自己破産以外の債務整理方法も検討してみる重要性

執筆者

元弁護士ライター 福谷 陽子

借金返済が苦しくなってしまった場合には、債務整理手続きを利用すると解決することができます。債務整理とは借金を整理するための法的な手続きのことです。

ただ、一般的には債務整理というと、自己破産手続きを思い浮かべることが多いです。債務整理というと自己破産のことだと考えている人もいます。

しかし、実は債務整理方法には自己破産以外にもたくさんあります。自己破産とそれ以外の債務整理方法には、どのような違いがあって、どのようなメリットがあるのでしょうか?

自己破産にも良い点はありますが、自己破産以外の債務整理手続きのメリットとも比較することで、本当に適切な債務整理手続きを選択することができます。

そこで今回は、自己破産と自己破産以外の債務整理手続きを比較検討してみましょう。

自己破産とは

借金を整理するための債務整理手続きというと、自己破産のイメージが強いです。自己破産というと、マイナスイメージが強いですが、そもそも自己破産とは、どのような手続きなのでしょうか?

自己破産とは、裁判所に申立をして「免責」という決定をしてもらうことによって、すべての借金などの債務の支払い義務を免除してもらう手続きのことです。

自己破産をすると、完全に借金が0になります。よって、自己破産後には一切の支払の必要が無くなります。

消費者金融やクレジットカード会社、銀行などの債権者から借金返済の督促が来ることもなくなります。また、自己破産は、どれだけ多額の借金があっても利用出来ます。たとえば借金額が1000万円でも1億円でも自己破産をすると、借金は0になります。

このように、自己破産は借金問題を根本的に解決してまさしく債務者が0からスタートしていくための効果的な解決方法なのです。

債務整理の4種類

自己破産は債務整理の代表的な方法ですが、実は債務整理方法には4種類があります。自己破産は、そのうち1種に過ぎないのです。では、他の債務整理方法にはどのようなものがあるのでしょうか?

債務整理には、任意整理特定調停個人再生自己破産の4種類があります。

任意整理とは、債権者と直接交渉をして、借金返済金額と返済方法を決め直すための手続きです。債権者との合意後の将来利息をカットしてもらって借金返済総額を減額することができますし、返済期間を延ばすことによって月々の借金返済額を減らすことができます。

特定調停とは、簡易裁判所に申立をして、裁判所において債権者との間で借金返済金額と返済方法を決め直す手続きのことです。裁判所の調停委員や裁判官が話し合いの間に入ってくれるので、債務者が自分でも利用しやすい手続きです。

特定調停の場合にも、債権者との合意後の将来利息をカットしてもらえることが多いですし、月々の返済額も支払い可能な範囲で調整できます。

個人再生は、裁判所に申立をして、借金返済額を大幅に減額してもらう手続きのことです。たとえば借金額が1500万円以下の場合には、最大5分の1まで借金が減額されます。

500万円の借金があっても100万円にまで減額してもらえるのです。そして、その決まった金額を、原則的に3年の間に弁済していくことになります。もしどうしてもその期間における支払が苦しい場合には、返済期間を5年にしてもらうことも可能です。

また、個人再生には住宅資金特別条項という制度があり、これを利用すると、住宅ローンがあっても自宅を守りながら借金を整理することが可能です。

自己破産のデメリット

自己破産にはなぜマイナスイメージが強いのでしょうか?それは、自己破産にはいろいろなデメリットがあるからです。そこで、まずは自己破産のデメリットを確認しておきましょう。

財産がなくなる

自己破産をすると、借金返済義務はなくなりますが、反面破産者の目立った財産はすべて失われることになります。たとえば、破産者が20万円を超える金額の預貯金や生命保険、車や有価証券、株券などを所有している場合、これらはすべて現金に換えられて債権者に配当されてしまいます。

