借金の解決策!債務整理とは

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

債務整理とは、借金を減額してもらったり、返済期間を長くしてもらったりするなどして借金を整理する手続きのことです。

具体的には、「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4つの方法があります。

いずれも法律で認められた手続きであり、普通の生活を営みながら行なうことが可能です。

また、債務整理を開始すれば債権者からの督促や取り立ても止まりますし、場合によっては過払い金(支払いすぎた利息)がもどってくることもあります。

ここでは、債務整理のメリット・デメリットや、4種類ある手続きのそれぞれの特徴など、債務整理の基礎知識をご紹介していきます。

債務整理は、合法的な借金の解決手段!

借金を作ったら、もちろん約束通りに返済していく必要がありますが、それが難しくなってしまうことも人生にはあります。

無計画に借金を繰り返した人ばかりではなく、中には病気や失業などで予定通りの返済ができなくなった人もいることでしょう。

そのような時、あちこちで借金を重ねて自転車操業状態になったり、どうにもならなくなって夜逃げを考えたりする人もいますが、それでは根本的な解決にはなりません。

また、「自分の責任なのだから何とかして自分で完済しよう」という心がけも立派ではあるものの、借金の額によっては現実的に難しいこともあります。

債務整理とは、まさにこのような時のために用意されている借金の解決方法です。いわゆる「裏技」的なものではなく、法律で認められた合法的な手段ですので、誰でも安心して行なうことができます。

債務整理には4つの種類があり、それぞれの借金の額や状況に応じて適切な方法を選べるため、ほとんどの借金は解決が可能です。

今のままでは返済が難しい人は、これ以上借金を増やす前にぜひ債務整理をすることを前向きに検討しましょう。

債務整理のメリットとデメリット

債務整理にはメリットとデメリットの両方がありますので、あらかじめ理解した上で行なうことが大切です。

メリット

債務整理を行なう最大のメリットは、借金の返済をこれまでより楽にしていけることです。

せっかく借金を整理したのにまた返済に行き詰ってしまっては意味がないため、自己破産以外の債務整理をするときには、減額してもらった金額を無理なく返済していけるような計画を立てます。

また自己破産の場合は、税金や健康保険料などを除くすべての債務が帳消しになるため、経済的にはもっとも楽になります。

そして、債権者からの督促や取り立てがストップするのも大きなメリットです。

特に早くストップするのは、弁護士や司法書士に債務整理を依頼した場合で、依頼を受けた弁護士や司法書士が各債権者に「受任通知」という書面を送付すると、それが届いた時点で債権者は債務者に直接の取り立てを行なうことができなくなります。

また、長く返済している借金がある場合は、本来支払う必要がなかった利息(過払い金)を返還してもらえる可能性も期待できます。

2007年くらいまでは、利息制限法の上限を超える金利(グレーゾーン金利)で利息をとる業者が多かったため、10年以上前からある借金の場合は現在の金利で引き直し計算することで、過払い金が見つかることがあるのです。

中には、過払い金によって借金の額がかなり減ったり、もしくは借金がなくなる上にお金がもどってきたりするケースもあります。

デメリット

債務整理には4つの種類がありますが、いずれを行なった場合でも信用情報に事故情報が記録されてしまいます。このことを、俗に「ブラックリスト入りする」といいます。

事故情報は5年~10年で消えるのですが、その間はローンやクレジットカードなどを利用できないため、大きな買い物がしにくくなってしまう点がデメリットです。

また、債務整理の種類や内容によっては財産の一部を手放す必要が出てきます。特に自己破産は、すべての借金がチャラになる代わりに財産の所有が厳しく制限されますので、住宅はもちろん、20万円以上の価値がある物品は原則没収され、換金されて各債権者への返済にあてられます。

上記のほかにも、債務整理の種類によっていくつかのデメリットがあります。一般的には、減額効果が大きい債務整理ほど制限が多くなりますので、自己破産がもっともデメリットが多いです。

とはいえ、普通の日常生活を送る分には問題ありませんし、借金の悩みから解放されるという大きなメリットがあるため、今のままでは返済が難しい場合は前向きに債務整理を検討したいところです。

債務整理の種類

債務整理には、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4種類があり、それぞれ減らしてもらえる金額や、手続きの方法などが異なります。

ここでは、各手続きの特徴を簡単にまとめてご紹介していきます。

任意整理

任意整理は、債務整理の中でももっとも優先して行なわれることの多い手続きです。

ほかの方法と大きく異なるのは、裁判所を介さず債権者と直接交渉して返済額や返済期間を見直すという点ですが、個人で交渉するのは難しい場合が多いため、たいていは弁護士や司法書士に依頼することになります。

依頼を受けた弁護士や司法書士は、まず過払い金がないかどうかを確認し、あれば返還請求の手続きをした上で、残った借金をどのように返済していくかを債権者と話し合います。

