特定調停のやり方!自分でやる人のための手続き方法徹底解説!

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

特定調停とは、債務整理法の一つで、借金が返せなくなる恐れのある場合に、裁判所が債権者との間に入って、話し合いをすすめてくれる手続です。

任意整理では弁護士、司法書士が行う債権者との交渉を、裁判所が行ってくれると考えればいいでしょう。

申し立ては所定の書式に、必要な添付書類を集めて住所地を管轄する簡易裁判所に提出すればよく、債務者自身が本人で手続きすることも可能です。この記事では特定調停を自分でやる方法を徹底解説しております!

特定調停とは

特定調停は、あくまで「借金を返済できるようにする」ことを目的とする制度なので、収入がないなど、そもそも返済の見込みが全くない場合には利用できません。利用可能かどうかの目安は、地域によって多少の差はあるものの、

  • 継続的な収入の見込みがある
  • 減額後の債務を3年以内で返済できる程度の資力があること

以上2点を満たす場合、特定調停を利用できる可能性が高いです。

リーズナブルに、独力でも遂行できる特定調停は、その点だけに注目すると、とても良い方法のように思えます。けれども法律上の手続のため、信用情報などの記録面では、その後の借入についてデメリットになる点もあります。

特定調停に着手しようとするときには、次のようなメリット・デメリットについて踏まえたうえで、この方法が最適であるかの検討も行っておくことをお勧めします。

メリット

費用が安い

自分で手続きをする場合には弁護士や司法書士への報酬が不要であり、債務者1件あたり1000円前後の手数料で済む。

手続きが簡単

自己破産や個人再生よりはるかに必要書類が少なく、手続きは簡単。申立書などの作成すべき書類も簡単で、債務者が自分で作成できるレベル。

債務総額が引き直し計算で減る可能性

借入開始時点に遡って現在の利息制限法の利率(15~20%)を適用した引き直し計算が行われることで、債務総額が大幅に減る可能性がある。金利と返済状況によっては、借金がゼロになることもあります。

取立てを止められる

特定調停の申し立て時に、簡易裁判所で発行される受付票・受理証明書を債権者に送ることで、取立てを止めることができる。

減額交渉の相手を自由に選べる

任意整理と同じく特定の債権者だけに絞って特定調停をすることが可能。

借金の原因不問

ギャンブルや浪費などが原因でも利用できる。

資格の制限、官報掲載なし

破産とは異なり、資格制限、官報に掲載されることがない。

デメリット

裁判所に直接出向く必要がある

自分で行う場合は、全ての課程で裁判所に出向く必要が生じる。

調停員の技量や不成立の可能性

特定調停は裁判所の調停員が取り仕切るため、その技量によって進行度合いが左右される。また、あくまで「話し合い」なので、債権者が応じない時、強硬な態度の時などは、調停自体が成立しない可能性がある。

過払い金返還が別に必要になる可能性

特定調停中に過払い金が発見された場合、特定調停の中で過払い金の返還を受けることはできない。

信用情報

個人信用情報に、最低5年間は「事故」の記録が残る。

履行不能時の強制執行リスク

調停の決定事項は判決と同等の強制力を持っているため、返済が滞って再び履行不能状態に陥った時は、債権者より強制執行が行われる可能性がある。

実生活の経済的困窮

特定調停は、返済が比較的軽いケースに向いていて、重度の多重債務では、調停成立後の返済負担が重くなり、経済的に困窮する場合がある。

特定調停申立の流れ

特定調停は、

  • ① 債権者の選定
  • ② 書式の入手と添付書類集め・書類作成
  • ③ 簡易裁判所への申立
  • ④ 調停期日
  • ⑤ 調停成立
  • ⑥ 返済開始

という流れに沿って進んでいきます。次に、それぞれの項目ごとの詳細を見ていきましょう。

① 債権者の選定

特定調停では、任意整理同様に交渉する相手を自由に決めてよいことになっています。ですから、一部の債権者だけに特定調停を申し立てることも可能です。

ただし、申立の対象にしない債務に関しては、そのまま返済を続けなくてはなりません。従って、原則的には「全ての債権者」を対象にした方が、特定調停による債務の圧縮効果は大きいとはいえます。

特に、

a.借りた時期が古い借金

b.消費者金融から借りた借金

の場合は、貸金業法の改正による「過払い金」が生じている可能性が高く、引き直し計算で債務の圧縮効果が高いことが見込まれます。

まずは、引き直し計算を、ネット上で使えるシミュレーターを利用して確認してみましょう。

借金を大幅に減額できる借り入れであれば、特定調停によって大きく返済を減らしてもらうことが期待できるので、優先的に対象にすべきです。

ただし、過払い金が発生しているようであれば、特定調停では請求できないので、別途過払い金請求の手続を自分でするか弁護士に依頼した方が良いです。

また、

c.担保がついていない借金(キャッシング等)

