過払い金請求で返ってきたお金と税金

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執筆者

佐藤元宣FP事務所

FP 佐藤 元宣

消費者金融やクレジットカードのキャッシングなど長年に渡ってお金の貸し借りをしている人は、貸金業者に対して「過払い金請求」をすることで借金がすべて無くなったり、お金が返ってきたりすることがあります。

仮に過払い金請求によって多くのお金が返ってきた場合、このお金に対して税金がかかるのか気になる人もおられるのではないでしょうか?せっかくお金が返ってきたとしても税金が多く取られてしまうことは、嬉しさや安堵感が削がれてしまう原因にもなり兼ねません。

本記事では、過払い金請求によって返ってくるお金、いわゆる「過払い金」における基本情報から税金の有無まで幅広く詳細に解説していきます。これから過払い金請求をしようと検討している方は必見です。

過払い金請求で返ってきたお金とは

過払い金とは「貸金業者に返しすぎたお金」のことをいいます。過払い金請求の簡単な流れとしては、過払い金請求をするための必要書類を揃えて引き直し計算をします。

そして、貸金業者に対して返し過ぎてしまったお金を再計算し、過払い金請求をすることによって返しすぎたお金が戻ってくるといった流れになります。こちらについては同サイト内の過払い金請求と「時効」で詳しく解説しておりますので、そちらを参考にしてみてください。

引き直し計算とは

引き直し計算とは「貸金業者に返しすぎたお金を再計算すること」をいいます。

過払い金が発生する仕組みを解説するには「利息制限法」と「旧出資法」という2つの法律で定められている「上限利率」が深く関係しており、具体的には旧出資法で定められていた上限利率「29.2%」程度のものを、利息制限法の上限利率「20%」程度で再計算し本来あるべき借金額を確定させる計算が引き直し計算です。

こちらについても同サイト内の「過払い金請求と「時効」1-1. なぜ過払い金が発生するのか」で詳しく解説しておりますので、そちらを参考に読み進めることをおすすめします。

重々しい!?不当利得とは

不当利得とは、たとえば商品を買って購入代金が「消費税込10,000円」だったのにも関わらず、「消費税込10,800円」を知らずに請求されて支払ったことによって、800円を無駄に損してしまったといったイメージのことをいいます。

「1-1. 引き直し計算とは」で解説しましたように、債務者が貸金業者に対して本来20%の利息分を支払えばよいものが、仮に29.2%の利息を支払っていたとしたら、単純に9.2%分の利息分は多く支払っていたことになります。

これが過払い金の仕組みであるのと同時に、これから解説する「不当利得」に該当しますが、不当利得について民法703条では以下のように定めています。

法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(受益者)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う

出典 民法703条 不当利得の返還義務より引用

これを貸金業者と債務者の立場で解説します。

仮に旧出資法の上限利率である「29.2%」でお金を長期間借りていた債務者は、法律が改正されて「20%」の上限利率であったとしても、当時の契約書に則った利率(29.2%)のままでお金を返済していた場合、常に9.2%の利息分は本来、貸金業者に返す必要のないお金であることがわかります。

これを民法703条の条文にあてはめてみますと、貸金業者は「他人(債務者)の財産(返済金)によって利益を受けた(儲けた)」ことになります。

そのために他人(債務者)に損をさせてしまった受益者(貸金業者)は、儲けた分までを限度として債務者に返さなければならないといった解釈になります。以下は数字に置き換えたイメージ表です。

単利で貸金業者から100万円を借りていると仮定
利率 29.2% 利率 20.0% 不当な利率 9.2%
年間利息 292,000円 年間利息 200,000円 過払い金 92,000円

上記表から単純計算で数字に置き換えただけで92,000円もの過払い金が発生していることがわかります。

つまりこの92,000円は貸金業者が債務者から得た不当利得となり、債務者へ返還しなければならないことが最高裁判所の判例で明確になっています。「長期間」「高額」「複利」といった条件が絡み合うことで、相当な金額の過払い金が発生する可能性のあることを理解できるのではないでしょうか?

