クレジットカードのショッピングで作った借金は債務整理できる?

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

債務整理というと、各種ローンやキャッシングなどで作った借金に対して行なうもの、というイメージがあるかもしれませんが、クレジットカードのショッピングで作った借金も対象になります。

特に最近は、毎月一定額を返済する「リボルビング払い(リボ払い)」ができるクレジットカードが増えたことで、ショッピングの利用額が大きくふくらんでしまい、いつまでたっても返済が終わらない人が増えているようです。

クレジットカードのショッピングで作った借金はどのような債務整理ができるのか、またその際の注意点などについてもご紹介していきます。

クレジットカードのショッピングも債務整理の対象になる!

クレジットカードには、現金を引き出す「キャッシング」と、買い物に使う「ショッピング」の2つの機能がありますが、どちらで作った借金も債務整理の対象になります。

むしろ、クレジットカードを債務整理する時には、クレジットカード自体を対象にすることになりますので、「キャッシングの分だけ」「ショッピングの分だけ」といった選択はできません。

クレジットカードのショッピングで作った借金の債務整理は、実際に最近増えています。「一括払い」と「分割払い」のどちらかしか選べなかった頃とは異なり、毎月一定額を返済していく「リボ払い」ができるカードが増えたことが一因です。

リボ払いは毎月の返済額が一定に抑えられるため、月々の負担は少なく済みますが、一方で自分の利用総額がわかりにくくなり、どんどん買い物に使ってしまう危険性があります。

その結果、利息だけを払い続けて元金がほとんど減らない、という状態におちいる人が急増しているのです。

一番いいのは、それ以上クレジットカードを使うのはやめて、月々の返済額をできる範囲で多くすることですが、利用額によってはもはやそれも難しく、債務整理を考えたほうがいいケースもあります。

クレジットカードで買い物をしすぎて、どうにもならなくなった人は、これ以上利用額を増やす前に、早めに債務整理を検討することをおすすめします。

クレジットカードのショッピングで作った借金の債務整理方法は?

クレジットカードのショッピングで作った借金で検討されることが多い債務整理は、「任意整理」です。

現時点での利用残高にもよりますが、将来利息(現在から完済までにかかる利息)をカットしてもらい、残った元金だけを3~5年の分割で返済していけそうな場合は、任意整理がもっとも適した方法になります。

特にリボ払いの場合、利息だけで相当な額になっていることが多いため、これをカットしてもらうだけでも返済総額がかなり減る可能性があります。

ただし、元金を3~5年で支払っていくのが難しいほど利用残高が多い場合は、任意整理ではなく個人再生自己破産を検討するしかありません。

個人再生と自己破産は、任意整理に比べて減額効果が大きい点がメリットですが、数十万円の弁護士費用がかかりますし、「官報」という国の機関紙に氏名や住所が掲載されます。

特に自己破産では、財産の所有も厳しく制限されますので、なるべく任意整理で済ませるためにも、早めに弁護士に相談することが大切です。

クレジットカードのショッピングを債務整理する際の注意点

クレジットカードのショッピングで作った借金を債務整理する際は、以下の点に注意が必要です。

支払い中の商品を引き揚げられる可能性がある

クレジットカードで購入した商品で、まだ返済が終わっていないものは、厳密にはクレジットカード会社に所有権があります。これを「所有権留保」といいます。

そのため、クレジットカードを債務整理すると、返済中の商品を没収されてしまう可能性があります。

ただし実際に引き揚げられるのは、車のように価値の高い商品が主で、そうでない商品はそのまま手元に残せることが多いです。

光熱費や電話代などのクレジット払いができなくなる

クレジットカードを債務整理すると、すぐにカードの利用が停止してしまいますので、公共料金などをカード払いにしている場合、支払いができなくなってしまいます。

支払いを延滞しないためにも、債務整理の手続きを開始する前にほかの支払い方法に変更しておくようにしましょう。また、クレジットカード会社発行のETCカードも使えなくなるため、注意が必要です。

