任意整理ができない場合や断られる代表的な8つのケースと対処法

執筆者

元弁護士ライター 福谷 陽子

任意整理をすると、苦しい借金返済が楽になることがあります。

任意整理とは、債権者と直接話し合いをして、借金残金の返済額や、借金の支払い方法について決め直す手続きのことです。任意整理をする場合、弁護士や司法書士に手続きを依頼することが多いです。

任意整理をする場合、専門的な利息制限法への引き直し計算や、債権者との交渉なども必要になるので、素人が自分で手続きするのは難しいからです。

ところが、任意整理ができないケースや、弁護士などから任意整理が断られるケースがあります。それはいったいどのような場合なのでしょうか?

そこで今回は、任意整理ができない場合や弁護士などに任意整理を断られる代表的なケースをご紹介します。

1.収入が少なすぎる場合

任意整理をしようとしても、できないことがあります。

任意整理をすると、債権者との合意後の将来利息をカットすることができて、借金の総支払額が大きく抑えられることがあります。また、任意整理によって、借金の返済期間が延びるために、月々の支払い額が大きく減らせることも多いです。

このことによって、毎月の支払いを何とか継続して、借金が完済できるようになります。このように効果的な任意整理ですが、利用出来ない場合に弁護士や司法書士に任意整理の相談に行っても、「任意整理はできない」と言われて断られてしまいます。

具体的には、どのような場合に任意整理ができないのでしょうか?

まず、収入が少なすぎたり、収入がない(無収入)ケースが問題になります。

任意整理をすると、上記のとおり、債権者との合意後、借金残金の支払いが残ります。具体的には、合意後だいたい3年~5年程度の期間、毎月借金返済が必要になることが普通です。毎月の支払金額は、任意整理したときの借金の状況にもよりますが、だいたい数万円程度になります。

よって、任意整理をするためには、この合意後の支払を確実に継続していけることが重要になります。収入が少なすぎたり、無収入の場合には、合意後の支払いが続けられないので、任意整理をすることはできなくなります。

よって、このような場合に弁護士や司法書士に任意整理をしてほしいと依頼しても、断られてしまいます。

対処方法

収入が少なすぎたり、無収入で任意整理ができない場合には、個人再生自己破産など、別の債務整理手続きを利用する必要があります。

収入が少なすぎたり、なかったりして弁護士や司法書士に任意整理を断られる場合、個人再生や自己破産などの他の適切な手続きであれば、受けてくれることが普通です。

2.借金額が多すぎる場合

任意整理ができないパターンの2つ目として、借金額が多すぎる場合があります。上記のとおり、任意整理をすると、債権者との合意後、毎月借金残額を支払っていく必要があります。

このとき、あまりに多額の借金が残っていると、返済期間を延ばしても、毎月の支払い金額が大きくなりすぎて整理の計画が立てられなくなってしまいます。

たとえば、借金額が100万円なら、3年間の返済にしても毎月の支払いは3万円弱で済みます。これに対して、借金額が500万円なら、5年間の返済にしても、毎月の支払金額が8万円以上にもなってしまいます。

このように高額な支払いが5年間も続くと、継続的な借金支払いが困難になることが多いです。よって、このように借金額が多すぎる場合には、任意整理を選択することはできません。

ただし、見かけ上は多額の借金が残っていても、利息制限法に引き直し計算をすると、実は借金がほとんど残っていなかったことが判明する事例もあります。そのようなケースでは、見かけ上の借金が多額でも任意整理することができます。

対処方法

借金額が多すぎて任意整理ができない場合には、やはり弁護士や司法書士からは任意整理を断られてしまいます。そして、この場合にも、個人再生や自己破産などの別の債務整理手続きを利用して借金問題を解決する必要があります。

個人再生は、借金を元本ごと大幅に減額できるので、多額の借金が残っていても借金額を大きく圧縮して、整理することが出来るケースがあります。また、借金額が多額すぎて個人再生で減額しても支払いができないようなケースでは、自己破産をすると完全に借金支払い義務がなくなるので、問題を解決できます。

借金額が多すぎて任意整理ができない場合にも、個人再生や自己破産などの別の適切な手続きであれば、弁護士や司法書士が事件を受けて手続きをすすめてくれることが普通です。

