によっては、単に「手続き料」や「報酬」という名目になっていることもあります。

基本報酬は、実際に交渉を行なって減額できた後にかかる成功報酬のことで、着手金を無料にしている法律事務所に多くみられます。

金額は着手金とさほど変わりませんが、着手金無料の事務所の中には同時に「減額報酬」を徴収するところもあるため、場合によっては高くつくこともあります。

また「過払い報酬」は、過払い金を回収できた場合にはほぼ必ず発生する費用です。

一方、「法律相談料」は初回に限り無料にしている事務所も多いですし、「法テラス」という支援機関を利用することでも無料になります。

また、「減額報酬」も無料にしている法律事務所がたくさんあります。

債務整理の費用は法律事務所によって違いがありますので、なるべく良心的な料金を提示しているところを探してみましょう。

任意整理にかかる「実費」

任意整理を行なう際、もう一つかかってくるのが実費です。

実費は、手続きにかかる必要経費のことで、たとえば「債権者との通信費」や「郵便切手代」「合意書に貼る印紙代」などがあります。

しかし、任意整理の場合はかかっても数千円程度で収まりますので、多くの法律事務所では着手金に実費を含んでいることが一般的です。

任意整理にかかる費用の実際の例

実際に任意整理の費用はいくらぐらいになるのか、一部の法律事務所をピックアップしてご紹介します。

例:A法律事務所

手続き料
(実費込)
債権者が1社:32,400円
債権者が2社以上:1社につき21,600円
減額報酬 無料
過払い報酬 回収した過払い金の21.6%

例:B法律事務所

手続き料
(実費込)
債権者1社につき50,000円
減額報酬 無料
過払い報酬 回収した過払い金の20%

例:C法律事務所

報酬 債権者1社につき19,800円
※ただし債権者1社の場合は35,000円
減額報酬 無料
過払い報酬 回収した過払い金の15%
実費 債権者1社につき切手代250円

上記を見ますと、任意整理にかかる弁護士費用は債権者1社につき20,000~40,000円が相場ですが、高いところでは50,000円ほどかかる場合もあることがわかります。

また、訴訟を起こされているなどの特別な状況にある場合は、追加費用がかかることもあります。

支払いが難しい場合は、「法テラス」の利用を

法テラスとは、「日本司法支援センター」という法務省所管の法人で、多くの人が弁護士のサービスを受けられるように総合的な支援を行なっている機関です。

無料相談のほか、費用が支払えなくて弁護士に依頼できない人のために、弁護士費用の立て替え(民事法律扶助)も行なっています。

このサービスを利用すると、法テラスに着手金および実費を一括で立て替えてもらい、利用者は月々の分割払い(5,000円~10,000円程度)で返済していくことが可能です。

法テラスを利用して弁護士に依頼した場合の報酬額や実費は一律で決まっており、普通に依頼した場合に比べて安く済むこともあります。

法テラスを利用した時の任意整理の費用(報酬基準額)

債権者の数 着手金 実費 合計
1~5社 108,000円 25,000円 133,000円
6~10社 151,200円 25,000円 176,200円
11~20社 172,800円 30,000円 202,800円
21社以上 194,400円 35,000円 229,400円

法テラスの民事法律扶助を利用した場合、減額報酬は発生しません。ただし過払い金が回収できた場合は、回収額の15%を過払い報酬として支払います。

ただし、法テラスの民事法律扶助を利用するためには、収入や財産などの所定の条件を満たす必要がありますので、まずは該当するかどうかを確認することが必要です。

特定調停にかかる費用の平均・相場感

特定調停は、簡易裁判所で債権者と交渉することで、借金の返済額や返済方法などを見直す手続きのことです。

カットされる金額は任意整理とほぼ同じですが、裁判所を通すことと、任意整理と違って弁護士を立てずに債務者本人が手続きできる点が特徴です。

特定調停にかかる「弁護士費用」

特定調停は債務者自身でも行なえますが、書類の準備や裁判所への出廷などの手間がかかるため、希望すれば弁護士を代理人として立てることもできます。

その場合は、任意整理と同じような費用がかかります。

特定調停にかかる弁護士費用と金額の目安

法律相談料 特定調停の相談をする際にかかる費用 30分の相談につき5,000円+消費税程度
着手金 特定調停を依頼した際にかかる費用 債権者1件につき20,000円~40,000円程度
減額報酬 借金を減額できた際にかかる報酬金 減額できた額の5~10%程度
基本報酬 借金を減額できた際にかかる報酬金
※着手金が無料の法律事務所に多い
債権者1件につき20,000円程度

