特定調停と個人再生の違い徹底比較!

監修者

元弁護士ライター 福谷 陽子

特定調停と個人再生は、どちらも裁判所に申し立てを行ない、借金の返済額を少なくしてもらう手続きです。

ただし、特定調停では債務者本人が簡易裁判所に申し立てをして、調停委員の仲介のもとで債権者と交渉するのに対し、個人再生では弁護士に依頼して地方裁判所に申し立てをし、裁判所から再生計画の認可を受ける、という点で大きく異なっています。

ほかにも、カットされる金額や、手続きにかかる費用、財産の取り扱い、信用情報に事故情報が残る年数などにも違いがありますので、両者を徹底比較してみましょう。

特定調停と個人再生の違い

特定調停と個人再生の違いは、以下のようになります。

  特定調停 個人再生
対象となる人 特定債務者 債務が5,000万円以下の人
申立先 簡易裁判所 地方裁判所
弁護士 依頼しなくてもできる 依頼しないと難しい場合が多い
減額効果 少ない 大きい
整理先の選択 できる できない
費用 実費のみ(数千円程度) 30万円以上
督促の停止 申し立てから数日後 弁護士に依頼したらすぐ
過払い金の返還請求 別途手続きが必要 同時にできる
財産の制限 原則なし 一部あり
ブラックリスト入り
する期間
5年 5年または10年
官報への掲載 なし あり

それぞれの項目について、詳しく解説していきます。

対象となる人

特定調停は、特定債務者のための手続きです。

特定債務者とは、「金銭債務を負っている者であって、支払不能に陥るおそれのあるもの若しくは事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるもの又は債務超過に陥るおそれのある法人」と定義されていますが、単純に「今のままでは借金の返済が難しい人」であれば誰でも行なうことが可能です。

一方、個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つがあり、それぞれ対象となる人が異なります。

どちらにも共通している条件は、「継続的に安定した収入を得られること」と、「住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円以下であること」です。

参考:「小規模個人再生」「給与所得者等再生」の違い

申立先

特定調停の申立先は、債権者の所在地を管轄する簡易裁判所です。自分の居住地ではない点に注意してください。

一方、個人再生の申立先は債務者の居住地を管轄する地方裁判所です。ただし、自営業者で営業所のある場合は、主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所になります。

弁護士

特定調停は、債務者が自分でできる唯一の債務整理方法です。書類をそろえたり、何度か裁判所に足を運んだりする手間はかかりますが、調停では調停委員が間に入ってくれるため、法律の知識がない人でも債権者と交渉することができます。

それに対し、個人再生は高度な法律の知識が必要な手続きですので、基本的には弁護士への依頼が必須です。弁護士に依頼すれば、申立書や再生計画案の作成から、裁判所への申し立て、出廷などをすべて代行してもらえます。

借金の減額効果

特定調停の減額効果は、任意整理とほぼ同じです。利息や遅延損害金をカットしてもらい、元金だけを分割で返済していきます。

ただし、債権者によっては利息のカットに応じてくれない場合もあるため、必ずしも希望通りの条件で解決できるとは限りません。

一方、個人再生では債務の額に応じて以下のように最低弁済額が決まっています。

借金総額 最低弁済額
100万円~500万円未満 100万円
500万円~1,500万円未満 借金総額の20%
1,500万円~3,000万円未満 300万円
3,000万円~5,000万円 借金総額の10%

このように、債務の額によっては80~90%もカットしてもらえますので、個人再生は、任意整理や特定調停では解決できないほど借金の多い人に向いています。

整理先の選択

複数の借入先がある場合、特定調停ではその中から整理したい借金を選ぶことができます。

たとえば住宅ローンや自動車ローンを組んでいる場合、それらを整理の対象から外して引き続きローンを支払っていけば、家や自動車を手放す必要はありません。また保証人のいる借金がある場合も、整理先から外すことで保証人に迷惑をかけずに済みます。

