債務整理をするとローン支払い中の車は没収?残す方法は?

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

ローンがまだ終わっていない車がある場合、債務整理をすることで没収されるのではないか、と不安になる方も多いと思います。

結論からいいますと、任意整理特定調停ではローン返済中の車を残せますが、個人再生自己破産では難しくなります。

個人再生と自己破産は減額効果が大きい分、特定の借金だけを整理の対象から外すことができないからです。

ただし一定の条件を満たせば、車を手放すに済む可能性はあります。その方法も含めて、債務整理におけるローン返済中の車の取り扱いについてご紹介していきます。

任意整理と特定調停では、車のローンを整理しなくてもOK!

債務整理の中でも、ローン返済中の車を手元に残せる可能性が高いのは、任意整理と特定調停です。

任意整理と特定調停は、個人再生や自己破産に比べると減額効果は大きくありませんが、その分「交渉したい債権者を自由に選べる」というメリットがあります。

そこで、車のローンを整理の対象から外してほかの借金だけを整理すれば、これまで通り車のローンを返済しながら車に乗り続けられるのです。

一方、車のローンも整理の対象に含めてしまうと、通常は債権者(信販会社やディーラーなど)によって車を引き揚げられてしまいます。これは、ローン返済中の車の多くに「所有権留保」が付いているためです。

所有権留保とは、ローン完済までの間、売主が商品の所有権を一時的に留保することをいいます。こうすることで、万が一ローンの支払いが途中で滞ったり、買主が債務整理をしたりした際に、売主は商品を引き揚げることができるのです。

しかし、銀行や信金などのマイカーローンでは所有権を留保しないことが多く、この場合は債務整理をしても車を引き揚げられずに済みます(ただし自己破産では、評価額が20万円を超えるものはすべて破産管財人によって没収されます)。

ローンが残っていて、かつ所有権留保の付いた車を手放したくない場合は、車のローンを対象から外して任意整理や特定調停を行ないましょう。

個人再生でローン返済中の車を残すための方法とは?

個人再生は、任意整理や特定調停に比べて減額効果が大きい手続きで、債務の額によっては最大で90%もカットしてもらえます。

一方で、個人再生では任意整理や特定調停のように整理したい債権者を自由に選ぶことができません(このことを「債権者平等の原則」といいます)。

もしそのような自由が認められてしまうと、整理の対象になった債権者だけが大きな不利益を被るからです。

つまり個人再生では、車のローンも強制的に整理の対象となり、所有権留保が付いている場合は債権者によって車を引き揚げられてしまいます。

ただし、個人再生でもローン返済中の車を手元に残す方法はいくつかあります。

ローンの残債を一括返済する

もしローンの残りがそれほど多くない場合、一括返済してローンを終わらせるのがもっとも手っ取り早く確実な方法です。ローンがなくなれば、所有権留保を解除して車の名義を自分に変更することもできます。

ただし個人再生には「債権者平等の原則」があるため、特定のローンだけを優先して返済する行為は「偏頗(へんぱ)弁済」にあたり、その分が再生計画案の弁済額に上乗せされる可能性があります。

こうしないと、ほかの債権者との公平を図れないためです。

しかし、親族などが代わりにローンの残債を支払うこと(第三者弁済)は、債権者平等の原則には反しません。そこで、親やその他の親族などに、お金を出してもらってローンを完済すると良いでしょう。

なお、個人再生には、所有する財産の価値以上の額を弁済しなければならないとする「清算価値保障の原則」もあるため、車の価値が高い場合は、個人再生後の弁済額が増える可能性があるので注意しましょう。

「別除権協定」を結ぶ

車のローンを債務整理すると、所有権留保の付いている車は原則として債権者に引き揚げられてしまいますが、これを防ぐ方法として「別除権協定」の締結があります。

別除権協定とは、担保権の設定されている物品を引き続き使用するために、裁判所の許可を得た上で、担保権を持つ債権者と特別に結ぶ合意です。

その代わり、対象となる物品の評価額に相当する金額を支払う必要があります。

所有権留保の付いた車の場合も、債権者と話し合いをして別除権協定を締結し、裁判所に許可をもらえれば、車の評価額相当の金額を支払っていくことで、車を引き揚げられずに済みます。