任意整理でカットしてもらえるのは原則として利息と遅延損害金ですので、元本だけを3~5年の分割払いで支払っていくことになる場合が多いです。

また、任意整理では交渉する債権者を選べるため、たとえば「住宅ローンや車のローンはこれまで通り支払って、ほかの借金だけを整理する」ということもできます。

ただし、過払い金が発生していないケースではそれほど大きな減額効果は見込めないため、借金の額が多い場合は任意整理では解決できない可能性があります。

また、交渉に応じるかどうかは債権者によりますので、拒否された場合は別の方法を検討しなくてはいけません。

特定調停

特定調停は、家庭裁判所の仲介のもとで債務者と債権者が話し合い、借金の返済額や返済方法について見直す手続きです。任意整理と同じく、交渉する債権者を選ぶことができます。

カットしてもらえる額や返済期間なども任意整理と同じですが、家庭裁判所が間に入って話し合うため、弁護士や司法書士を立てずに債務者が一人で行ないやすい点が特徴です。

その場合は弁護士費用がかからず、交通費・切手代・印紙代などの数千円程度の実費だけで済みます。

一方、必要書類の準備や裁判所への出廷などを自分一人でやらなければいけないため、手間や労力がかかる点がデメリットです。

また、調停が成立するためには債権者の了解が必要なので、債権者が納得しなければ、特定調停では借金問題を解決することができません。

特定調停はあくまで返済額や返済方法を見直すための手続きですので、過払い金が発生している場合は特定調停とは別に請求の手続きをする必要があります。

基本的には、借金の額がそれほど多くないケースで、なるべく費用をかけずに債務整理をしたい人向けの方法です。

個人再生(個人民事再生)

個人再生は、会社が行なう「民事再生」を個人向けにアレンジしたものです。

任意整理や特定調停のように債権者と交渉するのではなく、地方裁判所に申し立てをして認可を受ける方法ですが、手続きが複雑で難しいため、通常は弁護士に依頼して行ないます。

個人再生の特徴は、任意整理や特定調停よりも大幅な減額が見込めることです。借金の額によっても異なりますが、最大80~90%も減額してもらうことができ、それを原則3年(最長5年)の分割払いで返済していきます。

減額効果が大きい分、整理先を自由に選ぶことはできず、原則すべての借金を整理する必要があります。ただし住宅に関しては、「住宅ローン特則」という制度を利用することで特別に整理の対象から外すことが可能です。

また、自己破産に比べると財産の制限も厳しくないですし、職業や資格の制限などもありません。

以上のことから、「任意整理や特定調停では解決できない額の借金があるが、住宅は手放したくないので自己破産は避けたい人」に最適な方法だといえます。

自己破産

一般的によく知られている自己破産は、債務整理の中でも「最後のとりで」と呼ぶべき手続きです。手続きが複雑で難しいため、ほとんどの場合は弁護士に依頼して行ないます。

自己破産をするためには、地方裁判所に申し立てを行ない、「免責」(債務を免除してもらう許可)を受ける必要があります。

免責が下りると、税金・年金・健康保険料などの一部を除くすべての債務がなくなりますので、経済的・精神的には非常に楽になります。

一方、自己破産ならではのデメリットもいくつかあります。特に財産の所有に関しては厳しい制限があり、時価20万円以上の財産は原則没収されます。

さらに、免責が下りるまでの間、一部の職業や資格が制限されてしまうのも自己破産だけのデメリットです。たとえば弁護士や税理士、司法書士などの「士業」や、警備員、生命保険外交員などの職に一時的に就けなくなってしまいます。

このようにデメリットも多い自己破産は、ほかの債務整理では解決できないほどの借金がある人が行なうことが一般的です。

まとめ

借金の合法的な解決策である、債務整理についてご紹介しました。

ブラックリスト状態にはなってしまうものの、債務整理は法律で認められたまっとうな借金の解決方法です。完済のめどが立たない人は、これ以上負債を増やす前に、ぜひ債務整理を行なうことを考えてみてください。

また、それぞれの手続きにメリットとデメリットがありますので、借金の額や状況、手元に残したい財産などを総合的に考慮した上で、もっとも適切な方法を選ぶことが大切です。

自分にはどの方法が最適なのかわからない場合は、弁護士の無料相談などを利用してアドバイスをもらうことをおすすめします。

債務整理が及ぼす各種ローン審査への影響 いつから組めるようになる?

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

借金の悩みを合法的に解決できる債務整理ですが、行なうと信用情報機関に事故情報が記録されるため、いわゆる「ブラックリスト入り」してしまうデメリットがあります。

各種ローンでは、申し込み時に必ず信用情報の調査が行なわれますので、ブラック期間中に新たな契約を結ぶことはほぼ確実にできません。

とはいえ、信用情報機関はそれぞれ「情報の登録期間」を定めているため、所定の年数を過ぎれば事故情報は消えます。

債務整理を行なうといつからローンを組めるようになるのか、各信用情報機関のルールをもとに解説していきます。

債務整理をすると、基本的にどんなローンも組めなくなる

ローンを申し込むと、必ず「信用情報調査」が行なわれます。これは、銀行やローン会社がそれぞれ加盟する信用情報機関に照会をかけて、事故情報の有無や他社からの借り入れ状況などをチェックすることです。

日本には「CIC」「JICC(日本信用情報機構)」「KSC(全国銀行個人信用情報センター)」という3つの指定信用情報機関があり、ローン業務を行なう会社は必ずいずれかの機関に加盟しています。

