過払い金請求と「時効」

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執筆者

佐藤元宣FP事務所

FP 佐藤 元宣

テレビやラジオで頻繁に流れている過払い金返還請求のCMですが、最近ではポスティングされるフリーペーパーにまで過払い金返還請求の広告が掲載されているのをよく目にするようになりました。

消費者金融や銀行系のカードローンなど複数の貸金業者からお金を借りている人、いわゆる多重債務者にとってみると、この過払い金請求はとても興味深いものだと思います。

何といってもうまく成功すれば、今抱えている借金が大幅に減額されるだけでなく、場合によっては借金が無くなる他にお金まで戻ってくるかもしれないわけですから気になるのは当然です。

本記事では、そのような多重債務者を対象に過払い金請求の基本から専門的なところまで幅広く解説する他、過払い金請求の「時効」についても合わせて解説していきます。

そもそも過払い金請求とは

過払い金とは、簡単に説明すると「貸金業者に返しすぎたお金」のことをいいます。お金に限ったことではありませんが、人から借りたものを返すのは人として当然のことです。

しかしながら、貸金業者からの借金のようにそもそも返済しなくともよいお金まで返済しているということは、返しすぎたお金は貸金業者に対して返してもらうよう当然に請求できることになります。これがいわゆる「過払い金請求」です。

なぜ過払い金が発生するのか

過払い金が発生する仕組みを解説するには「利息制限法」と「旧出資法」という2つの法律の関係が問題となります。

消費者金融から何年も前からお金を借りている人はイメージがわきやすいと考えますが、その昔、貸金業者の多くは年利率「29.2%」という旧出資法で定められていた最高上限利率に近い金利でお金を貸し付けていました。しかしながら、利息制限法では上限金利を以下のように規定しています。

  • 貸金が10万円未満の場合、上限利率「年20%」まで
  • 貸金が10万円以上100万円未満の場合、上限利率「年18%」まで
  • 貸金が100万円以上の場合、上限利率「年15%」まで

そして、上記の上限を超えた利息分の支払いは「無効」であると規定しています。

これは、仮に旧出資法の上限金利である29.2%で50万円の借金をしていた場合、利息制限法では上限金利が18%ですから、その差11.2%の利息分は多く返済していることになり「無効」であることを意味します。この無効となった利息分は、現在借入している元本の返済にまずは充てられることになります。

もしも、この無効となった利息が現在借入している元本を超えていた場合には差額が「過払い金」となりますので、貸金業者に過払い金請求をすることで返還されることになります。過払い金が発生する仕組みは、ざっくり解説するとこのようになっています。

過払い金が発生するおおよその期間とは

過払い金の仕組みは前項で解説した通りですが、そもそもこの過払い金が発生するにはおおよそどのくらいの期間がかかるのでしょう?

これは、貸金の契約内容によるため一概に言えない部分もありますが、先に解説したような「上限利率を超えている状態」で「取引期間がおおよそ5年から7年」で過払い金が発生するとされています。

ここでいう一概に言えない部分は、小さな借入や返済を頻繁に行っていた場合などが該当しますが、こちらは弁護士や司法書士といった専門家が借入履歴などを確認しながら行うこととなるため、特段気にする必要はありません。過払い金が発生するおおよその期間と目安を以下に紹介します。

上限利率を超えている状態 過払い金の発生可能性
5年以上 高い
7年以上 極めて高い
10年以上 ほぼ確実

上記はあくまでも過払い金が発生するおおよその目安です。大切なのは、この過払い金請求を確実に実行してくれる弁護士や司法書士といった専門家選びです。(参考:債務整理の成功率を格段に上げる弁護士・司法書士の探し方

過払い金の有無は「平成19年」が大きなポイント

過払い金が発生する目安は先に解説した通りですが、この過払い金が発生するか、発生しないかは「平成19年」が大きなポイントになります。この理由は、平成18年12月に行われた「出資法」と「利息制限法」の法律改正にあります。

