住宅ローンを滞納する危険性とは?対処方法も解説!

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

借金が重なって、月々の返済が苦しいときに返済の軽減ができる方法の一つに「任意整理」があります。

個別の業者に直接交渉をおこなって借金の問題を解決する任意整理は、裁判所を利用せずに行える債務整理の方法として、もっともよく行われている手法です。

多くのメリットがある任意整理ですが、デメリットもあります。特によく話題になるのが「住宅ローンへの影響」です。

「住宅ローンとキャッシングの支払いが重なって苦しい!金額の大きい住宅ローンをなんとかしたい。」そんな場合、放置しているとどのような危険があるのかと、任意整理によって解決することができるのかについて、考えてみましょう。

住宅ローンが滞るとどうなる?

住宅ローンが滞った場合に起こること

住宅ローンの返済が滞った場合、最終的には家が取られてしまう、という話はなんとなく知っている方が多いことでしょう。けれども、「返済が1日遅れたから、即座に大変なことが起こる」という訳ではありません。

ローンの支払期間中に、ついうっかり引き落とし日を勘違いしてしまうことや、家族や自分の病気やけが等、不測の事態で入金が間に合わないということが「ない」とは限りません。このようなことがあっても、すぐに借入先金融機関へ連絡を入れて、迅速に指示に従って入金処理を行えば問題ありません。

ミスには違いなく、このような失敗は無いに越したことはありませんが、「まあ、事情が事情だし、すぐ払ってくれたから次から気をつけてね。」と許してもらえる範囲内の出来事と判断されます。

リストラで失職など、相当の理由があり債務者本人も返済の意思があって、誠意をもって努力している場合は、金融機関側も相応の譲歩を見せてくれます。

しかし、仏の顔も…ではありませんが、度重なる遅延や請求の連絡があっても放置する態度が見えてくると、徐々に金融機関の態度も厳しくなっていきます。電話から手紙、手紙も徐々に物々しい感じの送られ方、内容になっていき、家屋敷を失う危険度も上がっていきます。