また、3つの機関は「CRIN」という信用情報交流ネットワークで結ばれており、それぞれが保有する延滞情報などを共有しています。

以前はこのシステムがなかったため、「銀行ではブラックになったけれど、消費者金融ならOK」というようなケースも多かったのですが、最近ではそれも難しくなっています。

ですから、たとえ一社の借金だけを債務整理したとしても、その後はしばらくあらゆるローンを利用できなくなってしまう可能性が高いです。

銀行の住宅ローンやマイカーローン、教育ローンなどはもちろん、家電やエステの分割払いも信販会社のローンが多いため審査は必ず行なわれますし、最近はスマホの端末代の分割払いを利用しようとする時にも信用情報がチェックされます。

債務整理をすると、その情報が信用情報機関のデータベースから消えるまではどんなローンも組むのは基本的に難しい、と考えたほうがいいでしょう。

債務整理の情報はいつまで登録される?

債務整理を行なうと、実際にどれぐらいの間その情報が登録されるのか、信用情報機関ごとにご紹介します。

CIC

CICは、多くの信販会社やクレジットカード会社、貸金業者が加盟する信用情報機関です。

CICでは債務整理の種類を問わず、返済状況に関する情報はすべて「クレジット情報」として登録されます。登録期間は、「契約期間中および契約終了後5年以内」です。

5年の起算点が少しわかりにくいのですが、契約終了後のほうをとるなら、「完済した時点から5年」とみることができます。つまり、任意整理・特定調停・個人再生の場合は、減額してもらった借金をすべて支払い終えた時点から5年ということです。

一方、自己破産の場合は返済が不要ですので、免責が決定した時点から5年が目安となり、ほかの債務整理よりも早く情報が消える可能性があります。

JICC(日本信用情報機構)

JICCは、貸金業者系の信用情報機関です。CICと合わせて、どちらにも加盟する会社が多くみられます。

JICCでは、債務整理や破産申し立ての情報を「取引事実に関する情報」として登録しています。登録期間は、「当該事実の発生日から5年を超えない期間」です。

CICと異なり「発生日」が起算点となっていることから、JICCの場合、任意整理と特定調停では「和解が成立した時点」、個人再生と自己破産では「裁判所から手続き開始決定が出された時点」から5年のカウントが始まると考えられます。つまり、CICより早く事故情報が消えるということです。

ただし、上述したようにCICとJICCの両方に加盟する会社が多いため、結局はCICのほうの事故情報も消えない限り、ローンの審査に通らない可能性があります。

KSC(全国銀行個人信用情報センター)

全国銀行個人信用情報センターは、全国銀行協会(全銀協)が運営する信用情報機関で、おもに銀行や信用金庫、信用組合、協同組合などが加盟しています。また、銀行系のクレジットカード会社も加盟していることがあります。

KSCの債務整理に関する情報は、「取引情報」と「官報情報」の2つがある点が特徴です。取引情報は、契約内容や返済状況などで、「契約期間中および契約終了日(完済していない場合は完済日)から5年を超えない期間」保有されます。

任意整理や特定調停はこちらに該当するため、「完済した時点から5年」とみればいいでしょう。

一方、個人再生や自己破産についての情報は「官報情報」にあたります。官報とは、国が毎日発行する新聞のようなもので、個人再生や自己破産をした人の氏名や住所が掲載されます。

CICとJICCでは、官報情報を保有していませんが、KSCでは「破産手続開始決定等を受けた日から10年を超えない期間」保有されます。

つまり、個人再生なら「再生手続きの開始決定」、自己破産なら「破産手続きの開始決定」が地方裁判所からそれぞれ出された時点から10年間は、情報が記録されると考えられます。

以上を踏まえますと、任意整理や特定調停を行なった場合は最長でも「完済から5年」で情報は消えますが、KSCに加盟する金融機関のローンやクレジットカードなどで個人再生もしくは自己破産を行なった場合は、原則10年も記録が残るということになります。

つまり、債務整理をした後もっとも利用開始までに時間がかかってしまうのは、KSCの情報を参照する銀行や信用組合などが取り扱っているローンです。

ただし、実際にいつの時点で事故情報が消えるのかは各機関の判断によるため、「きっかり5年(10年)たてば必ず消える」とは限りません。

自分の信用情報は取り寄せることができますので、債務整理後にローンを申し込む場合は、まず信用情報機関に開示請求をして、事故情報が消えているかどうかを確認することをおすすめします。

事故情報が消えた後も、「社内ブラック」に要注意!

信用情報機関の事故情報のほかにもう一つ気を付けたいのが、いわゆる「社内ブラック」というものです。

銀行や貸金業者、クレジットカード会社などは、いずれも独自の顧客情報を保有していることが多く、過去に問題のあった顧客のリストを長く記録している可能性があります。

また、系列の会社間で情報を共有していることも多いため、たとえばA銀行のローンを債務整理した場合、その情報はA銀行グループの消費者金融やクレジットカード会社も参照できる可能性が高いのです。

社内ブラックは信用情報機関の事故情報と異なり、5年や10年で消えるというような一律の決まりはないため、半永久的に記録が残ってしまう可能性があります。

また、会社独自の顧客情報は非公開であり、自分が社内ブラックかどうかを確認する方法もありませんので、情報の削除を求めることも原則不可能です。

ただし、あまりに古い情報はそれほど重視されない可能性があるため、かなり時間が経てば再び審査に通れることはあるかもしれません。

こうした社内ブラックの影響を考慮しますと、債務整理後にローンを利用したい場合は、前に債務整理を行なった銀行や会社とは関係のないところで申し込んだほうが、審査に通る可能性は上がると考えられます。

ブラック期間中に、信用力を上げる努力をしよう!