当然、マイホームがある場合にも、家はなくなります。住宅ローンがあってもなくても自己破産すると家はなくなるのです。

このように、自己破産をすると、目立った財産がすべてなくなることは大きなデメリットです。ただし、生活に最低限必要な財産は持ったまま破産することができます。また、破産手続き開始決定後に手に入れた財産については、失うことはありません。

資格制限がある

自己破産をすると、一定の職業に就けなくなるという資格制限があります。自己破産手続き中の資格制限の問題です。自己破産をすると、弁護士や司法書士、行政書士、公認会計士、税理士などの士業に就くことはできません。

不動産業の宅建業もできませんし、警備員や保険外交員などの仕事に就くこともできません。このように、職業が制限されることも自己破産のデメリットの1つです。ただし、資格制限があるのは自己破産免責の手続き中だけなので、手続きが終了して免責がおりたら、自由に仕事が選べるようになります。

参考:自己破産手続き中に就けない職業「資格制限」とその理由

借金の原因によっては利用出来ない

自己破産には、借金の原因が問題になるというデメリットがあります。自己破産では、「免責」という決定を裁判所に出してもらうことを目的としています。免責とは、借金が0になるという決定です。よって、自己破産をしても免責してもらなければ、借金はなくならず、自己破産する意味がなくなります。

しかし、自己破産には「免責不許可事由」があります。免責不許可事由とは、その事由があると免責が認められなくなるという事情です。たとえば借金の原因が浪費やギャンブルなどの場合には、免責不許可事由に該当します。すると、自己破産しても免責が受けられず、借金が無くならない可能性があるのです。

ただし、自己破産には「裁量免責」という制度があります。裁量免責とは、たとえ免責不許可事由があっても、総合的な判断によって裁判所が認めれば、その破産者に免責を認めても良いという制度です。

実際には、浪費やギャンブルによる借金があっても多くの場合には、この裁量免責によって免責が認められています。よって、浪費やギャンブルが原因の借金があっても、絶対に自己破産できないということにはなりません。

参考:自己破産ができない11個の「免責不許可事由」

官報掲載される

自己破産をすると、氏名や破産した事実などが「官報」という機関誌に掲載されるというデメリットもあります。官報とは、政府が発行している機関誌のことで、法律や条令の改正などの法令に関する情報や、破産などの裁判手続きなどについて掲載されているものです。

自己破産をすると、2回ほどこの官報に氏名や住所、破産内容などが掲載されてしまいます。ただ、一般の人で官報を見ている人はほとんどいないので、自己破産しても官報を通じてその事実を人に知られる心配はほとんどないでしょう。

保証人に迷惑をかける

自己破産をする場合、連帯保証人などの「保証人」がついている借金があるケースがあります。この場合、自己破産をすると、必ず保証人に迷惑をかけてしまいます。

自己破産をする場合には、一部の債権者を選ぶことができないので、基本的にすべての債権者を対象にしなければなりません。そして、保証人のついている借金を自己破産で免責にすると、債権者は保証人に対して借金の請求をすることになります。しかもこの場合、通常は借金の残金一括請求になります。

もし保証人がこの支払をできない場合には、保証人も自己破産などの債務整理手続きを利用しなければならないことになります。このように、自己破産をすると必ず保証人に迷惑をかけてしまうことが、大きなデメリットとなります。

自己破産以外の債務整理手続きでは財産がなくならない

他の手続きでは財産がなくならない

自己破産をすると財産がなくなりますが、その他の債務整理方法を利用すると、財産が無くなることはありません。任意整理でも個人再生でも特定調停でも、財産があるからといってそれらを失うことはなく、安心です。

住宅ローンがあっても家を守れる

住宅ローンがある場合にも、自己破産以外の他の債務整理方法にはメリットがあります。

任意整理や特定調停では、住宅ローン以外の借金を対象にすれば住宅がなくなることはありません。

また、個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用すると、住宅ローンはそのまま支払を続けたまま、他の借金だけを減額することによって家を守ることができます。このように、住宅ローンがある場合にも、他の債務整理方法は大変有効です。

