債務整理を2回することは可能?何回もできる?

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

借金の返済に行き詰まった時、合法的に解決できる方法が債務整理です。債務整理をしたことで借金が減ったり、もしくは全額免除されたりした人はたくさんいます。

しかし、中には「前に債務整理をしたけれど、また借金がかさんでしまった」という人や、「返済中に経済状況が悪化して、約束通りの返済が難しくなった」という人もいるかもしれません。

そのような時に再び同じ債務整理ができるかどうかは、前に行なった債務整理の種類や、新たに借金を作った理由などによって異なります。

ただし一般的には、2回目以降は難易度が高くなると考えたほうがいいでしょう。

ここでは、債務整理の種類別に「2回以上の手続きができるかどうか」について詳しく解説していきます。

任意整理は2回以上できる?

任意整理は、弁護士などの代理人が債権者と直接交渉することで借金を減らしてもらう方法です。

裁判所を通さない債務整理ですので、行なえる回数に法的な制限はありません。つまり、債権者さえ交渉に応じるなら2回でも3回でも行なうことができます。

とはいえ、実際は何度も交渉に応じる債権者は多くないため、2回目以降の任意整理は難しいのが現状です。

返済を延滞してしまうと、一括返済を求められることも

任意整理でカットしてもらえるのは、原則として「利息と遅延損害金」です。

昔からある借金の場合、現在の利率で引き直し計算することで過払い金(利息制限法の上限を超えて支払いすぎていた利息)がもどってくることもありますが、基本的には債権者との話し合いによって借金を減額してもらう方法です。

本来、お金を貸す側が受け取る権利のある利息や遅延損害金をカットしてもらうのですから、何度も交渉に応じてもらえる可能性はあまり高くありません。

そもそも無理のない返済計画を立てた上で任意整理をしているはずですので、基本的には一度整理をした借金は約束通りにきちんと支払っていくことが大切です。

また、任意整理をした際には「和解契約書」という書類を取り交わします。その中には、月々の返済額や返済期間、返済方法などのほか、万が一返済が滞った場合の対応に関する記載(懈怠約款)も盛り込まれていることがあります。

ですから約束通りに支払えなかった場合、和解契約書の内容に則って、残債の一括返済を求められる可能性もあるのです。

返済が遅れそうになったら、まずは早めに弁護士に相談を!

とはいえ、失業や病気などで収入が途絶え、予定通りに返済できなくなることも人生にはあります。そんな時には、実際に滞納してしまう前に任意整理を依頼した弁護士や司法書士に早めに相談しましょう。

任意整理の場合、返済が滞ったとしても強制的に財産を差し押さえられることは基本的にありません。きちんと事情を説明すれば、少しの間猶予を与えてもらえる可能性はあります。

ただし、その後も引き続き返済が難しそうであれば、任意整理以外の債務整理を考える必要も出てきます。たとえば、より減額効果の大きい個人再生や、すべての債務を免除してもらう自己破産などの方法です。

個人再生や自己破産は、裁判所に申し立てて許可を得る方法ですので、任意整理と違って債権者側の合意がなくても行なうことができます。

ただし、もう少し債務の額を減らすことで返済を続けていけそうな場合には、債権者も交渉に応じて再び任意整理できるケースもないとは言い切れません。

いずれにしても、早めに担当の弁護士や司法書士に相談することが先決です。

一度目とは別の業者が相手の場合は?

任意整理は個人再生や自己破産と異なり、交渉したい債権者を自由に選ぶことができます。

たとえば、前回A社の借金だけを任意整理して、B社の借金はそのまま返済を続けることにしたけれども、結局B社の返済も難しくなったような場合、今度はB社と任意整理の交渉することは可能です。

まだ一度も任意整理をしたことのない業者が相手の場合は、特に問題なく応じてもらえる可能性が高いため、弁護士や司法書士に相談してみましょう。

特定調停は2回以上できる?

特定調停は、簡易裁判所が債権者と債務者の話し合いを仲裁し、借金の額や返済方法などを見直す手続きのことです。

任意整理と同じく、交渉によって利息や遅延損害金をカットしてもらいますので、同じ相手と2度以上行なうことは難しいといえます。

特定調停後に延滞すると、強制執行を受ける可能性がある!

特定調停が任意整理と異なるのは、裁判所を通した債務整理であることです。

特定調停では、話がまとまった後に裁判所が「調停調書」というものを作成します。その中には、返済額や返済期間、返済方法のほか、万が一返済が滞った場合の対応についても記載があります。

多くの場合、「2回以上延滞すると一括返済を求められる」という内容になっています。ここで気を付けたいのが、調停調書には裁判での判決と同じ効力があるという点です。

任意整理はあくまで両者の合意にもとづいた方法ですので、延滞しても強制的に財産を差し押さえられることはありませんが、特定調停では調停調書の内容が守られなかった場合、債権者は強制執行することができます。

具体的には、債務者の預貯金や不動産、給与、生命保険などの財産を差し押さえて債権回収することができるのです。

返済が難しい場合は、必ず事前に連絡を!