ここでは「返済が滞ったらどうなるのか?」を分かりやすく時系列と危険度に沿ってチャートにしてみました。

経過時間 送達する書面 危険度 状況 対応策
2週間から1か月未満 書面ではなく、自宅や携帯電話への催告がされる。 レベル0~1 あまり望ましくないが、「1回限りのウッカリ」「相当の事情があり返済の意思と対応がある」ならば猶予してもらえる範囲。2回以上電話で催告されるようになると、信頼関係に背く態度と疑われる。 連絡が入る前に、自分から電話・来訪なら、なお良い。手元にお金があれば早急に払ってしまう。「再引き落としで良い」と言われた場合は指示に従う。 お金がなく、しばらく返済が難しくなるようであれば、「当面は利息だけを払い、元金は据え置いてもらう」「返済計画の見直し変更(リスケジュール)の相談をする」などの方法で、一時的な猶予を与えてもらうことができる。
1か月経過 返済請求のハガキ レベル1 2回続けて滞納すると届く。2つ折りの圧着式のハガキで、遅延損害金と返済額が記載されたもの。電話なしでいきなりハガキが届く場合もある。 金融機関の態度が徐々に硬化している段階。この状況になると、相談をしても応じてもらいにくい。相談するには遅延している分だけでも返済することを求められる。
3か月未満 競売予告通知 レベル2 金融機関によって、送るところとそうでないところがある。配達証明付郵便や簡易書留などで送られることが多い。このままにしておくと、差押ですよ、という予告。「○月×日までに連絡をしてください。」等の連絡の期限がかかれていることがある。 早急に対処すれば、まだ、家を失わないで済む手段が取れる段階。連絡の期日が記載されている場合は、その期日までに何らかのアクションを起こさなければ自動的に「期限の利益の損失」に進んでしまう。個人再生手続きや、任意売却を検討する時間的猶予はある。
3~6か月 催告状・督促状 レベル2 返済の連絡がないと、金融機関は「早く払ってください」と返済を促すために、催告状や督促状を送ってくる。 催告状や督促状は、普通郵便で送られてくる場合と、配達証明などの方法で送られてくる場合がある。これは、「請求を行った事実を証明しやすくするため」「債務者が住所地である自宅から逃走していないか?」の確認の両方を目的としている。催告や督促をうけてもなお、連絡さえ行わないで放置すると、返済の意思がないものと見なされ、次の段階に進む。
代位弁済予告通知 レベル3 事実上の最後通告。金融機関によっては、これなしで、いきなり次の期限の損失通知が送付される場合もある。連絡がないので、返済する気がないとみなし、一旦、保証会社が返済を立て替えますよ、と言う予告。 保証会社が残金を立て替えてくれる、ということは借金がなくなったと言う意味ではなく、「借金取り立てを専門にする会社」に、あなたの借金が手渡される、ということ。保証会社の債権回収は銀行よりもビジネスライクで容赦がない。銀行であれば通じる交渉も保証会社が相手になると、全く期待できないことになる。
期限の利益の損失通知 レベル4 分割払いの契約が無効になったことを知らせる通知。残金の一括請求が行われる。返済期限は「送達から7日以内」など、時間的には全く猶予が与えられないのが通常である。住宅ローンの債権者は金融機関から、保証会社に移動する。 ローン残金と残りの利息を一括して返済するように求められる。分割払いは不能になるため、一括返済に応じるか、自分で住宅の売却を行うしか選択肢はなくなる。分割払いはできなくなるが、自分で任意売却をする場合なら、強制競売を少しの間待っていてもらうことはできる。
6か月(期限の利益喪失通知から約7日以内) 代位弁済通知 レベル5 保証会社が債務を肩代わりしたことを知らせる通知。立替え払いが完了したことにより、保証会社に対して、ローンの残金と未払いの利息に加えて、遅延損害金を払わなければならなくなる。 遅延損害金は年利14%の高金利で、完済の日まで加算される。ローンは急速に膨れ上がる。更に団体信用生命保険が自動的に解約になる、任意売却の目途があるならば、1日も早く処理を行うことで、市価に近い金額で売却でき、結果、払うべき債務が小さくなる。
7~8か月(代位弁済通知から約1か月) 担保不動産競売開始決定通知・現況調査通知書 レベル6 裁判所からの特別送達で届く通知。裁判所の手続きによって強制競売が始まった状態。保証会社が抵当権を行使して、残った債権回収のために、土地・建物の売却に入ったことを意味する。その後、不動産鑑定士による、物件の査定のために、現況調査通知書が届く。通知からおよそ1か月後に不動産鑑定士の訪問があり土地・住宅の内外が調査される。 ここまでくると、引き返すのは非常に難しくなる。何ら手段を講じないでいると、この書面の送達からおよそ6か月程度で、差押→現況調査・入札→売却決定となり、家を強制退去させられることになる。競売での売却価格は非常に安くなるため、家を退去させられても、なお、借金が残る、という可能性が高い。債権者との交渉によっては、この段階から任意売却で、より好条件での売却を行うことは不可能ではない。デッドラインは「入札日の前日」まで。入札が行われてしまうと、決定を覆すことはできないと判断される。個人再生は、この段階で手続きに入ったのでは自宅を手放す可能性が出てくる。

担保不動産競売開始決定通知書が送達すると、手続は裁判所を通して粛々と進められていくことになります。この段階に至ってしまうと、家を失わずに済むことは非常に難しくなります。

それでも、まだ「競売取り下げ」と「任意売却」によって、少しでも良い条件で家を手放す可能性は残されていますし、所有権を手放しても、住み続けることができる「裏ワザ」の可能性も残されています。

レベル6の段階であれば、非常に難しいながらも、まだ、「最悪の状況」である強制退去をまぬがれる方法は残されているのです。

入札が行われて買受人が決定してしまえば、もう打つ手はほとんどありません。自発的に出ていくか、執行官による強制退去で力づくで、追い出されるか?いずれにしても、家から出されることは決定事項になります。

競売決定通知が来たら、入札まではわずか3~4か月しかありません。我が家を手放したくなければ、早期に迅速な措置を講じて、競売を阻止することが重要なポイントになります。

