
監修者
元弁護士ライター 福谷 陽子
債務整理をすることになった人の中には、不動産投資に失敗した人も多くみられます。
その中でも、特に近年問題になっているのが「新築ワンルームマンション投資」です。
その名の通り、新築のワンルームマンションを購入して利益を出そうとするものですが、最初は良くても年数が経つにつれて経費がかさんだり、コンスタントな家賃収入を得られなくなったりして、ついに破たんしてしまう人も少なくありません。
「老後の備えになりますよ」「節税対策ができますよ」などの甘い文句にさそわれて安易に手を出す前に、慎重に考えるようにしましょう!
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目次
新築ワンルームマンション投資の「甘い誘い文句」とは?
新築ワンルームマンション投資は、不動産投資の一つです。
読んで字のごとく、新築のワンルームマンションをまるごと購入します。
多くはローンで返済していくことになりますので、毎月の支払いが発生しますが、同時にマンションの家賃収入が入ってくるため、うまくいけば持ち出しはほとんどないか、非常に少なく済むのです。
さらに、以下のようなメリットもあります。
老後がラクになる!
マンションのローンがすべて終われば、あとは収入になるだけですので、ローン完済後、老後の年金代わりになります。貯蓄を切り崩していくのとは違い、毎月入ってくる家賃収入は安心感があり魅力的です。
生命保険の代わりになる!
不動産を購入する場合は、「団体信用生命保険」に加入します。これは、ローンの契約者が返済中に万が一死亡したり、重い障害を負ったりした場合などに、残りのローンの支払いを免除してもらうための保険です。
これにより、自分の身に何かあっても家族はマンションを手放すことなく家賃収入を得ることができますし、その後のローン支払いも不要になります。
節税対策になる!
不動産、特に新築の物件を購入した場合は節税効果が得られます。
不動産所得がある人は、「家賃収入-経費=赤字」になった場合に、納めた税金から還付を受けることができます。これによって、所得税や住民税を節税することができるのです。
特に新築で購入した初年度は、登録免許税や不動産取得税などを経費として計上できますので、大幅な節税効果が見込めます。
家賃保証がある場合が多い!
マンションを経営するにあたって一番の不安要素が、「決まった家賃収入を本当に得られるかどうか」ということです。
この不安を払拭するために、多くの場合は「家賃保証」がついています。空き室が出るなどして安定した収入が得られなくなった場合に備えて、不動産会社やハウスメーカーが決まった家賃を保証してくれるシステムです。
もしくは、あらかじめ業者が全室まとめて借り、それを入居者に転貸する「一括借り上げ」というものもあります。
これなら、万が一のリスクの備えも万全に思えますよね。実際、このような誘い文句で営業トークをかけられ、「それなら…」と新築ワンルームマンション投資に手を出す人が増えています。
特に、収入の安定した会社員はローンの審査に通りやすいため、恰好のターゲットになるようです。
しかも1軒のみならず、2軒、3軒と次々にマンションを購入する人も少なくありません。
新築ワンルームマンション投資は、そううまくはいかない!?
こう見ると、いいことずくめのように思える新築ワンルームマンション投資ですが、実際はうまくいかなくなって債務整理に至るオーナーもたくさんいます。
その背景には、以下のような理由があります。
家賃保証も節税効果も、ずっと続くわけではない!
まず、「家賃保証」が問題です。
家賃保証といっても、新築当初の家賃をずっと保証してもらえるわけはなく、数年ごとに見直しが行なわれます。つまり、見直しのたびに家賃が低くなり、当初考えていた収入よりずいぶん減ってしまうリスクがあるのです。
また、家賃保証は最初の5年間だけ、というふうに期間が決められている場合もあります。
このリスクについて、あらかじめ親切に説明してくれる業者ばかりであればいいのですが、実際はオーナーになってもらうためにいいことしか言わない業者もたくさんいます。
また、節税効果が得られるのもせいぜい最初の数年です。年数が経つにつれて経費は少なくなっていくため、いずれ黒字になれば逆に納税する必要が出てきます。
いざ返済が苦しくなっても手放しにくい!
経営に限界を感じ、いざマンションを手放そうとしても、びっくりするぐらい安い値しかつかないこともよくある話です。
たとえば2,200万円で購入したマンションが、たったの数年後には1,700万円でしか売れない、ということは普通にあります。これがさらに2軒、3軒となれば莫大な損害です。
新築マンションの値段には販促コストが上乗せされているため、当初の価格で売るのは非常に困難になります。
さらに投資用のマンションは、自分の居住用のマンションと違い、任意売却のハードルが高い点も問題です。
居住しているマンションであれば、ローンの支払いがとどこおってもすぐに差し押さえられることはまずありませんが、投資用マンションの場合は早い段階で家賃や給与を差し押さえられるなど、厳しい措置をとられる可能性が高くなります。
また居住用マンションと異なり、投資用マンションは部屋を借りている人や管理会社などとの利害関係もありますので、交渉に時間がかかることもあります。
経費や税金が意外とかかる!
不動産を持つということは、家賃収入を得られる一方で固定資産税や修繕費などのランニングコストもかかり続けることになります。
最初は新築ピカピカだったマンションも、年数が経てば古くなってあちこち傷んできますから、修繕工事が必要です。そういった将来的な出費のこともよく考えて購入する必要があります。
一方で、新築マンションの耐用年数は長いため、固定資産税はほとんど下がらない点にも注意が必要です。
不動産投資に失敗した時にできる債務整理の例
上記のような理由から、新築ワンルームマンション投資で成功を収めるのはかなり大変です。
実際、メリットに期待して投資を決めた人たちの中には、支払いが苦しくなって債務整理をするに至るケースが少なくありません。たとえば、以下のような債務整理の方法があります。
自己破産
裁判所に破産の申し立てをし、すべての債務を免除してもらう方法です。裁判所で免責が許可されると、税金などの一部を除くすべての債務の返済義務がなくなります。
ただし、一定以上の価値がある財産は手放さなくてはいけませんし、免責決定を受けるまでの間、一部の資格を制限される可能性があります(弁護士や宅地建物取引士など)。
もちろん、しばらくの間は新たにローンを組むことはできません。
個人再生
自己破産のようにすべての債務を免除してもらうのではなく、債務を原則5分の1に減額してもらい、それを3~5年で返済する方法です。
また自己破産と違い、一定の条件を満たすことができれば、住宅(持ち家)を手放さずに済む可能性があります。
とはいえ債務整理の一つではありますので、5年~10年は新たにローンを組むことができませんし、自己破産と違って返済を継続していけるだけの収入がなければいけません。
任意整理
弁護士や司法書士が債権者と交渉し、利息をカットしてもらうなどして月々の支払額を少なくしてもらう方法です。
裁判所を通さないため比較的手続きが簡単ですが、個人再生に比べると減額効果は小さいため、負債が大きい場合は向いていません。
不動産投資は、もちろん成功する人もいないわけではありませんが、よほど立地が恵まれていたり、買うタイミングが良かったりしないと、初心者が成功を収めるのはかなり難しいといえます。
新築ワンルームマンション以外でも、不動産投資にはリスクがつきものです。甘い罠にひっかからないよう、事前に不動産に詳しい人に意見を求めるなどして、慎重に検討するようにしましょう。