クレジットカードのショッピング利用分は「過払い金請求」ができない

ここ数年、TVCMでもよく見かける「過払い金請求」ですが、クレジットカードのショッピング利用分は、残念ながら対象になりません。

というのも、クレジットカードのショッピングでかかるのは「金利手数料」で、厳密には「利息」ではないため、利息制限法が適用されないからです。

クレジットカードのショッピングの金利手数料も、以前まではかなり高いこともあったのですが、利息ではない以上、過払い金は発生しません。

ちなみに現在は、日本クレジットカード協会の自主ルールにより、出資法の上限金利である「年20.0%」を超えない範囲で金利手数料を定めるよう、努力義務が課されています。

ただし、クレジットカードでキャッシング機能も利用していた場合は、過払い金が発生している可能性がありますので、弁護士に調べてもらいましょう。

まとめ

クレジットカードのショッピングで作った借金の債務整理についてご説明しました。

クレジットカードは、ショッピング・キャッシングどちらで作った借金も債務整理が可能です。

ただし、どちらかだけを整理することはできませんので、債務整理をするとそのクレジットカード自体が使えなくなってしまいます。

特にリボ払いを頻繁に利用している方は、知らない間に多額の利息(金利手数料)が発生している可能性があります。

何も考えずに使い続けていると、「毎月の返済は問題なくできるのに、利用残高は雪だるま式に増えていく」という状態になりかねませんので、早めに対処することが大切です。

できるだけ任意整理で解決するためにも、まだ毎月の支払いができているうちに弁護士に相談することをおすすめします。

債務整理にかかる費用が安い弁護士の注意点

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

債務整理を弁護士に依頼する場合は、弁護士費用がかかります。

弁護士費用には一律の料金設定があるわけではないため、法律事務所によって金額はまちまちです。ただでさえ借金で悩んでいる方にとっては、少しでも安いところに依頼したいのが普通だと思います。

しかし、相場よりあまりに安い料金を提示している弁護士がいた場合は、安易に飛びつく前に、よくリサーチしてみることが大切です。

ここでは、費用の安すぎる弁護士の注意点をいくつかご紹介していきます。

まずは債務整理の弁護士費用の相場を知ろう

弁護士費用が適正かどうかを判断するためにも、まずは債務整理にかかる弁護士費用の相場を知っておくことが大切です。

債務整理にかかる費用の平均・相場感」のページでも詳しくご紹介していますが、債務整理の種類別に簡単にまとめますと以下のようになります(債務者が自分で行なうことの多い「特定調停」は省いています)。

任意整理

着手金 債権者1件につき20,000円~40,000円程度
減額報酬 減額できた額の5~10%程度
基本報酬 債権者1件につき20,000円程度
過払い報酬 回収した過払い金の15~20%程度

任意整理の弁護士費用は、ほかの債務整理に比べて種類が多いですが、これらがすべてかかるわけではなく、法律事務所によってどの費用を設定しているかが異なります。

個人再生

着手金 300,000円~500,000円程度

個人再生では、ローン返済中の持ち家を手元に残す「住宅資金特別条項(住宅ローン条項)」を利用する場合、そうでないケースよりも5~10万円ほど費用が高くなる法律事務所が多くみられます。

また、会社員などの安定した給与のある人が選択できる「給与所得者等再生」を行なう場合も、若干費用が高くなることがあります。

自己破産

着手金
  • 同時廃止:200,000~300,000円程度
  • 管財事件:300,000~500,000円程度

自己破産は、財産がほとんどない人が行なう「同時廃止」と、一定以上の財産がある人が行なう「管財事件」とで、費用が異なることが一般的です。管財事件の手続きのほうが複雑なため、弁護士費用は高くなります。

上記のほかにかかるのは、印紙代や郵便切手代などの「実費」です。これらは必要経費ですので、法律事務所による違いはほとんどありません。

その他、「法律相談料」がかかることもあります。債務整理の種類にかかわらず、30分の相談につき5,000円+消費税程度ですが、最近では無料にしている法律事務所も増えています。

債務整理にかかる費用が安い弁護士の注意点とは?