このように、特定調停後の延滞には十分に気を付ける必要があります。万が一、返済が滞ってしまいそうな場合は、少なくとも誠意をもって債権者に事前連絡することが大切です。

債権者は、2回延滞があった時点で強制執行できる権利を持っていますが、事情によっては返済を待ってもらえる可能性もないわけではありません。

たとえば、これまでコンスタントに返済をしてきた人が、やむを得ない理由で一時的に返済が難しくなってしまったケースなどです。必ず猶予してもらえるという保証はありませんが、相談してみる価値はあるでしょう。

ただし、少し返済を待ってもらっただけでは問題が解決しない場合は、残った債務を今後どのように支払っていくかを考えるためにも、弁護士に相談することをおすすめします。

任意整理と同じく、特定調停も2度以上行なうことは難しいのが現状ですので、どうしても返済の継続が難しい場合は、個人再生や自己破産などの手続きを検討することになります。

いずれにしても、早めに対処しないと調停調書にもとづいて強制執行が行なわれる可能性があるため、返済が苦しくなってきた時点で早めに手を打つようにしたいものです。

ちなみに、特定調停も任意整理と同様、合意したい相手を選ぶことができますので、これまで交渉したことのない業者に対しては新たに調停を申し立てることができます。

個人再生は2回以上できる?

個人再生は、裁判所に申し立てを行なうことで、債務を最大80~90%にまで減らしてもらう方法です。

「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つがありますが、特に小規模個人再生のほうが多く行なわれています。(詳しくは:「小規模個人再生」「給与所得者等再生」の違い

個人再生は、任意整理や特定調停に比べて減額効果が大きい上、自己破産と違って持ち家を手放さずに済む可能性があることから、「借金の額は大きいけれども家は維持したい」というような場合に向いている方法です。

こうして減額してもらった借金を、原則3年(最長5年)の分割払いで支払っていくことになります。

弁済期間中に返済が難しくなった場合

個人再生の弁済期間中に返済が苦しくなった場合、小規模個人再生であれば再度申し立てを行なうことは可能です。

一方、給与所得者等再生の場合は、一度認可決定が下りてから7年間は申し立てができません(ただし、2回目の申し立てが小規模個人再生であれば可能)。

給与所得者等再生は、会社員や公務員などの確実に安定した収入のある人のみが行なえる手続きで、債権者の同意を得なくても認可を受けられる一方、無制限に申し立てができないようになっています。

基本的には、個人再生といえば小規模個人再生になりますので、多くの場合は再度申し立てを行なうことができます。

ちなみに、1度目の個人再生の弁済期間中に再度個人再生の申し立てをした場合、「原状に復する」といって、債務の額はいったん振り出しにもどることになります。

これまでに返済した金額は関係なく、あくまで最初に個人再生を申し立てた時点での借金の額で2度目の申し立てを行なうよう決められているのです(民事再生法190条6項)。

また、再申し立てを行なったとしても、必ず認可を受けられるとは限りません。小規模個人再生では、すべての債権者による書面決議が行なわれますので、もし過半数の反対があれば否決されてしまいます。

実際は、自己破産されるよりは個人再生をしてもらったほうが、少しでも多く回収できる可能性があるため、ほとんどの債権者は反対することはありません。

ただし、提出した再生計画案の内容によっては却下されてしまう可能性もあるため、債務整理に強い弁護士に依頼したほうが安心です。

2回目の個人再生を行なう前にできることとは?

このように、個人再生は弁済期間中であっても再度申し立てができますが、その前にまずは「再生計画の変更」の検討をすすめられることが一般的です。

個人再生では、返済途中であっても再生計画を変更することで、返済期間を最長5年まで延ばしてもらうことができます。

また、失業や病気などで返済が難しくなった場合は、「ハードシップ免責」を利用できる可能性があります。

ハードシップ免責とは、債務者が致し方ない理由によって返済が困難になった際に、いくつかの条件を満たす場合に限り裁判所の判断で残債の支払いを免除してもらう制度です(民事再生法235条)。

ハードシップ免責を利用するためには、以下の条件をすべて満たしている必要があります。

  • 再生計画で定められた弁済額の4分の3以上をすでに返済し終わっていること
  • 再生計画の変更をすることがきわめて困難であること
  • 免責の決定が再生債権者の一般の利益に反しないこと

個人再生で返済が苦しくなった場合は、まず再生計画の変更を検討し、それで解決できない場合はハードシップ免責を利用できるかどうかを検討し、いずれも難しい場合に初めて再申し立てを行なう、という流れになります。

すでに前回の個人再生で完済している場合

過去に個人再生をして計画通りに返済し終わった人が、数年後に再び借金がかさんで返済不能になってしまうケースもあります。

一度個人再生をすると、完済から最長5~10年は新たに借り入れができなくなりますが、その期間を過ぎた後にクレジットカードやローンなどで再び負債を増やしてしまう人もいるかもしれません。

このような場合も、個人再生を再度利用することは可能です。

上述したように、前回の個人再生が給与所得者等再生だった場合は、認可決定の確定日から7年間は給与所得者等再生の申し立てはできませんが、小規模個人再生であれば問題なくできます。

個人再生は自己破産と異なり、借金の理由を問われない点がメリットです。自己破産では、ギャンブルや浪費などで作った借金の場合は免責が認められないこともありますが、個人再生の場合は理由に関係なく何度でも申し立てることができます。

とはいえ、信用情報に傷がつく行為には違いありませんので、一度債務整理をした後はお金の使い方に気を付けることが大切です。

自己破産は2回以上できる?

