借金を隠して自己破産したらどうなる?

執筆者

西岡合同事務所

司法書士 西岡 容子

借金の全額を告げずに、一部を隠した状態で自己破産したらその後どのような不利益が起こるのでしょうか?

最悪の場合は「免責を受けられない(借金が免除されない)」という事態も考えられます。

自己破産の原則は「債権者の平等」

債務整理の手続きには下記の4種類あり、債権者のすべてを対象にしてやらなければならない手続きと、そうでないものに分かれます。

債権者のすべてを手続きに入れ込むものは、対象となる債権者に対する扱いをすべて「平等」とすることが要求されます。

任意整理

任意整理とは、裁判所の関与が全くない手続きで、主に弁護士や司法書士などが間に入って債権者との間で私的な和解を交わします。

任意整理の大きな特徴としては、債権者を平等に扱う必要性がないことです。つまり債権者Aは今まで通りに支払い続ける、債権者Bは任意整理の対象として分割弁済を交渉するというやり方もできるのです。

特定調停

特定調停とは、裁判所の調停手続きで弁済に関する話し合いをするというものです。こちらも手続きの対象にする債権者を選ぶことができるため、すべてを平等に扱う必要はありません。

個人再生

個人再生とは、裁判所が主導して行う手続きですが、一定の割合で元本をカットした債務を原則として3年間の計画で弁済させる手続きです。これは、全債権者を入れて手続きしなければならず、すべての債権者を平等に扱わなくてはなりません。

自己破産

自己破産も同じく裁判所主導ですが、すべての債務をゼロにするという手続きになります。こちらも全債権者を入れて手続きをし、債権者を平等に扱わなくてはなりません。

自己破産で提出する「債権者一覧表」

関係権利者一覧表(債権者一覧表)記入例

word-iconWordファイルでダウンロード

自己破産の場合、上記のようにすべての債権者を申告するために、「債権者一覧表」というものが添付書類になっています。

ここには、「債権者名」「債権者の住所」「最初の借入日」「保証人の氏名」「現在の債務額」などを記入するようになっており、裁判所はこれを以てすべての債権者を一覧で把握できることになります。

債権者の一部に虚偽があると「免責不許可事由」になる

上記のように「借金を隠した状態で自己破産手続きをした」ということは、手続きに対して誠実に取り組んでいないということになります。

このように、債務者自身に不誠実な態度が見られるようなケースを「免責不許可事由」と呼びますが、免責不許可事由があると最悪の場合は債務をゼロにしてもらうことができない場合もあります。

免責不許可事由は、「債権者を隠す行為以外」にもいくつかあります。

財産の隠匿

自己破産というのは基本的に自分の全財産を換価、つまり売却などして金銭に換えて債権者に配当することにより免責を受けられるものです。

ですから、自分の財産を保持したまま免責を受けようとして財産を隠すというのは債権者に対する背信行為ということになります。

不利益な条件での債務負担、不利益な条件での処分

破産手続の開始を遅らせる目的で、著しく不利な条件で債務を負担(利息など条件が悪いものでもその場しのぎで借りてしまう等)したり、信用取引(クレジットカードの使用等)によって商品を買い入れ、これを著しく不利益な条件で処分する(質屋に入れる)などの行為です。

返済に行き詰まった債務者の中には破産に至ることを避けようとしてヤミ金のような悪徳業者から借りてしまったり、クレジットカードで購入した商品を質屋で処分して現金に換えたりすることがあるのです。

偏頗(へんぱ)行為

「偏頗」というのは偏っているという意味です。ある債権者にだけ特別の利益を与えたり、他の債権者を害する目的で担保を供与したり債務を消滅させたりする行為をいいます。

浪費等

パチンコをしていたりブランド品を買っていたら免責を受けられないという誤解もあるのですが、そのようなことはありません。

浪費が免責不許可事由にあたるのは、その程度が甚だしい場合です。収入の範囲内でパチンコをしており、わずかに損をしたくらいでは免責不許可事由にはなりません。

ギャンブルにより大幅に財産を失ったようなケースでなくてはこの「浪費」には該当しないと考えてよいでしょう。

詐術

詐術とは「騙す」行為のことです。破産手続開始の申し立てがあった日の1年前から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら(もうすぐ破綻することを自分で理解していながら)、その事実がないと信じさせるため、詐術を用いて(騙す形で)信用取引によって財産を取得したことです。

帳簿隠匿行為等

業務や財産の状況に関する帳簿や書類、その他の物件を隠匿、偽造、変造などすることです。

説明拒否行為等

破産手続において裁判所が行う調査において説明を拒み、または虚偽の説明をしたことです。

職務妨害行為等

不正の手段によって破産管財人(後述)などの職務を妨害することです。

免責不許可事由があった場合の取扱い

では、実際に上記のような行為がある場合にはどのような処理がされるのでしょうか。

自己破産の手続きには「同時廃止」と「管財事件」という類型があります。

(詳細:自己破産の「同時廃止」と「管財事件」の違い

同時廃止は債務者にこれといった財産がなく、配当の手続きが必要ないものですので、一般的には申立から2、3カ月以内くらいですみやかに手続きが終了し、免責許可決定までいくことが普通です。

一方の管財事件とは、配当できる財産が存在するか、もしくは免責不許可事由が存在する場合に取られる類型です。管財事件では裁判所によって破産管財人(主に弁護士)が選ばれます。

財産が存在する場合であれば配当をする手続きが必要になりますし、免責不許可事由においてはその内容がどのようなものだったかという調査などの手続きが必要になります。

これらの手続きは費用面でも異なります。

一般的に同時廃止であれば2万円程度の費用で手続きができることが多いのですが、管財事件の場合は破産管財人への報酬が必要になってくるため、20万円以上の費用がかかってくると考えなければなりません(どちらも法律家への報酬は別途)。

なお、裁判所によっても異なりますが、破産手続きの申立てから管財費用を積み立てる間、半年くらい待ってもらえることもありますが、管財費用をすぐ予納できないのであれば手続き自体をいったん取り下げるよう裁判所から指示されることもあります。

このあたりは担当する法律家とよく打合わせることが必要です。

もし、上記のように免責不許可事由が存在する場合であってもすべてのケースで免責を受けられないわけではありません。

むしろ、免責不許可事由が存在する中でもとりわけ悪質な一部のケースのみが免責を受けられないというのが実情です。大体、割合としては9割方は最終的に「免責相当」との破産管財人の意見を受けて免責されています(裁量免責)。

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