 

弁護士費用は、もちろん安いに越したことはありませんが、相場より明らかに安く設定している法律事務所には少し注意したほうがいいかもしれません。

中には、以下のような問題がある場合も考えられるからです。

着手金が無料の代わりに、報酬金が高いことがある(任意整理の場合)

任意整理で注意したいのが、「着手金無料」とうたわれている法律事務所です。

着手金とは、弁護士に仕事を依頼した時点でかかるお金です。任意整理が成功するかどうかは債権者との交渉によるため、着手金を無料にして、交渉に成功した時点で「報酬金」を徴収するシステムにしている事務所もあります。

それが、「基本報酬」や「減額報酬」と呼ばれる料金です。

実は着手金無料の法律事務所の中には、これらの報酬金のパーセンテージが高めに設定されているところがあります。

また、過払い金を回収できた時には「過払い報酬」が発生しますが、着手金無料の法律事務所では、こちらも相場より高く設定している場合があります。

着手金を安くしている分、報酬金で利益を取ろうとしているのです。

このように、報酬金が高い法律事務所に任意整理を依頼すると、結果的に弁護士費用が高くついてしまう可能性がある点に注意が必要です。特に整理する債権者の数が多い場合は、ほかの事務所と比較検討してみましょう。

追加料金がかかる可能性がある

「最初は低料金を提示されたのに、後からあれこれ名目をつけて追加料金を払わされ、結局高くついてしまった…」というケースもあります。

本来、債務整理の着手金には、その債務整理を行なうにあたって必要な業務に対する報酬がすべて込みになっていますから、途中で追加料金が発生するケースはごく一部に限られます。

日本弁護士連合会(日弁連)が2011年に定めた「債務整理事件処理の規律を定める規程」では、「途中で整理先が増えた」「予定とは別の債務整理をすることになった」などの、当初予想されなかった法的手続きが必要になった時のみ、弁護士は追加料金を請求してもいいことになっています。

そこで、後からよくわからない追加の請求をする事務所は、良い事務所とは言えません。

後から、よくわからない名目での追加料金をとられないよう、途中で発生する可能性のある料金については事前に書面で確認してくれる弁護士を選びましょう。

債務整理に不慣れな可能性がある

費用が安すぎる弁護士は、債務整理の実績が不十分な場合もあります。たとえば、これから債務整理の実績を作るために格安の料金で依頼を受けている可能性も考えられるのです。

債務整理がうまくいくかどうかは、弁護士の腕によるところが大きいため、できるだけ実績の豊富なところを選ぶことをおすすめします。

仕事の質に問題がある可能性がある

費用が安い法律事務所の中には、「安い分、適当に仕事をする」ところも残念ながらあります。

もしくは、人件費を節約して低料金を実現している一方、人手不足でうまく仕事がまわらない事務所もあります。

いつまでたっても解決しない、連絡がこない、やっと解決したと思ったらそれほど減額されていなかった…など、仕事の質に問題がある場合もあるため、安すぎるところには注意が必要です。

まとめ

債務整理の費用が相場より安い弁護士の注意点をいくつかご紹介しました。

もちろん、「安い=必ず問題がある」というわけではなく、中には適切なコスト削減によって、良心的な料金設定にしている法律事務所もあるため、見極めが大切です。

基本的には、以下のようなポイントに着目してみましょう。

  • 弁護士と直接面談できるかどうか?
  • 債務整理に強い弁護士であるかどうか?
  • 費用の総額、および発生する可能性のある追加料金を事前に書面で確認してくれるかどうか?
  • 今後のおおよその流れを説明してくれるかどうか?