社内ブラック以外にも、「事故情報が消えたのにローンの審査に通らない」ケースはたくさんあります。

ローンの審査には、信用情報調査のほかに属性調査というものもあり、申込者の年齢や職業、年収、家族構成、住宅ローンの有無などが総合的にチェックされます。

つまりブラックかどうかに関わらず、そもそもの属性に問題がある場合はローンに通りにくくなりますので、いずれまたローンを利用したいという希望があるならば、できるだけブラック期間中に信用力を上げる努力をするのがおすすめです。

たとえば、より高い年収を目指して転職や仕事のスキルアップに励んだり、自己資金(頭金)を貯めておいたりすると、後々ローンの審査に有利にはたらく可能性があります。

また、債務整理をした後はしばらくローンやクレジットカードを使えなくなるために、信用情報がまっさらになってしまうのも厄介なところです。このことを俗に「スーパーホワイト」といいます。

事故情報が消えたのはいいけれど、それ以外の情報もすべて消えていますので、審査する側としては信用できるかどうか不安になってしまいます。

できればブラック明けしてからすぐにローンに申し込むのではなく、まずは口コミなどを参考に、審査基準のあまり厳しくないクレジットカードを作って、少しでもいい実績を積んでおくのも一つの方法です。

まとめ

債務整理を行なうと、しばらくの間ローンの審査に通らなくなることはほぼ確実です。

しかし、ブラック情報も永遠に登録され続けるわけではありません。

上でご説明した「各信用情報機関の事故情報の保有期間」を参考の上、「そろそろ情報が消えているかな」という場合は、ぜひ信用情報の開示請求を行なって確かめてみてください。

また、ブラック期間中やブラック明け直後はなるべく信用力を上げる努力をして、良い属性とクレジットヒストリーを作ってからローンに申し込むことをおすすめします。

債務整理が配偶者に与える4つのデメリット

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

家庭のある人が債務整理を行なう場合、「配偶者に何か影響があるのでは?」という心配が出てくると思います。

結論からいいますと、債務整理で配偶者にもっとも大きな影響が出るのは、配偶者が借金の保証人になっている場合です。

ただし、保証人になっていない場合でも債務整理によって、債務者本人の財産を没収されるなどして、なんらかの迷惑がかかってしまう可能性はあります。

ここでは、債務整理が配偶者に与えるおもなデメリットを4つご紹介していきます。

保証人になっている場合、返済義務が生じる

債務整理は基本的に債務者本人の問題ですので、結婚しているからという理由だけで配偶者が連帯責任をとらされることはありません。

しかし、配偶者が借金の保証人になっている場合は話が別です。

債務整理の種類によって影響の度合いが異なりますので、くわしく解説していきます。

任意整理と特定調停の場合

債務整理の中でも保証人への影響が比較的少なく済む可能性があるのは、任意整理特定調停です。

これら2つは整理先を自由に選んで行なうことができるため、「保証人のいる借金は対象から外す」という選択ができます。

つまり保証人のいる借金は引き続きそのまま返済し、ほかの借金だけを減額してもらうということです。これなら保証人(配偶者)に迷惑をかけずに済みます。

もし保証人付きの借金を全額返済するのが難しそうであれば、主債務者と保証人が連名で任意整理や特定調停を行なうという方法があります。

そうすれば、利息や遅延損害金をカットしてもらえる分、返済額は少なくなりますし、主債務者が約束通りに支払っていけば保証人に返済の請求はいきません。

ただしこの方法では、配偶者の信用情報にも事故情報が記録されてしまい、いわゆる「ブラックリスト入り」する点がデメリットです。

個人再生と自己破産の場合

保証人への影響が大きくなるのは、個人再生もしくは自己破産をする場合です。

まず、個人再生と自己破産では「債権者平等の原則」というルールがはたらくため、任意整理や特定調停のように整理したい債権者を自由に選ぶことができません。つまり、保証人のいる借金も必ず債務整理の対象となります。

また、個人再生と自己破産で減額されるのは主債務者の借金だけです。

たとえば個人再生で借金を5分の1に減らしてもらった場合、残りの5分の4は保証人に支払い義務がありますし、借金が帳消しになる自己破産では、すべての負債を保証人が負うことになります。