このうち、「法律相談料」や「減額報酬」は無料となっている法律事務所が多いため、必ず発生する費用は「着手金(もしくは基本報酬)」となります。

以下は、一部の法律事務所が公開する特定調停の費用です。

例:A法律事務所

着手金 債権者が8社までの場合:200,000円
債権者が9社以上の場合:1社増えるごとに20,000円追加
事務費用 20,000円

例:B法律事務所

着手金 債権者が5社までの場合:100,000円
債権者が6社以上の場合:1社増えるごとに20,000円追加
報酬金 債権者が5社までの場合:100,000円
債権者が6社以上の場合:1社増えるごとに20,000円追加
実費預り金 20,000円

特定調停の弁護士費用は、法律事務所によってかなり開きがあります。

債権者1社あたり20,000~40,000円で済む事務所もあれば、上記のように「○社までなら一律100,000~200,000円」というふうに設定している事務所もみられますので、個々のケースに合ったところを選ぶようにしましょう。

特定調停にかかる「実費」

特定調停を行なう際は、実費もかかります。これは弁護士を立てずに自分で手続きする際にも必ずかかってくる費用です。

特定調停にかかる実費と金額の目安

郵便切手代 1件の申し立てにつき数千円程度
申立書に貼る印紙代 債権者1件につき500円
裁判所までの交通費 実費(およそ3~4回×往復)

実費は弁護士費用に比べるとずっと安いため、経済的な負担を軽くしたいなら弁護士を立てずに自分で手続きしたほうがいいです。

特定調停が成立した際に作成される「調停調書」には、裁判での判決と同じ効力がありますので、万が一約束通りに返済できなかった場合に強制執行を受ける可能性がある点がデメリットです。

もし弁護士に依頼するならば、同じ程度の減額を受けられる任意整理を選んだほうがいいでしょう。

個人再生にかかる費用の平均・相場感

個人再生は、裁判所に申し立てをすることで借金の額を減らしてもらう手続きです。

任意整理や特定調停と比べて減額効果が大きい上、住宅ローンの残っている家も維持できる可能性があるため、「借金の額は大きいけれど、マイホームがあるから自己破産はしたくない」というような人に向いています。

個人再生にかかる「弁護士費用」

個人再生では、すべての債権者からの借金を整理しますので、それだけ手間や時間がかかります。また、裁判所に提出する書類の作成も素人には難しいため、弁護士を立てずに行なうことは困難です。

個人再生にかかる弁護士費用の相場は、以下の通りです。

個人再生にかかる弁護士費用と金額の目安

法律相談料 個人再生の相談をする際にかかる費用 30分の相談につき5,000円+消費税程度
着手金 個人再生を依頼した際にかかる費用 300,000円~500,000円程度

このうち「法律相談料」は、最近では初回無料としている法律事務所も多いですし、「法テラス」を利用することでも無料にできます。

個人再生の弁護士費用のメインとなるのは、「着手金」です。個人再生の手続きは、ほかの債務整理と比べても複雑なため、およそ30万~50万円はかかります。

特に、住宅ローンの残っているマイホームを維持したまま個人再生を行なう際(住宅資金特別条項を利用する場合)は、そうでない場合と比べて費用が高くなることが一般的です。

通常、個人再生ではすべての借金が整理の対象となるのですが、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度を利用することで、住宅ローンだけはそのまま支払っていくことができます。

ただしこの場合、手続きがやや増えるため、法律事務所によっては費用が上乗せされることがあるのです。

個人再生にかかる「実費」

個人再生を行なう際にも、実費がかかります。

個人再生にかかる実費と金額の目安

郵便切手代 数千円程度
申立書に貼る印紙代 10,000円
予納金(官報公告費用) 10,000円~20,000円程度
予納金(個人再生委員の報酬) 150,000~250,000円程度

個人再生の実費で特に大きいのが、裁判所に支払う「予納金」です。

予納金には2つありますが、必ず必要になるのは「官報公告費用」というもので、これは申し立てを行なう際に支払います。

個人再生をすると、国が発行する「官報」という文書に情報が掲載されるため、その費用を支払う必要があるのです。

もう1つの予納金は、「個人再生委員の報酬」です。個人再生の手続きをする際、場合によっては「個人再生委員」という人物が裁判所から選任されることがあります。

個人再生委員は、個人再生の手続きが公平に進むように指導・監督する職務で、弁護士が担当します。

個人再生委員を選任するかどうかは、それぞれのケースに応じて裁判所が判断しますので、必ず選任されるわけではありません。

ただし選任された場合は、個人再生委員への報酬として15万~25万円程度の予納金を支払います。弁護士が代理人になっている場合は15万円、債務者本人による申し立ての場合は25万円です。

