個人再生の不認可(失敗4パターン)と対処方法

執筆者

元弁護士ライター 福谷 陽子

個人再生を利用すると、借金の金額を大幅に減額してもらうことができる上、住宅ローン支払い中であっても住宅ローンはそのまま支払を続けて、他の借金だけ減額してもらう手続き(住宅資金特別条項)などもあって、とてもメリットが大きいです。

このように便利なので人気のある個人再生手続きですが、個人再生をしようとしても、再生計画が不認可になるなどの理由で、個人再生に失敗してしまうことがあります。

個人再生が失敗する理由には、どのようなものがあるのでしょうか?

失敗しないための対処方法も知っておく必要があります。そこで今回は、個人再生が不認可になったり失敗するパターンと、そうならないための対処方法について解説します。

個人再生が失敗するパターン

個人再生が失敗するケースとしては、再生計画案が不認可になる場合というイメージが強いですが、実は個人再生の失敗パターンには、不認可以外にもいくつかの種類があります。

具体的には、以下の4つになります。

  • 失敗パターン1:申立の棄却
  • 失敗パターン2:手続きが廃止される
  • 失敗パターン3:再生計画案が不認可になる
  • 失敗パターン4:再生計画案が1度は認可されたけれども、その後取り消される

1つは個人再生の申立の棄却です。2つ目は、個人再生手続きが廃止されるケースです。3つ目は、個人再生の再生計画案が不認可になる場合です。4つ目は、再生計画案が1度は認可されたけれども、その後取り消される場合です。

以下では、この4つの個人再生の失敗パターンに分けて、順番に説明します。

失敗パターン1:個人再生が棄却されるケース

個人再生の失敗パターンとして、個人再生の申立が棄却されるケースがあります。

棄却とは

個人再生の申立の棄却とは、個人再生の要件を満たしていないため、個人再生の申立があってもそれが棄却されてしまうことです。

個人再生が棄却される場合には、個人再生の手続き開始決定が出ることもなく、申立をするとすぐに棄却されてしまいます。この場合には、それ以上手続きをすすめることはできないので、個人再生は失敗します。

棄却される場合

個人再生の申立が棄却される場合は、以下のとおりです。

  • 借金額が5000万円を超える場合(住宅資金特別条項を利用する場合には住宅ローンを除いた借金額)
  • 個人再生の費用の予納がない場合
  • 再生計画案の作成や認可の見込みがないことが明らかな場合
  • 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたときや、申立てが誠実にされたものでない場合
  • 明らかに収入が不足する場合

棄却されないための対処方法

個人再生の申立が棄却されないためには、どのような対処方法があるのでしょうか?

まず、借金額が5000万円を超えていないかどうかをきちんと確認することです。住宅資金特別条項を利用する場合には、住宅ローン以外の借金が5000万円を超えていると申立が棄却されます。

また、明らかに収入がなかったり、足りないのに申立をしても棄却されてしまうので、自分の収入状況を確認してから申立をしましょう。

その他、特定の債権者だけに返済をしながら個人再生の申立をすると、不当な目的と見なされて個人再生が棄却される可能性があるので、そのようなことのないように注意しましょう。

失敗パターン2:個人再生が廃止されるケース

個人再生が失敗するパターンとして、個人再生手続きが廃止されるケースがあります。以下で、具体的に見てみましょう。

個人再生手続きの廃止とは

個人再生手続きの廃止とは、いったん個人再生手続きが開始されたけれども、その後問題があったために手続きが途中で終了してしまうことです。

個人再生が廃止されると、再生計画案が認可されることはないので借金が減額されることもなく、個人再生は失敗します。      

廃止される場合

個人再生手続きが廃止されるケースは、以下のようなケースです。

  • 財産目録に記載すべき財産の記載をしなかったり、不正な記載をした場合
  • 再生計画案の作成の見込みがない場合
  • 裁判所の定めた期間やそれを延長した期間内に再生計画案の提出がないとき、またはその期間内に提出されたすべての再生計画案が決議に付するに足りないものであるとき
  • 再生計画案が否決された場合