しかも保証人は原則として分割払いができないため、一括で支払わなくてはいけません(債権者との交渉によっては、分割払いが認められるケースもあります)。

このように、個人再生と自己破産では主債務者の借金は楽になるものの、保証人の負担はかなり大きくなってしまいます。

返済が難しい場合は保証人も債務整理を行なう必要が出てきますので、配偶者が保証人になっている場合はよく相談した上でどうするかを決めることが大切です。

ローンやクレジットカードを利用できなくなる可能性がある

債務整理を行なうと信用情報機関に事故情報が記録され、その後5~10年間はローンやクレジットカードを利用できなくなります。

ただし、配偶者の信用情報にまで影響するわけではありませんので、配偶者自身に安定した収入がある場合は、配偶者名義で申し込めば審査に通る可能性は十分にあります。

しかし、そうでない場合はしばらくの間クレジットカードや各種ローンを利用できなくなってしまうため、大きな買い物が難しくなるかもしれません。

ほかには、携帯電話の端末代の分割払いを申し込む際にも信用情報調査が行なわれますので、配偶者の名義で申し込むか、もしくは一括払いする必要があります。

また子どもの奨学金を利用する場合も、債務整理をした人が保証人になると審査に通らない可能性があるため、配偶者やほかの親族を保証人にしたほうが確実です。

いずれも事故情報が消えるまでの問題ではありますが、それまでは家族にも何かと不便をかけることになるかもしれません。

車や家を手放さなくてはいけない可能性がある

債務整理の内容によっては、車や家などの財産を手放す必要があります。

もっとも代表的なのは、自己破産をした場合です。

自己破産では、税金や健康保険料などを除くすべての借金を免除してもらえる代わりに、20万円以上の価値がある財産は破産管財人によって没収されて換金され、債権者への返済にあてられます(現金は99万円までの所持が認められています)。

住宅はもちろんのこと、時価20万円以上の車や貴金属、美術品などは手放すことになりますし、解約返戻金が20万円を超える生命保険も解約しなくてはいけません。

また自己破産以外の債務整理でも、車や住宅のローンを整理の対象に含める場合は、債権者によって引き揚げられてしまいます。

ただし、任意整理と特定調停では整理したい借金を選ぶことができますので、車のローンや家のローンを外して手続きをすると、家や車を手放さずに済みます。

個人再生では「住宅ローン特則」という制度を利用することで、住宅ローンだけは例外的に整理の対象から外すことが可能です。

書類を用意してもらわなくてはいけないことがある

債務整理では、基本的に本人や弁護士が書類の準備や作成を行ないますが、場合によっては配偶者の協力が必要になることもあります。

任意整理と特定調停ではその可能性は低いのですが、個人再生や自己破産の場合は、家庭の収入や支出を細かく記した「家計収支表」が必要です。

また、生計が同一である家族の収入や資産についての書類も提出を求められることがあり、その場合は配偶者の給与明細や預金通帳なども必要になります。

このように、配偶者に家計の状況を確認したり、資料の提出を求めたりしないといけないので、配偶者に手間をかけることになります。

ちなみに、債務整理で財産とみなされるのは本人の預貯金ですので、配偶者の預貯金は原則として没収されることはありません。

特に結婚前からある貯金や、結婚後も配偶者自身が働いて得たお金は、配偶者個人の財産として扱われます。

ただし、そうでないお金は夫婦の共有財産とみなされることがあるため注意が必要です。

まとめ

債務整理が配偶者に与える4つのデメリットをご紹介しました。

中でももっとも影響が大きいのは、配偶者が保証人になっている場合に返済義務が生じることです。

もし返済が難しい場合は配偶者も債務整理をしなくてはいけませんので、夫婦一緒にブラックリスト入りしてしまう可能性もあります。

とはいえ、今のままでは返済できない借金を抱え続けるのは得策ではありません。負債はふくらんでいく一方ですし、返済が滞れば督促や取り立ての電話や手紙が自宅に来るようにもなります。

それなら、思いきって合法的な手段である債務整理を行ない、リスタートを切ったほうがよほど前向きな選択です。

いずれにしても、配偶者に影響がおよぶような債務整理を行なう際には事前にしっかり話し合うとともに、弁護士の無料相談などを利用して、影響を最小限に抑える方法についてアドバイスをもらうことをおすすめします。

債務整理後に住宅ローンは組める?審査に通らない?

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

債務整理を行なうと、いわゆる「ブラックリスト状態」になるため、しばらくの間はあらゆるローンやクレジットカードを利用できなくなります。

もちろん住宅ローンもローンの一種ですから、少なくともブラック期間中は、債務整理をした本人の名義で申し込んでも審査には通りません。

ただし、ブラック情報が消えれば利用できる可能性はありますし、もし配偶者に安定した収入があるなら、配偶者名義で申し込むという方法もあります。

ここでは、債務整理をした人が住宅ローンを組めるようになる時期や、審査に通る可能性を上げるコツについてもご紹介していきます。

ブラックリスト状態の間は、どんなローンも原則組めない

債務整理には、任意整理特定調停個人再生自己破産の4つの手続きがありますが、いずれの方法を行なった場合でも「信用情報機関に事故情報が記録される」というデメリットがあります。

日本には、「CIC」「JICC(日本信用情報機構)」「KSC(全国銀行個人信用情報センター)」の3つの指定信用情報機関があり、それぞれ個人の借り入れに関する情報を管理しています。

銀行や貸金業者、クレジットカード会社などは、必ず上記いずれかの機関に加盟しており、新規申し込みがあった時に照会をかけて、信用情報をチェックしますので、事故情報が見つかった場合はまず審査に通ることは不可能です。

もしブラック期間中にどうしても家を購入する必要がある場合は、配偶者や親などの名義で申し込むという方法しかありません。

債務整理で傷がつくのは本人の信用情報だけで、家族の信用情報には影響がありませんので、配偶者や親に安定した収入があるのであれば、住宅ローンの審査に通る可能性は十分にあるからです。

それが難しい場合は、ブラック情報が消えるのを待ってから申し込むのが基本です。

ブラック情報が消えるのはいつ?

