借金整理の4つの方法の特徴と違い

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

借金の返済がどうにもならなくなった場合、カードローンなどでこれ以上負債を増やすよりも、思い切って債務整理をすることを考えてみましょう。

債務整理とは、合法的に借金を整理する方法のことです。個人の場合、大きく分けて「任意整理」「特定調停」「個人再生(個人民事再生)」「自己破産」の4つがあります。

それぞれのケースによって、向いている方法と向いていない方法がありますので、まずは弁護士などの専門家に相談をしたほうが確実です。

ここでは、4つの借金整理の方法のおもな特徴や違いなどについて解説していきます。

利息や遅延損害金などをカットしてもらう「任意整理」

任意整理は、裁判所を通さず直接債権者と交渉して、債務を減額してもらう方法です。

たとえば、利息や遅延損害金(支払いが遅れた場合に付くペナルティのような損害賠償金)をカットしてもらうなどして、できる範囲で支払いを少なくしてもらいます。

「え?借金を減らしてもらうことなんてできるの?」と不思議に思われるかもしれませんが、債権者としても自己破産されるよりは任意整理に合意して、少しでもお金を取り戻したほうが得策と考える場合も少なくありません。

そうして減らしてもらった負債を、原則として3~5年の分割払いで返済していきます。

ちなみに、だいぶ前からある借金の場合は「過払い金」が発生している可能性がありますので、取引開始時にさかのぼって、現在の上限金利(15~20%)に引き下げて再計算(引き直し計算)します。

これによって、減額になるどころか逆にお金がもどってくる場合もあるのです。

いずれにしても、任意整理の交渉は債務者本人では難しいため、弁護士や司法書士などのプロに依頼して行なう必要があります。

任意整理のメリット

  • 裁判所を通さないため、手続きが比較的簡単
  • 借金の総額が減り、返済が楽になる
  • 場合によっては過払い金がもどってくることもある
  • 自由度が高いため、一部の債務だけを任意整理することもできる
  • 財産の処分や職業(資格)の制限などがない

任意整理のデメリット

  • 事故情報として扱われるため、完済から最長5年間は新たな借り入れができない
  • 債務整理の中では、減額効果がそれほど大きくない
  • 近年、任意整理に応じない業者も増加している

このように、任意整理にはメリットもデメリットもありますが、債務整理の中でももっとも手続きが容易であり、場合によっては過払い金がもどってくる可能性もあることから、まず優先的に検討されることの多い方法です。

債務者と債権者が裁判所で直接話し合う「特定調停」

特定調停とは、簡易裁判所の調停委員の仲介により、債務者と債権者が話し合って返済条件を見直す方法です。

任意整理と同じく、取引開始時にさかのぼって引き直し計算を行ない、過払い金が発生していないかどうかを調べたり、利息や遅延損害金などをカットしてもらうよう交渉したりします。

任意整理と異なるのは、「債務者が裁判所に申し立てを行ない、債権者と話し合う必要がある」ということです。任意整理では弁護士にすべてをお任せできますが、特定調停では原則として債務者本人が書類の準備や交渉を行なう必要があります(ただし、弁護士が代理人になることは可能)。

また、特定調停で合意が成立した後は、約束どおりに支払わないと給与差し押さえなどの強制執行を受ける可能性がある点に注意が必要です。(参考:裁判所から訴状!「給与差し押さえ」がきたらすぐにやるべきこと

合意後、裁判所が「調停調書」という書面を作成するのですが、これには裁判での判決と同じ効力があります。

ちなみに、特定調停では支払予定期間が4年を超えると、債権者側が応じない可能性が高いため、原則として3年ほどで返済できるだけの債務がある場合に対象となります。

特定調停のメリット

  • 場合によっては過払い金がもどってくることもある
  • 合意したい債権者を自由に選ぶことができる
  • 財産の処分や職業(資格)の制限などがない
  • 弁護士を使わない場合、任意整理よりも費用が安い

特定調停のデメリット

  • 事故情報として扱われるため、完済から最長5年間は新たな借り入れができない
  • 書類の用意や裁判所への出廷など、任意整理に比べると手続きが面倒
  • 債権者からの取り立てが、任意整理の場合よりも長引く可能性がある
  • 約束通りに支払わなかった場合、給与差し押さえなどの強制執行を受けることがある
  • 必ずしも希望どおりの合意ができるとは限らない

特定調停は、弁護士を通さないだけに債務者本人の負担が大きい点がデメリットです。また、任意整理では弁護士が間に入った時点で取り立てがストップしますが、特定調停の場合は債務者が書類をそろえて申し立てを行なうまでの間、取り立てが続きます。