ただし、裁判所から別除権協定が認められるのは、原則として「事業のために車がどうしても必要」なケースに限られます。たとえば個人タクシーや、個人の宅配業者などが代表的です。

一方、事業ではなく私用だけで車を使っている場合は、基本的に認めてもらえません(交通事情の関係で通勤にどうしても車が必要な場合などは、特別に許可が下りることもあります)。

「担保権消滅許可」を申し立てる

担保権消滅許可は、別除権協定よりも強硬な手段です。車の評価額相当の金額を、裁判所に一括で納めることで、車の所有権留保(担保権)を裁判所の権限で消滅させます。

債権者が別除権協定に合意してくれない場合でも、車を引き揚げられずに済むメリットがありますが、車の価値によっては一括での納付が難しいため、知人や親族に援助してもらうケースが多いです。

また、担保権消滅許可も別除権協定と同じく、車が事業の継続などに必要不可欠である場合のみ認められます。

このように、個人再生でもローン返済中の車を手元に残すための方法はいくつかありますので、どうしても車が必要な場合は弁護士に相談してみてください。

自己破産では、ローン返済中の車を残すのは難しい

ローン返済中の車を手元に残すのがもっとも難しいのは、自己破産をする場合です。

自己破産は、個人再生と同じくすべての借金が対象となるため、車のローンだけを外すことはできません。ですから、所有権留保が付いている車は強制的に引き揚げられてしまいます。

さらに、個人再生よりも財産の所有は厳しく制限されますので、別除権協定のような特別措置も認められていません。

また、ローンの残っていない車であっても、自己破産では「評価額が20万円を超えるもの」は処分の対象となり、換金して債権者に配当されます。

つまり、自己破産で手元に残せる車は「ローンの残債がなく、評価額が20万円以下の車」に限られるということです。

ただし、年式がかなり古いなど、ほとんど価値がない車の場合は、ローンが残っていても例外的に引き揚げられないケースもあります。

まとめ

債務整理をした場合の、ローン返済中の車の取り扱いについてご紹介しました。

任意整理と特定調停では、そもそも車のローンを整理対象に含めないという手段がとれますが、個人再生と自己破産ではそれができません。

特に自己破産でローン返済中の車を手元に残すのは、不可能に近いと言っていいでしょう。

個人再生の場合はいくつかの方法がありますが、そのための条件を満たせるかどうか、また車を残すことで弁済額が増えないかどうか、などの問題もあるため、まずは弁護士に相談してアドバイスをもらうことをおすすめします。

主契約者に債務整理をされて保証人が借金を支払えない場合の3つの対処法

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

借金の主契約者が債務整理をした場合、保証人に残債の返済が請求されます。

基本的には、主契約者が免除された金額をすべて返済する必要があるため、特に個人再生と自己破産ではかなり大きな金額を請求される可能性が高いです。

厳密には、「保証人」と「連帯保証人」とで責任の範囲が異なるのですが、主契約者が債務整理を行なった場合は、どちらの立場であっても残債の返済義務が生じます。

しかし、もし保証人も支払えない場合はどうしたらいいのでしょうか?ここでは、そのような時のための3つの対処法をご紹介していきます。

債権者に分割払いをお願いする

主契約者が借金を債務整理すると、保証人には基本的に一括返済が求められます。

特に自己破産の場合、破産手続開始の決定を受けた時点で、本来の返済期限に関係なく債権者が保証人に対して一括返済を請求できます。

これは、民法第137条で「期限の利益の喪失」が規定されているからです。

期限の利益とは、決められた返済期限までは借金を返済しなくても済むという、債務者の利益のことですが、自己破産をするとその利益が失われるため、本来の返済期限にかかわらず債権者は一括請求ができます。

