裁判所から訴状!「給与差し押さえ」がきたらすぐにやるべきこと

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執筆者

佐藤元宣FP事務所

FP 佐藤 元宣

金融機関のカードローンや消費者金融から借金をしている人にとってみますと、毎月の返済は大きな負担になります。

1社ならまだしも、4社、5社ともなれば、毎月の返済金額が少額でもさらに大きな返済負担となってしまい、時として返済ができなくなることも考えられます。

毎月の返済が滞ってしまうと、業者からの連絡は当然にありますが、これに対してずっと返済約束を守らない場合や無視し続けた場合、いよいよ最終勧告として裁判所から差し押さえの通知が届くようになります。

ここまできたら、すべての状況が末期であるといっても決して過言ではありません。そこで、本記事では、裁判所から差し押さえが届いてしまった場合における対処方法をはじめ、給与などの財産が差し押さえられることによる問題点や基本的な知識について詳しく解説していきます。

そもそもなぜ差し押さえがされるのか

裁判所からの差し押さえの対処方法を解説する前に、そもそも「なぜ差し押さえがされるのか」といった根本的な部分を確認していきましょう。

差し押さえは、所得税、住民税、固定資産税、国民健康保険税など国や市町村の税金を「滞納」した場合をはじめ、借金やローンを「滞納」した場合、月々の家賃を「滞納」し支払わない場合などさまざまな状況下において実行されます。

これらの例に共通していることは、「滞納」であり、要は約束されたお金をいつまで経っても支払わないことが原因であることがわかります。

仮にいつまで経ってもお金を支払わないようなやり方があたり前になることは、公序良俗の観点から社会全体に対して大きな悪影響を与えてしまいかねないことにつながります。

固いお話ですが、世の中の秩序を守ったり、1人ひとりの公平性を保つためには、差し押さえという行為がどうしても必要であることに間違いはないと思われます。

裁判所の差し押さえは1通の書類から始まる

裁判所からの差し押さえ通知は、「特別送達」という方法で1通の書類が自宅に郵送されます。特別送達とは、民事訴訟法という法律に基づいて裁判所が訴訟の関係者(この場合は滞納者)に対して書類を送達し、送達した事実を証明する方法になります。

したがいまして、特別送達で届いた書類を故意に受け取らなかったり、書類が届いていないなどといった虚偽の訴えは当然のことながら認められることはありません。

仮に特別送達で自宅に届いた書類をいつまでも受け取らない場合は、勤務先にまでその連絡が及ぶこともあるため、借金を抱えている事実を他人に知られてしまうリスクがあります。結果として、かえって自分の首を絞めてしまうことにつながります。

裁判所の特別送達に対応しない場合

裁判所からの特別送達に目を通しただけでは何の解決にもならず、実際に書類に書かれている対応が求められます。仮に未対応の場合は、給与や預貯金といった財産の差し押さえが強制執行されることになります。

この結果、当然のことながら勤務先に対して、支払うべきお金を滞納したことによる差し押さえが執行されたという事実を知られてしまうことはいうまでもありません。

勤務態度はまじめで極めて健全であったとしても、お金にだらしない一面を知られてしまうわけですから、たとえば勤務先のお金について横領されるといったおかしな疑いも持たれかねません。

職場で肩身の狭い思いは少なからずしてしまうことが十分考えられるため、できるだけ速やかに裁判所の特別送達には対応するべきでしょう。

財産の差し押さえにはルールがある

裁判所からの特別送達によって強制執行がされた場合において、債務者の財産を隅から隅まで没収してしまうことは、最低限度の生活すら保障されないことにつながります。このような理由から、民事執行法では「差押禁止動産」と「差押禁止債権」に分けた「差押禁止財産制度」を設けています。

差押禁止動産とは

差押禁止動産には、以下のようなものが該当します。

  • 衣服
  • 寝具
  • 家具
  • 台所用具
  • 建具
  • 債務者等の生活に必要な1ヶ月間の食料および燃料
  • 標準的な世帯の2ヶ月間の必要生活費(66万円)

上記のどの項目を見ても、生活するのに最低限必要なものであることに納得ができるのではないでしょうか?

人によって考え方に個人差が生じるところではありますが、標準的な世帯の2ヶ月間の必要生活費(66万円)は、総務省の統計局が掲載している「勤労者世帯の1世帯あたり年平均1ヶ月間の消費支出の額」を参考にして設定されています。

法改正が行われる前の平成15年までは、現行(平成28年5月現在)標準的な世帯の2ヶ月間の必要生活費(66万円)は標準的な世帯の1ヶ月間の必要生活費(21万円)となっていたため、経済情勢など実情を踏まえた法改正が必要といった問題が生じていました。

そして、この問題を解決するために平成15年8月に法改正が閣議決定され、平成16年4月1日より施行されたことによって、現在に至っています。

差押禁止債権とは

差押禁止債権には、以下のようなものが該当します。これらの債権は、原則として給付金額(手取金額)の「4分の3」に相当する金額の差し押さえが禁止されています。

  • 生命保険会社から受け取る「個人年金保険の保険金」といった、国および地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
  • 給与、賃金、年棒、退職年金、賞与などの給与に係る債権
  • 退職手当などに係る債権

上記の差押禁止債権は、原則として「4分の3」に相当する金額の差し押さえが禁止されておりますが、差し押さえの妥当性を図るために、差押執行裁判所は、差押禁止債権の範囲を変更することができることとされています。

  • 債務者の申し立てによって、差押命令の全部または一部を取り消して差押禁止範囲を広げること
  • 債権者の申し立てによって、差押禁止債権の部分について差押命令を発すること