信用情報機関の事故情報は永遠に残り続けるわけではなく、どの機関でも一定期間を過ぎれば消去されます。

どの債務整理を行なった場合でも、CICでは「完済から5年」、JICCでは「手続き後5年」が目安です。

一方、KSCでは任意整理と特定調停の情報は「完済後5年」、個人再生と自己破産の情報は「手続き開始決定を受けた時点から10年」が目安となっています。

KSCは、おもに銀行や信用金庫などが加盟する信用情報機関ですので、これらの金融機関のローンを個人再生もしくは自己破産した場合が、もっともブラック期間が長いということです。

また、自己破産以外の債務整理では決められた返済を行なっていく必要がありますが、途中で一度でも返済が滞ると、事故情報の登録期間が長引く可能性があります。

早めにブラック状態を脱するためにも、約束通りに返済していくことが大切です。

確認のために、自分の信用情報を取り寄せてみる

実際にいつどの時点で事故情報が消去されるかは、それぞれの機関の判断によりますので正確に予測することはできません。

また、消去されても本人に連絡がくるわけではないため、債務整理後に住宅ローンの利用を考えている方は、申し込む前にまず自分の信用情報を取り寄せてみることをおすすめします。

信用情報機関によって開示請求の方法は異なりますが、CICとJICCでは郵送・窓口のほかにスマホやPCからの手続きが可能です。手数料は、窓口に行く場合は500円、それ以外は1,000円かかります。

一方、KSCでは郵送開示のみを受け付けています。手数料は1,000円ですが、ゆうちょ銀行発行の定額小為替証書で送る点に注意が必要です。

取り寄せた開示報告書は知識がないと内容がわかりにくいため、各機関のサイトに載っている「見方」の情報を参考にしてみてください。

もし、明らかに所定の年数が経過しているにもかかわらず事故情報が消えていない場合は、訂正の手続きをすることが可能です。訂正してほしい場合、通常は債務整理をした債権者を通して行ないます。

ブラック明けしても、すぐに住宅ローンを組めないこともある

信用情報機関から事故情報が抹消されれば、ブラックリスト状態を脱したということですから、理論的には再びローンを組めるようになります。

しかし、実際はすぐに審査に通るとは限りません。特に住宅ローンのように借入額が大きいローンの場合は、慎重に審査が行なわれますので、ブラック明けしたばかりの人が審査に通るのは難しい可能性があります。

というのも、債務整理をした人はブラック期間中、ローンやクレジットカードを一切利用できないため、その間の信用情報がまったくない状態になっているからです。

つまり、事故情報は消えたけれども良い情報も載っていないという、俗にいう「スーパーホワイト」という状態になっています。

特に最近は、携帯電話の端末代を分割払いにするだけでも信用情報に反映されますから、スーパーホワイト状態の人は「よほどの現金主義か、もしくは債務整理をしたか」のどちらかの可能性を疑われるかもしれません。

以上を踏まえますと、ブラック情報が消えてすぐに住宅ローンに申し込むのではなく、まずは審査に通りやすいと評判のクレジットカードを作って実績を積んでからにする、というのも一つの方法です。

住宅ローンの審査に通る可能性を上げるコツ

ほかにも、債務整理をした人が住宅ローンの審査に通る可能性を上げるためのコツがいくつかありますので、ご紹介していきます。

十分な頭金を用意する

一般的に、住宅ローンは頭金を多く用意しているほど審査に通りやすくなります。

そのほうが借入金額も少なくなりますし、「ある程度の自己資金がある=十分な貯蓄や収入がある」とみなされますので、信用度も高くなります。

ちなみに、借入比率(融資比率)は80%未満が望ましいとされることが多いため、できれば物件購入代金の20%は頭金として用意したいところです。

一方、頭金なしで全額を借り入れる場合は「借入比率100%」となり、審査も厳しくなります。また、金利も高くなることがありますので、住宅を購入する予定があるなら、ブラック期間中になるべく頭金を貯めておきましょう。

安定した仕事と収入を確保する

借入額が大きく、返済期間も長い住宅ローンでは、申込者の職業と収入が非常に重視されます。

もっとも審査に通りやすいといわれるのは、公務員や上場企業の正社員です。次いで、非上場の大手企業や中小企業の正社員となります。

ローンの審査においては、自営者は安定性という観点からやや評価が低くなりがちですが、医師や弁護士など専門性の高い国家資格者の場合は例外です。

もちろん、実際の年収や勤続年数なども重視されます。住宅ローンでは、返済比率(税込み年収に対する住宅ローンの年間返済額の割合)が25%以下であることが望ましいとされていますので、収入が多ければ多いほど審査には有利になります。

