特定調停の13個のメリットと9つのデメリット

執筆者

元弁護士ライター 福谷 陽子

消費者金融会社やクレジットカードのキャッシング、ショッピングローンなどの借金がかさんで返済が苦しくなったら、特定調停などの債務整理手続で解決する方法が効果的です。

債務整理には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4種類があり、中でも特定調停は、簡易裁判所で債権者と話し合うことによって、借金の「返済金額」と「返済方法」を決め直し、調停合意をする手続です。特定調停には、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

このことを正しく知っておかないと、適切な債務整理手続を選択することも難しくなるので、知っておく必要性があります。

そこで今回は、特定調停の13個のメリットと9つのデメリットについて解説します。

特定調停の13個のメリット

消費者ローンや銀行ローンなどの借金返済に苦しんでいる場合には、特定調停が有効な解決方法になります。

特定調停では、簡易裁判所において、調停委員に間に入ってもらって債権者との間で借金整理のための話し合いをしますが、特定調停には、どのようなメリットがあるのでしょうか?まずは、そのメリットを順番に確認しましょう。

1.間に調停委員が入ってくれて話がしやすい

特定調停を利用する場合には、簡易裁判所に申立をして、債権者との間で借金の「返済額」と「返済方法」について話し合いをすすめていきます。

このとき、話し合いの間には、裁判所の調停委員に入ってもらうことが出来ます。よって、債務者が直接債権者と対峙して、話し合いを進める必要がありません。

もし債務者が直接債権者と話し合いをしなければならないとしたら、借金返済を滞納している場合などには借金返済の督促を受けながら借金整理のための話し合いを自分でしなければならないことになり、大変なストレスになります。

返済が必要な債務者の立場と、返済方法を整理する交渉者の立場の2つが併存することになるので、交渉が大変進めにくくなるのです。ところが、特定調停を利用すると、調停委員が間に入ってくれるので、このような問題は解消されます。

この点、任意整理では、話し合いの間に誰も介入せず、債権者と直接交渉をしなければならないので、特に返済中の債務者が自分で手続をすすめることは難しいことが多いです。

この意味で、特定調停は、他の債務整理手続と異なり、専門家に依頼しなくても債務者が自分で手続しやすい債務整理方法と言えます。特定調停を自分で申し立てて手続をすすめる債務者は実際にたくさんいます。

2.債権者からの督促や返済が止まる

特定調停を利用すると、債権者からの督促が止まります。特定調停を申し立てると、裁判所から債権者に対して特定調停が開始されたことや、取引履歴を送付するよう依頼する旨の通知が送られます。

裁判所からの通知を受け取った後は、債権者は債務者に直接連絡をしてはならないことになっています。よって、特定調停を申し立てると、しばらくして債権者からの督促が止まります。

借金返済を滞納していて、債権者から度重なる電話やハガキなどの督促が来ている場合でも、特定調停を申し立てると督促が止まるので、債務者は精神的に非常に楽になります。

また、特定調停を利用すると、返済が一時的にストップします。特定調停期間中は、借金の残額を確定する必要があることなどから、調停申立後は、調停が成立するか、不成立になって終了するまでの間、一時的に返済を止めることになるのです。

よって、特定調停を申し立てると、借金滞納をしていても債権者から督促が来ませんし、返済も止まります。債務者は、この間に借金に追われて崩れてしまった生活を立て直すことが可能です。

3.利息制限法を超過している場合に大幅に借金減額できる

特定調停を利用する場合には、借金を利息制限法に引き直して計算し直します。特定調停を申し立てると、裁判所から各債権者に対して、現在までの取引履歴と利息制限法への引き直し計算書の提出が求められます。

このとき、利息制限法を超過した取引があると、払いすぎた利息によって借金の元本が減らされて、借金返済額が大幅に減額できる可能性があります。

取引期間が長期に及ぶ場合などには、借金の残高がほとんどなくなることもあります。払いすぎ利息が借金元本を上回り、借金額がマイナスになると、借金返済の必要が全くなくなる可能性もあります。