3.相手方業者が話し合いに応じない場合

任意整理ができないパターンの3つ目として、借入先の業者が任意整理の話し合いに応じないケースがあります。

任意整理は、上記のとおり、裁判外で債権者と直接交渉をして、借金返済額と借金返済方法を決め直す手続きです。このとき、債権者に話し合いをすることを強制することはできません。「任意」で借金を整理するから任意整理なのです。

よって、いくら債務者が任意整理をしようとしても、債権者が任意整理の話し合いに応じてくれなければ、任意整理の手続きをすすめることはできません。

よって、弁護士や司法書士に任意整理を依頼しても、相手方の業者が話し合いに応じない場合には、結局任意整理はできず、手続きは失敗してしまいます。

債権者が任意整理に応じないので任意整理ができない場合、状況を放置していると大変なことになります。任意整理の話し合いに応じないような債権者は、相当態度が厳しい業者であることが多いです。

よって、この場合、状況を放置していると、債権者が一括請求をしてきて、裁判を起こしてくる可能性があります。そして、裁判で判決が出ると、債権者は債務者の預貯金や給料などを差し押さえてしまいます。このようなことになってしまっては、債務者が生活をしていくことも難しくなります。

対処方法

相手方業者が任意整理に応じず、手続きができない場合には、個人再生や自己破産を利用して問題を解決する必要があります。

個人再生や自己破産は、裁判所を利用する厳格な手続きで、法律に則ったものです。よって、債権者が応じたくないと思っても、これを拒否することはできません。任意整理と違って借金が強制的に減額されたり、支払い義務がなくなったりするので、とても有効です。

よって、相手方業者が話し合いに応じず任意整理ができない場合には、早めに弁護士や司法書士と相談して自己破産や個人再生の手続きを進めてもらいましょう。

4.費用が支払えない場合

任意整理の手続き自体が出来ないわけではありませんが、任意整理を弁護士や司法書士に依頼しても、断られるケースがあります。

たとえば、任意整理にかかる弁護士費用や司法書士費用が支払えない場合です。弁護士や司法書士も、商売として任意整理などの法的手続きを受けているのであって、ボランティアではありません。よって、依頼者が費用を用意出来なければ、任意整理をすすめてくれることはなく、断られてしまいます。

任意整理をする場合、通常債権者1件について2万円~4万円程度の着手金がかかります。また、任意整理の話し合いによって借金額を減額できた場合には、減額できた割合に応じて減額報酬金がかかる事務所もあります。任意整理を依頼するためには、これらの費用の支払いが必要になります。

参考:任意整理にかかる費用と相場任意整理の費用が払えない場合の効果的な2つの対処法

対処方法

任意整理の費用が用意出来ない場合の対処方法として、着手金無料の弁護士事務所を利用する方法があります。着手金無料の弁護士事務所であれば、当初の着手金は支払わなくても弁護士に任意整理をすすめてもらうことができます。

また、着手金を分割払いしたり、後払いできる事務所もあるので、それらの事務所でも当初の費用負担なしで任意整理を進めてもらえます。

減額報酬については、かからない事務所も多いので、減額報酬なしの事務所に依頼すれば、費用の支払いが苦しくても任意整理を進めてもらうことができます。

また、経済的に困難な事情がある場合には、法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、月々5千円程度の分割払いで弁護士や司法書士に任意整理を依頼することができます。

このように、専門家の費用が支払えずに任意整理を断られてしまうケースでは、費用の支払い方法を工夫することによって、任意整理を進めてもらえる可能性があります。

5.弁護士が金儲け主義の場合

任意整理を弁護士や司法書士に断られるケースとしては、相談した弁護士や司法書士が金儲け主義である場合があります。債務整理手続きの中でも、任意整理はさほど儲けにならない手続きです。対して、もっとも手軽に儲かるのが、過払い金請求手続きです。

よって、金儲け主義の弁護士や司法書士の中には、過払い金が発生する事案しか債務整理を受任しない弁護士などがいます。

このような弁護士事務所や司法書士事務所に任意整理の相談に行くと、特に明確な理由もないのに任意整理を断られてしまうケースがあります。すると、依頼者側にしてみれば、なぜ任意整理を断られたのかがわからず、自分のケースでは任意整理ができないのだと思い込んでしまいます。

