特定調停による借金解決の方法とは?

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執筆者

佐藤元宣FP事務所

FP 佐藤 元宣

現在抱えている消費者金融などからの借金を解決する方法に「債務整理」が挙げられます。

債務整理は、大きく4つに分けられ、「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」という方法がありますが、本記事では「特定調停」について解説していきます。

特定調停という方法を簡単に説明しますと「弁護士や認定司法書士といった専門家に債務整理の手続きを依頼せずに自分自身で債務整理を行う方法」のことを言います。

ここだけ見ますと、「法律の知識もなく、債務整理の手続き方法もまったく分からないのに自分だけで本当に解決できるの?」と思われた方がきっと多いことでしょう。

多くの皆さんが思われたその疑問について、本記事では分かりやすく紐解いていきます。

特定調停を改めて解説

冒頭で特定調停とは、「弁護士や認定司法書士といった専門家に債務整理の手続きを依頼せずに自分自身で債務整理を行う方法」であると記述しました。まずは、よく耳にする「任意整理」と「特定調停」との違いを以下で図解します。

任意整理の仕組み

特定調停の方法1

特定調停の仕組み

特定調停の方法2

双方の違いを解説

任意整理も特定調停も「最終的な目的は同じ」であることが上記図から分かります。

双方の大きな違いは、自分で債務整理手続きをするか、しないかといったことであり、自分で債務整理をする場合は「特定調停」、専門家など代理人を立てて自分で債務整理をしない場合は「任意整理」と区別するのが良いでしょう。

どちらの手続きも法律に則った借金解決の方法であり同じ効果が期待できるものの、どちらの手続きにおきましてもそれぞれメリット・デメリットがあります。

次項では特定調停のメリット・デメリットについて解説していきます。なお、任意整理のメリット・デメリットにつきましては、任意整理の12個のメリットと4つのデメリットを参照してみて下さい。

特定調停の主なメリットとデメリットとは

特定調停は、裁判所が債務者と債権者の双方の間に入ることで借金の減額や過払金返還請求などの交渉をする手続きになりますが、特定調停の特徴上、この手続きを利用できる人は限定されることが予測されます。

本項では、特定調停の数あるメリットとデメリットについて、多くの方が該当すると思われる主な部分をピックアップして紹介していきます。

特定調停の主なメリット

特定調停をすることによって得られる主なメリットには、以下のようなことが挙げられます。

貸金業者等からの督促や連絡が止まる

特定調停をすることによって、裁判所から貸金業者等に対して特定調停が開始されたことや契約から今までの取引履歴を送付するように依頼する旨の通知が送られることになります。

これにより、貸金業者等はお金を貸している債務者に対して借金の返済を促すような督促を行ったり、返済が遅れたことによる取り立ての連絡をすることができなくなります。

仮にこれに反した場合、貸金業者等は大きな行政処罰が課されることになるため、そのようなことを受けるリスクを取ってまで強引な取り立てはまずしないのが一般的です。

一時的に返済をしなくてもよい

特定調停をすることで、貸金業者等への毎月の返済を一時的に行わなくてもよくなります。この理由は特定調停期間中において、現在抱えている正式な借金額を確定する必要があるためです。

一時的にお金の貸し借りを一旦止めなければ、いつまで経っても正式な借金額を計算することが困難なため一時的に返済を止めるといったことになるわけです。

この一時的な期間は、毎月の苦しい返済や取り立ての連絡におびえる必要がなくなりますので、精神的に楽になれる時であることは間違いありません。

特定調停にかかる費用負担が比較的軽い

特定調停は、他の債務整理と異なり「自分で行動する」といったことが必須であることから、費用負担が比較的軽いとされています。特定調停にかかる具体的な費用につきましては、「5. 特定調停の費用は具体的にどのくらいかかるのか」で詳しく紹介していきます。

月々の返済金額が少なくなる

特定調停では、先に「2-1-2. 一時的に返済をしなくてもよい」で触れましたように、現在抱えている正式な借金額を確定する必要があります。

そして、この確定した借金額に対して「将来利息」を免除する取り扱いとなっています。この将来利息とは、毎月返済しているお金に含まれている利息のことを言います。たとえば、以下の様なイメージです。

特定調停前の返済状況イメージ
元金 将来利息 返済金額 残債務
3,633円 12,500円 16,133円 996,367円
3,679円 12,454円 992,688円
3,725円 12,408円 988,963円
3,771円 12,362円 985,191円
3,819円 12,314円 981,373円