廃止されないための対処方法

誠実に対処する

個人再生が廃止される最も大きな原因は、再生計画案が債権者によって可決されないことです。この問題を避けるためには、手続き前や手続き開始後に、債権者に対して誠実に対応することです。

たとえば、個人再生の手続きを弁護士に依頼した後、クレジットカードの利用が止められるまでの間、少し期間が空くことがあります。

この間に、クレジットカードを使って多額のお金を引き出しておいて、その後すぐに個人再生を申し立てて、その出金分まですべて減額してもらう内容の再生計画案を立てた場合などには、債権者が再生計画案の内容に対して異議を出してくることがあります。

債権者にしてみれば、すでに弁護士に手続きを依頼しており、債権者としても請求手続きを止めているのに、債務者が返済の意思も全くないのに多額の出金をしていることになるので、だまされたような気持ちになってしまうからです。

このように、債権者に対して不誠実な態度をとると、再生計画案に異議を出されることがあります。

財産隠しをしない

また、財産目録には、きちんと手持ちのすべての財産について記載することが必要です。

個人再生では、債務者が所有する財産分については、最低限債権者に支払をしなければならないという原則があります(清算価値保障原則)。

そこで、債権者への支払を減らしたいがために、財産目録にすべての財産の記載をしなかったり、虚偽の記載をしてしまいたくなる人もいます。しかし、そのようなことをすると、結局個人再生手続きが廃止されて手続き自体に失敗してしまうおそれがあります。

たとえば、実は高額な生命保険に加入しているのにそれを隠して財産目録に記載しなかった場合や、車を持っているのにそれを財産目録に記載しなかった場合などには、個人再生手続きが廃止されてしまいます。

提出期限を守る

また、再生計画案は、裁判所が定めた期間内に作成して提出する必要があります。この場合、計算なども正確に行い、きちんとした内容のものを提出しないといけません。

再生計画案を期限内に提出しないと、個人再生手続きが廃止されてしまうおそれがあります。再生計画案の作成のために弁護士に協力を求められた場合などには、きちんと質問に答えるなどして協力することが重要です。

失敗パターン3:再生計画案が不認可になるケース

個人再生が失敗するパターンとして、再生計画案が不認可になるケースがあります。

不認可とは

個人再生の再生計画案が不認可になる場合とは、裁判所に再生計画案を提出したけれども、裁判所がその内容を認可しないケースです。

個人再生では、再生計画案が認可されることによって初めて借金が減額されるので、再生計画案が認可されないと借金は減額されずそのまま残ってしまい、手続きに失敗してしまいます。

不認可になる場合

再生計画案が不認可になる場合は、具体的には以下のような場合です。

  • 再生手続や再生計画が法律の規定に違反していて、その不備が補正できない場合(ただし、法律違反の程度が軽微であるときは、この限りでない)
  • 再生計画が遂行される見込みがないと場合
  • 再生計画が遂行される見込みがないと場合
  • 再生計画が不正の方法によって成立した場合
  • 再生計画の内容が再生債権者の一般の利益に反する場合
  • 再生債務者が将来反復継続した収入を得られる見込みがない場合
  • 無異議債権と評価済債権の額の総額が5000万円を超えているとき
  • 債務者が債権者一覧表に住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思があると記載したのに、再生計画に住宅資金特別条項の定めがない場合
  • 住宅資金特別条項を利用した場合に、住宅の所有権や住宅に利用している土地を使用する権利を失うと見込まれる場合

不認可にならないための対処方法

個人再生の再生計画案が不認可にならないためには、どのような対処方法をとればよいのでしょうか?