また、自己破産以外の債務整理をした場合でも、保証人に残債の一括返済が求められることがあります。

ローンの契約書には、「万が一返済が滞った場合、債権者は残債を一括請求できる」などの内容が盛り込まれていることがほとんどだからです。

このように、ローンの主契約者が債務整理をすると、保証人のもとにある日突然、多額の借金の一括請求通知が届くことがあるのですが、実際は分割払いの交渉に応じてもらえる可能性は十分にあります。

債権者としても、保証人にまで債務整理をされるよりは、分割でも残債の満額を回収できたほうがいいからです。

「一括返済は難しいけれど、分割でなら…」という場合は、まず債権者と交渉してみましょう。

保証人も債務整理を行なう

分割払いでも残債を返済していくのが難しい場合は、保証人自身も債務整理を行なう必要が出てきます。

債務整理には、任意整理特定調停個人再生自己破産の4つの方法がありますが、このうちどれを選ぶべきかは、残債の額や、保証人の収入・財産などによりますので、まずは弁護士に相談してみましょう。

少し減額されれば支払っていけそうな場合は、任意整理や特定調停を優先的に検討すると良いですが、それでも支払いが難しそうであれば、より減額効果の大きい個人再生や自己破産を検討しましょう。

特に保証人の背負わされる金額が大きくなりがちなのは、主契約者が個人再生もしくは自己破産を行なった場合です。

たとえば個人再生では、主契約者が1,000万円の債務を200万円に減額してもらった場合、保証人は残りの800万円を返済しなければいけません。

また自己破産では、裁判所から免責許可決定が下りると、主契約者は税金や健康保険料などを除くすべての債務を免除してもらえますが、免責の効力は主契約者にしか及びません。

保証人は主契約者が免除してもらったすべての債務を背負うことになります。

このように、個人再生と自己破産では保証人の負担が大きくなりやすいため、結果的に保証人自身も個人再生や自己破産をしなければいけない可能性が高くなります。

ただし、連帯保証人ではない、一般の「保証人」の場合、ほかにも保証人がいる場合は、人数分で割った金額のみを返済すればいいため、その額によっては返済できることもあるかもしれません。

一方、「連帯保証人」は人数にかかわらず、全員が全額を返済する義務を負いますので、より負担が重くなります。

いずれにしても、自分の背負った金額を返済していけそうにない場合は、早めに弁護士に相談してアドバイスをもらいましょう。

主契約者と保証人が一緒に債務整理を行なう

もし主契約者がまだ債務整理を検討している段階であれば、主契約者と保証人が一緒に手続きをするという方法もあります。

特に任意整理と特定調停の場合は、一緒に同じ手続きをすることで、保証人の負担を大幅に減らすことができます。

たとえば任意整理では、主契約者と保証人が連名で弁護士に依頼し、その後債権者との合意で決められた通りに主契約者が返済していけば、保証人には返済の義務が生じません。

同じく特定調停も、主債務者と保証人が連名で申し立てを行ない、調停調書の内容にしたがって主債務者が返済していけば、保証人が返済する必要はなくなります。

また、個人再生や自己破産でも、最初から主契約者と保証人が一緒に手続きしたほうがいい場合もあります。

特に夫婦の一方が主契約者で、もう一方が連帯保証人になっている場合、家計や財産の状況を示す書類などは同じものを使用できますので、別々に手続きするよりも同時に弁護士に依頼したほうが楽です。

また、弁護士費用が割安になることもありますし、自己破産で管財事件になった場合は、裁判所に納める「管財予納金」が安くなる(1件分になる)こともあります。

もちろん、どちらかが個人再生、どちらかが自己破産というように別々の債務整理をすることも可能です。

また、夫婦それぞれの名義で住宅ローンを組んで、1つの物件を購入する「ペアローン」を利用している場合、夫婦が一緒に個人再生をすれば、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することで家を手放さずに済む可能性があります。

ただし、夫婦のどちらかに住宅ローン以外の債務がまったくない場合は、債務のあるほうだけの申し立てで住宅ローン特則の利用が認められるケースもありますので、まずは弁護士に相談してみてください。

まとめ

主契約者が債務整理をした借金の残債を、保証人が支払えない場合の対処法についてご紹介しました。

すでに主契約者が債務整理を行なってしまったのなら、保証人にできるのは「分割払いができるように債権者と交渉する」か、もしくは「保証人自身も債務整理を行なう」かのどちらかしかありません。