過払い金に利息は付されるのか

前項において過払い金は、貸金業者が債務者から得た「不当利得」であることを解説しました。では、貸金業者から本来返してもらえるべき過払い金に対して返してもらうまでの期間における「利息」はどのような取り扱いになっているのでしょう?

返済するお金に大きな利息を付していた貸金業者に対して債務者は、自身のお金である過払い金に大きな利息を付すことがはたしてできるのでしょうか?ここでは、過払い金と利息の関係について詳しく解説していきます。

過払い金返還請求における利率は最高裁判所の判決で確定した

はじめに解説しなければなりませんが、貸金業者が債務者に対して返還する過払い金に利息は付されます。これは法律改正された貸金業法が、平成22年6月18日に完全施行されたことによって確定しました。

そして、過払い金返還請求における利率は、「5%」なのか「6%」なのかといった解釈が、専門家である弁護士の間でもたびたび分かれていた時期もありました。

この利率の根拠は民法や商法といった他の法律と大きく関係しているものの、平成19年2月13日の最高裁判所の判決において、過払い金返還請求において請求できる利率は「年利率5%」と確定しました。

ずる賢い!?錯誤無効とは

消費者金融などからお金を借りている人の中には、一度すべての借金を完済し、しばらくしてからまたお金を借りるといった人もいます。

この時、一度すべての借金を完済した時点ですでに過払い金が発生しているのにもかかわらず、このことを告げなかった貸金業者に対して「過払い金があることを知っていたら最初からお金を借りていない」と2回目の借入は無効であると訴える人が増えてきました。

このような訴えを「錯誤無効」と言いますが、はたしてこれは無効になるのでしょうか?

貸金業者からの借入を一般的に考えた場合、一時的に手元にお金が無かったり、緊急にお金が必要であることなどが予測され、過払い金があったからといってお金を借りることはなかったとは言えません。錯誤無効を主張するためには詳細に説得できなければ困難であることは言うまでもありません。

ここから本題!過払い金で返ってきたお金に税金はかかるのか

貸金業者とのお金の貸し借りが長期間に渡っている場合、過払い金請求をすることによって多くの過払い金が戻ってくる可能性がありますが、このお金に対する質問について国税庁は以下のように回答をしています。

質問

“貸金業者から借り入れた家事上の借入金について利息を支払っていました。その利息のうち利息制限法に規定する利息の制限額を超える部分(以下「制限超過利息」といいます。)について過払金の返還を求める訴訟を提起したところ、判決により、制限超過利息は元本に充当された上で、なお過払となっている部分の金額が返還され、その返還までの利息の支払を受けることになりました。この場合、課税上どのように取り扱われますか”

回答

“返還金について課税関係は生じませんが、返還金に付された利息については、その支払を受けた日の属する年分の雑所得の金額の計算上総収入金額に算入します。過払分として返還された制限超過利息は、利息として支払った金銭のうち払い過ぎとなっている部分について返還を受けたものであり、所得が生じているものではありません。このため、制限超過利息の支払額が各年分の各種所得の金額の計算上必要経費に算入されている場合を除き、課税関係は生じませんが、返還金に付された利息については、その支払を受けた日の属する年分の雑所得の金額の計算上総収入金額に算入する必要があります”

出典 国税庁ホームページ 返還を受けた利息制限法の制限超過利息より引用

この回答を要約しますと、過払い金の元本については税金がかからないものの、過払い金に付いた利息は税金がかかると国税庁は回答しています。次項では、過払い金の元本と利息についての関係を解説していきます。

元本と利息の関係

過払い金の元本と利息につきましては、借入している貸金業者との契約や借入期間などによって異なるため、一概に解説できにくい部分もありますが、ここでは以下の表に基づいて過払い金の元本と利息のイメージについて解説していきます。