毎回16,133円返済しているのにも関わらず、元金として充当される金額が約3,600円から3,800円程度であることが分かります。

残債務を見ると一目瞭然ですが、まったく借金が減っていないことが流れから読み取ることができます。この状態でまたお金を借りてしまうことは、一からの振り出しに戻り、当然に自転車操業に陥ってしまうことになります。

特定調停後の返済状況イメージ
元金 将来利息 返済金額 残債務
15,000円 免除のため0円 15,000円 985,000円
15,000円 970,000円
15,000円 955,000円
15,000円 940,000円
15,000円 925,000円

ここでは仮に100万円の借金を返済するイメージで2つの表を作成しておりますが、特定調停前と特定調停後で大きく異なる点は、「将来利息」と「返済金額」です。

特定調停後の将来利息の免除とは、「特定調停後の返済状況イメージ」の様に利息が発生しないため、返済金額が残債務の返済に直接充てられることを意味します。

また、特定調停前の借入状況等によって異なるものの、返済金額につきましても特定調停後の方が特定調停前よりも金額が少なくなるのが一般的です。

特定調停の主なデメリット

特定調停をすることによって生じる主なデメリットには、以下のようなことが挙げられます。ここでは、特に押さえておかなければならないと思われるデメリットについてピックアップし詳しく解説していきます。

債務者が直接裁判所へ行く必要がある

特定調停は、基本的に貸金業者等との話し合いによって借金解決する方法になるため、「3-3.第1回調停期日の連絡」で後述する「調停期日」に裁判所へ行く必要があります。

一般的には、特定調停の申し立てから特定調停の成立まで2回から3回は裁判所へ足を運ばなければならないため、仮に仕事をしながら特定調停をする状況を鑑みますと、なかなか手続きをするのが難しいと言わざるを得ないでしょう。

特定調停の成立まで期間を要する

特定調停の申し立てから特定調停の成立までの間において、「債務者の収入」をはじめ「債務状況」「返済能力」「交渉手続」といったことを確認し実行していかなければならないため、結果として長い期間を要することになります。一般的には、最終的な解決まで2ヶ月から3ヶ月程度かかるとされています。

自分にとって有利な借金解決になるとは限らない

特定調停を裁判所に申し立てると調停委員という、いわば担当者が就くことになります。この調停委員は自分で選べる訳ではないことに加え、非協力的であったり特定調停の能力に優れていなかったりした場合には、自分にとって有利な借金解決になるとは限らないことになります。

そのため、特定調停をする場合は、自分自身で特定調停を含めた借金解決のことについて詳しく学習しておく必要があります。

特定調停成立までの利息が付加される場合が多い

こちらのデメリットは、すべてが紹介するような事例ではないのですが、任意整理と異なり特定調停の場合は支払利息が余分に付加されている場合が多く、結果として無駄なお金を支払っていることがあります。この理由は、支払利息の計算をする際の基準が関係しているためです。

具体的に解説しますと、任意整理の場合は「貸金業者等との取引最終日」までで利息の再計算をするのに対して特定調停の場合は最終取引日から特定調停成立までの2ヶ月から3ヶ月程度の期間についても利息が付加されている場合が多くあるのです。一般の人がこの部分に気付くのは困難であると予測できます。

特定調停が始めからなかったということもあり得る

特定調停の申し立てをした後の「第1回調停期日」において裁判所にて作成した案が、貸金業者等から異議申し立てがされてしまいますと「無条件で特定調停が始めからなかったこと」になってしまいます。

これは、特定調停の申し立てのお金と時間が無駄になってしまうことだけでなく、無駄な労力まで消耗してしまうことになります。

特定調停における最大のデメリットは正にこの部分と言っても過言ではなく、貸金業者等が簡単に異議申し立てできる制度になっていることが特定調停そのものを利用するのを避ける大きな要因になっているのです。

過払金返還請求は別途で行う必要がある

特定調停の本来の趣旨は、「経済的再生」いわゆる生活再建となっていることから、過払金返還を想定していません。

要は、特定調停をしただけでは過払金が発生していた場合でも返還されないことを意味しています。したがって、過払金請求をするためには別途過払金請求をするか訴訟をする必要があります。

債務不履行で強制執行のおそれがある

特定調停が成立した後に貸金業者等に対して借金の返済が滞った場合、いわゆる債務不履行となってしまいますと「給与の差し押さえ」や「住宅などの不動産の競売」が強制執行されるおそれがあります。

特に押さえておかなければならない特定調停のデメリットを7つ解説しましたが、次項で解説する「特定調停の基本的な手続きから終了までの流れ」を目通しすることで、これらのデメリットの理解がより深まると思います。