また、間に入る調停委員は弁護士のような専門家ではありませんし、あくまで中立の立場ですので、債務者にとって不利な内容で決着がつく可能性もあります。

債務を大幅に減らすことができる「個人再生」

個人再生とは、裁判所を通して借金を減額してもらう方法です。任意整理と同じく、弁護士や司法書士などのプロの手を借りて行ないます。

個人再生では、裁判所に「再生計画」を提出して認可を受ける必要があります。認可を受けると、借金の額に応じて債務がカットされ、それを3~5年で支払っていきます。

個人再生を利用した場合の最低弁済額(減額幅)

借金総額 最低弁済額
100万円~500万円未満 100万円まで(最大80%カット)
500万円~1,500万円未満 借金総額の20%(一律80%カット)
1,500万円~3,000万円未満 300万円まで(最大90%カット)
3,000万円~5,000万円 借金総額の10%(一律90%カット)

借金の総額が5,000万円超の場合は個人再生の手続きができません。

また、上記の減額幅は最大値ですので、実際には返済額が上積みされる可能性もあります。

いずれにしても、任意整理に比べると減額効果が高いため、負債の大きい場合に最適です。また自己破産と違い、条件さえ満たせば住宅や車を手放さずに済む可能性もあります。

個人再生のメリット

  • 債務が減るため、返済が楽になる
  • 自己破産と違い、住宅を手放さずに済む可能性がある
  • 財産の処分や職業(資格)の制限などがない

個人再生のデメリット

  • 残債の返済義務がある
  • 自己破産と同じく、住所や氏名が「官報」(国が発行する機関紙)に掲載され、最長10年間は新たにローンを組むことができなくなる
  • 返済能力があり、借金の総額が5,000万円以下の場合に限られる
  • 手続きにかかる費用がやや高額

個人再生では、減額後の債務を原則3年、最長でも5年で支払っていく必要がありますので、「継続的な収入を得られる見込みがあり、かつ借金の総額が5,000万円を超えない場合」のみ対象となります。

また、個人再生の費用は弁護士への報酬を含めて、30万円~50万円以上かかることが一般的です。(参考:個人再生にかかる費用と相場

借金解決の最後のとりで、「自己破産」

借金整理の中でも、最後の選択肢になるのが自己破産です。

自己破産は、税金などを除くすべての債務の支払いを免除してもらう方法で、裁判所に申し立てを行なう必要があります。そして裁判所から免責が許可される、つまり支払い不能と認められると、借金はゼロになります。

ただし、一定以上の価値がある財産(原則20万円超)は没収され、換金されて債権者に配当されますので、持ち家は原則として手放す必要があります。とはいえ、生活に必要な家具などは処分されませんので、普通の暮らしを営むことは十分に可能です。

自己破産するためには、「破産申立書」の作成や書類の整備などが必要なため、弁護士に依頼することが一般的です。

自己破産のメリット

  • 税金や健康保険料などの一部を除く債務の返済義務がなくなる
  • 生活に必要なものは手元に残せる
  • 精神的・経済的に楽になる

自己破産のデメリット

  • 住所氏名が「官報」に載り、最長10年間は新たにローンを組むことができなくなる
  • 免責決定を受けるまでの間、一部の資格職に制限が出る
  • 場合によっては免責を受けられないこともある

自己破産というと、「借金がチャラになる代わりに、すべて没収されて裸一貫で生活を始めなくてはいけない」というようなイメージを抱く方も多いかもしれませんが、実際は日常生活への影響は意外と少ないものです。

原則として、20万円以下の価値の物品や、99万円以下の現金については所持が許可されていますし、生活に必要な最低限のものは十分に手元に残せます。

ただし、免責が確定するまでの間、一時的に資格制限を受けることがあります。たとえば弁護士・税理士・宅地建物取引士・旅行業務取扱管理者などの資格です。(参考:自己破産手続き中に就けない職業「資格制限」とその理由

あくまで免責決定を受けるまでの一時的な制限ですので、その後は資格を生かして働くことができます。

とはいえ、自己破産は債務整理の中でも「最後の手段」です。支払える可能性が少しでもある場合は、自己破産ではなく任意整理や個人再生などの方法を選んだほうが最低限の義務を果たせますし、住宅も手放さずに済みます。

自己破産は、それらの方法でも返済が難しい場合に初めて検討するものです。

ちなみに、自己破産の申し立てをした人で、裁判所から認められない(免責を受けられない)人はあまりいませんが、たとえば財産を隠していたり、ギャンブルや浪費が原因で借金を作ったりした場合は、「免責不許可事由」に該当し、自己破産できないこともあります。

また、「前回の免責決定確定から7年以内」に再び破産の申し立てを行なった場合も、免責不許可事由に該当します。つまり、7年以内に2回以上の自己破産はできないということです。

ただし、免責不許可事由に該当した場合でも、状況によっては裁判所の判断で免責を決定できる「裁量免責」というものが認められています。

いずれにしても、一度自己破産をした場合はその原因を反省し、2度目がないように気を付けて生活することが大切です。

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