自己破産以外の手続きでは資格制限はない

自己破産をすると、一定期間一定の職業に就けなくなるという資格制限があります。これに対して、他の債務整理方法にはそのようなデメリットはありません。任意整理をしても特定調停をしても個人再生をしても、どのような職業に就くことも自由です。もちろん手続き後に職業が制限されることもありません。

このように、他の債務整理方法には自己破産のような資格制限がないことも、他の債務整理方法のメリットです。自己破産の資格制限にかかる仕事をしていても、他の債務整理方法なら安心して利用出来ます。

自己破産以外の手続きでは借金の原因が問われない

自己破産をする場合には、免責不許可事由があるので、借金の原因が問題になることがあります。これに対し、他の債務整理方法では借金の原因が問題になることはありません。

任意整理や特定調停で債権者から借金の原因を問いただされることもありません。自己破産と同様裁判所を利用する手続きである個人再生でも、借金の原因によって手続きが利用出来なくなることはありません。

自己破産では免責不許可事由があると、裁量免責をしてもらうしかなくなりますが、他の債務整理手続きではそもそも免責不許可事由がないので、そのような心配は要らないのです。このことも、自己破産とは異なる他の債務整理手続きのメリットです。

任意整理と特定調停なら官報掲載されない

自己破産をすると、氏名や住所、破産手続きの内容などが官報に掲載されるデメリットがあることは紹介しました。これに対して、債務整理方法の中でも任意整理や特定調停を利用すると、官報に情報掲載されることはありません。

よって、官報を他人に見られることによって、債務整理の事実を知られる心配をする必要がないのです。ただし、同じ債務整理手続きの中でも個人再生の場合には自己破産と同様、官報掲載されます。よって、官報掲載がどうしても嫌な場合には、任意整理か特定調停を利用する必要があります。

任意整理と特定調停なら保証人に迷惑をかけない

自己破産をすると、保証人がついている借金がある場合には必ず保証人に迷惑をかけてしまいます。このデメリットを避けることができる債務整理方法があります。それは、任意整理と特定調停です。

任意整理や特定調停では、すべての債権者を平等に扱わなければならないという債権者平等の原則が働きません。よって、保証人がついている借金がある場合にはその借金を外して整理手続きをすることができるのです。

そのようにして、保証人がついている借金については自分が支払を続けていけば、債権者が保証人に借金支払いの請求をすることはなく、保証人に迷惑をかけることを避けられるのです。

このことも、任意整理や特定調停に認められる自己破産にはない大きなメリットの1つです。

ブラックリスト状態の期間が異なる

自己破産をすると、ローンやクレジットカードが利用出来なくなるというブラックリスト状態になります。このことは、自己破産の大きなデメリットと言われています。このブラックリスト状態については、他の債務整理方法でも避けることはできません。

任意整理でも特定調停でも個人再生でもブラックリスト状態になってしまいます。ただ、自己破産と他の債務整理手続きでは、ブラックリスト期間が異なることがあります。

具体的には、任意整理や特定調停の場合には、手続き後「5年」になりますが、自己破産や個人再生の場合には手続き後「5年~10年」になります。

よって、任意整理や特定調停を利用した場合、手続き後の不便なブラックリスト期間が自己破産より短くなるメリットがあります。

まとめ

今回は、自己破産以外の債務整理方法とそのメリットをご紹介しました。債務整理というと自己破産というイメージがあり、自己破産にはマイナスイメージが強いです。

しかし、債務整理には自己破産以外にも任意整理、特定調停、個人再生があり、それぞれにおいて自己破産にはないメリットがあります。他の債務整理方法を利用すると、自己破産のデメリットを避ける方法もあります。

借金に悩んでいる場合、自己破産以外の債務整理方法にも目を向けて、本当に適した手続きを選択して利用する事が重要です。

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