特定調停の基本的な手続きから終了までの流れ

ここまで特定調停の仕組みやメリット・デメリットなどを解説してきましたが、本項では、特定調停の基本的な手続きの流れについて解説していきます。特定調停は、裁判所を利用した「公的な任意整理」と言われ、その手続きは特徴的です。

なお、こちらは余談となりますが、特定調停におきまして借金を抱えている債務者を「申立人」と呼び、貸金業者等の債権者を「相手方」と呼びます。特定調停手続きを行う前の予備知識として押さえておきたい用語と言えます。

特定調停の申し立て

特定調停を申し立てするには、申立人(債務者)が必要書類を添付して裁判所に申し立てるところから始まります。

特定調停申し立ての通知

申立人(債務者)から申し立てを受けた裁判所は、相手方(貸金業者等)に対して特定調停申し立ての通知を出します。

第1回調停期日の連絡

申し立てから2週間から3週間後に裁判所から申立人(債務者)に対して第1回調停期日の連絡をします。この連絡には、「○○簡易裁判所で○月○日午前○時」といった具体的な日時や場所が指定されて連絡が来ることになります。

第1回調停期日

第1回調停で行うことは、申立人(債務者)のみが裁判所へ赴いて、現在の「負債状況」や「生活状況」の聞き取りをはじめ、「収入」や「生活費」を把握することで、毎月の返済可能金額を計算することが多く行われます。

この第1回の調停は、以後、「第2回目の調停の開始」もしくは「特定調停の不成立」が決まる重要な分岐点となっており、これらの決定は裁判所が下します。これは、民事調停法第17条に規定されていることから、通常「17条決定」と呼ばれています。

裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる。この決定においては、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命ずることができる

民事調停法 第17条(調停に代わる決定)より引用

第2回調停へ

第1回の調停において計算された返済可能金額に基づいて、相手方(貸金業者等)に対する具体的な返済計画を立てていきます。

特定調停不成立

第1回の調停において作成された案について相手方(貸金業者等)が反対して合意が得られない場合などにおきましては、特定調停は不成立となります。

特定調停をするには具体的にどうしたらよいのか

特定調停をするには、前項で解説した手続きの流れに沿う形式になりますが、まずは申し立てに必要な書類を準備しておくことが重要です。以下に一例を示しますが、個人事業者、個人などによって必要な書類と不要な書類が異なりますので、あらかじめ裁判所等へ問い合わせるのが確実でしょう。

  • 債権者一覧表
  • 不動産登記簿謄本
  • 債務残高がわかる領収書など
  • 確定申告書
  • 決算書
  • 損益計算書
  • 貸借対照表
  • 金銭出納帳
  • 給与明細書
  • 源泉徴収票
  • 家計簿

参考:特定調停の必要書類(書式)と書く際の注意点

特定調停の費用は具体的にどのくらいかかるのか

特定調停の費用は、他の債務整理に比べて費用が安いところが大きなメリットであると言えます。特定調停を自分自身で行った場合にかかる費用のモデルケースを以下に紹介します。

費用 金額
印紙代 2,500円
郵便切手代 5,000円
交通費 1,000円
法律相談料 0円
着手金 0円
減額報酬金 0円
基本報酬金 0円
合計 8,500円

参考:特定調停にかかる費用と相場より引用

上記モデルケースは、貸金業者等が5社を想定した一例ですが、費用が安い分、多くのデメリットがある点を踏まえておく必要があります。

特に多くの時間と労力をかけて行った特定調停が貸金業者等からの異議申し立てによって「無条件で失効」することは確実に押さえておかなければならない重要事項だと言えます。このことを理解した上で特定調停は行う必要があります。

まとめ

本記事では、特定調停による借金解決の方法について解説しました。

任意整理と特定調停の仕組みについて図解で解説しながら、本記事のメインである特定調停について解説しましたが、全体的に特定調停のデメリットが浮き彫りになった内容になっていると思います。

借りたお金は返さなければならないのは当然であるものの、本来返さなくてよいお金について払いすぎている場合は、やはりそのお金は返してもらうべきだと思います。

任意整理も特定調停も得られる結果は同じであるものの、専門家が代理として手続きを行う任意整理と、自分自身で手続きを行う特定調停には「目先のお金に捉われてはならないリスク」が多く含まれていることが十分理解できたのではないでしょうか?

「餅は餅屋」と言われるように、専門家に任せるべき判断を誤ってしまえばかえって損失が大きくなってしまうことを十分理解した上で特定調停の申し立てを行う必要性があります。

再度、任意整理と特定調停の違いを確認した上で、分からない場合や判断に迷う場合は、弁護士や認定司法書士といった専門家に相談したりアドバイスを求めるといった行動に移してみることを強くおすすめします。何事も最初が肝心です。

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