4.将来利息の支払をカット出来ることがある

通常は、借金をすると利息がかかります。消費者金融会社などからの借金の場合には、年率10%以上の高額な利息が加算されることが普通です。借金完済までの間、この高額な利息を払い続ける必要があります。

ところが、特定調停を利用する場合には、特定調停の合意成立後、残債を完済するまでの間に発生する利息については、支払がカットされることが多いです。この調停成立後完済までにかかる利息のことを、「将来利息」と言います。

ただし、後のデメリットの項で詳しく説明しますが、特定調停では、合意内容を債権者に強制することは出来ません。よって、必ずしも将来利息をカット出来るわけではありません。

特に債務者本人が自分で手続している場合などには、将来利息のカットに応じない債権者もいるので、注意が必要です。

5.月々の借金返済が楽になる

特定調停手続を利用すると、利息制限法引き直し計算によって借金返済義務がなくなった場合以外には、調停成立後に残債務の返済が残ります。この残債務の返済は、手続の利用前より楽になることが普通です。

特定調停を利用すると、利息制限法に引き直し計算することによって、借金額が減額されたり、将来利息をカットすることによって、借金の総支払額がもともとの予定より減額されることになります。

また、特定調停後の返済期間は原則として3年になりますが、その期間での返済が難しい場合には、債権者の合意を得て、さらに返済期間を延ばすことも可能です。このように、借金返済金額と返済期間が延びることによって、月々の借金返済額が元の予定より減額されることになります。

特定調停の利用前には毎月10万円程度借金返済していても、特定調停成立後は借金返済額が月々4万円程度やそれ以下に抑えられることもあります。

このように、月々の借金支払い額が抑えられることによって、苦しかった借金返済を何とか継続していけるようになり、完済に至ることが可能になります。

6.一部の債権者を選べるので車や住宅を手放さずに済む

特定調停では、一部の債権者を選んで申立をすることが可能です。たとえばA社からE社までの5社からの借入がある場合に、A社~D社までだけに特定調停を申し立てて、E社はそのまま返済を続けるということが可能になります。

このような取り扱いは、他の債務整理手続である自己破産や個人再生では認められません。自己破産や個人再生では、すべての債権者を平等に扱わなければならないという「債権者平等の原則」が働くので、すべての債権者を対象にする必要があるからです。

特定調停で一部の債権者を対象に出来ることは、車のローンや住宅ローンがある場合に役立ちます。車のローンや住宅ローンがある場合に、それらのローンを対象に債務整理をすると、車や住宅を失うことになります。

住宅には抵当権がついているので競売にかけられてしまいますし、車には所有権留保がついているので、債務整理するとローン会社に引き上げられてしまいます。

個人再生で住宅資金特別条項を利用すると、住宅ローン付きの自宅を守ることは可能ですが、それでも自動車ローンがある場合の車を守ることは不可能です。

この点、特定調停の場合には、住宅ローン債権者や車のローン債権者を外して申し立てることが可能です。すると、住宅ローンや車のローンはそのまま支払を続けるので、住宅や車を失うことはありません。

このようにマイホームやマイカーを守ることが出来ることは、個人再生や自己破産にはない特定調停のメリットです。

7.保証人に迷惑をかけずに済む

特定調停を利用する場合には、前述のとおり、一部の債権者だけを対象にして申し立てることが出来ます。この特徴を利用すると、連帯保証人などの保証人がついている借金がある場合に役立ちます。

借金をする場合には、家族や親類、友人知人などに借金の「連帯保証人」になってもらうことが多いです。この場合に債務整理をすると、債権者は連帯保証人に対して借金返済の請求をします。

この場合には、借金を滞納した後なので、借金の分割支払いができなくなっていることが普通です。借金は、通常2ヶ月以上など滞納すると、分割払いが出来なくなって、残金を一括払いしなければならなくなる契約内容になっていることが多いです。