個人再生にかかる費用の実際の例

実際に個人再生の費用はいくらぐらいになるのか、一部の法律事務所をピックアップしてみましょう。

例:A法律事務所

着手金(実費込) 住宅ローン条項なし:300,000円
住宅ローン条項あり:350,000円

例:B法律事務所

着手金 住宅ローン条項なし:280,000円
住宅ローン条項あり:380,000円
実費 およそ30,000円

例:C法律事務所

着手金 住宅ローン条項なし:250,000円
住宅ローン条項あり:300,000円
実費 およそ20,000円

個人再生の費用は、法律事務所によって大きな差はあまりみられません。

いずれの法律事務所でも、個人再生委員が選任された場合は別途15万~25万円の予納金を支払います。

支払いが難しい場合は、法テラスの利用を

個人再生は比較的費用のかかる手続きですので、支払いが難しい場合は法テラスの「民事法律扶助制度」を利用するのがおすすめです。

法テラスを通して弁護士に個人再生を依頼した場合の着手金や実費は、以下の通りです。

法テラスを利用した時の個人再生の弁護士費用(報酬基準額)

債権者の数 着手金 実費 合計
1~10社 162,000円 35,000円 197,000円
11~20社 183,600円 218,600円
21社以上 216,000円 251,000円

上記のほか、官報公告費用や個人再生委員への報酬などの予納金は、別途かかります。

自己破産にかかる費用の平均・相場感

4種類ある債務整理の中でも、もっとも経済的に楽になるのが自己破産です。

税金や健康保険料などを除くすべての借金の返済義務がなくなりますが、手続きのためにはやはり費用がかかります。

自己破産にかかる「弁護士費用」

自己破産は、裁判所を通して行なう複雑な手続きですので、債務者が自分で行なうことは困難です。そのため、多くは弁護士に依頼することになります。

自己破産にかかる弁護士費用と金額の目安

法律相談料 自己破産の相談をする際にかかる費用 30分の相談につき5,000円+消費税程度
着手金 自己破産を依頼した際にかかる費用 同時廃止:200,000~300,000円程度
管財事件:300,000~500,000円程度

上記のうち「法律相談料」は、初回のみ無料となっている法律事務所が多いですし、支援センターの「法テラス」を利用することでも無料になります。

自己破産の弁護士費用の中心は、実際に依頼した時にかかる「着手金」です。自己破産の着手金は、その手続きが「同時廃止」なのか「管財事件」なのかによって異なります。

簡単に説明しますと、同時廃止は財産がほとんどない人の破産手続き、管財事件は一定以上の財産がある人の破産手続きです。後者のほうが手続きは複雑になるため、弁護士費用も高くなるケースが多くみられます。(詳しくは:自己破産の「同時廃止」と「管財事件」の違い

自己破産にかかる「実費」

自己破産手続きには、以下のような実費もかかります。

自己破産にかかる実費と金額の目安

郵便切手代 数千円程度
申立書に貼る印紙代 1件につき1,500円
予納金(官報公告費用) 10,000円~20,000円程度
予納金(破産管財人の報酬) 200,000~500,000円程度

自己破産の実費の中でも、特に大きいのは「予納金」です。

自己破産をすると個人再生と同様、国の発行する「官報」に情報が掲載されるため、そのための公告費用を支払う必要があります。

さらに高額なのが、破産管財人への報酬としての予納金です。これは管財事件の場合のみ必要となります。

管財事件では、破産者の所有する財産を換金して債権者に配当する「破産管財人」(多くは弁護士)が裁判所によって選任されますので、その人に報酬を支払うことになります。

ただし、その額があまりに高すぎると自己破産できなくなってしまうため、各裁判所では費用負担を少なくするために「少額管財」という運用がなされています。

たとえば東京地裁および立川支部では、弁護士を代理人として立てている場合の少額管財事件の予納金を、原則20万円としています。

ただし、弁護士を立てていない場合や、手続きが複雑になるようなケースでは、50万円の予納金が必要になる場合もあります。

自己破産にかかる費用の実際の例

実際に自己破産の費用はいくらぐらいになるのか、一部の法律事務所をピックアップしてご紹介します。

例:A法律事務所

手続の種類 着手金 実費・予納金など
同時廃止 債権者が1~5社:175,000円 込み
債権者が6~10社:200,000円
債権者が11~15社:225,000円
債権者が16社以上:250,000円
管財事件 一律300,000円 220,000円程度の予納金

