多重債務・多重債務者とは?

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

多重債務とは、一般的に「複数の業者から借金をして、返済が苦しくなっていること」を指します。また、そのような状態にある人のことを「多重債務者」と呼びます。

JICC(日本信用情報機構)の調査によると、2015年7月時点で2社以上の貸金業者から借り入れをしている人は、全国に399万人いるとのことです。また、年間およそ8万人が自己破産を申し立てています。

2010年から完全施行された「改正貸金業法」の効果もあって、多重債務者の数は減少傾向にありますが、最近は銀行カードローンで多重債務に苦しむ人が増えているようです。

なぜ、人は多重債務に苦しんでしまうのか?その理由や、解決方法などについてもご紹介したいと思います。

自転車操業状態におちいりやすい「多重債務」

多重債務者とは、消費者金融をはじめとする複数の貸金業者からお金を借り入れ、返済が困難になっている人のことを指します。

何件以上から借り入れていると多重債務になるのかについては、明確な定義はありません。中には「5件以上」が目安にされることもありますが、一般的には「2件以上から借り入れていて、かつ返済に困窮している人」であれば、多重債務者と呼ばれます。

借り入れ先が多ければ多いほど、借入額も大きくなるのが普通ですので、いずれ返済に行き詰まるようになります。

そこで早めに手を打てればまだいいのですが、一社に返済するために、ほかの会社からまたお金を借りるという悪循環におちいり(このことを自転車操業といいます)、どんどん負債がふくらんでしまう人が多いようです。

その結果、最終的には自己破産任意整理などの債務整理に行き着く人もいます。しかし多重債務者全体のうち、債務整理を行なう人はごく一部であり、人知れず自転車操業を続けている人はかなり多いとみられています。

なぜ多重債務者になってしまうのか?

「それにしても、なぜ多重債務者になってしまうんだろう?普通に考えれば、あちこちの業者からお金を借りていれば、いずれ返済に困ることは想像がつくのに…」と不思議に思う方も多いのではないでしょうか。

また、「多重債務者になる人なんて、どうせパチンコや競馬などのギャンブルをしている人でしょ?」とか「身の丈に合わないブランド品を買いまくっているのでは?」というイメージもあるかもしれませんね。

しかし、実情は少し違うようです。日本弁護士連合会消費者問題対策委員会が2014年に自己破産者を対象に行なった調査によると、破産原因としてもっとも多かったのは「生活苦・低所得」で、破産者のおよそ60%となっています。

続いて「保証債務(22.42%)」「病気・医療費(20.73%)」「失業・転職(19.84%)」「負債の返済(17.18%)」と続いており、ギャンブルや浪費が原因と答えた人は意外と少ないことがわかります。

日本弁護士連合会消費者問題対策委員会「2014年破産事件及び個人再生事件記録調査 破産原因(複数回答)」より

中でも「生活苦・低所得」は、2000年の調査時から変わらず破産原因の1位を占めています。このことから、生活費の不足を補うために多重債務におちいった人が多い、という事実がうかがえます。

生活費の補てんのための借金は、最初から高額になることはまれです。多くは少額の借り入れからスタートし、それが少しずつ増えていきます。

また最近のカードローンは、月々の返済額が低く抑えられている場合が多いため、たとえば数十万円の負債があっても毎月10,000円ぐらいの返済で済むことも少なくありません。しかしその分、なかなか元本が減っていきませんので、いつまでも返済し終わらないローン地獄へとつながっていきます。

このように、多重債務におちいる背景には「少額ずつ借りる上、一社あたりの月々の返済額もそれほど高くないため、いずれどうにかなると思いやすい」という事情があると考えられます。

つまり、多重債務者は特別な人たちというわけでは決してなく、誰もがなる可能性があるものです。本人の甘さと言ってしまえばそれまでですが、貸す側にも問題があるケースも多く、「多重債務者をつくらないシステム」の整備も必要だといえます。

「多重債務者は減っている」といわれるけれど…

一時は社会問題になるまでに増加した多重債務者でしたが、近年は減少傾向にあります。

その大きなきっかけとなったのが、2010年に完全施行された「改正貸金業法」という法律です。特に、その中に盛り込まれた「総量規制」というルールが、借金事情を大きく変えました。

