個人と法人の債務整理の違い

執筆者

西岡合同事務所

司法書士 西岡 容子

債務整理をする主体は「個人」の場合と「法人」の場合があります。

法人の債務整理というと大企業の債権者集会などがイメージされますが、実際には社長と従業員数人でやっているごく小さな法人というケースが圧倒的に多いでしょう。

しかし、それでも「法人成り」していたというだけでその手続き過程に違いが出てくることもあるのです。

では、破産手続きを中心に、主体が個人・法人の別によりどのような違いが生じるのか、また法人が破産する際の注意点などを確認してみましょう。

手続きの進行上の違い

自己破産においては「個人」の債務者が自己破産する場合、その9割方は「同時廃止」に振り分けられますが、これは破産手続開始決定の後すぐに終結して免責の手続きに移るものです。

その理由としては、本来破産手続きで行うべき「債権者への配当」をできるだけの財産がないからです(ただ、免責不許可事由といって裁判所から不実な行為等があったと判断されるケースでは破産管財人がつく「管財事件」となることもあります)。

一方で、「法人」の場合は、裁判所の管轄によって扱いが異なることもありますが、法人の破産申立てがされると無条件で管財事件に振り分けられる運用をしているところも多いのが実情です。

たとえば東京地裁の例を見ると、以前であれば営業を停止して資産がない法人については同時廃止を認めるという運用がされていましたが、これは平成12年9月以降は廃止されており、すべての案件で管財事件に振り分けられています。

管財事件になった場合、手続きの大まかな流れとしては「裁判所によって破産管財人が選任される」「予納金を支払う」「破産管財人との打ち合わせ」「破産管財人による財産・負債調査や配当等の業務」「債権者集会・(個人の場合のみ)裁判所による免責審尋」「裁判所から免責許可決定をもらう」のようになります。

同時廃止が2、3カ月以内くらいでスピーディに終わるのに対し、管財事件は半年以上(不動産の売却などを伴う場合はさらに長いことも)とかなり時間もかかりますし、予納金を準備しなければならないという問題もあります。

予納金については、多くの事案で「少額管財」となり20万円程度となることが多いのですが、事案が複雑になれば金額がさらに高くなることもあります。

また、これを分割払いできるかどうかも各地方裁判所の判断に任されている部分があるので、申立ての前に担当の弁護士とよく打ち合わせ、確認しておくことが大切です。

なお、後にも述べますが、法人の代表者が法人の連帯保証人になっていることもよくあるのですが、そのため法人の経済的困窮はその代表者の困窮と連動していると考えられます。

よって、もし代表者個人だけが自己破産の手続きを取ろうとすると、裁判所はその原因となった法人の破産を同時に申し立てるように促します。

法人の場合、個人と異なり主体そのものが消滅する

個人であれば破産手続きを取ったからといってその人がいなくなるわけではありませんが、法人の場合、破産手続きにより「法人そのものが消滅してしまう」という特徴があります。

「免責」のプロセスがない

上記のように法人の場合は支払いの主体そのものがいなくなるわけですから、個人破産のような「免責」の手続きを経る必要がありません。

法人には「非免責債権」もない

個人の破産では、税金や離婚した場合の子供への養育費など、破産、免責を経ても免れることのできない「非免責債権」と呼ばれるものがあります。

しかし、法人では上記のように支払いの主体が消滅しているため、非免責債権という概念そのものが存在しません。

法人の債務整理で特に気をつけること

会社を清算するにあたっては、個人の債務整理とは異なり、周辺に発生するさまざまな問題があります。

債権者や株主への対応

会社の代表者は、会社の清算にあたってはなるべく債権者や株主に迷惑をかけないようにしなければと考えることが当然の感情ですが、いったん破産手続きを決意したら決して債権者相互を不公平に扱うようなことをしてはならない点に注意したいものです。

もし、偏頗弁済(へんぱべんさい:どこかの債権者だけに先に弁済したり、担保を提供するような行為をすること)があれば、後々その行為は破産管財人により否認されてしまうことになります。

また、これから清算しようとする会社が個々の株主から株式を買い取り、その分の資金を返還しようとすることも許されません。

とにかく、弁護士、裁判所、破産管財人などに相談もせず、代表者がその一存で各債権者や株主に個別の対応をすることは厳に慎まなければならないのです。

従業員への未払い賃金等

会社を清算する場合、上記のように法人自体が消滅するため当然従業員は解雇ということになりますが、清算前一定期間の賃金や退職金は支払われていないことが多いはずです。

未払い賃金や退職金は従業員の生活にダイレクトに影響しますので、破産手続きにおいてはこれらは優先的に支払うべき債権となっています。

ただ、やはり破産財団(債権者等に支払うことが前提で確保している債務者の財産の集合体)の金額自体が不足していて、建前上は優先権を有していても支払えないことも珍しくありません。

そこで、「独立行政法人労働者健康安全機構」による立替え払いを利用することも一つの方法です。これは、労災保険の適用事業所(1年以上事業活動を行っていたこと)に雇用されており、賃金等が支払われないまま退職したなど、一定の要件を満たした人に政府から立替え払いがされる制度です。

もちろんこれはあくまで「立替え」に過ぎないため事業主は賃金支払い義務を免れるわけではなく、国に立替え分を返還しなければなりません。

代表者が連帯保証人している債務の処理

金融機関からの借り入れでは、一般的に代表者は会社の連帯保証人となっています。このような場合、会社の破産手続きを行っても代表者個人の債務は残る形になります。

もちろん、代表者個人に返済可能な資産があればよいのですが、会社を畳むほど困窮しているのであれば代表者が個人的な資産を豊富に持っているケースの方が少ないのではないでしょうか。

そうなると、債権者と話し合って可能な範囲での分割弁済をする選択肢もありますが、代表者個人も破産手続きを取ることが一番根本的な解決に適している手段です。

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