例:B法律事務所

手続の種類 着手金 実費・予納金など
同時廃止 一律180,000円 20,000円
管財事件 一律270,000円 23,000円の実費+200,000円の予納金

例:C法律事務所

手続の種類 着手金 弁護士報酬 実費・予納金など
同時廃止 125,000円 債権者が10社まで: 125,000円 30,000円
債権者が11~15社:150,000円
債権者が16社以上:200,000円
負債総額が3,000万円以上:200,000円
管財事件 150,000円 一律150,000円 30,000円+予納金200,000円~

このように、多くの法律事務所では同時廃止と管財事件とで金額に差がみられます。また、債権者の数によって料金が変わるところとそうでないところがありますので、事前に確認しておきましょう。

支払いが難しい場合は「法テラス」の利用を

自己破産の費用は決して安いものではありませんので、支払いが難しい方も多いと思います。そんな時は、ぜひ法テラスの「民事法律扶助制度」を利用しましょう。

自己破産の場合、法テラスを通して弁護士に依頼すると以下の料金となり、法テラスが一括で立て替えてくれます。

法テラスを利用した時の自己破産の弁護士費用(報酬基準額)

債権者の数 着手金 実費 合計
1~10社 129,600円 23,000円 152,000円
11~20社 151,200円 174,200円
21社以上 183,600円 206,600円

普通に法律事務所に依頼する場合と比べると、料金はかなりリーズナブルです。また法テラスの場合、同時廃止か管財事件かの区別によらず一律の料金となっています。

裁判所への予納金は別途必要ですが、生活保護の受給者のみ、予納金も立て替えてもらうことができます。

さらに、生活保護受給者は償還(返済)が完全に免除される点も大きな特徴です。自己破産した後に生活保護を受給した場合も、同じく返済が免除されます。

法テラスは、もともと資金がない人を支援するための機関ですので、特に生活保護受給者は大きく優遇されるのです。

それ以外の人が法テラスの扶助を利用するにあたっては、収入や財産などに関する条件を満たしている必要があります。

債務整理の費用まとめ

債務整理の種類別に、それぞれかかる費用の内訳や平均についてご紹介しました。

債務整理は、借金の返済で苦しんでいる人が行なうものですので、「お金がないから整理ができない」というのでは本末転倒になってしまいます。

最近では業界全体のサービスが向上しており、多くの法律事務所が無料相談を行なっていますし、弁護士費用の分割払いに対応するところも増えています。

また、法テラスのような支援機関もありますから、お金がない方でも債務整理を行なうことは十分に可能です。

心配な方は、まずは法律事務所の無料相談や、各地の弁護士会が開催する無料相談会、または法テラスの無料相談などを利用して相談してみることをおすすめします。

自己破産を頼む専門家は弁護士と司法書士のどっちがいい?

執筆者

西岡合同事務所

司法書士 西岡 容子

弁護士と司法書士、どちらも債務整理をできることは知っているけれど、何がどう違うのかわからないという人も多いのではないでしょうか。

それでは、債務整理を依頼する専門家としてどちらが望ましいのか、どのような違いがあるのかという点を確認してみましょう。

相談の段階ではまだ手続きの種類はわからない

「自己破産を依頼しよう!」と思って相談に行っても、必ずしもその債務者に自己破産が適切なのかどうかはわかりません。

債務整理の種類というのは、その債務者の抱えている負債総額や、債権者の質(大手なのか、街金などの中小貸金業者なのか、銀行なのか)、債務者の収入、家族の状況などにより選択すべきものがまったく異なります。

よって、最初の段階で決めつけることをせず、あくまで法律家に相談してアドバイスを受けた上で一緒に決めていくということになります。

では、どの手続きになるかに関わらず気をつけておきたいポイントをまずは見てみましょう。

弁護士は無制限、司法書士は金額の上限あり

弁護士は法律的な代理権については無制限に持っています。つまり、どんなに債権額が高くても、訴訟がどのような段階になったとしても最後まで債務者を代理することができるのです。