このことを、期限の利益の喪失と言います。このことによって、保証人に借金返済の請求をされる場合には、借金残金の一括請求になってしまいます。それだけではなく借金返済を遅延したことによって、高額な遅延損害金が加算されることにもなります。

すると、連帯保証人としては、これらの支払に応じるしかありませんし、もし支払が出来なければ連帯保証人自身も自己破産などの債務整理手続を利用しなければならなくなります。

このように、連帯保証人がついている借金がある場合に債務整理手続を利用すると、連帯保証人には多大な迷惑をかけることになります。親類や友人などに保証人になってもらっている場合には、人間関係にも亀裂が入って大変なことになるケースも多いです。

このとき、特定調停を利用する方法が役立ちます。特定調停で、連帯保証人がついている借金を外して裁判所に申立をして調停の話し合いを進めれば良いのです。こ

のようにして、連帯保証人がついている借金については自分でそのまま支払を継続すれば、債権者が連帯保証人に対して支払を請求することはありません。連帯保証人に迷惑をかけることを避けられて、人間関係が壊れるなどのリスクを避けることが可能になります。

8.職場からの借入があっても職場に知られずに済む

特定調停で一部の債権者にだけ申立をすることが出来るという特徴を利用すると、職場から借入がある場合にも役立ちます。

借金する場合には、銀行などの金融機関や消費者金融会社などの貸金業者以外にも、勤務先の職場から借入をすることがあります。住宅ローンなどの借金をする場合にも、職場の福利厚生制度を利用して借入をすることもあります。公務員が、公務員共済を利用して借入をすることも多いです。

このように、職場から借入がある場合に、その借金を対象にして債務整理手続をすると、当然職場に借金がバレてしまいます。通常の場合でも職場に借金がバレたくないと考えている人は多いですし、公務員の場合には更に問題が深刻になります。

借金があったり債務整理したからといって、公務員が続けられなくなることはありませんが、公務員が借金返済出来なくなって債務整理したとなると、信用が著しく失われます。このことによって、職場にいづらくなって、事実上退職せざるを得なくなる可能性もあります。

よって、公務員の場合には、特に職場に借金がバレないようにする必要があります。ここで、特定調停で一部の債権者だけを対象にすることが出来る特徴を利用します。

特定調停で、職場やそれに関連する債権者を外して、他の借入先だけを対象にして申立をすれば良いのです。

このようにして、職場へはそのまま返済を続け、他の借金だけを整理すれば、借金問題は解決出来ますし、職場にも借金や債務整理を知られることはありません。職場を相手にしないので、裁判所から職場に通知がなされることもないので、安心です。

9.財産が問題にならない

特定調停を利用する場合、債務者がどれだけ多額の財産を持っていても問題になりませんし、債務者の財産が無くなることもありません。債務者の財産から債権者に対して借金返済をすることを強要されることもありません。

これに対して、同じ債務整理手続の中でも自己破産や個人再生は異なります。たとえば個人再生の場合には、債務者は、最低限自分が持っている財産以上の返済をする必要があります。たとえば300万円の財産を持っている人の場合には、最低300万円の支払が必要になります。

同じ500万円の借金があるケースであっても、財産が全くなければ100万円まで借金が減額されますが、300万円の財産があると、300万円の返済が必要になるのです。すると、3年で返済するとしても、月々の支払金額が3倍になるので、非常に大きな負担になります。

自己破産の場合には、財産の問題はさらに深刻です。自己破産する場合には、債務者は生活に必要な最低限の財産以外の財産はすべて失うことになります。

預貯金や生命保険などは解約されますし、株券は換金されます。不動産も売却されて現金化されて、これらの財産はすべて債権者に配当されてしまうことになるのです。

このように、個人再生や自己破産では、債務者に財産があると、借金返済額が高額になったり、財産が失われるという不利益があります。

これに対し、特定調停では、債務者がどのような財産を持っていても全く問題になることがなく、債権者と債務者の双方が納得しさえすれば、調停が成立して借金が整理出来ます。