しかし、主契約者がこれから債務整理をするという状態であれば、保証人も一緒に手続きすることもできます。

いずれにしても、保証人も債務整理をする以上は信用情報機関に事故情報が記録されますので、いわゆる「ブラックリスト状態」になることは避けられません。

一番いいのは、主契約者が借金の返済に行き詰まったら、なるべく早い段階で主契約者と保証人が一緒に弁護士に相談に行くことです。

たとえば任意整理や特定調停なら、保証人のいる借金を整理の対象から外すことで、保証人にはまったく影響を与えずに済ませることもできますので、一番いい方法で解決するためにも早めにプロのアドバイスを求めることをおすすめします。

債務整理の相談を弁護士にする5つのメリット

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

借金の悩みはなかなか他人に相談しにくいものです。しかし、今のままでは返済が難しい場合、ただ自転車操業を続けてもいずれ限界が来てしまいます。

かといって、夜逃げをするのも根本的な解決にはなりません。

借金問題を合法的に解決するためには、弁護士に相談するのが一番確実です。最近は、多くの法律事務所が無料相談を行なっています。

実際に話してみて信頼できそうな弁護士であれば、そのまま債務整理の手続きを依頼することももちろん可能です。

ここでは、弁護士に債務整理の相談(および依頼)をするメリットを、具体的に5つご紹介していきます。

自分に合った債務整理を提案してもらえる

債務整理には、「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4つの方法があります。いずれも法律で認められた借金の解決法ですが、このうちどれを選ぶべきかは、それぞれの人が抱える借金の額や、収入・財産などによって異なります。

弁護士に相談すれば、自分に合った方法についてアドバイスがもらえるはずです。そのためにも、相談に行く際は借金の状況がわかるものを持参しましょう。

契約書・明細書・カード一式などでもいいですが、もっとも望ましいのは債権者一覧表です。

債権者一覧表とは、債権者の名前・連絡先・債務の額などを一覧にしたもので、これさえあれば借金の状況が一目でわかります。

インターネット上にも多くのひな型がありますので、参考にしながら作成してみてください。

ちなみに、相談に乗ってもらったからといって必ずその弁護士に手続きを依頼しなければいけないわけではありません。

法律事務所によって費用も異なりますし、弁護士の人柄も大切なポイントですので、不安な点がある場合はあわてて契約せず、いったん持ち帰って検討することが大切です。

どのような債務整理でも依頼できる(司法書士との違い)

債務整理を扱える法律のプロとしては、弁護士のほかに司法書士もいます。

実際、最近は多くの司法書士事務所が債務整理の無料相談に応じていますが、いざ手続きを依頼するとなると、弁護士と大きく異なる点がいくつか出てきます。

まず、任意整理や特定調停の場合、司法書士は140万円までの借金しか取り扱うことができません。たとえば複数の借入先があって、そのうち1社の債務が140万円を超える場合、その1社だけは弁護士に依頼するなど別の手続きを考える必要があります。

また、過払い金についても、司法書士の場合は140万円までしか請求できません。

過払い金の正確な額は、各債権者から取引履歴を取り寄せた上で計算してみないとわからないため、「司法書士に依頼したけれど、実際に計算してみたら140万円を超える過払い金が見つかった」ということもあり得るのです。

その場合、債務者が自分で過払い金請求の手続きをするか、改めて弁護士に依頼し直さなくてはいけません。

さらに過払い金の返還について、債権者との交渉で決着がつかなかった場合は裁判(過払い金請求訴訟)を起こすことになるのですが、司法書士の裁判代理権は簡易裁判所だけに限られています。

そのため、もし地方裁判所への控訴が必要になった場合は、債務者が自分で手続きをしなければいけません。

同じく、地方裁判所に申し立てを行なう個人再生や自己破産でも、司法書士は代理人になれません。書類作成はできますが、申し立てや裁判官との面談などは債務者が自分で行なわなくてはいけないのです。