債務整理後に住宅ローンを組むことを考えているなら、できるかぎり安定した仕事と収入を確保したほうがいいでしょう。

そのためにもブラック期間中を漫然と過ごすのではなく、必要に応じて年収を上げるために転職やスキルアップをするなどの努力をしておきたいところです。

債務整理をした銀行は選ばない

ある銀行のローンを債務整理した場合、たとえ信用情報機関から事故情報のデータが消えたとしても、同じ銀行の住宅ローンを組むのはやはり難しくなります。

多くの銀行や貸金業者では、会社独自の顧客情報を保有しているため、一度でもその会社および同じグループの会社で債務整理をしていると、その情報はずっと残り続けることがあるからです。このことを、俗に「社内ブラック」といいます。

ちなみに最近は、系列の消費者金融やクレジットカード会社をもつ銀行が増えていますので、住宅ローンを申し込むなら、債務整理を行なった会社とはまったくつながりのない銀行を選んだほうが安心です。

まとめ

以上をまとめますと、債務整理をした人が住宅ローンを利用するためには、以下のような手順を踏むことが望ましいといえます。

  1. ブラック期間中になるべく頭金を貯め、収入を増やす努力をする
  2. 所定の年数が過ぎたら、まずは信用情報機関に開示請求を行ない、自分の信用情報を確認してみる
  3. 事故情報が消えていれば、審査に通りやすいクレジットカードを作るなどして、一定の実績を積んでおく
  4. 債務整理をした銀行や会社とは関係のない金融機関で、住宅ローンを申し込む

もちろん、実際に審査に通るかどうかは本人の属性も大きいですし、結局は銀行側が判断することですが、債務整理で負った信用情報の傷をできるかぎり回復するためにも、審査に通りやすくするための努力はぜひ怠らないようにしたいところです。

債務整理後は生活を再建しながら、いずれマイホームを手に入れることを目標に、コツコツ頭金を貯めていきましょう。

債務整理をすると今持っているクレジットカードは使える?更新できる?

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

借金の悩みを合法的に解決できる債務整理ですが、行なうといわゆる「ブラックリスト状態」になるため、5~10年はクレジットカードの所有が難しくなります。

新たに作れなくなるのはもちろんのこと、現在すでに持っているクレジットカードも利用できなくなったり、更新できなかったりする可能性が高いです。

ただし、債務整理の種類によって利用を止められてしまうタイミングが異なることがありますので、今回は、そういった問題についてもくわしく解説していきます。

クレジットカード会社も信用情報機関に加盟している

債務整理には4つの方法(任意整理・特定調停・個人再生・自己破産)がありますが、いずれにも共通するデメリットが、信用情報機関に事故情報が記録される(ブラック入りする)ことです。

信用情報機関とは、個人の借入に関する情報を管理する機関のことで、日本では「CIC」「JICC(日本信用情報機構)」「KSC(全国銀行個人信用情報センター)」の3つがあります。

銀行やローン会社、消費者金融などはもちろん、クレジットカード会社も必ずいずれかの信用情報機関に加盟しており、新たにカードの申し込みがあった時に事故情報がないかどうかをチェックします。

そのため、ブラックリスト状態になるとローンやクレジットカードの審査に通ることはできなくなってしまうのです。

ちなみに、多くのクレジットカード会社はCICに加盟していますが、複数の機関に加盟する会社も少なくありません。

たとえば「JCB」や「三井住友VISA」は、CICとJICCの両方に加盟していますし、「三菱東京UFJ-VISA」のような銀行系のクレジットカードの場合は、発行会社が銀行ですのでKSCにも加盟しています。

また、CIC・JICC・KSCはお互いに情報を共有するシステムを構築しているため、どれか一つの機関に事故情報が記録されているだけで、すべてのローンやクレジットカードの審査に通らなくなることがあります。

このように、債務整理をすると新たにクレジットカードを作ることはできなくなるのですが、同時に今持っているクレジットカードも使えなくなってしまう可能性が高いです。

実際どのタイミングで利用を止められてしまうのか、債務整理の種類別に解説していきます。

個人再生もしくは自己破産の場合

4種類ある債務整理の中でも、すぐにクレジットカードを利用できなくなってしまうのが個人再生自己破産です。

借金の額を大幅に減らしてもらう個人再生と、すべての債務を帳消しにしてもらう自己破産は、ほかの債務整理に比べて減額効果が大きいだけに、整理先を自由に選ぶことができません。

つまり、有無を言わせずすべての借金を整理する必要があります。このように、すべての債権者を公平に扱わないといけないという原則のことを、債権者平等の原則といいます。

ですから、今持っているクレジットカードでショッピングやキャッシングをしている場合には、それも自動的に債務整理の対象に含まれるということです。

個人再生や自己破産の手続きを弁護士に依頼すると、弁護士はすみやかに「私が債務者の代理人になりましたよ」という内容の書面(受任通知)を各債権者に送ります。

これが届いた時点で、債務者への督促はぴたりとストップするのですが、同時にクレジットカードの利用も停止されますので、かなり早い段階でカードを使うことができなくなるのです。