これに対し、司法書士は「140万円を超える債務については代理権がない」とされています。

実はこの「140万円を超えていない」ということの定義があいまいな部分があり、司法書士業界は独自の解釈で業務を受託してきましたが、2016年6月27日、最高裁判所は従来のあいまいさを払拭する判決を出しています。

ポイント①

「『140万円』というのはすべての債権者についての合計債務額なのか?それとも1社ずつの債務額を見て140万円を超えているという意味なのか?」

この点については、すべての債権者の合計で140万円を超えているという解釈だと、司法書士が代理できるケースはかなり減ることになりますが、最高裁は「1つ1つの債権者について140万円を超えているかどうかについて代理権があるかどうかを判断する」としています。

結局、それぞれの債権者とどのように争っていくかは個別の業者ごとの対応になるため、そうなのであればそれぞれに代理権の有無を見ていくことが適切だからです。

つまり、債権者Aが150万円なら司法書士では代理できないが、債権者Bが100万円なら代理できるという結論になります。ただ、実際に債権者Aは弁護士、債権者Bは司法書士に依頼するというやり方をする人はほとんどいないでしょう。

ポイント②

「『140万円』を超えるかどうかは最初に相談者(債務者)が申告してきた債務額で判断するのか、それとも利息引き直し計算後の金額で判断するのか?」

※利息引き直し計算というのは、従来、年利20%を超える金利で取引していた消費者金融などについて法定金利内で取引していたものと仮定して計算するという作業です。

すべての債務整理について利息引き直し計算は今日(こんにち)必須の手続きになっています。

この点については、あくまで債務額の判断は最初に債務者が申告してきた金額によるものとしています。

理由としては、利息引き直し計算を経てかなり債務額が減ることもあるため、最初の相談の段階で代理権を判断できないことは実務的に見ても支障があるからです。

このような点を踏まえて、依頼者側としても自分の案件に果たして司法書士の代理権があるのかどうかを正しく知っておきたいものです。

弁護士、司法書士で報酬はどのくらい違うのか

現在、弁護士も司法書士も報酬は完全に自由化されています。よって、各事務所に報酬規定というものがあり、「どのような項目の報酬がかかるのか」「それらはいくらなのか」という点においてまちまちなのです。

たとえば、全国展開する某大手弁護士法人では、自己破産の報酬を「291,600円(税込)」と定めていますが、一方で同様に大手の司法書士法人では「298,800円(税別)」と定めています。

一般的に弁護士報酬の方が高いと思われているものの、このように逆転している例もみられ、現在では両者の差異は縮まってきているといえます。

特に都市部では法律家は良くも悪くも債務整理を「ビジネス」と捉えている節があります。よって、弁護士か、司法書士かという職業による差異よりも、「事務所の規模」「従業員数」「債務整理を主体とする事務所なのか」といった点で費用の差が出ていると考える方がよいかも知れません。

地方になればなるほど、それぞれの会の「旧報酬規定(昔は一定の範囲内で決められた報酬があった)」に準じて決めているところがいまだ多いのではないでしょうか。

東京や大阪など大都市圏の事務所においては事務的な手続きを極めて効率化している代わりに報酬が安くなっているということもあります。

ただ、こういった事務所における「機械的で流れ作業のような手続き」による問題点も指摘されているため、安さだけに飛びつかず、個別に丁寧な対応をしてくれる事務所を厳選しなければなりません。

そのような意味で、最初の段階で「無料相談」の利用は必須と考えるべきでしょう。

自己破産になった場合の弁護士と司法書士の立場の違い

では、結局のところ「自己破産になった場合はどちらが良いのか」という点です。

自己破産については地方裁判所における事件となるため、弁護士であれば「代理人」という立場になり、司法書士は「書類作成者」という立場になります。

ただ、裁判所側の対応がそこまで違うのかというとそのようなことはなく、実務的には司法書士であっても代理人的な立場に扱われることが多くなります。

たとえば、提出した書類の不備や補正事項など、必要な連絡は司法書士に電話やFAXなどが入ってきます。

司法書士に頼んだからすべて債務者自身で対応しなければならないなどということはなく、その都度困った時に相談することもできますし、裁判所への上申書などが必要になった場合に作成してもらうこともできます。そのような意味では依頼者側はそれほどの不便は感じないかもしれません。

結局のところ法律家を選択する際は「弁護士か、司法書士か」で決めるというよりも

「その法律家との相性はどうか?」

「丁寧に対応してくれる事務所なのか?」

「見積を事前にある程度明確に示してくれるのか」

といったことを基準にして決める方が結果的に満足度の高い手続きができるといえます。