債務整理の中でも、特に個人再生と自己破産は手続きが複雑で難しいため、債務者にとっては大きな負担となります。

一方、弁護士には上記のような制限が一切ない点が大きなメリットです。借金の額にかかわらず任意整理や特定調停を依頼できますし、個人再生や自己破産でも代理人として全面的なサポートをしてもらえます。

以上を踏まえますと、140万円を超える借金がある場合や、個人再生または自己破産が適当と思われるケースでは、特に、最初から弁護士に相談したほうが安心です。

法の専門家ならではの高い交渉力が期待できる(任意整理)

債務整理の中でも、もっとも優先的に検討されることの多い方法が「任意整理」です。

任意整理は、裁判所を通さず債権者と直接話し合うことで、借金の額や返済方法について見直す手続きですが、それだけに高い交渉力が求められます。

うまく交渉できないと、将来利息のカットに応じてもらえないなど、債権者側に有利な条件で和解してしまうおそれがあるため、債務整理の実績が豊富な弁護士に依頼するのがおすすめです。

債権者からの督促がすぐに止まる

弁護士に債務整理を依頼すると、債権者からの督促がすぐにストップするため、精神的に楽になるというメリットもあります。

弁護士は依頼を受けると、代理人を引き受けたことを知らせる「受任通知」という書面をすみやかに各債権者に送るのですが、それを受け取った時点で債権者は債務者に対して直接の取り立てができなくなることが「貸金業法(第21条)」で決められているからです。

自分で手続きする手間がかからない

弁護士に債務整理を依頼すると、弁護士が代理人になってくれるため、基本的にすべての手続きを任せることができます。

債務者が自分で用意しなければいけない書類はいくつかありますが、弁護士に依頼すると、手間が大幅に軽減されます。

たとえば過払い金の有無の調査や、債権者との交渉(任意整理や特定調停の場合)、裁判所への申し立てや出廷(任意整理以外の場合)などをすべて弁護士が行なってくれるからです。

特に個人再生と自己破産の手続きは非常に複雑なため、自分で申し立てをするよりも弁護士に依頼したほうが圧倒的に楽に済みます。

まとめ

債務整理の相談(または依頼)を弁護士にするメリットを5つご紹介しました。

債務整理は、司法書士でも問題なく行なえるケースもありますが、弁護士のほうが取り扱える範囲が明らかに広いため、特に借金の額が大きい人は弁護士に相談したほうが確実です。

法律相談料の心配をする人も多いと思いますが、最近は無料相談に応じる法律事務所がたくさんあります。

事務所によって、「初回30分のみ無料」「何度でも無料」などさまざまですので、ホームページなどで確認の上、予約を入れてみましょう。もちろんその際は、債務整理の実績が豊富なところを選ぶことも大切です。

その後、実際に依頼することになった場合は弁護士費用がかかりますが、分割払いができる法律事務所が増えています。

それでも苦しいという場合は、「法テラス」で弁護士費用を立て替えてもらえる可能性もありますので(審査あり)、ぜひ相談してみてください。

債務整理をするとクレジットカードの審査は通る?何年か後にまた作れる?

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

債務整理をするとしばらくの間はブラックリスト状態となるため、クレジットカードの審査に通れなくなります。普段クレジットカードをよく使う人にとっては、大きなデメリットです。

とはいえ、ブラックリスト状態も永遠に続くわけではありませんので、数年経てばまた作れる可能性は十分にあります。

債務整理後、実際にどれくらい経てば再びクレジットカードを作れるようになるのか、くわしくご紹介していきます。

債務整理をすると、しばらくはクレジットカードの審査に通れない

債務整理には、任意整理特定調停個人再生自己破産の4つの方法がありますが、このうちどれを行なっても信用情報機関に事故情報が記録されます。

その情報が消えない限りは、残念ですが新たにクレジットカードを作ることはできません。

どのようなクレジットカードに申し込むにしても、必ずカード会社は信用情報機関に照会をかけて、申込者の信用情報をチェックするからです。

日本には、「CIC(株式会社シー・アイ・シー)」「JICC(日本信用情報機構)」「KSC(全国銀行個人信用情報センター)」という3つの個人信用情報機関がありますが、多くのクレジットカード会社はCICに加盟しています。

また、CICとJICCの両方に加盟する会社も多いですし、銀行系のカード会社はKSCにも加盟しています。

また、3社は互いに情報を共有していますので、どれか一つの機関に事故情報が登録されていると、すべてのクレジットカードやローンの審査に通らない可能性があります。

債務整理後、いつからクレジットカードを作れるようになる?