それまで、消費者金融をはじめとする貸金業者は、利用者の所得にかかわらずお金を貸し付けていましたが、改正貸金業法では「利用者の年収の3分の1までしか貸し付けてはいけない」というルールが新たに設定されました。これが「総量規制」と呼ばれるものです。

年収の3分の1までというのは、すべての貸金業者からの借り入れを合わせた総額になります。たとえば年収300万円の人の場合、貸金業者から借りられるのは最高でも100万円ですので、すでに一社から50万円借りているなら、ほかの会社からはあと50万円までしか借りられません。

これによって、収入に見合わない額を消費者金融から借りられなくなり、多重債務者の減少につながったのです。

もう一つ、貸金業法の改正によって変わったことに「グレーゾーン金利の撤廃(みなし弁済の廃止)」もあります。

利息に関しては、「利息制限法」という法律の中で「元本が10万円未満の場合は年20.0%、10万円以上100万円未満の場合は年18.0%、100万円以上の場合は年15.0%が上限」と昔から決められています。しかし一方で、「出資法」という別の法律では「年29.2%を超える金利で貸し付けた場合、罰則の対象になる」と規定されていました。

つまり、利息制限法では「最高20.0%まで」となっているにもかかわらず、出資法では「29.2%を超えたら罰しますよ」と言っているため、多くの貸金業者が最高29.2%の金利を設定していたのです。

この「20.0%超29.2%以下」のあいまいな金利のことを「グレーゾーン金利」といい、長らく黙認されていました。こうして高い金利が平気で設定されていたこともあり、多重債務者の返済はますます苦しいものとなったのです。

しかし、本来なら貸金業者は利息制限法を守らなければいけないのであり、改正貸金業法においてグレーゾーン金利はついに撤廃されることになりました。これにより、現在ではどの貸金業者も年20.0%までを上限としています。

ちなみに、テレビCMなどでもよく見かける「過払い金請求」とは、グレーゾーン金利が設定されていたころに貸金業者から借り入れていた人が、余分に払ったお金(利息)の返還を求めることです。

本来守られるべきだった金利で引き直し計算することで、過払い金がもどってきたり、現在ある借金が減額されたりゼロになったりする可能性があります。(参考:今流行りの過払い金請求とは?

こうした法律の変化もあり、近年は多重債務者が減っているのは喜ばしいことです。

しかし一方で、個人の自己破産の申し立て件数が久しぶりに増加したというニュースも報道されています。最高裁によれば、2016年の個人の自己破産申請件数は64,637件で、前年より1.2%増。自己破産の件数が前年より上回ったのは、実に13年ぶりとのことです。

多重債務者が減ったのに、なぜ今になって自己破産が増えているのかというと、その一因に「銀行カードローンの過剰融資」があると指摘されています。

総量規制のルールは、あくまで銀行以外の貸金業者に適用されるもので、銀行は対象外です。そのため、消費者金融から借りられなくなった人が、今度は銀行カードローンで借り入れるケースが増えていると考えられます。

このままでは、せっかく減少に転じた多重債務者がまた増えてしまう危険性があるため、「銀行カードローンにも何らかの規制が必要ではないか」という議論が始まっています。

借金の返済に苦しんでいる人は、弁護士への相談を!

多重債務におちいった場合、自力でなんとかするのは難しいものです。よほど「たなぼた」でまとまったお金が手に入らない限り、不可能に近いでしょう。

しかし、どんな借金にも合法的な解決方法があります。たとえば、任意整理や個人再生、自己破産などの債務整理です。手を打つ時期が早ければ早いほど、失うものも少なく済みます。

そのためにも、自転車操業で負債を増やし続ける前に、弁護士などの専門家に相談することが大切です。

多重債務に苦しんでいる人の中には、最終的に自殺や失踪などの選択をする人もいますが、合法的な解決手段がある以上、逃げたり命を落としたりすることはありません。

「返済が難しい」と思ったら、なるべく早く専門家に相談しましょう。

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