財産隠しをしない

まずは、財産隠しをしないことです。たとえば、不動産をもっている場合に親族などに不動産の名義を移転して財産隠しをして、個人再生後に再度不動産を返してもらおうとすると、再生計画案の内容が不正の方法によって成立したとみなされる可能性があります。

財産隠しをしてそれを前提に再生計画案を作成しても、その内容は認められず不認可になってしまうのです。

偏頗(へんぱ)弁済をしない

また、再生計画が不認可にならないためには、一部の債権者にのみ返済をするという偏頗弁済をしないということです。

個人再生では、すべての債権者を平等に扱わなければならないという「債権者平等の原則」が働きます。よって、一部の債権者にのみ返済することは認められません。

もし、個人再生の申立の直前などに、一部の債権者にのみ支払をした場合には、その支払をした金額を最低弁済額に上乗せして再生計画案を作成する必要があります。

ところが、偏頗弁済をしたにもかかわらず、その分を上乗せしないで再生計画案を作成して提出した場合には、その再生計画案の内容は、一般債権者の利益に反するということになって、不認可になってしまいます。

よって、再生計画案が不認可にならないためには、そもそも偏頗弁済は絶対にしないこと、もししてしまったら、きちんと最低弁済額に上乗せをして再生計画案を作成することが必要になります。

収入要件にも注意

さらに、ここでもやはり収入が問題になります。再生計画案に定めた返済計画を実行できるに足りる収入が無い場合には、再生計画は不認可になってしまいます。個人再生を利用する場合には、収入を維持することが重要です。くれぐれも途中で職を失うことなどのないように注意しましょう。

住宅ローン特則を利用する場合

住宅資金特別条項を利用する場合にも注意が必要です。この場合、住宅が建っている土地の利用権を失う可能性があると、再生計画案が不認可になってしまうおそれがあります。たとえば、固定資産税などの税金を滞納している場合に、土地を差し押さえられて公売にかけられる可能性がある場合などです。

個人再生で住宅資金特別条項を利用したい場合には、手続き中や手続き後に土地の利用権が失われることのないように、注意が必要です。

失敗パターン4:再生計画認可決定後取り消されるケース

個人再生が失敗するパターンとして、再生計画の認可決定後に再生計画が取り消されるケースがあります。

再生計画案の取り消しとは

個人再生の再生計画案の取り消しとは、個人再生手続きを利用していったんは再生計画案が認可されたけれども、その後問題があって再生計画案が取り消される場合です。

再生計画案が取り消されると、借金が減額された効果もなくなってしまいます。よって、借金はすべて元通りになり、債権者からは借金全額の返済請求を受けてしまいます。

再生計画案が取り消されてしまうと、せっかく再生計画案が認可されて借金が減額されたのに、すべてが無駄になってしまいます。

再生計画案が取り消される場合

個人再生で再生計画案が取り消される場合は、具体的には以下のとおりです。

  • 再生計画が不正の方法により成立した場合
  • 再生債務者等が再生計画の履行を怠った場合

再生計画案が取り消されないための対処方法

再生計画案が取り消されないためには、どのような対処方法があるのでしょうか?

まずは、再生計画案に定めたとおりの支払を確実に完済まで継続することです。支払が途中でできなくなると、再生計画案が取り消されてしまう可能性があります。

1回程度支払を遅延しただけではすぐに取り消されることはあまりないですが、支払の遅延が半年以上などの長期になってくると、再生計画案は取り消されてしまい、自己破産などの別の債務整理方法をとるしかなくなってしまいます。

また、不正の方法によって再生計画が成立した場合にも再生計画案が取り消されます。これは、個人再生の廃止や不認可などの場面でも問題になった、財産隠しや虚偽の報告などの場合が代表的なケースです。

財産隠しをしていったんは再生計画案が認可されても、それが後からバレると再生計画は取り消されて、借金が元通りになってしまいます。

よって、再生計画が取り消されないためにも、くれぐれも財産隠しをしたり虚偽報告をすることのないよう、誠実に対応することが必要です。

まとめ

今回は、個人再生手続きが、再生計画の不認可などによって失敗するケースについて解説しました。

個人再生が失敗するパターンは、申立の棄却、手続きの廃止、再生計画案の不認可、再生計画の取り消しの4種類があります。またそれぞれについて、要件があります。個人再生が失敗しないためには、財産隠しや虚偽報告をせずに誠実に対処することが大切です。

今回の記事を参考にして、賢く個人再生を成功させましょう。

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