担保と抵当権について理解しよう

ところで、住宅ローンが滞った場合、家屋敷を取られることは知っていても、なぜ、そうなるのか?の権利関係については十分理解できていない人も多いようです。ここでは、法律上の手続きの根拠となる仕組みをまとめてみていきましょう。

住宅は、一般市民が購入する「お買い物」のなかでは、最も金額が大きいものの一つです。そのため「人生最大の買い物」などの表現もされるように、一般市民が生涯で購入するものの中では最大級の支払いになることが多いものです。

高額な上に返済期間も長期になる住宅ローンは、他の借入にはない特徴を持っています。それが

  • 抵当権
  • 担保

です。

担保とは、返済が滞った時に、現金の代わりとして差し出す「モノ」のことです。対象になる「モノ」は、貴金属や書画骨董などの換金価値のある「物」(「動産」といいます)に限りません。

所定の登録制度によって所有者を国が保証している土地、建物、自動車などの車両、すなわち「不動産」である場合もあります。

担保になるものは、「モノを売却したら、残った借金を帳消しにできる価値がある」のが条件です。ひとつのモノで足りなければ、2つ以上を「共同担保」として差し出すことで、万一の時の保証にしています。

住宅ローンの場合は、購入した土地と建物を担保として金融機関へ差し出しておき、「万一の時は、これを売って残りの借金を片付けてください」という契約を結んでいます。

お金を貸す銀行側にしてみたら、何千万という貸付の一部を払っただけで返済ができなくなってしまったら、銀行の存続が危なくなります。けれども、長期間きちんと利息を払い続けてくれる住宅ローンの債務者は、同時に「良いお客様」でもある訳です。そこで、万が一の返済不能に備えて、担保を取る代わりに、金利を引き下げて返済負担を軽減する仕組みが作られています。

土地、建物、自動車などの車両は、登記や登録によって持ち主(所有権者)を国が把握できる仕組みになっています。

不動産は財産としての価値が高いため、他人の所有している物を第三者が勝手に売買してしまうことがないよう、国が所有権者を証明すると同時に、固定資産税など課税業務を行いやすくしています。

「土地・建物を持っている権利」を所有権といい、売買をしても所有権の移転登記をしないと「持ち主」とは認められません。仮に土地・建物を担保として差し出しても、銀行が自由に売ることができないのでは、担保の意味がありません。

そこで、担保不動産には抵当権と権利設定登記をして、返済が滞った時には抵当権者(お金を貸した金融機関)が、法律上の所定の手続きを経て、不動産の売却ができる決まりになっています。

ですから、もし、あなたが住宅ローン返済を大幅に滞らせた場合、金融機関は担保として差し出されている土地と建物について、抵当権に基づいて裁判所に競売の申し立てをして、家を強制的に売却することができます。

そして、その売却価格から未回収のローン残額を受け取ります。

強制競売だけで未払いになっている残債務が回収できない時には、預貯金、有価証券、給与(一定割合のみ)、自動車など、あなたの名義になっているありとあらゆる財産に対して差押をかけて売却し、回収に充てることができます。

任意整理による住宅ローンの軽減

住宅ローンは任意整理できる?

任意整理は多重債務に陥った時に、個々の債権者に対して任意で交渉を行って、利息の免除または軽減をしてもらう方法です。

本人が行うこともできますが、弁護士や司法書士などの専門家が進めていくのが一般的です。家族や会社に極秘で債務整理ができ、裁判所を通して行われる債務整理よりも手続きがコンパクトな点はメリットです。

任意整理の手続きに入ると、交渉先の金融機関や貸金業者からの請求はストップしますから、返済を迫られることからくる心理的重圧からは解放されます。

債務整理では、多数の債務のうち、交渉する債権者は自分で選ぶことができます。

そうだとすると、住宅ローンも任意整理できると考える人がいるかもしれません。

しかし、住宅ローンを任意整理の対象にすることは事実上不可能です。

住宅ローン債権者は、いつでも家を競売にかけて売却金を回収できるのですから、任意整理に応じてローンを減額する必要性や利益がまったくないからです。

もし、無理矢理住宅ローンを任意整理しようとしたら、債権者が競売を申し立てて、家は失われてしまうでしょう。

そこで、住宅ローンそのものを任意整理することは、検討することはできません。

住宅ローンを払いながら任意整理を利用する

住宅ローンがあるときに任意整理で借金問題を解決するには、住宅ローンはそのまま返済を続けて、その他の債務だけ任意整理する方法しかありません。

任意整理の良い点は、整理する債務を選べるところです。

複数の返済が重なっていて住宅ローンを払い切れない状況ならば、住宅ローンの返済はそのままに、他の大口の返済を任意整理することで、住宅ローンを払うための財源を確保することができる場合があります。