任意整理もしくは特定調停の場合

任意整理特定調停は、債権者との交渉によって利息や遅延損害金をカットしてもらう手続きです。

個人再生と自己破産に比べると減額効果が小さい一方、「債権者平等の原則」がはたらかないため、整理したい債権者を自由に選ぶことができます。

たとえば「車に乗り続けたいから、車のローンは整理の対象にしない」「保証人のいる借金だけは整理先から外す」といったことが可能です。

「それなら、今持っているクレジットカードも債務整理の対象にしないことで、引き続き利用できるのではないか」と考える人も多いと思います。

実際、特定のクレジットカード会社を外して任意整理や特定調停を行なうことはできますし、その場合、手続き後もこれまで通りにクレジットカードを使える可能性は十分にあります。

しかし、しばらくの間は使い続けることができても、結局は利用を停止されてしまうケースが多いのが現状です。というのも、クレジットカード会社は最初の申し込み時だけではなく、カード発行後も信用情報をチェックすることがあるからです。

クレジットカード会社が契約中の利用者の信用情報をチェックすることを、「途上与信」といいます。

安心して取引を継続するためにも、クレジットカード会社はカード発行後も時々信用情報機関に照会をかけて、事故情報が記録されていないかどうか、他社から多額の借り入れをしていないかどうか、などを確認します。

つまり、クレジットカード会社を外して任意整理や特定調停をしても、その後の途上与信で事故情報が見つかれば、その時点で契約を解除されてしまう可能性があるということです。

途上与信が行なわれるタイミングはいつ?

途上与信が行なわれる時期や頻度は、クレジットカード会社によって異なります。

かなり頻繁に行なう会社もあれば、たまにしか行なわない会社もありますが、各社共通で必ず行なうのは以下のような場合です。

クレジットカードの更新時

クレジットカードには有効期限があり、その期限が切れる前に更新されて新しいカードが発行されます。

ほとんどは自動更新ですので特に申し込みは必要ありませんが、その時に必ず行なわれるのが途上与信です。

任意整理や特定調停後も問題なくクレジットカードを使えていたとしても、次の更新時に事故情報が見つかると、利用停止されてしまう可能性が高くなります。

増額申請をした時

クレジットカードの利用可能額を増やしたい場合、カード会社に増額申請をすることができますが、この時にも必ず信用情報がチェックされます。もし事故情報が見つかった場合、増額を断られるだけではなく、利用自体を停止されてしまうこともあります。

借入残高が10万円以上の場合など(法定途上与信)

途上与信の中でも、法律にもとづいて行なわれるものを「法定途上与信」といいます。

多重債務者が増加したことから、過剰な貸し付けを防ぐために、一定額以上の借入をしている利用者に対しては定期的に返済能力を調べることが、「貸金業法」の改正によって各社に義務付けられたのです。

法定途上与信が行なわれるケースと頻度は、以下のように決まっています。

要件 頻度
1ヶ月の借入合計額が5万円以上、かつ借入残高が10万円以上の場合 毎月
月の借入額にかかわらず、借入残高が10万円以上ある場合 3ヶ月ごと

上記は、決められた利用枠の範囲内で自由に借り入れができる「包括契約」という形態の場合に適用されます。

つまり、銀行の目的別ローンのように最初に決まった金額を借りる場合は対象となりませんが、カードローンや、クレジットカードのキャッシングは包括契約にあたりますので、法定途上与信の対象になります。

このように、クレジットカード会社は定期的・不定期的に信用情報をチェックしています。

クレジットカード会社を外して任意整理や特定調停をした場合でも、少なくとも次の更新時には途上与信が行なわれることは確実ですので、遅かれ早かれ事故情報が見つかってしまい、利用を止められる可能性が高いのです。

家族カードの場合はどうなる?

以上は、債務整理を行なった本人名義のクレジットカードについての話であり、家族カードの場合は事情が異なります。

たとえば配偶者名義のクレジットカードは、あくまで配偶者自身の信用情報をもとに発行されたものですから、家族が債務整理をしても基本的に影響はありません。

家族カードも請求先は本カードと同じですので、利用している家族が債務整理をしたからといって没収されることは通常ありません。

逆にいうと、債務整理をしてもクレジットカードを使いたい場合は、家族カードを使わせてもらえばいいということになります。

まとめ

以上をまとめますと、債務整理をした場合、今持っているクレジットカードへの影響は以下のようになります。

  • 個人再生と自己破産では、弁護士に依頼したらすぐに利用停止となる
  • 任意整理と特定調停では、クレジットカード会社を整理の対象から外すことで引き続き使える場合が多いものの、いずれ途上与信が行なわれれば事故情報が見つかり、遅かれ早かれ使えなくなる可能性が高い
  • 家族名義のクレジットカードの家族カードは、基本的に問題なく使える

つまり、どのような債務整理を行なうにしても、本人名義のクレジットカードを使い続けるのは難しいということになります。

しかし、ブラックリスト状態もいつまでも続くわけではありません。任意整理と特定調停の場合は5年、個人再生と自己破産の場合は5年~10年で事故情報は消えますので、その後はまたクレジットカードを作れる可能性は十分にあります。

それまでの間は、必要であれば家族カードを使わせてもらうなどして乗り切りましょう。また、ブラック期間を長引かせないためにも、債務整理をした後は決められた返済をしっかり行なっていくことが大切です。