夜逃げは借金解決法として有効?

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

借金がかさみ、借り入れ先からの督促が来るようになると、思い悩んだ末に「夜逃げ」という行動に出る人もいます。

確かに夜逃げをすれば、一時的に督促からは逃れることができるかもしれませんが、結局は何の解決にもなっていません。

「借金には時効があるから、それまでの時間稼ぎをしよう」と思っても、実際は業者側が裁判所に訴えることで「時効の中断」が認められてしまいます。

また、住民票を異動できないことで日常生活にもさまざまな不都合が生じてしまうのです。

借金は夜逃げをしなくても十分に解決が可能ですので、ぜひまっとうな方法を選ぶようにしましょう!

夜逃げをしても、借金はチャラにならない!?

昔から、借金の返済に困った人が夜逃げすることはよくありました。

夜中に家財道具一式を持って、ひそかに家族全員で町を逃げ出す…という光景、よくドラマや映画などでも見かけますよね。

しかし、もちろん「夜逃げ=借金の解決」にはなりません。ただ問題を放置して逃げ出すだけで、返済義務はなくならないのです。

「でも、確か借金には時効があるから、それまでの時間稼ぎはできるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、そううまくいくとは限りません。

借金の時効とは?

確かに、借金には時効(消滅時効)があります。その年数は以下の通りです。

ケース 時効成立までの期間
貸主もしくは借主のいずれかが商法上の商人の場合など 5年(商法522条)
貸主と借主がいずれも商人ではない場合など 10年(民法167条)

つまり、営業していない個人からお金を借りている場合は10年、貸金業者などの会社から借りている場合は5年で時効を迎えることになります。ただし貸主が個人であっても、たとえば事業資金を借りる場合などは商行為にあたるため、時効が5年になります。

いずれの場合も、時効のカウントが始まるのは「弁済期または最後の返済の翌日から」です。弁済期とは、債務者が債務の返済をするべき時期という意味になります。

たとえば、1回でも返済を行なっている場合は「最終返済日の翌日から」となりますが、中にはまだ1度も返済していない人もいるわけで、その場合は「本来の一回目の返済期日の翌日」が起算日となります。もし返済期日を決めていなかった場合は、契約の翌日が起算日です。

ちなみに、所定の年数が過ぎただけでは借金の返済義務はなくなりません。期間を過ぎた上で、借主が貸主に対して「時効が成立しているので、私の支払い義務は消滅していますよ」と伝えて、初めて時効が成立するのです。

これを「時効の援用」といい、一般的には貸主に内容証明郵便で通達します。(参考:債務整理で使える!内容証明郵便の「書き方」と「文例」

時効はリセットできる!

「それなら、5年か10年逃げ続けていれば、時効を迎えて借金を返す義務がなくなるのでは?」と思われるかもしれませんが、そううまくはいきません。時効によって不利益をこうむる側のために、「時効の中断」という制度が用意されているからです。

しかも時効の中断は、単に時効の進行をストップさせるだけではなく、これまでの時効期間をなかったことにする効力もあります。つまり、起算日にさかのぼってリセットできるということです。

時効を中断するもっとも簡単な方法は、「借主に債務の存在を認めさせること」です。支払いの誓約書にサインをさせたり、債務の一部を1円であっても返済させたりすることができれば、その時点で時効は中断します。

とはいえ、夜逃げまでした人がこうした要求に対応する可能性は低いため、その場合は貸主が時効延長のための裁判を起こすしかありません。判決が下りると、10年間時効が延長されます。

しかもこの裁判は何度でも起こせますので、貸主さえその気になれば20年、30年も時効が延びることになるのです。

ちなみに、裁判は借主が欠席していても起こすことができますし、夜逃げ中で住所がわからない状態でも問題はありません。

このように、時効成立を期待して夜逃げをしても、そうは問屋が卸さない、ということもあるのです。

夜逃げをすると、日常生活にさまざまな支障が出る!

