離婚した借金まみれの元夫から子供の養育費を確実に支払ってもらうためにできること

執筆者

行政書士Yurako法務事務所

行政書士 森本 由紀

子どもを抱えて離婚した女性が安心して子どもを育てていくために、元夫からの養育費は欠かせないものです。たとえ元夫に借金があっても、借金の返済が養育費よりも優先される理由はありません。

借金まみれの元夫から養育費を払ってもらうために考えられる方法についてまとめてみました。

借金があるから養育費が払えないという言い訳は通用しない

親は子どもに自分と同水準の生活をさせる義務がある

民法では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」(第877条第1項)と定められています。

ここでいう扶養義務は、①生活保持義務と②生活扶助義務の2種類に分けられるとされています。

生活保持義務

自己の最低生活を割っても相手に自分と同程度の水準の生活をさせる義務

生活扶助義務

自分にとってふさわしい生活を維持したうえで、なお経済的余力がある場合に相手を援助する義務

未成熟の子に対する親の扶養義務は、①の生活保持義務と考えられています。つまり、親というのは、自分の生活を優先するのではなく、子どもを積極的に養わなければならないのです。

裁判でも、親が子どもを扶養する義務は「いわば一椀の飯をも分かち合うという性質のもの」であり、多額の借金があってもそれによって養育費の支払い義務が否定されることはないと判示された例があります(大阪高等裁判所平成6年4月19日決定)。

養育費の額を決めるときにも借金の有無は考慮されない

養育費の額を決めるときには、一般に、裁判所で用意されている養育費算定表を使います。

養育費算定表では、支払う側と受け取る側それぞれの年収、子どもの年齢及び人数を基準に養育費を算定する形になっています。

これ以外の事情が全く考慮されないわけではありませんが、支払う側に借金があるという事情で養育費が減らされることは通常はありません。

給与差押えにより養育費を支払わせる方法

公正証書や調停調書があれば給与差押えの手続きができる

借金が言い訳にならないとしても、実際に元夫がお金を払ってくれないのであれば、どうにかして養育費を確保する手段を考えなければなりません。

元夫に養育費を確実に支払ってもらうために、元夫の給与を差し押さえる方法があります。給与差押えの手続きをとると、差し押さえた金額については、元夫の勤務先から直接支払ってもらうことができます。

給与差押えを行うには、債務名義と呼ばれる書面が必要になります。債務名義として使えるのは、養育費について取り決めした公正証書や、家庭裁判所の調停で養育費を決めた際の調停調書などになります。これらの書面があれば、強制執行の手続きをとり、給与差押えが可能です。

養育費は差押えにおいても優遇されている

差押えに関しては、給与の全額を差押え可能とすると本人が生活に困ってしまうことから、原則として手取り額の4分の1までしか差押えできないことになっています。

しかし、養育費の場合には特別に、給与の手取り額の2分の1まで差押えが可能とされています。

さらに、通常の債権の場合には滞納している分しか差押えができませんが、養育費については、一度の手続きで将来の分まで差し押さえることが可能です。

それ以降も元夫が養育費を支払わない場合には、その都度差押えをしなくても、給与から直接支払ってもらえることになります。

借金まみれの元夫であれば、他の債権者からも差押えを受けるかもしれませんから、全額を回収できない可能性もあります。

それでも、養育費は他の債権に比べると優遇されていますから、差押えをするメリットは大きいと言えます。

公正証書や調停調書を持っていない場合には?

離婚後であっても、元夫が了承のうえ一緒に公証役場に行ってくれるなら、養育費について公正証書を作ることは可能です。

しかし、借金を言い訳に養育費を逃れようとする元夫が公正証書作成に応じてくれることは考えにくいでしょう。

給与差押えができる債務名義を持っていない場合には、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てるのがいちばん現実的です。

養育費請求調停を申し立てると、家庭裁判所で元夫と話し合いをし、養育費の金額や支払方法について決めることになります。

たとえ借金まみれの夫であっても、調停では養育費がゼロということには通常はなりません。また、調停で決まった内容は、家庭裁判所で調停調書にしてもらえます。

調停調書があれば、約束どおり養育費が支払われなかった場合に、給与差押えが可能になります。

養育費確保のためには離婚後の円満な関係も大事

給与差押えは簡単ではないこともある

元夫に養育費を支払わせるためにとれる法的手段として給与差押えがありますが、給与差押えにより養育費を回収するのは実際には難しいこともあります。

給与差押えをかければ、元夫が勤務先を退職しなければならなくなり、無職になってしまうリスクもあります。

また、給与差押えするには勤務先を特定しなければなりませんが、元夫が転職している場合、勤務先を突き止めるのは簡単ではありません。

そもそも借金まみれの元夫なら、定職についてないこともあるでしょう。そうなると、差押えをする給与もないということになります。

元夫にも子どもの成長を見守ってもらえる環境を

養育費というのは、当事者間の関係性に左右される非常にデリケートな問題です。

離婚後にきちんと養育費を払ってもらえるかどうかは、公正証書などの書面があるかどうかよりも、父親が子どもを思う気持ちがあるかどうかに左右されることが多いはずです。

離婚して元夫が子どもと会うことがほとんどなくなれば、養育費を払おうという気持ちが失せてしまうのも、仕方のないことと言えるかもしれません。

逆に、離婚後も元夫と子どもとが頻繁に面会できる状況であれば、元夫も「子どものためにできることをしたい」という気持ちになることが多いはずです。

大人の感情的な問題だけで面会を拒否することは、子どものためにも良いことではありません。面会の機会を積極的に設け、元夫にも子どもの成長を見守ってもらえるようにすることは、養育費を払ってもらうためにも大切なことです。

まとめ

借金まみれの元夫でも、養育費の支払いを逃れられるわけではありません。

公正証書を作っていないなら、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立て、調停調書を作ってもらって給与差押えできるようにしておきましょう。

なお、養育費というのは、法的手段に頼るだけでは確保しにくいところがあります。養育費を払ってもらうためには、元夫と子どもとの良好な関係の維持も必要ということを認識しておきましょう。

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