「1-1. なぜ過払い金が発生するのか」ですでに解説しましたように、過払い金が発生する理由は、旧出資法と利息制限法の上限金利の差額が原因です。

貸金業者の多くは、平成18年12月の法律改正を受けて、「平成19年4月」までに現在の法律で定められている上限金利20%まで利率を引き下げました。

つまり、平成19年以降に貸金業者と契約した場合には、過払い金の発生する可能性が低くなりますが、平成19年より前に貸金業者とお金の貸し借りがあった場合には過払い金がある可能性が高くなるわけです。

過払い金の請求は1人でできるのか

過払い金請求を確実に実行してくれる弁護士や司法書士といった専門家がいることは心強いものです。多重債務者のみなさまの中には「費用がかかるから1人でやりたい」と考える人も少なからずおられると思いますが、はたして過払い金の請求は本当に1人でできるものなのでしょうか?

結論からいうと、専門家でなくとも過払い金の請求と回収は行うことができます。しかし、時間や手間が多くかかる他、勉強する努力や多くの困難があるといったことをよく理解した上で行う必要があることは言うまでもありません。

多くの困難の一例として「そもそも貸金業者は過払い金の返還請求に素直に応じない」ことが挙げられますが、これはお金を借りている本人であることや素人であることが原因で貸金業者に甘く見られることが考えられます。そのため誠実な対応をしないことが十分に考えられるわけです。

過払い金が発生する場合は、先に解説した通り現在の借入金に充当されますが、多くの過払い金が発生している場合には「専門家へ支払う報酬もまかなえる」といった大きな強みがあります。余程の事情がない限り、過払い金請求は専門家へ依頼するのが最適であるといえます。

過払い金回収手続きの流れ

過払い金返還請求は、専門家へ依頼する場合も自分で行う場合も手続きの流れに違いはありません。過払い金の返還請求において最初に行わなければならないことは「当初の借入日を確認すること」になりますが、これは「契約書」「借用書」などで確認します。

そして、当初の借入日から最後の貸借日までの「全取引」について把握しておく必要があります。とはいえ、長期間に渡って貸金業者とのお金の貸し借りを証明するための「ATM伝票」などといった証拠になる書類をすべて保管しているなどは実際問題として不可能に近いと考えます。

それは、貸金業者などから借りたお金についての証拠を残しておきたくないと考える人が多いためです。そのため、実務上では貸金業者に対して「取引履歴の開示請求」を行います。この請求を行うことで「借入の開始から最後までの全取引」を把握することが可能になります。

そして、先に解説した利息制限法で定められている上限利率に引き直して再計算することによって過払い金を求める流れとなります。

過払い金請求の「時効」について

ここまで過払い金請求について幅広く解説してきました。実際に過払い金が発生しそうだと感じられた方も少なくないと考えますが、この過払い金請求はいつまでも認められるわけではありません。

いわゆる「時効」が過払い金請求にもあるのですが、テレビやラジオCMなどでも盛んにPRしている過払い金請求の時効とはいったいどのくらい期間だと思いますか?

答えは「5年間」もしくは「10年間」です。

なぜ時効期間が2つあるのか?この理由は貸金業者が「会社」か「個人」かによって法律で定められている時効が異なっているためになります。

たとえば、銀行が貸付している銀行系カードローンや消費者金融が貸付しているキャッシングは、どちらも儲けるために営んでいる営業行為であるといえます。

これは、貸し付けたお金に対して利息を付けて回収しており、この利息分が儲けにあたっているからです。このようなことを法律では「営業的商行為」としてその時効を「5年間」と定めています。

一方で貸金業者が「個人」の場合もあり、この場合は「営業的商行為」にあたらないといった民法の原則があり、このことから時効は「10年間」とされています。

具体的には「銀行系のカードローン」や「大手消費者金融からのキャッシング」は「会社」からの借入になりますので、過払い金返還請求の時効は「5年間」になります。

一方、個人間におけるお金の貸し借りによる時効は「10年間」です。きっとすでに時効を過ぎてしまったという方もたくさんおられると思いますが、時効には細かなルールが法律で定められています。次項ではこのことについて解説していきます。