は、特定調停が決裂してのち債務不履行(返済できない状態)が起こった時の差押リスクがない点、特定調停をする優先度が高いといえます。

反対に自動車ローンに所有権留保がついている場合や、住宅ローンなどは、基本的に特定調停の対象にすべきではありません。

これらのケースで特定調停の対象にすると、車なら引き上げられてしまいますし、住宅は競売にかけられてしまうためです。

さらに、特定調停をしたからといって、毎月の返済金額が減るとは限りません。「借入金額が高くて、返済期間が短い借金」では、返済期間が3年に短縮されることで、かえって月々の返済が高くなる可能性があります。

おまとめローンなどは、この例に当たる可能性があります。金利でいえば「年利20%未満の借金」は、特定調停の利息制限法による引き直し計算の効果がないことになります。

特定調停では、その後の返済を続けられるか?がポイントになりますから、毎月の「そのまま返済を続ける返済額+調停成立後の返済額」を算出してみて、生活に支障がない範囲に収まっているか?を検討しておく必要があります。

② 書式の入手と添付書類集め・書類作成

対象にする債権者が決定したら、次に特定調停の申立書式と、申し立て時に添付する書類を集めて、申立書の作成を行います。特定調停に必要な書類は、

  • 裁判所から貰うもの
  • 借金の内容を証明するもの
  • 収入や資産を証明するもの

また、申立て書には自分の収入状況や、借金の状態などを証明する書類を添付する必要があります。収入証明については、各地域によって必要なものが変わる可能性があります。

代表的なものは、給与明細や取引履歴、住民票、通帳や源泉徴収票、住民票などです。この辺りの必要書類に関しては、書式入手の時に、裁判所の窓口に聞いておくとよいでしょう。

この際、しばしば「債権者ごとに、管轄の簡易裁判所を変えなければいけないの?」という疑問があると思います。結論から言うと、その必要はなく、ほとんどの人が、自分(債務者)の住所地を管轄する簡易裁判所を利用しています。

特定調停の必要書類(書式)と書く際の注意点にも詳細な解説があります。読んでおくと分かりやすいでしょう。

必要書類が揃ったら、申立書の作成にかかります。特定調停の書類作成で最も中心的で重要な作業になるのは、

  • 特定調停申立書
  • 関係権利者一覧表

の2つです。より詳細な説明を「特定調停申立書」「関係権利者一覧表(債権者一覧表)」の書式と書き方で解説しておりますので参考にしてください。

③ 簡易裁判所への申立

書式が完成して、添付書類が全て整ったら、簡易裁判所へ申立を行います。

簡易裁判所には「調停相談窓口」とか「相談コーナー」となっている窓口があり、こちらで提出を行います。(地方によっては、特定調停を含む裁判所利用で必要な書式の配布も、この窓口で行っている場合もあります)こちらで書類をチェックしてもらって、書き落とし等の単純な訂正があれば指示に従って行います。

印紙を用意していない場合は、簡易裁判所最寄りの印紙売り捌き所を案内してもらえます。印鑑や運転免許証等の身分証明書だけは、必ず持参していきましょう。コピーや切手代など、こまごまとした追加出費がある可能性を見込んで、1500円~3000円位、余分に現金を持って行くと安心です。

この段階で、「申し立てても、相当に難しいだろう」と思われる場合は、受理を渋られるケースがあります。

そのようなときは、何らかの問題があると考えて、あまり受理してもらうことにこだわらないで、一旦、持ち帰りましょう。

そして、返済計画を見直したり、自治体や弁護士会、法テラスなどの無料相談を利用して弁護士のアドバイスを聞いたりして、「特定調停を成功させるにはどうしたらよいのか」や「そもそも特定調停が適切な解決方法なのか」について、再度検討すると良いでしょう。

特定調停の申し立てが受理されたら、債権者へ「特定調停の申し立てを行った」と通知をする必要があります。これを行うことで、債権者からの督促の連絡を止めてもらうことができるからです。