一方、個人再生には「債権者平等の原則」があるため、整理先を選ぶことは基本的にできません。つまり、すべての借金やローンが強制的に個人再生の対象となります。

ただし、家に関しては「住宅ローン特則」という救済措置がありますので、利用条件を満たしていれば、住宅ローンを個人再生の対象から外すことが可能です。その場合、家を守りながら、他の借金のみを減額することができます。

手続きにかかる費用

弁護士を立てずに自分でできる特定調停は、経済的な負担がもっとも少なく、1件の申し立てにつき数千円程度の実費で収まることが一般的です。

それに対し、個人再生では「実費+弁護士費用」がかかります。実費の中でも高額なのが、裁判所に納める予納金で、特に「個人再生委員」が裁判所から選任されると、その人への報酬が15万~25万円ほどかかります(個人再生委員が選任されないケースもあります)。

さらに、個人再生は手続きが複雑なだけに弁護士費用も高く、30万~50万円が相場です。特に住宅ローン特則付きの個人再生は、そうでない場合に比べて費用が高くなります。

費用の捻出が難しい場合は、分割払いに対応している法律事務所を選ぶか、法テラスの弁護士費用立て替え制度(民事法律扶助)の利用を検討してみましょう。

督促の停止

簡易裁判所に特定調停を申し立てると、数日中に申し立てがあったことを知らせる通知が裁判所から各債権者へと送られ、この通知を受け取った時点で債権者は債務者に対して直接の取り立てができなくなります。

一方、個人再生では弁護士に依頼したその日のうち(時間帯によっては翌日)に督促がストップします。

過払い金の返還請求

特定調停は新たな返済計画を立てるための手続きですので、過払い金が発生していても返還請求の手続きは別途行なう必要があります。

これに対し、個人再生では弁護士が過払い金請求を同時にしてくれます。

財産の制限

特定調停では、基本的に財産の所有に関して制限がありません。

また「整理先の選択」でご説明した通り、交渉したい債権者を自由に選べるため、ローンの残っている車や住宅も引き続き所有することが可能です。

一方、個人再生では財産の取り扱いが少し厳しくなります。個人再生には「清算価値保障の原則」といって、所有する財産以上の金額を返済しなければいけないルールがありますので、財産を多く残せば残すほど返済の負担が大きくなるのです。

さらに「債権者平等の原則」もあるため、車のローンを組んでいる場合はそれも個人再生の対象となり、債権者によって車を引き揚げられてしまいます。

ただし、持ち家に関しては「住宅ローン特則」の利用で引き続き所有することが可能です。

ブラックリスト入りする期間

どのような債務整理を行なっても、信用情報機関に事故情報が登録されるため、いわゆる「ブラックリスト入り」することになります。

国内の信用情報機関には、「CIC」「JICC」「全国銀行個人信用情報センター」の3つがありますが、特定調停の場合、どの機関であってもブラック情報の登録機関は5年間です。

一方、個人再生はCICとJICCでは5年間ですが、全国銀行個人信用情報センターには10年間登録されるため、銀行系のローンを整理する場合はブラック期間が長引くことになります。

官報への掲載

債務整理の中でも、個人再生と自己破産をした場合は、国が発行する「官報」という機関誌に氏名や住所が掲載されます。

官報を毎日チェックする人はほとんどいないといっても過言ではありませんが、知人が絶対に目にしないという保証はありませんので、その点はややネックです。

一方、特定調停を行なっても官報に情報が掲載されることはありません。

まとめ

以上、特定調停と個人再生の違いについてご紹介しました。

債務者が自分でできる特定調停は、手間と労力がかかりますが、その分費用は安く済みます。また財産の制限も基本的にありませんし、整理したい借金を自由に選ぶことも可能です。

一方、個人再生は高額な費用がかかりますが、債務を大きく圧縮できる点が最大のメリットですので、借金の額が多い場合に向いています。

どの債務整理が自分にとってベストなのかがわからない場合は、弁護士の無料相談を利用するなどしてアドバイスをもらうようにしましょう。

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