このように、いわゆる「ブラックリスト入り」してしまうのは債務整理の大きなデメリットですが、救いなのはその状態もずっとは続かないことです。

どのような債務整理を行なった場合でも、一定の年数が経てば事故情報は消去されます。

任意整理または特定調停を行なった場合

任意整理や特定調停の情報登録期間は、どの信用情報機関でも「5年」が目安です。

ただし、機関によって5年の起算点が異なります。各機関の公開する情報を参照すると、CICとKSCでは「完済した時点から5年」、JICCでは「和解が成立した時点から5年」と考えられます。

つまり、情報が一番早く消える可能性が高いのはJICCです。

しかし、実際はCICとJICCのどちらにも加盟するカード会社が多いため、JICCのブラック情報が消えても、CICのほうの情報も消えなければ審査に通らない可能性があります。

また、どの信用情報機関でも、途中で返済を滞らせた場合はブラック期間が長引く可能性がありますので注意が必要です。

個人再生または自己破産を行なった場合

個人再生や自己破産の情報登録期間は、信用情報機関によって異なります。

CICでは、任意整理や特定調停と同じく「完済後5年」ですので、個人再生の場合は減額された金額をすべて返済し終わった時点から5年となります。

ただし自己破産では返済が必要ないため、「免責が決定した時点から5年」と考えられます。

JICCでは、個人再生・自己破産ともに「裁判所から手続き開始決定が出された時点から5年」です。つまり個人再生の場合、CICよりも早めに情報が消える可能性があります。

そしてもっともブラック期間が長引くのが、KSCです。個人再生や自己破産をすると、指名や住所が「官報」という国の機関紙に掲載されるのですが、KSCではこの官報情報を「破産手続開始決定等を受けた日から10年を超えない期間」保有しています。

つまり、個人再生の場合は「再生手続きの開始決定が出された時点から10年」、自己破産の場合は「破産手続きの開始決定が出された時点から10年」は、情報が記録されると考えるべきでしょう。

以上のことから、債務整理を行なった人が再びクレジットカードを作れるようになるのは、手続きした時点から最短で5年、最長で10年ということになります。

特に銀行系のクレジットカードを作る場合はKSCの情報が参照されますので、個人再生や自己破産の情報が記録されていると、手続き後10年間は審査に通らない可能性があります。

なるべく早めにクレジットカードを作りたいなら、銀行系ではないクレジットカードに申し込んだほうが無難です。

クレジットカードに申し込む前に、信用情報の開示を!

各信用情報機関の公表する情報をもとに、ブラック期間の目安についてご説明しましたが、実際にいつ情報が消えるのかは各機関の判断によります。また、ブラック情報が消えたからといって本人に連絡が入ることもありません。

「そろそろクレジットカードに申し込みたいけれど、自分の信用情報がどうなっているのかわからない」という場合は、イチかバチかで申し込まず、まずは信用情報の開示請求をしてみましょう。

信用情報機関には、ただ申し込んだだけの情報も6ヶ月程度残るため、まだブラック情報が消えないうちに申し込んで審査落ちしてしまうと、後の審査に影響を与える可能性があるからです。

CIC・JICC・KSCともに、開示請求を行なえば自分の信用情報を取り寄せることができます。KSCでは郵送のみですが、CICとJICCではスマホやパソコンからの請求も可能です。

開示報告書を見て、ブラック情報が消えているようであれば、インターネットの口コミなどを参考に「審査に通りやすい」といわれるクレジットカードに申し込んでみることをおすすめします。