10.職業制限がない

特定調停を利用しても、特定の職業につけなくなったり、就職に不利になるなどの問題は一切ありません。これに対し、他の債務整理方法である自己破産手続を利用すると、手続が終了するまでの間、一定の職業につくことが出来なくなります。

たとえば、弁護士や司法書士、税理士や行政書士、不動産鑑定士などのいわゆる「士業」と呼ばれる職業には就くことができません。不動産業に必須の宅建業も出来ませんし、警備員や生命保険外交員の職につくこともできなくなります。

しかも、認知症などが原因で、自分で財産管理が出来なくなってしまった人の代わりに財産管理をする「成年後見人」になることも出来なくなります。

これらの職業や成年後見人などに関する資格の制限のことを「資格制限」といいます。特定調停を利用しても、このような資格制限は一切ないので、自由に職業を選ぶことが出来ます。

特定調停中に仕事が出来なくなるというリスクもありません。もちろん、特定調停後にどのような仕事に就くことも自由です。

11.借金の原因を問われない

特定調停では、借金の原因が問題にならず、どのような理由の借入であっても手続を利用出来ます。たとえばギャンブルや浪費などが原因の借金があっても、そのことが原因で特定調停が出来なくなることはありません。

この点、他の債務整理手続である自己破産の場合には、借金の原因によっては手続が利用出来なくなります。具体的には、借金の理由によっては「免責」が受けられなくなります。

自己破産では、免責決定が出て初めて借金返済義務がなくなるので、免責が受けられなくなるということは、手続の失敗を意味します。たとえばギャンブルや浪費が原因で借金した場合、「免責不許可事由」に該当するので、自己破産を利用しても免責が受けられなくなる可能性があるのです。

これに対して、特定調停にはこのような制限はありません。どのような理由や経緯で借金がかさんできたとしても、そのことが問題になることはありません。債権者が納得しさえすれば、借金額と返済方法を決めて調停合意することが可能です。

12.官報に掲載されない

特定調停を利用した場合には、氏名や住所などの情報が官報に掲載されることがありません。

官報とは、政府が刊行している機関誌であり、法律や条令、条約などの法令についての情報や、破産者などの情報が掲載されているものです。政府が発行している新聞のようなものだと理解すると良いでしょう。

債務整理手続の中でも自己破産や個人再生を利用すると、この官報に氏名や住所、手続の内容などが掲載されてしまいます。すると、官報を目にした人に自己破産や個人再生の事実がバレてしまうおそれがあります。

この点、特定調停の場合には、官報に氏名などの情報が掲載されることはありません。裁判所から官報公告依頼がなされることがないのです。特定調停を利用しても、官報を見た人に特定調停を知られるリスクはないので、この点は自己破産や個人再生にはないメリットになります。

13.費用が比較的安い

特定調停にかかる実費は、債権者1件について印紙代500円と、郵便切手420円程度です。これが、債権者の人数分加算されることになります。

特定調停にかかる費用は、これらと裁判所に行くための交通費程度です。裁判所に行く回数も、通常2~3回程度ですし、月に1~2回くらいのペースなので、負担は軽いです。

また、特定調停では弁護士費用や司法書士費用などの専門家の費用も安いです。具体的には、債権者1社について2万円~4万円程度です。

特定調停では、間に裁判所や調停委員が入ってくれるので、専門家に依頼する必要性が他の手続と比べて少ないですが、自分で手続をすすめると更にかかる費用が安くなります。

参考:特定調停にかかる費用と相場

特定調停の9つのデメリット

特定調停を利用すると、上記のようにいろいろなメリットがありますが、反面デメリットもあります。特定調停には、比較的デメリットも多いです。そこで、以下では特定調停のデメリットを順番に確認していきましょう。

1.ブラックリスト状態になる

特定調停を利用すると、いわゆる「ブラックリスト状態」になってしまいます。

特定調停を申し立てると、信用情報機関が保管する個人信用情報に事故情報(ネガティブ情報、異動情報)が記録されてしまいます。

信用情報機関とは、個人のローンやクレジットカードなどの利用状況など、信用状態についての記録である個人信用情報を管理している機関です。

「CIC」と「JICC」、「全国銀行協会」の3つがあります。そして、銀行などの金融機関や消費者金融会社などの貸金業者は、融資の審査の際に個人信用情報を参照します。そこで、事故情報が記録されていると、審査を通しません。