以上の点に問題がなければ、信用度は高いと思われます。

債務整理がどれだけ成功するかは、債権者や裁判所との交渉によるところが大きいため、弁護士の腕は非常に重要です。

料金の安さだけで判断せず、相場内であればよしと考え、債務整理の実績が豊富な法律事務所を選ぶことをおすすめします。

債務整理により口座が凍結される期間は?

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

債務整理は、消費者金融や信販会社はもちろん、銀行のローンやクレジットカードでも行なうことができます。

ただしその場合、その銀行に開いている口座を一時的に凍結されてしまう可能性がある点に注意が必要です。

口座が凍結されると、現金の引き出しはもちろん、家賃や光熱費などの引き落としもできなくなるため、その後の生活に大きな支障が出てしまいます。

ここでは、債務整理で口座が凍結される期間や、凍結による生活への影響を最小限にとどめるための方法についてご紹介していきます。

債務整理で口座が凍結されるケースとは?

債務整理で銀行口座に影響が出るのは、「銀行からの借金を整理した場合」です。

たとえば、銀行の住宅ローンや教育ローン、カードローン、クレジットカードなどを債務整理の対象に含めると、その銀行に開設している口座が一時的に凍結されることがあります。

ローンの返済に使用している口座はもちろん、同じ銀行に本人名義の口座がほかにもある場合は、そちらも凍結される可能性が高いです。

凍結とは、その口座が使えなくなってしまう状態で、引き出しはもちろん、自動引き落としもできなくなります。

その上で、口座に残高がある場合は強制的に引き落とされて、返済にあてられるのが一般的です。このことを「相殺」と言います。

たとえば100万円の借金が残っていて、口座に30万円ある場合、銀行は少しでも多くのお金を回収するために口座を凍結して、30万円を残債の返済にあてます。

銀行のローンでは保証会社が入っていることが多いため、相殺後に残った借金は保証会社が代わりに返済します。このことを、「代位弁済」と言います。上の例でいうと、残り70万円は保証会社が支払うということです。

このような、銀行による口座凍結や相殺については、ローンの約款に明記されています。なお、その銀行に口座を開設しなくても利用できるローンの場合には、凍結が行なわれないことが普通です。

また、凍結されるのはあくまで借金のある銀行の口座だけで、他行の口座にはまったく影響がありません。

銀行口座を凍結されるとどうなる?

約束通りの返済ができなかった以上、銀行口座の凍結は仕方のない措置ではありますが、実行されると色々困ることが出てきます。

凍結が解除されるまでの間、口座は一切使用できない状態となるため、たとえば給与が振り込まれても引き出すことができません。

また、自動引き落としの機能も一時的にストップしてしまいますので、その口座から家賃や公共料金などが引き落とされている場合は、延滞することになってしまいます。

凍結期間が短ければまだいいものの、何ヶ月か続くとなると、電気やガスを止められたり、借家からの退去を命じられたりしてしまうかもしれません。

債務整理で口座が凍結される期間はどれぐらい?

債務整理で銀行口座が凍結される期間は、銀行によってもまちまちですが、以下の項目で説明するように、平均すると1~3ヶ月ほどといわれています。

凍結が解除された後は、再び預貯金や自動引き落としなどに口座を使えますが、その銀行で新たにローンを組むことはできなくなります。

口座凍結のタイミング

弁護士や司法書士に債務整理を依頼した場合、「受任通知が銀行側に届いた時点」で口座が凍結されることが多いです。

受任通知とは、弁護士や司法書士が「私が債務者の代理人になりましたよ」ということを知らせる書面で、債務整理を依頼するとすみやかに発送されます。

受任通知が届くと、債権者は債務者に対して直接の取り立てができなくなるため、督促がストップするメリットがありますが、銀行はこの時点で口座を凍結し、預金で相殺することが一般的です。