時効の「援用」

民法では時効について、お金を借りている本人や連帯保証人が「援用」しなければそもそも成立しないこととしています。

この援用とは、貸金業者などに対して「時効期間を迎えました」と伝えることをいいます。時効の援用をすることによって、過払い金返還請求の時効である5年間や10年間が過ぎてあったとしても当然に債権が無くならないことを意味します。

要は、過払い金請求が時効期間を過ぎてもできる場合があるということです。とはいえ、こちらに関しましては貸金業者のさまざまな対応によって時効の援用が受けられなくなる場合も事例としてありますので、弁護士や司法書士といった専門家へ相談、依頼することを強くおすすめします。

時効の「中断」

ここからは時効の中断について解説していきますが、まずは過払い金の返還請求についてもう一度改めて確認していきましょう。

過払い金の返還請求は、貸金業者に対して返しすぎたお金を戻してもらうための手続きをいいます。そして、過払い金の返還請求には時効があり貸金業者の場合は5年間、個人の場合は10年間であることを解説しました。

さらに、5年や10年といった時効が仮に過ぎてしまった場合でも時効の援用を行うことで過払い金請求ができる場合があることも解説しました。

いわば時効の援用は、多重債務者からすれば貸金業者に対する「攻め」であるといえます。一方、これから解説する時効の中断は、貸金業者が多重債務者に対して行う「攻め」といっても過言ではありません。

時効の中断とは、時効が進行している間において一旦その時間経過を停止することをいいます。つまり、貸金業者が多重債務者に対する5年や10年といった時効が経過していくのを一旦ストップしてもらうといったイメージです。

貸金業者からしますと多重債務者に時効の援用をされることで「貸したお金を返してください」といった請求ができなくなることを避けるために時効の援用を避けようと考えるわけです。

具体的には、貸金業者は多重債務者に対する時効の成立が近くなると、執拗に少額のお金を支払うよう求めたり、損害賠償を請求するといった脅しとも取れるような重々しい文書を送付したりすることがあります。

これに多重債務者が応じることによって「時効の援用する権利が無くなる」ため貸金業者としては、時効を気にすることなく借金の返済を請求できるわけです。

多重債務者からすると貸金業者からのこのような請求に応じることによって、結果として時効の援用ができなくなることにつながり、自分にとって不利になってしまうことばかりなのです。

重要なポイントとして、貸金業者からこのような請求がされた場合は「動揺してあわてて返済をしてしまうのではなく、まずは専門家に相談するべき」と強く伝えておきたいと思っています。それが自分の身を守るための第一歩なのです。

何か難しすぎてよくわからないと感じている方も多いと思いますが、難しすぎて当然なのです。だからこそ弁護士や司法書士といった専門家がおり、過払い金請求の方法だけでなく、それに関係する法律を知っておかなければかえって自分にとって逆効果になってしまうことを伝えたいのです。

まとめ

本記事では、過払い金請求と時効について幅広く解説させていただきました。今回の解説内容で押さえておいていただきたい要点を以下にまとめております。

  • 過払い金の有無は「平成19年」が大きなポイント
  • 平成19年以降の新たな契約借入は、過払い金がほぼ見込まれない
  • 上限利率を超えている状態が「5年以上」=過払い金の発生可能性「高い」
  • 上限利率を超えている状態が「7年以上」=過払い金の発生可能性「極めて高い」
  • 上限利率を超えている状態が「10年以上」=過払い金の発生可能性「ほぼ確実」
  • 貸金業者からの時効は「5年間」個人間は「10年間」
  • 特段の事情がなければ、過払い金の請求は弁護士や司法書士などの専門家へ相談する

多重債務で苦しんでいる方の多くは、きっと最後まで読んでくださったのではと考えております。わからない部分は再度読み直しつつ、本記事が多重債務から抜け出すための新たな一歩を踏み出せるきっかけになってもらえれば幸いです。

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