そして任意整理を諦めてしまうこともあります。本当は問題なく任意整理ができることも多いので、このようなことは大変不利益です。

対処方法

金儲け主義の弁護士に任意整理を断られるケースへの対処方法としては、任意整理したい場合には、複数の弁護士に相談することです。複数の弁護士に相談して、すべての弁護士が金儲け主義だということは普通はありません。

1人の弁護士が金儲け主義で任意整理を断っても、別の弁護士なら受けてくれることがあります。その場合、任意整理を進めてくれる弁護士に手続きを依頼すれば、問題なく任意整理で借金問題を解決することができます。

6.弁護士の指示に従わない場合

弁護士や司法書士に任意整理の依頼をしても断られるケースとして、弁護士や司法書士の指示に従わないケースがあります。弁護士などに対してウソをつく場合も同様です。

たとえば、弁護士との面談予定日に、何の連絡もなく放置して事務所に行かなかったり(ドタキャン)、弁護士からの電話にすら全く応答しなかったり、弁護士から指示を受けた書類を集めなかったり、弁護士が尋ねている内容についてまったく回答しないなどの場合です。

依頼者がこのように非協力的な態度をとると、弁護士としては債務整理手続きを進めることが出来なくなりますので、任意整理を依頼されても断ることになってしまいます。

このようなことにならないためには、弁護士の指示にはきちんと従い、ウソはつかないように誠実に対応することが大切です。

7.無理な要求をする場合

弁護士や司法書士に任意整理を依頼しても断られるケースとして、依頼者が無理な要求をする場合があります。いくら弁護士とは言え、できることとできないことがあります。

たとえば、多額の借金があるのに「任意整理をして借金を多くとも〇〇円以下にしてほしい。その結果を保証してほしい。もし失敗したら差額を弁護士が負担してほしい」などと言ったり「絶対にブラックリスト状態にならないように対処してほしい」などと言われても、弁護士にはそのようなことはできません。

よって、このような無理な要求をすると、弁護士からは任意整理を断られることになります。弁護士や司法書士に任意整理を依頼する際には、自分の希望を述べることは重要ですが、そもそも無理な要求を突きつけることのないようにしましょう。

8.家族に秘密で手続きしたい場合

弁護士に任意整理を断られるケースとして、家族に秘密で手続きを進めたいと希望する場合が考えられます。意外に思われるかも知れませんが、昔ながらの弁護士の中には、家族に秘密では債務整理をしないというスタンスの人がいます。そのような弁護士に「家族に秘密で任意整理してほしい」と言っても、断られてしまいます。

この場合には、家族に秘密にしたまま任意整理を進めてくれる弁護士や司法書士を選んで手続きを依頼すれば、問題を解決できます。

今は多くの弁護士や司法書士が、家族に秘密で任意整理を受けているので、そのような弁護士を見つけることは、さほど苦ではありません。

まとめ

任意整理をしたくても、任意整理できないケースや、弁護士などに任意整理を断られるケースがあります。

たとえば、収入が少なすぎる場合や無収入の場合、借金額が多額すぎて任意整理では整理仕切れない場合、債権者が任意整理の話し合いに応じない場合には、任意整理手続きは利用出来ません。この場合、個人再生や自己破産をする必要があります。

また、弁護士費用が用意出来ない場合や、弁護士が金儲け主義で任意整理を受けない場合にも、任意整理を断られます。費用が用意出来ない場合には、支払い方法を工夫すると任意整理を依頼することができます。

さらに、弁護士の指示に従わない場合や弁護士にウソをつく場合などにも任意整理を断られる可能性があります。弁護士に無理な要求をつきつけると任意整理を断られることが多いので、弁護士に任意整理を依頼する場合には、弁護士のアドバイスをきちんと聞いて、手続きに協力しましょう。

家族に秘密で任意整理したいと言った場合にも、断られる可能性がありますが、この場合には家族に秘密で手続きを進めてくれる弁護士を探せばさほど苦も無く見つかります。

今回の記事を参考にして、賢く任意整理手続きや他の債務整理手続きを利用して、借金問題を解決しましょう。

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