まとめ

債務整理をした人が、再びクレジットカードを作れる時期などについてご紹介しました。

債務整理後、ブラック情報が登録されている間は、どのクレジットカードに申し込んでも審査に通ることはできません。

ただし、ブラック情報も所定の年数が過ぎれば消えますので、ここでご紹介した年数を参考に、「そろそろ大丈夫かな」という時期を待ってから開示請求してみることをおすすめします。

もちろんクレジットカードの審査には、収入や職業なども大きく関係するため、ブラック期間中に信用力を上げる努力をすることも大切です。

ブラック期間中にどうしてもクレジットカードを使いたい場合は、家族名義のクレジットカードに紐づけされた家族カードを使わせてもらうという方法があります。

また、デビットカードやプリペイドカードなどは審査不要ですので、なるべく現金を使いたくない方は、ぜひ利用を検討してみてください。

債務整理の弁護士費用が高くなるケースと安くなるケース

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

債務整理を弁護士に依頼するにあたり、弁護士費用のことが気になる人は多いと思います。

債務整理にかかる弁護士費用としては、「法律相談料」「着手金」「成功報酬金」などがありますが、このうち法律相談料は案件によって大きく変わることはありません。

また、最近では無料で相談に応じる法律事務所も増えています。

それぞれのケースに応じて変わることが多いのは、「着手金」や「成功報酬金」です。これらの弁護士費用が高くなるケースと安くなるケースについて、一般的な例をご紹介していきます。

債務整理の弁護士費用が高くなるケース

整理する債権者の数が多い場合

債務整理を行なう人は、複数の借り入れ先があることも多いものですが、特に任意整理や特定調停の場合、整理する債権者の数が多いほど弁護士費用は高くなります。

たとえば任意整理では、債権者1件につき20,000~40,000円程度に料金を設定する法律事務所が多いため、整理先が増えれば増えるほど弁護士費用がアップするのです。

特定調停を依頼する場合も基本的には同じですが、特定調停は自分で行なう人が多いため、あえて費用をかけて弁護士に依頼する人は少ないと思われます。

一方、個人再生と自己破産は債権者と直接交渉する方法ではないため、債権者の数にかかわらず一律の料金にしている事務所がほとんどです。

ただし10社以上など、かなり数が多い場合は費用がプラスされることもあります。

回収できた過払い金が多かった場合

多くの法律事務所では、過払い金を回収できた場合に「過払い報酬」が発生します。事務所にもよりますが、回収できた過払い金の15~20%程度が相場です。

そこで、回収できた過払い金が多ければ多いほど報酬金も高くなります。

「住宅ローン条項あり」の個人再生をする場合

個人再生では、「債権者平等の原則」というルールがあるため、整理したい債権者を選ぶことは基本的にできません。つまり、今あるすべての借金を個人再生で整理する必要があります。

ただし住宅ローン返済中の持ち家に関しては、「住宅資金特別条項(住宅ローン条項)」を利用することで、特別に個人再生の対象から外してもらえます。

ただしその分、弁護士の手続きが増えるため、費用が少し高くなることが一般的です。

住宅ローン条項なしの個人再生の着手金は、30~50万円程度が相場ですが、住宅ローン条項を利用すると5~10万ほどアップする法律事務所が多くみられます。

ちなみに個人再生では、裁判所の判断で「個人再生委員」が選任されることがあります。この場合、弁護士費用ではありませんが、個人再生委員への報酬として裁判所に対して15万円程度の予納金の支払いが必要です。

「給与所得者等再生」を行なう場合

個人再生といえば、一般的には「小規模個人再生」を指しますが、会社員などの安定した給与を得ている人の場合、「給与所得者等再生」という手続きも利用できます。

一般的には、小規模個人再生のほうが返済額を少なく抑えられますので、サラリーマンであっても小規模個人再生を行なうケースが多いです。

ただし、給与所得者等再生では小規模個人再生と異なり、「債権者の意向に左右されることなく手続きを進められる」というメリットがあるため、債権者の異議によって再生計画が認可されないおそれが大きい場合などに選択されることがあります。

費用は、小規模個人再生と給与所得者等再生を同一料金にしている法律事務所も多いですが、給与所得者等再生のほうが手続きに手間がかかるため、事務所によっては着手金を若干高く設定していることもあります。