債務者と債権者のその他の事情や生活等を考慮することで、原則的な差押方法によらず、臨機応変に対応する権限を差押裁判所は持っていると理解しておくとよいでしょう。

給与の差し押さえと差押金額のイメージ計算について

裁判所からの差し押さえ命令によって給与が仮に差し押さえられてしまった場合、いったいどのくらいの金額が差し押さえられてしまうのでしょう?ここでは、前述した差押禁止債権の重要部分を解説しながら、差押金額の計算例を紹介していきます。

その支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分の額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分が差押禁止債権の範囲となる

上記は、差押禁止債権の重要部分を要約したものですが、ここでいう「支払期に受けるべき給付」とは、給与から天引きされる所得税、住民税、社会保険料などを控除した金額を指しています。つまり、支払期に受けるべき給付とは「給与の手取額」になります。

次に「政令で定める額」について解説しますが、月給で給与を受けている場合の金額は「33万円」になります。これらを要約文にあてはめると以下のように読み取ることができます。

“給与の手取額に4分の3を乗じた金額が33万円を超えるときは、33万円が差押禁止債権となる”

上記の要約文を踏まえまして、2つの差押計算例を紹介していきます。

給与の手取額が24万円の場合

① 24万円×4分の3=18万円(差押禁止債権の金額)

② 24万円-18万円=6万円(差押金額)

給与の手取額が48万円の場合

① 48万円×4分の3=36万円

② 給与の手取額に4分の3を乗じた金額が33万円を超えているため、33万円(差押禁止債権の金額)

③ 48万円-33万円=15万円(差押金額)

給与差し押さえに係る振込手数料の取り扱い

給与差し押さえの問題の1つに振込手数料の取り扱いがあります。前項で解説したように、給与の手取額によって計算された差押金額は、毎月、債権者の指定口座へ振り込まれるのが一般的です。このとき、債権者に振り込みするための振込手数料を負担するのは誰なのかといった問題が生じます。

民法485条では、「弁済の費用は債務者の負担とする」とされている一方で、民事執行法155条では、「債権者は、債権を取り立てるにあたり債権および執行費用の額を超えて支払いを受けることができない」となっています。

つまり、振込手数料を差押金額に加算することで、差押禁止債権の金額をオーバーすることになってしまうため、結果としてこの場合の振込手数料は「債権者負担」になるのはやむを得ないものと思われます。

給与差し押さえがきたらすぐにやるべきこと

裁判所から差し押さえに関する書類が届くことが、すでに末期症状といっても過言ではないのですが、この差し押さえについて一般の個人が1人で解決するのは、極めて難しいことであると考えられます。

したがいまして、給与差し押さえなどがきたらすぐにやるべきことは「弁護士へ債務整理の相談」であるといえます。

現在抱えている債務を一括返済することで給与の差し押さえがされることは無くなりますが、そもそも長期間において返済を滞っていたわけでありますから、債務の一括返済をするなんて事実上困難であることはいうまでもありません。

また、勤務先を退職することで勤務先に差し押さえの連絡が来ることはなくなりますが、こちらに関しましても職を失って解決するという方法は非現実的であると考えることができます。

したがいまして、弁護士へ債務整理の相談をし、実際に依頼を引き受けてもらうことで、差し押さえを含めた債権者からの督促が止まることになるため、後は、専門家である弁護士の指示の下、解決してもらうことが最も望ましい方法であると思われます。

一般の個人が解決できない厳しい裁判例

前項で解説しましたように、差し押さえがきたら「弁護士へ債務整理の相談」をすることが最も望ましい旨を記述させていただきましたが、ここでは一例として、一般の個人が専門家をなくして解決できない厳しい裁判例を紹介していきます。

年金が振り込まれた預金口座の差し押さえ可否について

年金は給与と同じように生活に欠かすことのできないお金ではありますが、裁判所の判例では、年金が振り込まれた預金口座の差し押さえについては「許される」としており、年金が振り込まれた預金債権の全額を差し押さえることも何ら違法ではないといった厳しい判断をしています。

この理由として裁判所は、年金受給者の生活保護の観点から差し押さえ禁止の趣旨については、十分に尊重しなければならないとしながらも、いったん預金口座に振り込まれた年金を他の差し押さえ財産と識別するのは困難かつ混乱を招くことが懸念されることから、原則として年金が振り込まれた預金口座であったとしても、差押禁止債権として認めないとしています。

そして、「差押禁止債権とは」で先に解説しましたように、債務者の申し立てによって、差押命令の全部または一部を取り消して差押禁止範囲を広げる権限を執行裁判所は持っていることから、年金が振り込まれた預金口座を差し押さえられたことに対して不服があるのであれば、最初から異議申し立てをすればよいでしょうと解することもできます。

このようなことを専門家以外で知っている人は、まずいないわけですから、いかに一般の個人が専門家をなくして解決できない問題が多いのか、改めて理解することができたのではないでしょうか?

まとめ

本記事では、裁判所から差し押さえが届いてしまった場合における対処方法をはじめ、給与などの財産が差し押さえられることによる問題点や基本的な知識について詳しく解説しました。

解説で何度も申し上げておりますように、差し押さえに関しましては、「とにかく弁護士へ債務整理の相談をするようにしてほしい」と強く伝えておきたいと改めて思います。

これは、「後々取り返しがつかなくなりそうなことが多すぎること」、「個人で解決できるような問題ではなくなってしまっていること」といった理由があるためです。

そして、できることなら差し押さえが届くまで何も行動しないのではなく、返済に苦しくなったり、滞納しなければならなくなってしまった状況に陥ってしまった時は、速やかに専門家である弁護士へ借金の相談をしてみることをおすすめします。早期相談が、早期解決につながることはいうまでもないのです。

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