夜逃げには、ほかの問題もつきまといます。

夜逃げをする場合、住民票を移さずに引っ越しますが、そうすると転居先では色々と困ったことになります。国民健康保険や国民年金の払い込みや利用にも支障が出ますし、子どもがいる場合は進学にも影響が出るでしょう。

とはいえ、夜逃げ先は住民票の異動からバレることがほとんどですので、それを恐れて住民票を移さないまま潜伏生活を送っている人は少なくないと思われます。

しかし、特に家族がいる場合には、まっとうな生活を送るためにも夜逃げは避けたい手段です。

現在の借金の取り立ては、昔ほど厳しくない!

そもそも、なぜ人は夜逃げという選択をするのでしょうか?

その大きな理由は、「督促の嵐から逃れたいから」だと思います。

確かに少し前までは、一部の消費者金融が悪質な取り立てを行なっていました。実際、それが表面化して大きな問題になったこともあります。

しかし、最近は「改正貸金業法」の施行によって、業界全体の浄化が進んでおり、取り立てに関しても以前より厳しく規制されるようになりました。

現在の貸金業法第21条では、「取立て行為の規制」として以下のような行為が禁止されています。

  • 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯(午後9時~午前8時)に債務者に電話をかけたり、ファックスを送信したり、自宅を訪問したりすること。(21条1項)
  • 正当な理由がないのに、債務者の勤務先や自宅以外の場所に電話をかけたり、ファックスを送信したり訪問したりすること。(21条3項)
  • 債務者の自宅や勤務先、その他の場所などを訪問した際、退去を言い渡されたにもかかわらず退去しないこと。(21条4項)
  • 貼り紙や立て看板などで、債務者の借り入れに関する事実やプライベートなことを、第三者に明らかにすること。(21条5項)
  • 債務者以外の人に対して、代わりに返済を要求すること。(21条7項)

このように、現在の法律では取り立てに関するさまざまな禁止事項が規定されています。もちろん、延滞している以上は督促の電話や手紙、場合によっては訪問を受けることはありますが、ひと昔前のように恐ろしい目に遭うようなことはまずありません。

もっとも良くないのは、連絡をまったくとらず、返済の意思があるのかないのかわからない状態にすることです。そうなると、貸主としては督促をエスカレートさせるしかありません。

何らかの理由で延滞せざるを得ない場合は、まず早い段階で電話に出て、誠実な態度で事情を説明することが大切なのです。

「合法的な解決ができない借金はない」と心得よう!

「とはいっても、今のままでは返済できるあてがない…」という場合は、これ以上負債を増やさないためにも、夜逃げではなく債務整理を考えましょう。

債務整理とは、合法的な借金解決の手段のことで、「任意整理」「個人再生」「特定調停」「自己破産」などの方法があります。

どうしても返済が厳しい場合は、弁護士などの法律のプロに相談して、自分にはどういった方法が向いているかを教えてもらうのが一番です。

もちろん、いずれの方法を選んでも金融事故にはなってしまいますから、その後数年間はローンやクレジットカードを利用できない、いわゆる「ブラックリスト入り」することになります。

それでも、収入の範囲内で普通の日常生活を送る分には問題ありませんので、夜逃げをするよりはよほどまともな選択です。

「いや、自分は正規の業者じゃないところから借りているから、夜逃げするしかないんだ」と思われている方もいるかもしれませんが、法律を無視した高金利(年20.0%超)で貸し付けを行なう、いわゆる「闇金融」に対しても、法律で正当に立ち向かうことができます。

そもそも、闇金融の多くはきちんとした認可を受けずに経営しているため、「貸金業法」に違反した存在です。さらに、法律で定められたパーセンテージを超えた金利でお金を貸し付けていますので、「利息制限法」や「出資法」という法律にも違反していることになり、罰則の対象となります。

また、現在は「ヤミ金融対策法」という法律も整備されたことで、その罰則はより厳しくなっています。

無登録営業および高金利での貸し付けによって、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金に処されるほか、出資法違反の高金利を設定していることによって不法原因給付(民法708条)になるため、ヤミ金には返還請求権が認められず、返済義務がなくなるのです。

ですから、どこでお金を借りたかにかかわらず、「合法的に解決できない借金は一つもない」ということをぜひ知っておいてください。正規の業者から借りている人も、ヤミ金の被害に遭っている人も、まずは弁護士に相談してみることから始めましょう。

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