一方、弁護士や司法書士に依頼せず、債務者自身で行なうことの多い「特定調停」の場合は、「申し立てがあった旨を通知する書面(申立書の副本および申立受理通知)が債権者に届いた時点」となります。

こちらは通常、申し立て後2~3日中に裁判所から送付されますので、受任通知と比べると若干遅くなる可能性があります。

口座凍結が解除されるタイミング

口座凍結が解除される時期は、通常「預金で相殺した後、保証会社が代位弁済を行なった時点」となります。

先にご説明したように、銀行のローンでは保証会社を立てている場合が多いため、万が一返済が滞ったり債務整理が行なわれたりすると、債務者の代わりに保証会社が返済の義務を負います。

代位弁済が済むと、銀行に対する借金はなくなったということですから、口座凍結も解除されます。これが早くて1ヶ月、長くても3ヶ月程度となるのです。

債務整理による口座凍結で困らないための対策

債務整理による口座凍結はあくまで一時的な措置ではありますが、その間、口座が機能しなくなるのは困る人も多いと思います。

そこで、ぜひ前もって行なっておきたいのが、以下の3つの準備です。

①銀行口座の預金を引き出しておく

銀行のローンを債務整理する場合、その銀行の口座にあるお金はすべて引き出し、残高をゼロにしておきます。

ローンの返済に使っている口座だけではなく、その銀行に開設している口座の預金はすべて引き出しておきましょう。

②給与の振込がある場合は、振込先を変更しておく

債務整理をする銀行の口座を給与の振込先にしている場合は、ほかの金融機関の口座に変更しておきます。

ちなみに、債務整理で相殺されるのは「凍結された時点で口座にあるお金」ですので、その後に振り込まれた給与を取られてしまうことはありません。

ただし、口座の凍結が解除されるまでは、生活費を出金できなくなってしまいます。

銀行との交渉しだいでは、給与を引き出せることもありますが、手間がかかるため他行の口座に振込先を変更しておいたほうが安心です。

③自動引き落としがある場合は、支払い方法を変更しておく

債務整理をする銀行の口座から自動引き落としになっているお金がある場合は、あらかじめ別の支払い方法に変更しておきます。他行の口座からの自動引き落としにするか、もしくは振込用紙を使った支払いに変更しておきましょう。

まとめ

債務整理によって、銀行の口座が凍結される期間や、その対処法についてご紹介しました。

口座が凍結される期間は、およそ1~3ヶ月です。この間は、お金の引き出しも自動引き落としも一切できなくなる上、口座にあるお金は返済にあてられてしまいます。

支払いが滞ってしまった以上、避けられない措置ではありますが、生活への影響を最小限に抑えるためにも、口座を空っぽにしておくなどの事前準備が必要です。

弁護士や司法書士に債務整理をする場合、受任通知を送付する前にそうした指示を受けられると思いますが、自分で行なう特定調停の場合は意外と見落としがちですので、忘れず対策しておくことをおすすめします。

債務整理の相談で必要なもの

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

債務整理の相談で必要なもの

借金で悩んでいる方は、これ以上負債を増やす前に、債務整理に強い弁護士に相談することが先決です。

現在は多くの法律事務所が、無料で法律相談を行なっていますので、まずは気軽に電話で予約をすることから始めてみてください。

そして相談に行く際は、的確なアドバイスを受けるためにも、借金の状況がわかる書類を持参しましょう。

また、過去にあった借金でも過払い金請求できる場合があるため、すでに完済し終わった業者の情報も用意しておきたいところです。

ここでは、弁護士に債務整理の相談をする際に必要なものを、具体的にご紹介していきます。

弁護士への債務整理相談には、「債権者一覧表」があると一番便利!

