自己破産と「生活保護」

執筆者

元弁護士ライター 福谷 陽子

借金がかさんで返済が苦しくなったら債務整理をして解決しますが、債務整理後に生活保護を受けたい場合には、どのような債務整理方法を利用すれば良いのでしょうか?

この場合、自己破産することができるのでしょうか?自己破産後、生活保護を受けることができるのかが心配になります。

また、生活保護を受給している人が借金をしてしまった場合、債務整理で解決することが出来るのでしょうか?生活保護受給者が自己破産や他の債務整理方法を利用すると、何か問題が起こる可能性があるのかも知っておく必要があります。

そこで今回は、自己破産後に生活保護を受けたり、生活保護受給者が自己破産する場合の問題について解説します。

債務整理後、生活保護を受けたいケース

借金がかさんで返済が苦しくなっている場合、債務整理手続きを利用する事によって借金問題を解決することができます。ただ、借金の原因が生活苦の場合には、債務整理をしただけでは根本的に問題が解決できません。

生活苦の具体例1

元々は会社員であっても、病気などで働けなくなってしまった場合などがあります。収入がなくなったために借金をしてその返済ができなくなってしまうのです。

病気が完治してまた働けるようになれば生活していけますが、病気が治らず障害者などになってしまった場合には、再就職は難しくなって収入を得ることができません。すると、生活費がなくなり、また借金せざるを得なくなります。

結局、いったんは債務整理で借金をなくしても、生活を再建しないと根本的な問題解決にはならないのです。

生活苦の具体例2

生活苦の具体例としては、シングルマザーのケースなどでも多いです。シングルマザーは、比較的低収入の家庭が多いです。パートを掛け持ちして何とか家計を維持している人もいます。

子どもが小さいので思うように働けない場合や、保育園代がかえって高くつくので働いても生活費が稼げない人もたくさんいます。

このように、生活ができないので、シングルマザーの多くが借金をしてしまいます。そして借金返済ができなくなって債務整理をするのです。しかし、債務整理をしても、収入が少なくて生活ができないという状態が改善されないと、根本的に問題を解決することができません。

生活苦の場合には生活保護を受給する

借金の原因が生活苦の場合には、債務整理で借金問題を解決してそれで終わり、というわけにはいきません。生活自体を立て直す必要があるのです。

働けなかったり収入が少ないので生活ができない場合には、生活保護を受給することによって生活していくことが可能です。

生活保護とは、自力では生活を維持することができない人のために、行政から毎月手当が支給される制度のことです。

生活保護は、家族や子どもの人数などによって支給される金額が変わりますが、生活して行くには十分な金額が支給されます。

上記のように、病気で働けなくなった人やシングルマザーのケースでも、借金を整理した上で生活保護を受けることができれば、その後は借金を重ねる必要はなく、生活をしていくことができます。

借金返済があると生活保護が受けられない

生活苦が原因で借金をした場合、自己破産などの債務整理をすることも考えられますが、手続きが面倒であったり、費用が心配で自己破産に踏み切れないこともあります。しかし、債務整理をしないでそのまま生活保護を受けることはできません。

生活保護は、借金返済している状態では受給の決定がおりないからです。

生活保護の財源は、国民の貴重な税金です。よって、生活保護費は純粋に生活に困窮している人のための生活費に使われるべきであって、消費者金融などへの借金返済に使われるべきではないという判断があります。

よって、借金返済をしている人に対しては生活保護の決定が出ません。

生活苦が原因で借金した場合には、まずは債務整理で借金問題を解決してからでないと生活保護の申請ができないのです。

自己破産しても生活保護を受けられるか?

生活苦が原因で借金返済ができなくなっている場合、自己破産することが効果的です。自己破産とは、裁判所に申立をしてすべての借金返済義務を0にしてもらえる手続きのことです。借金返済義務が完全になくなるので、自己破産後に債権者への支払が残ることもなく、借金問題から完全に解放されます。

しかし、自己破産をするとさまざまな制限が課されるイメージがあります。自己破産後に生活保護を受けることはできるのでしょうか?

これについては、問題なくできます。自己破産をしても生活保護の受給について何らかの制限を受けることはありません。実際に、多くの人が自己破産で借金問題を解決した後、すぐに生活保護の申請をして生活保護受給者となっています。

市町村役場やケースワーカーに生活保護の相談をした場合、借金があることがわかると自己破産をすすめられることも多いです。

法テラスを利用すると費用がかからない

生活苦が原因で借金返済ができない場合、自己破産にかかる費用を用意出来ないことが心配になる人が多いです。

ただ、自己破産後、生活保護受給を予定している場合には、「法テラス」を利用すると費用の負担がとても軽くなります。

法テラスとは、正式名称を日本司法支援センターと言い、国の法務省の管轄の機関です。経済的に余裕のない人のための法律的支援を目的としています。

法テラスには、「民事法律扶助」という制度があります。民事法律扶助とは、法テラスが自己破産などにかかる弁護士費用や実費をいったん立替払いしてくれるので、利用者はその後法テラスに対して立替金を償還していくという制度です。

もちろん償還に際して利息や手数料はかかりません。また、償還が必要になる金額も、通常の弁護士事務所で弁護士に依頼するよりも安いです。

一ヶ月の償還金額も、5,000円程度にまで抑えることができますし、その支払いも苦しい場合には償還の猶予や免除の制度もあります。

また、生活保護受給者となった場合には、法テラスへの返済は不要になります。よって、生活苦が原因で自己破産した後も、その後生活保護が受給できるようになったときには、法テラスにその旨を報告したら、その後の法テラスへの返済は不要になります。