よって、特定調停を利用して個人信用情報に事故情報が記録されていると、ローン申込みをしても審査落ちしてしまうので、融資を受けることが出来ません。この状態のことを俗にブラックリスト状態と言います。

ブラックリスト状態になると、住宅ローンや自動車ローンなどの各種ローンも利用出来ませんし、自分名義でクレジットカードを発行することも出来なくなるので大変不便になります。特定調停後のブラックリスト期間は、手続後5年程度続きます。

2.過払い金請求が出来ない

特定調停手続では、取引履歴を利息制限法に引き直し計算します。

ここで、利息制限法を超過した利率での取引があれば借金が大きく減額出来ることがあることは既に説明しましたが、借金が減額されるだけではなく、利息だけで借金を払いきってしまっていて、さらに利息を支払いすぎていることもあります。

この場合の払いすぎ利息のことを、「過払い金」と言います。ところが、特定調停では、調停手続内で過払い金請求することが出来ません。

特定調停は、あくまで借金残金の支払い方法を決め直すだけの手続なので、過払い金を含めたお金の返還を求めることは出来ないのです。

特定調停手続の最中に過払い金が見つかった場合には、別途調停手続外で債権者に返還を求めるか、過払い金請求訴訟を起こす必要があります。これらの手続は大変手間になります。

他の債務整理手続である任意整理や個人再生などでは過払い金請求も一緒に出来るので、これらと比べると特定調停にはデメリットがあると言えます。

3.すぐに督促が止まらない

特定調停を利用しても、債権者からの督促がすぐには止まらないことが多いです。

特定調停を申し立てると、裁判所から債権者らに対して特定調停に関する通知が届くので、それ以後は債権者からの督促は止まります。ただ、調停を申し立ててから裁判所が債権者に通知を送るまでには、数日間かかることが普通です。

また、通知は郵便で送られるので、さらに時間的なロスがあります。こうなると、特定調停を申し立てても数日間は債権者からの督促が続くことになります。

この点、他の債務整理手続である任意整理や個人再生、自己破産の場合には、専門家に手続を依頼すればほとんど即日に債権者からの督促がストップします。これらの手続と比べると、債権者からの督促がすぐに止まらない特定調停にはデメリットがあると言えます。

4.手間がかかる

特定調停では、話し合いの間に調停委員が入ってくれるので、債務者が自分で申立をすることが多いです。ただ、その場合非常に手間がかかります。必要書類を揃えて収入印紙や予納郵券を買って、申立書などの書類に記入をして申立の手続をしないといけません。

また、調査期日や調停期日に裁判所に行かなければなりませんし、債権者との合意内容についての交渉なども、調停委員を介してはいますが、自分でどうするか決めないといけません。

この点、他の債務整理手続である任意整理や個人再生や自己破産であれば、専門家に手続を依頼すれば、債務者本人はほとんど自分で何もする必要がありません。

参考:法的知識が全くない人も特定調停は自分でできるのか?

5.利息制限法を超過していない場合、大幅な減額が出来ない

特定調停では、借金の残額について、利息制限法に引き直し計算をします。利息制限法を超過した利率での取引があれば、借金の元本を大きく減額出来る可能性があります。

しかし、逆に利息制限法を超過した取引が無い場合には、借金の元本自体を減額することは困難で、借金額はそのまま残ってしまうことになります。すると、調停後は借金をまるまる返済しなければならず、返済がさほど楽にならないことがあります。

6.将来利息のカットに応じない債権者がいる

特定調停では、借金の残額とその支払い方法について、債権者と話し合って決め直します。このとき、調停合意後の将来利息については、カットする方向で話をすすめることが多いです。