すでに延滞などで電話や手紙が届いているような場合は、一刻も早く連絡を入れるようにしましょう。

急いでいるケースでは、事前に電話連絡をしてFAX番号を聞いてFAXするのが最も早いです。急いでいなければ、郵送でもかまいません。

④ 調停期日

申立てが受理されると、裁判所は調停員を選出し、調査期日を決めます。申立から1~2週間ほどで、調査期日の連絡が入ります。

日付は、書面の到着した日から、概ね2週間位後に設定されていることが多いです。

調査期日では、債権者は呼ばず、債務者だけが調停員と面接し、現在の借金の状態や、資産状態などの確認が行われます。

ここで、減額すれば返済の見込みがある、と調停員が確認できれば、後日、調停期日が指定され、債権者との具体的な交渉が始まります。1回の所要時間は30分~1時間程度です。

調停には回数の決まりはありませんが、堂々巡りにならないように、調停委員が両者の間に入って調整を行います。「調停の時に債権者と直接顔を合わせるの?」と心配する人が多いようです。

調停期日では、債権者と債務者はそれぞれ別々の控室に入り、呼び出しに応じて、どちらか一方だけが調停室に入って、調停員と対面で話をします。

直接、債権者と債務者が顔を合わせることはほとんどなく、最後の調停成立のときくらいです。

調停の場面では、曖昧な回答は避け、できることとできないことを明示するほうが良いです。

調停の申立から、調停成立(または不成立)までは、借金の返済はストップします。

⑤ 調停成立

債権者との話し合いがまとまると、いよいよ調停が成立します。裁判所が、双方の意見をまとめた上で、調停調書という書類を作成し、後日、自宅に送ってくれます。

調停が成立する日はこれまでの期日と違って、成立後の手続のために時間がかかるので、多少(30分程度)時間がかかることが多くなっています。

調停期日をくり返しても、債権者との協議が整わず、相互の着地点が見いだせないような場合は、「不成立」となります。不成立になってしまうと、その時点から、督促や延滞金の加算等が再開します。借金の減額効果も得られません。

不成立の原因は、債権者の同意が得られない場合だけでなく、返済計画に無理があったり、債務額が大きすぎて特定調停向きでなかったり、といった様々な要因があります。特定調停で不成立になったら、すぐにその他の債務整理の方法を検討しなくてはなりません。

⑥ 返済開始

決定書に書かれた返済期日から返済義務が発生します。決定書の内容に従って、決められた期日までに毎回きちんと返済ができていれば心配ありません。返済が滞ると、債権者が差し押さえなどの対応を取ってくる可能性が高いので、注意が必要です。

特定調停返済計画の目安

特定調停では、返済計画の検討が調停成立・不成立の分かれ目になります。債権者の傾向やタイプ、債務額によって返済計画の目安は、下表のようになります。

債務額 業者の種類 成立しやすいと言われる返済計画
50万円未満 種類問わず 36回以内の分割払いが最も成立しやすい。現実的には36回×月々14,000円が一発で合意が決定するライン。経済的に苦しい場合であって、期日をくりかえして交渉しても、60回×8,000円以下は難しい
50万円~ クレジットカード会社 比較的長期の分割に応じてくれやすい。
金額問わず 貸金業者 36回未満の分割を希望してくる傾向が強い。折り合いがつかない場合は、収入増又は支出減の根拠を示しつつ、スライド方式を採って段階的に返済金額を上昇させる返済計画を提示すると、譲歩してもらえる場合がある。

特定調停における返済計画では

  • 現実味があること
  • 生活費等の収支と返済金額のバランスが取れていること

が、非常に重要視されます。せっかく調停が成立して返済をスタートさせても、完済させることができなければ、調停そのものが無駄になりますから、裁判所も、実現可能でないような計画では調停以前に受理してくれません。

また、いくら債権者が要求するからといって、のまず食わずで働いても払えないような計画を立てても同じく却下されています。

しばしば、言われるのは「実際に払える金額の半分くらいを考えておけ」というものです。生活しながら、場合によっては他の借金も支払いながら、返済していく必要があることを考えて、収支のバランスをしっかりとチェックした上で、返済計画を立てるようにしましょう。

匿名OK・無料!借金減額シミュレーター

ws000000

街角相談所-法律-無料シュミレーターは氏名、住所などを入力しなくても利用できる「完全匿名性」の借金解決サービスです。

「いきなり弁護士事務所に電話するのは少し抵抗がある...。」という方も利用しやすくなっています。


無料シミュレートしてみる

債務整理に強い弁護士

無料相談:0120-422-009

弁護士法人サンク総合法律事務所」は月600件以上の相談実績がある債務整理に強い弁護士事務所です。

全国対応・相談無料・365日24時間対応・初期費用0円・分割払いOK・弁護士費用が払えないなどの相談も可能です。


無料相談:0120-422-009