競売よりも傷が浅い任意売却とは

執筆者

西岡合同事務所

司法書士 西岡 容子

日本人が「企業に一生を保障してもらえる」時代はもうだいぶ昔に終わったといえます。

当初は順調に返せるはずで組んだ住宅ローンでも、給与が伸びない、思いがけずリストラに遭ったなど「返済できない」状況になることも決して珍しくはありません。

ではそのような苦境に陥った時、どのように対処するのがベストなのでしょうか?

住宅ローンを滞納するとどうなるの?

住宅ローンをもし滞納してしまうと当然、督促が来ます。最初の督促を無視していると「ご来店の上でご相談を」「このまま滞納すると法的措置を取ります」といった、相談を促すような通知になってきます。

それでも滞納を続けると、(金融機関により異なりますが)大体3カ月程度で銀行等の後ろに「保証会社」がついている場合は、保証会社が債務者(借主)に代わって銀行に残額を返済することになります(「代位弁済」といいます)。

こうなるともう住宅ローンとしての性質は失われてしまうので、債務者が元の状態に戻す(=住宅ローンとして返済を続ける)のは非常に難しくなります。

代位弁済により債権者の立場はそっくり保証会社に移っているため、保証会社はここから「競売の手続き」に入ることになります。

競売とはどんな手続き?

住宅ローンにおける「競売(けいばい、きょうばい)」手続きとはどのようなものかをまず確認しておきましょう。

住宅ローンを借りる際には必ず「借金のカタ」として、銀行またはその保証会社が購入不動産に「抵当権」をつけます。

もし予定していた返済を受けられなかった時には、銀行(保証会社)は抵当権に基づいて物件を売り、その代金からまだ返済されていない部分を回収します。

競売は裁判所の主導で行われますが、普通に不動産を市場に出して売った場合と比べて6割程度でしか売れないことも多く、ほとんどの場合はこの売却代金から残債務すべてを回収しきることはできません。

競売は債権者にとっても負担が重い?

上記のように競売では通常の売買と比べてかなり担保物件(抵当権をつけている物件)が安く買いたたかれてしまうおそれがあります。

さらに銀行にとっては裁判所に手続きを申し立てる手間、費用(裁判所への予納金)がかかることから、あまり積極的にやりたくないと考えられていることも確かです。

債務者にとっても、売却代金が安くなってしまう(=債権者への配当があまりできない)ということは売却後の債務が多く残ってしまいます。

競売よりも有利な点が多い任意売却

一般的には「住宅ローンが返せない=競売」というイメージが強いでしょうが、競売よりも住宅ローン滞納問題の解決にとって有効な手段が「任意売却」です。

任意売却は裁判所を通さず私的に売買してその売却代金を債権者の返済に充て、全額返済はできないものの抵当権の抹消に応じてもらう手続きです。任意売却はどんな点で競売より優れているのかを確認してみましょう。

①通常の売却と変わらない売り方ができる

「任意売却」は、外側から見ると不動産業者を介して売却しているため「普通の売買」と何ら変わりありません。

競売であれば裁判所の人が物件を見に来たり、インターネットに情報が載ってしまうことが苦痛という人もいるでしょうが、任意売却ではそのようなこともないのです。

②引越し費用を出してくれる債権者もいる

売却の過程で話し合いがうまくいけばという前提ですが、30万円から50万円程度の引っ越し代を債権者が出してくれることがあります。

ただ、これは法的にそうしなければならないわけではなくあくまで「債務者に円満に立ち退いてもらうため」の方策の一つです。

ただ、最近はこれを渋る金融機関も増えてきているため、当然に出してもらえるわけではないということを覚えておかなくてはなりません。

③競売より高値で売れる可能性が高い

競売が大体市場に出した価格の6割程度の金額(あるいはそれ以下)でしか売れないのに対し、任意売却では物件の条件、状態が良ければ市場価格に近い価格で売れることもあります。

そうなると債権者に多く配当できる=債務者がその後背負う残債務も少なくなるということになります。

ただ、気をつけたいのは、競売にしろ任意売却にしろ、売却代金で債権者に残債務全額を返済できることはほぼ不可能なので、その後、請求がきても返済できないのであれば「自己破産」などの債務整理をすみやかに検討すべきということです(むしろ債務整理が先に始められていてその一環として任意売却が行われるパターンが多いといえます)。

任意売却の仲介業者選びは慎重に

任意売却が普通の売買と違う点は、「売却代金から債権者(抵当権者)への返済金、そして売買にまつわる仲介手数料などの諸費用を捻出することになるが、足りなくても債務者は補填することができる経済状態ではない」ということです。

つまり、抵当権者(銀行や保証会社)は残債務すべてを返してもらっていないのに抵当権抹消に応じるという不利益を受けるわけです。

通常の売買であれば、売却代金から抵当権者に返しきれない場合は債務者が足りない分を現金などで準備して、金融機関の提示する残債務全額を返済した上で抵当権を抹消して売り渡します。

抵当権を消せない状態だと買主に完全な所有権を取得させられない=売ることができないからです。

しかし、任意売却では債務者にそのお金がないのが前提ですから、仲介業者が抵当権者に「これしか返せないけれど、競売するよりは配当を高くできるから抵当権抹消に応じてもらえませんか?」と説得し、交渉をまとめるのです。

さらに難しいのは、住宅ローンの支払いが厳しくなっている債務者の多くは他のサラ金などから借り入れをしていて2番、3番順位の抵当権がついていることもあるため、それらとも個別に交渉をまとめなければならないことです。

つまり、不動産業者にも高い交渉力が求められますので任意売却はどんな業者でもできるわけではありません。

法的、実務的知識と経験を備えた信頼のおける業者に頼まなければ、売買の決済当日になって不備が見つかり取引が流れてしまうような重大な事態になることもありえるのです。

任意売却は「早期の決断」がカギ!

任意売却において仲介業者選びと並んで大切なのが「開始する時期」です。

これについてはプロの不動産業者の中にも誤解している人がいるのですが、「滞納しなければ任意売却を始められない」わけではありません。

むしろ、もう滞納の危険が迫っているくらいの時期に思い切って決断し、着手した方が「遅延損害金」もかかっていないため傷は浅くて済みます。

すでに債権者が競売手続きを始めてしまっている段階でも任意売却に切り替えること自体はできるのですが、競売取下げができる時期には制限があります。

法律上の建前では「最高価買受人(物件を買いたい人の中で最も高値をつけた人)が買受申出をしたら取下げにはその人の同意が必要」とされていますが現実的にはもっと早い時期になります。

金融機関の対応としては、「入札が始まったらもう取下げてくれと言われても会社内の稟議が通らない、だから応じられない」というところもあり、事実上入札開始直前までが任意売却に切り替える最後のチャンスと思っておくべきでしょう。

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