債務整理中に自己破産に切り替える4つのケース

執筆者

西岡合同事務所

司法書士 西岡 容子

債務整理のメニューには「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」といった各種のものがありますが、どれを選択するかは最初の段階でとても大切なことです。

ただ、いったん選んでしまった後でやはりその手続きができない事態になることもあります。

では、具体的にどういった場合に手続きの切り替えが必要になるのでしょうか。他の手続きから自己破産に移行する場合を例に考えてみましょう。

ケース1 任意整理の和解が成立しない場合

これは、近年よくみられるケースです。

任意整理とは、裁判所を通さずに行う和解ですのであくまで貸金業者がどう対応してくるかがその成否を決めます。

ただ、平成20年あたりから和解について自社の条件を決して譲らない会社が増えてきました。ここには背景となる事情があります。

平成18年、貸金業者にとって不利な最高裁判決が出たことなどもあり、いわゆる「過払い金」の返還請求が怒涛のように行われるようになりました。

キャッシュが大量に流出した中小の貸金業者は次々と倒産に追い込まれ、倒産を免れても大規模なリストラを敢行しなくてはならないケースが急増したのです。

そうなると「人手が足りない=人員的、予算的にみても長期の債権管理はできない」という状況に陥ります。

よって、債務者が「3年の分割払いにしてほしい」といっても業者は「1年でなければ認めない」などと言い出すことになり、話し合いは膠着してしまうことになります。

債務整理の実務経験豊富な弁護士であれば「各業者に合わせた落としどころ」を心得ており、うまくまとめてくれることもありますがそれでもやはり無理なこともあります。

こういった場合、業者側の主張に合わせた返済方法が不可能であれば、あとは債務者の収入の事情に応じて個人再生や自己破産を選択せざるを得ないことになります。

ケース2 任意整理の途中で返済が滞った場合

任意整理による和解をいったん成立させたが、何らかの事情でその後の返済が滞ってしまうこともあります。

任意整理の場合、和解成立からだいたい3年~5年くらい返済が続くわけですが、その間には色々なことが起こる可能性があります。

たとえば勤務先の倒産や減収、リストラなどがその代表例でしょう。また、給料が変わらなくても思わぬ支出が発生してしまったなどの事情も考えられます。

実務的にはもし任意整理で成立した内容の返済を滞ると、まず手続きを担当した弁護士などのところに連絡が入ることが多いでしょう。

貸金業者は「〇〇さんの返済が滞っているのですがご本人に連絡してもよいですか?」と聞いてきます。

これは、基本的に「債務整理を弁護士や司法書士が受任したら、それ以降は債務者本人に直接連絡を取ってはならない」という規制があるからです。

多くの場合は任意整理だと和解成立をもって委任契約(債務者と法律家の間の契約)が終了となっていることが多いため、法律家がそれを口頭や文書で伝えると今度は債務者本人のところに直接連絡が入ります。

たとえば1,2カ月何らかの事情で返済出来ない場合、事情を説明すれば待ってもらえることもありますが、ここで誠実な態度を取らないと貸金業者から訴訟を打たれるようなことにもなりかねません。

放置しておくと貸金業者の勝訴、給与などの差押えという事態にもなるため、現実的に可能な対処を考えなければならないのです。

少し待ってもらえれば返済金を工面できる(病気などで一時的に減収しているなど)ような事情であれば債権者と話し合いの余地もあるでしょう。しかし決して無理は禁物です。

待ってもらっても状況が変わらないことが明白なのであれば、潔く自己破産に切り替えた方が貸金業者もだらだらと債権管理をし続けることなく貸倒として処理できますし、債務者本人にとっても経済的な再生がしやすくなります。

ケース3 個人再生において再生計画の認可がおりない場合

「個人再生」の手続きにおいては裁判所が関与しているため、最終的に裁判所が「再生計画案(具体的にどこの業者に月いくら返済するかなどの計画)」を認可しなければ成立させることはできません。

つまり、「不認可」とされる事由もあるということです。

たとえば、再生計画案の内容が手続き上のルールに則っていない場合です。

具体例を挙げると、「清算価値保障の原則」に反する場合があります。清算価値保障とは、「その債務者が破産をした場合に破産財団(債権者に配当するべき財産)に組み入れられる金額以上は返済しなければならない」という決まりのことです。

これは、自己破産の場合にも言えるのですが、「自分自身の財産をキープしたままで債権者にだけ我慢させるようなことがあってはならない」という考え方に基づくものです。

よって、裁判所が再生計画案をチェックして、この清算価値保障の原則で判断される金額より低い弁済額を設定しているとみれば不認可になることもありえます。そうなるとあとは必然的に自己破産に移行することになります。

また、債務者自身に返済する能力(安定した収入)が欠けていると思われるような場合にもやはり不認可となる可能性が高くなりますので、自己破産への移行が必要となります。

ケース4 過払い金が思うように取り戻せなかった場合

高金利業者(年利20%超え)との取引がある程度長期間にのぼる場合、利息の払い過ぎ(過払い金)が発生していることがあります。

その金額によっては、過払い金を貸金業者から取り戻すことで残債務のある業者に返済して解決できることもあります(このパターンも任意整理の一種といえます)。

しかし、近年では上記のように貸金業者の経営状態が悪化しており、過払い金を取り戻すにもそう簡単ではないケースが増えています。

任意の和解で取り戻せない場合は訴訟を起こさなければならないこともありますが、本気で戦おうとすれば手間と費用、時間もかかってきます。

そして最終的に期待したほど過払い金が取り戻せなかった場合は、債務者自身の収入から残債務のある債権者に返済することになります。

債務者の収入から返済することが不可能なのであればやはりこちらも個人再生または自己破産に移行せざるを得ないでしょう。

まとめ

いかがでしょうか。

いくつかのパターンを紹介しましたが、いずれにせよ、債務整理においては「債務者本人の収入、そして債務の現状から見て、決して無理な手続選択をしない」ことが成功の秘訣です。

「どうしても自己破産を避けたい」といって無理に任意整理をしてしまい、途中で支払えなくなることが時々ありますが、途中から自己破産に切り替えると最初に行った任意整理の費用や手間はすべて無駄になってしまいます。

最初の段階で法律家とよく相談し、ある程度の余裕をもって遂行できる手続きを慎重に選ぶことが大切です。

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