弁護士に債務整理の相談に行くにあたって、もっとも必要なのが「借金の状況がわかる書類」です。

契約書や明細書、カード一式などでもいいのですが、複数の業者から借り入れている場合は、「債権者一覧表」を作って持っていくことをおすすめします。

債権者一覧表とは、債権者(借入先)の名前や連絡先、借金の額などを一覧形式にしたもので、これがあればほかの書類がなくても、借金の状況が一目でわかります。

また、すでに返済が終わっている業者の情報も記載しておくと、過払い金の有無を判断するのに役立ちます。

過払い金が発生している可能性があるのは、貸金業法が改正される前からあった借金ですので、当初の借り入れ時期を記載しましょう。

債権者一覧表の書き方(例)

債権者一覧表のひな型は、インターネット上にもたくさんありますが、以下はその一例です。

関係権利者一覧表

さまざまな形式がありますが、特に記載しておきたいのは以下の3点です。

  • 債権者の基本情報(名称・連絡先など)
  • 最初に借り入れた日と、その金額
  • 現在の利用残高

契約書や明細書などがあれば、それを見て記入するのがもっとも正確ですが、手元にない場合はおおよその金額や時期を記入しましょう。

また、抵当権や根抵当権の設定、連帯保証人の有無も債務整理を行なうにあたって重要な情報ですので、記載するようにします。

もし契約書類をすべて紛失している場合は?

「債権者一覧表を作りたいけれど、契約書類をすべて紛失しているので正確な情報がわからない」という場合も、心配はありません。

債権者の数と、それぞれにどれぐらいの借金があるのかさえ最低限わかれば、相談の際にほぼ的確なアドバイスをもらえます。

もしそのまま債務整理を依頼することになった場合も、債権者の名称さえわかれば、弁護士が債権者から取引履歴を取り寄せてくれますので、書類がなくても問題はありません。

すでに取引の終わっている業者の場合も、会社名と、借り入れしていた時期、その時点の自分の名前と住所さえわかれば、取引履歴を取り寄せることはできます。もし婚姻や引っ越しなどで氏名や住所が変わっている場合も、当時の情報を伝えましょう。

ただし、「業者名すら怪しい」という場合は弁護士も動きようがありませんので、信用情報機関に開示請求を行ない、自分の信用情報をチェックする必要があります。

日本には3つの個人信用情報機関がありますが、クレジットカード会社や信販会社は「CIC(株式会社シー・アイ・シー)」、消費者金融は「JICC(日本信用情報機構)」、銀行は「KSC(全国銀行個人信用情報センター)」に加盟していることが多いです(CICとJICCの両方に加盟している会社もありますし、すべてに加盟している銀行もあります)。

過払い金請求ができるのは、クレジットカード会社・信販会社・消費者金融の借金がほとんどですので、JICCとCICに開示請求すれば必要な情報は得られるはずです。

その他、弁護士相談で指定されることの多い持ち物

債権者一覧表のほかに、弁護士の債務整理相談で持参するよう案内されることが多いのは、以下のようなものです。

身分証明書

運転免許証や健康保険証などの身分証明書が必須となっている法律事務所もあります。これは、間違いなく本人による相談であることを確認するためです。

法律事務所によっては、顔写真付きのものを指定されることもあります。

収入に関する書類

給与明細書や所得証明書などの収入がわかる書類も、持参を求められることがあります。債務整理をする場合、月々どれぐらいの額なら返済できそうかを考える材料になるからです。

支出に関する書類

月々のローンの支払い状況がわかるように、預金通帳などの持参を求められることがあります。これも、今後の返済計画を立てる上で役に立つからです。

財産に関する書類

自己破産を検討している場合は、財産の状況を示すために、不動産の登記簿謄本や、保険証券、車の車検証などを持参したほうがいい場合があります。

特に、ローンの残っている車や家は、債務整理をすると没収されてしまう可能性があるため、自己破産以外の債務整理を検討する際も、最低限「ローンの有無」と「所有者(特に車の場合)」の情報は把握しておきましょう。車の所有者は、車検証に記載されています。

督促状・訴状など

債権者から、督促状や内容証明郵便での一括請求書などが届いている場合は、相談の際に持参します。

また、裁判所から訴状や判決書、差押え通知書などが送付されている場合も、必ず持参しましょう。

印鑑(認印)