参考:「小規模個人再生」「給与所得者等再生」の違い

「管財事件」の自己破産をする場合

債務整理の最後のとりでである自己破産には、「同時廃止」と「管財事件」の2つの手続きがあります。

簡単に説明しますと、同時廃止は財産がほとんどない人の破産手続きで、管財事件は一定以上の財産がある人の破産手続きです。

管財事件のほうが複雑な手続きが必要になるため、多くの法律事務所では弁護士費用を高く設定しています。

同時廃止の着手金は20~30万円程度、管財事件の場合は30~50万円程度が相場です。

さらに管財事件の場合、「破産管財人」が裁判所から選出されるため、その人への報酬として管財予納金も支払う必要があります(最低20万円)。

参考:自己破産の「同時廃止」と「管財事件」の違い

債務整理の弁護士費用が安くなるケース

債務整理の弁護士費用が安くなるのは、基本的に上記でご紹介したケースの逆ということになります。つまり、以下のような場合です。

  • 整理する債権者が少ない場合
  • 「住宅ローン条項なし」の個人再生をする場合
  •  「同時廃止」の自己破産をする場合

以下で、1つ1つ説明をします。

また、「法テラス」の民事法律扶助制度を利用する場合も、費用が安く済む場合があります。この方法についても、後に詳しく説明します。

整理する債権者の数が少ない場合

任意整理や特定調停では、「債権者1件につきいくら」という料金設定になっている法律事務所が多いため、整理する債権者の数が少ないほど弁護士費用は安く済みます。

たとえば1件だけなら、実費(切手代や印紙代)を含めても50,000円以内で収まるところが多いです。さらに過払い金の回収もなければ、過払い報酬も発生しません。

「住宅ローン条項なし」の個人再生をする場合

住宅ローンを組んでいない、もしくはなんらかの理由で「住宅ローン条項」を利用できない人が個人再生をする場合は、住宅ローン条項を利用する場合と比較して、弁護士費用は5~10万ほど安くなります(30万円程度)。

「同時廃止」の自己破産をする場合

財産のほとんどない人が自己破産する場合、多くは「同時廃止」となりますので、管財事件に比べると弁護士費用は安くなります(10~30万円程度)。

「法テラス」の民事法律扶助制度を利用する場合

法テラス(日本司法支援センター)は、国が設立した、法律の総合案内所です。

より多くの人が必要なサービスを受けられるよう、無料法律相談や、必要に応じて弁護士費用などの立替えなども行なっています(民事法律扶助業務)。

利用するためには収入や資産などの一定の条件を満たす必要がありますが、審査に通れば弁護士費用を立て替えてもらい、月々5,000~10,000円ほどで返済していくことも可能です。

さらにその場合、法テラスの設定する「報酬基準額」が適用されるため、直接法律事務所に依頼するよりも安く済む可能性が高くなります。

たとえば自己破産の場合、法テラスの報酬基準額は10社までなら「129,600円」、実費を合わせても「152,000円」で済みます。

しかも同時廃止か管財事件かによらず、一律の料金です(ただし、裁判所に納める予納金は別途かかります)。

弁護士費用の工面が難しい方は、ぜひ法テラスか、法テラスの契約弁護士に相談してみてください。

まとめ

債務整理の弁護士費用が高くなるケースと安くなるケースについて、それぞれご紹介しました。

債務整理の種類でいうと、もっとも弁護士費用が安く済むのは任意整理です。特に債権者の数が少なければ少ないほど、安く済みます。

逆に個人再生や自己破産は、手続きが複雑なだけに弁護士費用も高めです。特に、個人再生では持ち家を残したい場合や「給与所得者等再生」を行なう場合、自己破産では一定以上の財産がある場合に費用がより高くなります。

ただし、最近は多くの法律事務所が分割払いに対応していますし、「法テラス」のようなサポートセンターもあります。

「お金がないから借金問題を解決できない」というのは、本来おかしな話ですので、費用については必ずどうにかなると考え、まずは弁護士の無料相談を利用してみましょう。