しかし、債権者の中には将来利息のカットに応じないものがいます。特に、弁護士などの専門家に依頼せず、債務者が自分で特定調停の手続をすすめている場合には、将来利息のカットに応じない債権者が多いです。

特定調停で、利息制限法を超過した利率での取引がなく、将来利息のカットもしてもらえない場合、調停を利用しても月々の借金返済額が余り変わらず、支払がほとんど楽にならないこともあります。

7.債権者に合意を強制出来ない

特定調停を利用する場合には、最終的に債権者との間で借金の残金と支払い方法について合意が出来る必要があります。これらについて双方が納得して合意が出来て初めて調停が成立して有効になります。

ただ、調停はあくまでも話し合いの手続なので、当時者に合意を強制することが出来ません。債権者が強硬な態度をとり、話し合いが出来ない場合や、調停委員が説得してもこれに応じない場合などには、調停が成立しません。

特定調停では、状況によって、審判という手続によって裁判官が借金残額と返済方法について決定を下してしまうこともありますが(17条審判)、これに対しても当事者は異議を出すことが出来ます。

当事者からの異議が出ると、審判は効力を失うことになるので、やはり借金問題は解決出来ないことになります。

このように、調停や決定が成立しない場合には、債務者は、個人再生や自己破産などの別の債務整理手続を利用する必要が出てきます。手間をかけて申立をして、裁判所に通って話し合いをすすめてきても、債権者が最終的に納得しなければすべての手続が無駄になってしまいます。

8.手続き後に支払が残る

特定調停を利用すると調停後に借金残金の支払をしなければなりません。特定調停では、利息制限法に引き直し計算した後の借金残高が残るからです。そして、この支払は通常、毎月数万円ずつ、3年間の支払期間になります。

この支払を途中で出来なくなってしまったら、債権者は督促をしてきますし、滞納期間が長引くと差押などの手続をしてくることもあります。こうなると、債務者としては、放置しておくことはできなくなり、自己破産などの別の債務整理手続を利用して借金問題をあらためて解決しなければならなくなります。

この点、たとえば自己破産の場合には、借金返済義務が完全に0になりますので、手続後の支払の問題は残りません。これと比べても、調停後の返済が残る特定調停にはデメリットがあることがわかります。

9.支払が滞ると強制執行されるおそれがある

特定調停では、調停合意後に支払いが残ります。この調停後の支払については、裁判所において「調停調書」という書類が作成されることになります。裁判所の調停調書には、当然に強制執行力があります。強制執行力というのは、すぐに差し押さえができる効力のことです。

この点、任意整理などの手続の場合には、合意書を作っても、その合意書には強制執行力はありません。よって任意整理の合意後の支払を滞納しても、いきなり預貯金や給料などの財産の差押をされることはありません。

差し押さえをするためには、その前にまずは裁判を起こして判決を得る必要があります。判決が出ると、判決書に強制執行力がありますので、これを使ってはじめて差し押さえが出来るようになります。

これに対して、特定調停での調停内容に従わなかった場合には、調停調書自体に強制執行力がありますので、いきなり財産を差し押さえられてしまうことになります。

まとめ

今回は、特定調停のメリットとデメリットについて解説しました。特定調停では、間に裁判所の調停委員が入ってくれるので、債務者が自分でも手続を利用しやすいというメリットがあります。また、借金が整理出来て、支払が楽になることも多いですし、一部の債権者を選べることも大きなメリットです。

しかし、特定調停にはデメリットが多いです。手続内で過払い金返還請求が出来ないので大変な手間になりますし、債権者に合意を強制出来ない点も問題になりがちです。

債務者が自分で対処していると、債権者が将来利息のカットに応じず、結果的に支払が楽にならないこともありますし、手続後の支払の負担も大きいです。

このように、特定調停は意外と使い勝手が悪いので、実際に利用する人はさほど多くはありません。特定調停の利用を検討している人は、本当にそれが自分にとって適切な手続きなのかどうか、よく検討する必要があります。

無料相談などを利用して、どの債務整理手続が向いているのかを弁護士などの専門家に相談しても良いでしょう。

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