債務整理の最後のとりでといわれるのが、自己破産です。

税金や健康保険料などの一部を除く、すべての債務を免除してもらう方法で、ほかの債務整理では返済しきれない借金がある場合に選択します。

自己破産をすると、個人再生と同じく最長5~10年は新たに借り入れできませんが、その期間を過ぎればまたローンを組めるようになります。

そうして再び返済不能な借金をこしらえてしまった場合、2度目の自己破産を考えなくてはいけない羽目になるかもしれません。

「免責不許可事由」に該当しなければ、複数回の自己破産は可能

自己破産は、法律的には2回以上行なうことが可能です。

ただし、前回に免責許可の決定を受けた日から7年以内の申し立ては「免責不許可事由」にあたりますので、基本的には前回の免責から7年以上たってから申し立てる必要があります。

また、ほかの免責不許可事由にも該当していないことが重要です。免責不許可事由には、たとえば以下のようなものがあります。

  • 報告すべき財産を行為に隠したり、不当に安く売却したりした場合
  • 破産手続を遅らせる目的で追加の融資を受けたり、他人の借金を背負ったりした場合
  • 特定の債権者だけに返済を行なった場合
  • ギャンブルや投資、浪費などで作った借金の場合

上記のほか、破産法ではいくつかの免責不許可事由が規定されており、そのうちいずれかに該当する場合は免責を受けられない可能性があります。(詳しくは:自己破産ができない11個の「免責不許可事由」

逆にいうと、法律的には「免責不許可事由がない限り、免責許可は必ず下りる」ことになっています。ですから、前回の自己破産の免責許可が下りた日から7年以上が経過しており、ほかの免責不許可事由にも一切該当していないのであれば、2度目であろうと3度目であろうと免責は受けられるのです。

2回目以降の自己破産では、詳しい調査が行なわれることも

ただし、2回目以降となるとやはり裁判所の態度は厳しくなります。

自己破産では、免責不許可事由に該当する場合でも「裁量免責」といって、裁判官の判断で免責許可が下りるケースも少なくありません。

たとえばギャンブルで作った借金であっても、1度目であればよほど悪質なケースでない限り、裁量免責を受けられることが一般的です。

しかし、2回目も前回と同じ理由で借金を作ってしまうと「反省がない」とみなされ、裁量免責を受けられない可能性が高くなります。

また、「免責不許可事由に該当していないかどうか」のチェックも1回目より2回目のほうが厳しくなり、お金の使い道や財産などについて詳しく調査されることもあるのです。

そのために、裁判官と面談して詳しい事情をヒアリングされる「免責審尋」が行なわれることもありますし、場合によっては「管財事件」として取り扱われることもあります。

管財事件になると、裁判所が「破産管財人」(多くは弁護士)を選任し、破産者が財産を隠し持っていないかどうかや、免責不許可事由に該当していないかどうかなどを詳しく調査します。

このように、自己破産は法律的には2回以上できるものの、1回目に比べるとハードルは高くなります。自己破産はあくまで最後のとりでですので、1回行なった後は生活態度やお金の使い方を見直し、2度目がないように気を付けることが大切です。

まとめ

2回目以降の債務整理についてまとめてみましょう。

  任意整理 特定調停 個人再生 自己破産
2回以上の債務整理の可否 可能だが、債権者が交渉に応じない可能性が高い 再生計画案が認められれば可能 「免責不許可事由」に該当しなければ可能
注意点 延滞すると、「和解契約書」によって一括返済を求められる可能性がある 延滞すると、「調停調書」によって一括請求および強制執行を受ける可能性がある 2度目の個人再生を申し立てる前に、再生計画の変更を優先して検討する 2回目以降になると、免責不許可事由に該当しないかどうかの調査が厳しくなり、裁量免責を受けにくくなる

債務整理は、法律上は2回以上できるものが多いのですが、実際に可能かどうかは個々のケースにもよります。

特に任意整理や特定調停の場合、債権者に拒否される可能性が高いため、その場合は個人再生や自己破産などの別の方法を検討しなくてはいけません。

2回目の申し立てが比較的しやすいのは個人再生ですが、返済期間を延ばすなどして解決できる場合は、再生計画の変更が優先的に行なわれます。

自己破産は、免責不許可事由に該当しなければ何度でも可能ではあるものの、倫理的にいっても望ましいとはいえないため、厳しく判断されることが一般的です。

基本的に、1度でも債務整理を行なった時点で債権者には多大な迷惑がかかっていますから、いったん取り決めた約束を守ってしっかり返済していく必要があります。

しかし、中にはやむを得ない理由で返済が難しくなってしまうケースもあると思いますので、延滞する前に弁護士に相談してアドバイスを求めることをおすすめします。

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