この場合は住宅ローンの返済を滞りなく続けることができれば、家を失う心配はありません。

任意整理以外の方法で債務縮小する方法

個人再生を利用する

住宅ローンがあって任意整理では解決できない場合、任意整理以外の方法で借金問題を解決する必要があります。具体的には、個人再生があります。

多重債務で返済不能に陥った時、住宅ローンを返済しながら不動産を手放さずに済む債務整理の方法として、一番よく利用されているのが個人再生です。

個人再生とは、裁判所を通して行われる債務整理の一つで、一定の条件の約束事を守る条件で、債務を大幅に減らすことができます。

個人再生は、

  • 債務を最大10分の1や5分の1など、大幅に縮小できる
  • 縮小した債務を原則3年(特段の事情があれば5年)で返済すれば、残りの債務は免除される

と言う制度です。住宅ローンの残債務が比較的少ない場合や、既に返済が終わっている場合、同じく裁判所を通じて行われる自己破産と違って、一定の条件を満たせば家を維持して債務の縮小が図れるメリットがあります。

ただし、縮小してもらえた残債務を3年間で返済できないと判断される場合は利用ができません。

  • 安定した収入を得る職に就いている
  • 無担保債務の合計金額が5,000万未満
  • 3年以内に返済できる

この条件をクリアできない場合は、自宅を売却して返済に充てる方が現実的になります。

参考:個人再生の「住宅ローン特則」

任意売却で自宅を処分する

住宅ローンを組んでまだ時間が浅く、残債務が多いようなときは、家を手放さずに債務整理を行うのが難しいと判断されます。

そのまま、住宅ローンの滞納を放置して強制競売になると、非常に安い価格で売却することになり、悪くすると「自宅は売り払われたのに、借金の大部分は残っている」という状況になるリスクが高くなります。

そこで強制競売になるまえに、自宅を市価に近い価格で売却して返済に充てることで、債務を大幅に減らす(または完済することもできる「任意売却」という方法をとる場合があります。

任意売却は、債権者で抵当権を持つ銀行等金融機関からの許可を得て、ローンを全部払い終えないまま、債務者が不動産業者と協力して買受人を探して自宅を売る売却方法です。債権者である銀行側が積極的に売却を推進するケースも珍しくありません。

抵当権のついている物件は、そのままでは売却が難しく、売れたとしても価格が安くなります。差押がされていると、売却手続きはできません。住宅ローンでは抵当権者の許可なく売却を行うことは、実質的に禁じられています。

そこで、売却益をローン残債に充当することを条件に、抵当権や差押を解除してもらい、競売よりも良い条件で売却を行えるようにします。

任意売却に成功すると、競売より高額な金額で売ることができ、条件が良ければローンを完済させることができる場合もあります。

所有権だけを渡して家に住み続ける裏ワザ

任意売却の場合は、売却に伴う引っ越し等の条件が強制競売よりも穏やかで、負担が小さいメリットもあります。更に、任意売却には「家を売った後も、住み続ける裏ワザ」が存在します。それが「セール・アンド・リースバック」という方法です。

簡単にいうと、所有権だけを手放し、そのまま元の自宅を賃貸する方法です。

一定の条件を満たす必要はあり、誰でも可能ではありませんが、「家をなくさない」を「引っ越しを回避する」という意味でとらえた場合、非常にメリットが大きい手段と言えるでしょう。

このように、住宅ローンそのものを任意整理することは非現実的ですが、住宅ローン以外の債務を任意整理することは可能です。

また、個人再生や任意売却といった方法もあります。住宅ローンがあって支払いがきつくなっている人は、適切な解決方法のアドバイスを求めて、弁護士に相談してみると良いでしょう。

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