相談だけなら印鑑は不要ですが、場合によってはそのまま債務整理を依頼する可能性もあるため、認印(シャチハタ以外)を持参したほうがいい場合もあります。

もちろん、相談に乗ってもらったからといってその場ですぐ契約する必要はありませんので、よく考えたい場合や、ほかの事務所と比較検討したい場合は、いったん持ち帰るようにしましょう。

まとめ

弁護士に債務整理の相談をする際に必要なものについてご紹介しました。

予約の際に、法律事務所のほうから持参するものを指示されますので、それに従うようにしましょう。複数の業者から借り入れている場合は、なるべく「債権者一覧表」を作って持っていったほうがわかりやすく便利です。

契約書類を紛失していて、正確な情報がわからないこともあると思いますが、その場合も最低限の情報(債権者の数や、現在の借り入れの総額)さえあればアドバイスを受けることはできます。

ただし、債権者の名称がわからない場合は、いざ債務整理を依頼する際に困ることになりますので、信用情報機関に開示請求を行なうことをおすすめします。

債務整理後に新たに消費者金融で借り入れる4つの危険性

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

債務整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されますので、しばらくの間は新たな借り入れができなくなります。

しかし、実際は少ないながらも、ブラック期間中の人に融資を行なう消費者金融があるのも事実です。いわゆる「闇金」だけではなく、中には合法的な貸金業者であっても、ブラック状態の人に貸付をする業者もあります。

ただし、債務整理後に新たに借り入れをする際は慎重な判断が必要です。安易に借り入れてしまうと、せっかく抜け出したはずの借金生活に逆戻りしてしまうリスクがあるからです。

ここでは、債務整理後に新たに消費者金融で借り入れる危険性を4つご紹介していきます。

債務整理後も借り入れできる消費者金融とは?

債務整理は、どの手続きを行なっても個人信用情報機関に事故情報が記録されるため、いわゆる「ブラックリスト入り」することになります。

事故情報は5~10年ほどで消去されますが、それまでは原則として新たにローンやクレジットカードを利用することはできません。

しかし、ブラック期間中の人でも例外的に利用できる貸金業者があります。それは、中小の金融業者(街金)と闇金融です。

中小消費者金融(街金)

地域密着型の小さな消費者金融(通称「街金」)の中には、ブラックの人にも融資を行なうところがあります。

街金には、ほかで融資を断られてしまった人が多く流れてくるため、厳しく審査をしてしまうと経営が成り立たなくなることが一因です。

もちろん一定の審査は行なわれますが、ブラックでもある程度の収入があり、返済の意思も固いとみなされれば、融資を受けられる可能性は十分にあります。

ただし、こうした業者は「借り逃げ」のリスクが高いだけに、大手と比べると金利が高い場合が多いです。

たとえば借入額が10万円を下回る場合、大手の消費者金融では「年18.0%」を上限とするところが多いのに対し、ブラックOKの中小消費者金融では、利息制限法の上限ギリギリの「年20.0%」で貸し付けを行なうところが少なくありません。

闇金融

闇金とは「違法な貸金業者」のことで、上でご紹介した街金とはまったく異なります。

街金は、高いとはいっても法律で決められた範囲内で金利を設定していますが、闇金は年20.0%を超える法外な金利で貸し付けます。

以前は、10日で1割の利息がつく「トイチ」が一般的でしたが、最近では「トゴ(10日で5割)」も当たり前になっています。つまり、10万円を10日間借りただけで5万円の利息をとられるということで、年利にすると1825%にもなります。

また、悪質な取り立てを行なうのも闇金の特徴です。たとえば夜中に取り立てる、ドアにビラを貼る、しつこく電話をかける、といった行為は「貸金業法」という法律で禁止されているのですが、闇金には通用しません。