単利で貸金業者から100万円を借りていると仮定
利率 29.2% 利率 20.0% 不当な利率 9.2%
年間利息 292,000円 年間利息 200,000円 過払い金 92,000円

現在、単利で貸金業者から100万円を借りていると仮定し、上記表のように過払い金が9.2万円発生した場合、100万円の借入金(元本)に充当され、本来の借入金は90.8万円になるのが過払い金請求の効果です。

仮に現在の借入金が5万円と仮定すると過払い金9.2万円の内、5万円が借金の返済に充てられ、差し引いた4.2万円が返還されることになります。

そして「過払い金返還請求における利率は最高裁判所の判決で確定した」で解説しましたように、過払い金に対して年利率5%の利息が付されることになりますので、2,100円が加算された44,100円が戻ってくるといったイメージです。

ここで実際に返還される44,100円の内、元本が30,000円、利息が14,100円だったとすると、国税庁の回答にありましたように、利息分の14,100円が税金の対象になります。「引き直し計算とは」で解説した再計算を弁護士や司法書士といった専門家が行うことで「過払い金の有無」「過払い金の金額」「過払い金の元本と利息の内訳」といったさまざまな詳細を提供してくれることになるため、その結果で税金の有無についても確認することが可能になります。

雑所得とは

過払い金について返還される利息については、「雑所得」として課税の対象になる旨を解説しました。

所得税法では、毎月の給与を給与所得、退職金を退職所得などといったようにそれぞれの内容によって所得を全部で10種類に分類しており、雑所得とは所得税法で定められている雑所得を除く9種類の所得に該当しない場合の所得と定めています。

同時に雑所得には計算式が設けられており「総収入金額-必要経費」で求めることができます。ここでいう総収入金額は、前項の例でいう利息分の14,100円が該当し、必要経費は、弁護士や司法書士へ過払い金請求を依頼した報酬などが含まれると考えられます。

なお、計算結果がマイナスになった場合は、税金の計算上、雑所得は0円として計算されるため税金はかからないといったことになります。

専門家へ確認しておくことが大切

過払い金請求で返ってきたお金と税金については、やはり専門家へ尋ねることが望ましいと思われます。

たとえば、過払い金請求は弁護士や司法書士といった専門家に依頼することになりますが、過払い金がすべて現在の借金と相殺され、かつ、過払い金が返還されるということは、相当な期間や金額について貸金業者と取引があったと考えられます。

国税庁の回答のように過払い金に対する利息が生じる場合には、あらかじめ弁護士や司法書士へそのようなお金が発生するのか確認しておくことが大切です。

特に過払い金の返還金額が高額な場合には、税務署からその高額なお金をどのようにして手に入れたのか、税金の申告をしていないのでは、といったことなどについて問い合わせがあることもあります。

あくまでも金額によって対応が異なると前置きをしてから解説しますが、会社員のように毎月給与を貰っている場合、給与所得として税金がかかりますが、これに過払い金利息である雑所得まで生じることになりますと、所得税法上、確定申告をしなければならない可能性が高くなります。

これを行っていないことは、税務署側から税金を多く徴収されることに繋がったり多くの手間がかかる原因にもなり得ます。このような状況を避けるためにも税の専門家である税理士や最寄りの税務署などへあらかじめ問い合わせて手続きについて確認しておく必要もあるでしょう。

まとめ

過払い金請求で返ってきたお金と税金について幅広く解説しました。本記事における要点について以下へ箇条書きしていきます。

  • 過払い金は利息に対してのみ税金の対象となる
  • 過払い金の利息は、専門家の引き直し計算によって確認することが可能
  • 過払い金の返還額が高額な時は税理士等にも相談する

過払い金請求をすることで現在抱えている借金がすべて相殺され、かつ、過払い金として返還されなければ税金が生じることは絶対にありません。つまり、専門家の引き直し計算の結果、このような状況になることが確定した場合には税理士等へも相談することを忘れないようにしたいものです。

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