このように、法テラスの民事法律扶助を利用すると、自己破産にかかる費用負担がとても軽くなるので、是非とも利用しましょう。

他の債務整理手続きは利用出来ない

借金返済が苦しいけれども生活保護を受給したい場合、自己破産以外の方法で債務整理をすることはできないのでしょうか?たとえば任意整理個人再生などによって借金問題を解決した上で生活保護を受けることができないのかなどが問題になります。

この点、2で説明したように、借金返済している状態では生活保護を受給することができません。

しかし、任意整理や特定調停、個人再生の場合には、手続き後に債権者に対する支払が残ります。このように、借金返済がある状態だと、生活保護の審査に通りません。よって、自己破産以外の他の債務整理方法を利用してしまうと、その後支払を続けている間は生活保護を受けることができないのです。

生活苦の状態で借金返済を抱えている場合には、生活保護を受けたいならば必ず自己破産をする必要があります。

間違って他の債務整理方法を利用してしまうと、生活保護が受けられずに生活苦から抜け出すことができなくなってしまうので、注意が必要です。

生活保護受給者が借金するとどうなる?

次に、生活保護受給者が借金をするとどのような問題があるのかについて見てみましょう。

先ほども説明したように、生活保護を受給する場合には、借金返済をすることが認められていません。よって、生活保護受給者は、当然借金をしてはいけません。このことは、市町村などの担当者からも説明を受けますし、厳しく管理されることになります。

市町村役場に黙って借金をしてこっそり返済している場合、そのことがバレれば厳重注意されます。度重なると、生活保護の受給を停止されたり、生活保護の受給権がなくなってしまう可能性もあります。

よって、生活保護を受給する場合には、絶対に借金をしてはいけません。

生活保護受給者も自己破産できる?

生活保護受給者は借金してはいけないことになっていますが、中には役所に黙って借金をしてしまう人がいます。このように、生活保護受給者が借金をした場合、自己破産することによって解決できるのでしょうか?

この質問に対しては「できる」ということになります。生活保護受給者だからといって自己破産することが制限されることはありません。

借金額が少なくても自己破産できる

生活保護受給者の場合、通常の自己破産事件よりも借金額が少ないケースが多いです。たとえば100万円以下の数十万円であったり、ときには50万円以下の借金しかない人もいます。

このように、借金の金額が少ない場合も自己破産はできるのでしょうか?

自己破産するためには「支払不能」状態である必要があります。支払不能かどうかについては、個別の債務者の状況に応じて判断されます。通常100万円以下の借金の場合には、返済が可能なケースが多いです。そのような場合には、100万円以下の借金しかない場合には自己破産はできません。

ただ、生活保護受給者の場合には、100万円以下の借金でも支払いができないことが普通です。よって、この場合には、100万円以下の借金しかなくても、50万円以下の借金であっても自己破産が認められるのです。

よって、生活保護受給者が借金を負っていて返済ができなくなっている場合には、借金額が少額でも自己破産で解決することができます。

自己破産では、「借金の額が何円以上」という借金の最低額についての制限はないのです。

生活保護受給者が債務整理する方法

生活保護受給者が借金を抱えている場合に、自己破産以外の債務整理方法を利用することはできるのでしょうか?

この問題も「生活保護受給者は借金返済することが認められていない」ことと関連します。

債務整理において、自己破産以外の他の方法を利用すると、手続き後に借金返済が残ってしまいます。生活保護受給者が任意整理や個人再生をすると、その後に生活保護費から債権者に対して支払を継続していかなければならないことになってしまいます。

たとえ債務整理の結果の支払であっても、生活保護受給者が生活保護費から借金の支払いをすることは認められていません。よって、生活保護受給者が債務整理をする場合には、自己破産以外の他の債務整理方法を利用することはできません。

もし生活保護受給者が個人再生などをして、こっそり借金返済をしていたら、そのことが役所にバレた場合に生活保護を止められてしまうおそれもあります。

生活保護を受けている場合に債務整理をするなら、必ず自己破産によって借金を0にしてもらう必要があるのです。

生活保護受給者が自己破産するなら法テラスを利用する

生活保護受給者が借金をしてしまったら自己破産する必要があります。早急に自己破産をしないと、借金返済をしていることが役所に判明して生活保護費を止められてしまうこともあり得るので、急いで手続きしなければなりません。

しかし、生活保護を受給している場合には、預貯金などはありません。よって、自己破産にかかる弁護士費用を用意出来ないことがほとんどです。

生活保護受給者が自己破産をする場合、弁護士費用が用意出来ない場合にはどのように対処したらよいのでしょうか?

この場合にも、法テラスを利用する方法が効果的です。法テラスの民事法律扶助は、生活保護を現に受給している人でも利用出来ます。

生活保護受給者が民事法律扶助を利用して弁護士費用や実費の立替を受けた場合には、はじめから弁護士費用の償還が完全に不要になります。

また、自己破産をする場合には予納金も必要になりますが、生活保護受給者の場合には、法テラスから予納金も含めた立替を受けることができます(一般の人の場合には予納金は自己負担になります)。

このように、生活保護受給者の場合には、法テラスを利用すると、実質的に負担0で自己破産ができます。

このことはとても有利なので、生活保護を受けていて自己破産したい場合には、是非とも法テラスを利用すると良いでしょう。

まとめ

今回は、自己破産と生活保護の関係について解説しました。

生活苦で借金をかかえている場合には、自己破産をして借金を0にしてもらうことによって、生活保護が受けられます。

また、生活保護を受けている場合に借金してしまった場合にも、自己破産をすることによって問題を解決できます。生活保護を受ける場合、借金返済をすることが認められないので、自己破産以外の他の債務整理方法を利用することはできません。

生活保護を視野に入れていたり、現に生活保護を受けている場合には、自己破産を利用して借金問題を解決しましょう。

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