さらに、家族や勤務先に嫌がらせをすることもあります。

このような闇金業者にとって、まともな業者からお金を借りにくいブラックの人はいいターゲットであり、多くは親切に応対してくれます。

しかし、法外な高金利で借り入れる以上、結局は返済に行き詰りやすいですし、いざ返済が滞ると乱暴な取り立てが始まるため、手を出すことは絶対におすすめできません。

合法な街金と闇金の区別がつかない人もいると思いますが、わかりやすいポイントは「貸金業者の登録番号があるかどうか」です。

まっとうな貸金業者は、必ずホームページなどに登録番号(東京都知事(1)第123456号など)を明記していますのでチェックしてみてください。

本当に登録されている貸金業者かどうかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索入力ページ」で調べられます。

債務整理後に新たに消費者金融で借り入れる4つの危険性

「それじゃ、街金で借りれば問題ないだろう」と思われる方もいるかもしれませんが、まだブラック明けしていない段階で新たな借り入れをすることには、以下の4つのリスクがあります。

また借金の返済に苦しむ可能性が高い

ブラックの人に融資を行なう消費者金融は高金利のところが多いため、後々返済に行き詰る可能性があります。

特に複数の業者から借り入れてしまうと、気づけばまた多重債務や自転車操業状態に陥ってしまう可能性が高いです。

厳しい取り立てに遭う可能性がある

ブラックOKの消費者金融は、借り逃げのリスクが高いこともあり、大手の消費者金融よりも厳しく取り立てるところが多くみられます。

闇金のように違法な行為まではしなくても、法律に触れない程度の厳しい取り立てをされることが予想されます。

債務整理の返済が滞るおそれがある

自己破産以外の債務整理をした後は、毎月決められた金額を返済する必要がありますが、そこで新たに借金を増やしてしまうと、約束の返済が滞ってしまう危険性があります。

しかし、債務整理は本来支払うべき借金を特別に減額してもらう手続きですので、返済が滞った場合は厳しく対応されます。

たとえば任意整理では、2回以上延滞すると「和解調書」が無効になって一括返済を求められることが多いですし、個人再生の場合は債権者から再生計画案の取り消しを求められることがあります。

また特定調停をした場合は、「調停調書」が裁判での判決とほぼ同じ効力を持つため、債権者によってすみやかに強制執行され、給与や財産を指し押されてしまう可能性があります。

再度の債務整理が難しくなる

債務整理後の返済がどうしても困難になった場合は、再度の債務整理を行なう必要が出てきますが、消費者金融から新たに借り入れしている場合はハードルが高くなります。

たとえば任意整理は、優先的に検討されることの多い債務整理ですが、ブラックOKの消費者金融は大手消費者金融に比べると強硬な態度のところが多いため、任意整理の交渉に応じてもらえないことがあります。

債務整理の最後のとりでである自己破産も、2度目以降は難しくなります。特に、前回免責を受けてから7年以内の申し立ては「免責不許可事由」に該当するため、免責が下りない可能性があります。

また、新たに借り入れをした理由が浪費やギャンブルだった場合も、「免責不許可事由」にあたります。

以上のように、債務整理後に無理に借り入れをすると大変なリスクを負うことになりますので、無理な借入は控えることが大切です。

まとめ

債務整理後に新たな消費者金融で借り入れる4つの危険性をご紹介しました。

ブラック期間中の借り入れで特に怖いのは、債務整理で減額された借金の返済まで延滞するようになることです。これでは、せっかく債務整理をした意味がなくなってしまいます。

さまざまな事情があるとは思いますが、ブラック明けするまでの間は、無理に自分名義で借金をしようとするのではなく「家族名義でローンを申し込む」「クレジットカードは、家族カードを使わせてもらう」などの別の方法を検討したほうが無難です。

どうしても生活が苦しい場合は、むやみに借金を増やすのではなく、必要に応じて生活保護の受給も前向きに考えてみることをおすすめします。